【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

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デブにゃーちゃん
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第166話 戦車と兵士とミサイルが?

公開日時: 2024年7月11日(木) 17:49
更新日時: 2024年7月14日(日) 08:56
文字数:3,377


 紺色と鼠色のモザイク柄に塗装された、デジタル迷彩戦車が鎮座している。


 それを遠目に、ナタンとメルヴェ達は黙って見続ける。



「ん、もしかして、こっちに気がついてない?」


「遠めだから気づかないか、整備中だから…………かしら?」


 ナタンは恐れつつも、戦車を観察するが、一向に進んでくる様子もない。


 また、主砲から砲弾を発射する気配もなく、全く動く事がないのだ。



 メルヴェは、移動しない理由を考察しながら戦車の型は何かと眺めながら考えた。


 しかし、遠くから視認はできても細かい車種までは特定できなかった。



「しかし、これで前進するしかなくなった、前に何が居ても行くしかかない」


「だったら、進むのみっ!」


 ハンドルを強く握った、ナタンは勢いよくバイクを走らせた。


 続いて、メルヴェも同じく、バイクを力強く発進させた。



 暫くは、二人の乗っているバイクは安全に進めた。


 だが、予想通り廃墟と化した街と戦闘している様子が、前方に見え始めた。



「うわっ! RPG音だっ! しかも機銃を撃つ音も聞こえるっ!」


「かなり大規模な部隊同士で、やっているようね? 連合軍の反撃作戦でも始まったのかしら?」


 爆発音と機銃弾が飛び交う音が絶え間なく、行く先から反響してくる。


 そこは今までの戦いと違い、かなり規模が大きな戦闘が繰り広げられているだろう。



 ナタンは、それでもバイクを減速させず廃墟に挟まれた白い道路を突っ走る。


 連合軍による反撃作戦は、近々開始されると噂されていた事を、メルヴェは思い出す。



 本当に作戦が開始されたかは、二人には分からないが、そう思わせるほどの戦いが見え始めた。



「レオパルドだっ! あっ!?」


「爆発したっ!?」


 十字路の先、左側から姿を現したデジタル迷彩を施された、レオパルド2超重装甲型が姿を現した。


 帝国が改造した新型戦車である、レオパルド2A8戦車は、超重装甲を施された動く要塞である。



 しかし、何を撃たれたのか分からないが大爆発を起こした。



 つまり、連合側は強力な対戦車ミサイル等を用《もち》いて、破壊したワケだ。


 ナタンが車種の名を叫んだ瞬間、爆発した戦車は、砲塔が真っ赤な炎に包まれた。



 メルヴェも、炎上する戦車を見て、絶句しながらバイクを走らせるのだった。



「ヤバいわね……前進しようにも激しい戦闘に巻き込まれるのは?」


「加勢したいが、どっちが有利か分からんし…………」


 バイクをゆっくりと走らせ続け、メルヴェは警戒しながら周囲を見渡す。


 そして、ナタンも炎上している、レオパルド2A8戦車を眺めつつ進む。



「ジャベリンでも使ったのか? いや、カールグスタフか?」


「新型RPGの弾頭かも? てか、それより、こっちよ」


 未だ鳴りやまぬ戦闘音が聞こえる中、ナタンは戦車を破壊した武器を考察しつつバイクを走らせた。


 そんな彼に、メルヴェは、戦車とは反対側になる右の道へと進んでいく。



「こっちは、まだ敵が来てないみたいっ!」


「どうやら、戦闘はあっちで行われているようだな」


 ナタンとメルヴェ達は、敵との遭遇を避けるべく、慎重にバイクを運転する。


 激しい銃声が時おり鳴り響く、廃墟を眺めつつ、二人は戦闘区域から離れようと速度を上げる。



 しかし、それも長くは続かなかった。



「発射準備、完了っ!」


「向かいのビルに居るっ!」


 二人のバイクが走る先で、いきなり声が聞こえたかと思った瞬間、RPGー7が発射された。



 右側の半壊したビルから飛んで行った、弾頭は高層アパートに当たって爆炎を吹き上げた。


 直後、お返しとばかりに高層アパート側からも銃声が轟く。



 ナタンが右側の廃墟屋上に目を向ける。



 すると、連合軍兵士がRPGー7に弾頭を再装填している姿が見えた。


 さらに、ワータイガーが給水塔の陰から、ミニM14を撃つ姿が見えた。



「敵も反撃する見たいっ! 突っ切るしかないわよっ!」


「結局、また戦闘に巻き込まれるのか、まあーーやるなら殺るしかないかっ!」


 メルヴェはバイクの速度を一気に加速させ、ナタンよりも前に出た。


 覚悟を決めた、彼等は迷うことなく、バイクを火中の真っ只中へと突っ走らせる。



 当然だが、二台も走るバイクを敵が放置するはずもなく、二人にも銃弾が飛んでくる。



「こっちも狙うよな、そりゃ……」


「だったら、やり返すまでよ」


 ナタンは、MASー1935を片手に、左側に向かって乱射する。


 流石に、弾丸が敵に当たりはしないが、何もしないよりはマシだろう。



 FADを、バイク右脇に備えた、ホルスターからメルヴェは抜き取り、それを片手で握りしめる。



 そして、滅茶苦茶に乱射し始めた。



「奴らを狙えっ! 集中砲火だっ!」


「逃がすな、撃ち殺せっ!!」


 当然ながら、目立つ二人を狙った帝国兵による強烈な銃撃が開始される。


 機関銃MG3による高火力の射撃、RPKー74から放たれる機銃掃射。



 それら弾丸が、ナタンの頭上を飛び、メルヴェを殺さんと真っ直ぐ進んでくる。


 しかも、帝国兵たちの背後から増援が現れたようだ。



「援軍だっ! 帝国警察部隊の到着だぜっ!」

 

「敵の殲滅は任せなっ!!」


 厄介な事に、帝国警察の部隊が現れると、連中は直ぐに戦闘に参加し始めた。


 連合側も、AKMやAK47などで応戦していたが、こちらにも援軍が来たようだ。



「喰らいやがれってんだっ!!」


 建物屋上に現れた、連合軍兵士はM202ロケットランチャーを担いでおり、それを一斉発射した。


 敵に対して放たれた、四発のサーモバリック弾頭は、高層アパートに大きな横穴を開けた。



「コマンドーのシュワちゃんかよ…………ヤバすぎただろっ!」


「あんな物まで用意しているとはね…………しかも、火力が高いしっ!」


 高層アパートに開かれた大穴は、炎上しており、オレンジ色の炎が揺らめく様が伺えた。



 あんぐりと口を開きながら、ナタンは呟く。



 額から汗を滴しながら、メルヴェは、サーモバリック弾の威力に驚く。


 だが、帝国側も対抗するべく、ある兵器を持ち出した。



「ソムサック、それをこっちにっ! ありがと、さてと…………コイツを喰らいな? ってのっ!」


「はいよっと? ちゃんと当ててくれよなっ!」


「アイツら…………ミアとソムサック達だ?」


「しかも、アレは何かしら? 三連ミサイル?」


 高層アパートの隣にあるビル屋上から、聞きなれた声がした。


 その声は、ミアであり彼女はRPGー7を三連結させた武器を、ソムサックから受け取った。



 これは、AGI 3X40と呼ばれるワルシャワ条約機構軍で使用された、ロケットランチャーだ。


 彼女は貰ったと同時に、二脚を手摺に載せると、スコープを覗く。



「ぐわーーーー!?」


「あああああっ!」


 シュッシュッシュッと言う音が三度も鳴り、RPG用のサーモバリック弾が飛んでいった。



 着弾した弾頭は、M202を担いだ、連合軍兵士を爆風で吹き飛ばし、空中に枚上げた。


 また、サーモバリック弾により発生した爆炎は、ワータイガーの体を炎上させる。



 AGI 3X40の威力は凄まじく、建物屋上を炎で全て包み込んでしまった。



「あっちも、ヤバい物を用意し始めたわね……」


「それだけ、連合軍も重装備だって事さ」


 機銃掃射を避けるように、蛇行させながらバイクを走らせる、メルヴェ。


 帝国警察が用意した強力な武器を見て、彼女は余りの威力に戦慄する。



 映画コマンドー、タイムクライシス等でしか見た事がないM202を見た、ナタンは呟く。


 連合軍も、かなり強力な武器や兵器を出し始めたと思い、これから激闘が続くだろうと考えた。



「射撃開始、ジナイダ率いる第二分隊は向こうに回れ…………ん?」


 交戦中の道路を突っ走る、妙な連合側バイクを発見した、ザミョール中大尉。


 彼等は、二階建ての事務所ビル屋上から連合側に攻勢を仕掛けようとしていた。



「いや、ジナイダ…………ここの指揮は任せた」


「了解ですっ! お任せを」


 ザミョール中尉は、建物の裏手にバイクが置いてあった事を思い出した。

 そして、部隊の指揮をジナイダ軍曹に任せた自らは、階段から一気に飛び降りた。



「狼は腹を空かせている…………連中を獲物にしようか」


 妙な言葉を呟く、ザミョール中尉だが、彼はバイクに乗った、二人組を連合側の工作員だと考えた。


 恐らくは、重要機密を運んでいるか、特殊任務に従事しているに違いない。



 そうでなければ、ワザワザ戦闘を避けて逃げるように、バイクを走らせる訳がない。


 逃走する二人を、そう考察した、ザミョール中尉は獲物を発見したと思ったのだった。

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