【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

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デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第216話 後退した敵を追え

公開日時: 2024年7月12日(金) 10:54
更新日時: 2024年7月14日(日) 21:38
文字数:3,114


 正面と左側から、攻撃を受けた連合側部隊は、後退を決意する。


 無闇に抵抗するよりも、一度後方に下がってから万全の体制で、帝国側を迎え撃つ算段だ。



「コイツらは俺が押さえるっ! 先に行けっ! どわっ!?」


「魔法で、障壁を作る、今の内だっ!」


「毒ガスを喰らえっ!? ブシャーーーー!!」


 グリーン・シュヴァリエは何とか敵の進撃を押さえようとしたが。


 いきなり、ソムサックによる強烈なタックルを喰らう。



 彼は、密かに遮蔽物に身を隠しながら近づいていたのだ。



 それを見て、直ちに、マジシャンは氷結魔法で防護氷壁を作成すると同時に、風刃魔法を放つ。


 放たれた強風は、走りづらくさせる上に、防護氷壁の前に回転する台風を作り出した。



 この魔法で出きた台風に触れれば、切り刻まれてしまう。



 グールは、左側から進撃してきた部隊に対して、姿が見えぬように大量の毒ガスを口から吐いた。


 これにより、左側に位置する帝国側部隊は、敵の姿が分からない上に、迂闊に前進できなくなった。



「クソ、放れろっ!!」


「ぐおっ!」


 グリーン・シュヴァリエは、オーガーであるソムサックを押し退けると走り出す。


 そして、氷壁と台風の右側から回り込んで、奥へと行ってしまった。



「急げ、早くしないと後ろから連中が追って来るぞっ!」


「撤退だああああっ!!」


「ええいっ! 邪魔ねっ! 雷撃と灼熱をかけるわっ!」


 グリーン・シュヴァリエの後に続いて、民兵やPMC要員たちも逃げていく。



 シモーネは、連中が逃げる背中を守る台風には、雷撃を放って霧散させる。


 継いで、防護氷壁には火炎魔法を放ち、灼熱の業火で焼き払って溶かした。



「どうやら、氷が薄かったようね…………は? ん? 逃がさないわっ!」


「ぎゃあっ!? うわあ、凍ってしまうっ!!」


「うぐぅぅぅぅ? く、苦じぃ…………」


「自由にさないわっ!!」


 シモーネは、逃げ遅れた民兵に向かって、雷撃魔法を放つ。


 すると、雷撃は直撃こそしなかったが、奴を転ばせる事ができた。



 次いで、それでも諦めず逃走しようとして、奴は走り出した。


 こうして、彼女は敵兵を、奥へと続く入口左側にある壁へと、氷結魔法で拘束した。



 ミネットの方も、蔦を投げ掛けて敵兵士の首を絞めると、継いで蔦網を全身に被せた。


 これにより、敵兵士は身動きが取れなくなってしまった。



「俺たちが活躍する前に終わったな?」


「まあ、次が本番だろう」


「ヴラウリオ、ヴラウリオッ! レオが負傷したわっ! 解毒魔法をかけて上げてっ!」


「情けないが、体に力が入らないんだよ…………」


 ヴラウリオとイェスパー達は、遮蔽物から出て敵が逃げた入口へと向かっていく。


 その途上、レオとミア達が叫び声を上げている事に、二人は気づいた。



「今向かう、待っていろよ、レオ?」


「ワータイガーに噛まれたのよ」


「ああ、済まないが治療してくれ…………」


 ヴラウリオは、声が聞こえた方に走って行くと、ミアに肩を支えられた、レオの姿が見えた。



「分かった、分かった、治療するから待っていろ」


 レオの体に、ヴラウリオは淡い青光をかける。



「おっ? 毒素が抜けてきたのか?」


「ま、正しくは消滅させたんだけどな」


「二人とも、それよりさあ? こっち、こっち?」


「RPGー7を滷獲したわよ」


 体内から獣類の唾液に含まれる雑菌が消失したことで、レオは体調が良くなった。


 ヴラウリオは、それを見て誇らしげに呟く。



 一方で、ベーリットは、二人を呼びながらコングスベルグコルトの銃口を黒人兵士に向けている。


 レギナは、RPGと言ったが、二脚が付いている上に砲身が短いので、これは69式だと思われる。



「私も捕まえましたよ、コイツを…………」


「このっ! 貴様らっ! 私を放せっ!」


「随分と活きがいいな」


「ヘルメットの中身は~~黒人兵士ね、それも女性兵だわ」


 ミネットが捕らえた敵兵は、女性兵士だったらしく、蔦網を破ろうと必死で踠《もが》く。


 レオとミア達は、網の中で暴れ続ける敵兵を見て呟く。



「コイツは、RPGを? こっちの女は」


「同じく、AKのカスタムよ」


 レオは、壁に凍り付け状態で、貼り付けにされている敵兵士を眺める。


 ミアも、網を被せられて身動きが取れない敵の女性兵士を見つめる。



 黒人兵士は、灰色の戦闘服を上下に着ており、肩には赤い肩章を付けている。


 また、黄色い軽防弾ベストの上に、同色に染色された、弾帯ベストを着ている。



 小銃弾用・弾帯は四個ずつあり、左右両側には、二個ずつ手榴弾用の弾帯があった。



 頭には、黄色い、ヘッドスカーフを巻いている。



 武器は、壁に凍り浸けにされているが、透明な氷内に、二つの武器が見えた。



 一つは、カスタム化された黒色のAK47だ。



 ホロサイト・M4用の伸縮ストック・ハンドガード付きレイルシステム・フォアグリップなど。


 見ると、かなり豪華に、カスタマイズされているのが分かる。



 もう、一つはRPGー7Dだ。



 これは、通常型と違って、分割して運ぶ事が可能な改良型だ。



 もう一人の女性兵士は、フリッツ型FASTヘルメットを被る。



 また、顔は縁《ふち》が黄色で囲われた、深緑のマスクを顔に着けているため、鋭い眼光しか見えない。


 服装は、細かい模様のドイツェル軍で使用されているフレクターカモに似ている迷彩服を着ている。



 ヘルメットカバーも同じ色だ。



 武器は、カスタム化された、黒色のAKMカスタムだが。


 これは、ダットサイト・フォアグリップ・フォールディングストックなどが装着されている。



 腹には、緑に縁取られた暗いカーキ色の弾帯付き防弾ベストを身に付けている。


 そして、膝や肘には、緑色のパッドを装着していた。



「ああ~~僕も見せ場がなかったなぁ? で、どうすんだ、コイツらは? 処刑するか?」


 カルミーネは、腰からタンフォリオT95を抜き取ると、直ぐに黒人兵士の眉間に銃口を当てた。



「黒い獣とは言え、女性は撃ちたくないんでね? 君を的にさせて貰うよ」


 銃口を当てつつ、憤怒と憎悪が籠った狼の眼を向ける、カルミーネ。



「待て、待て、カルミーネ…………撃つのはよせ、せっかく捕まえたんだ」


「カルミーネ、隊長も言ってたでしょう? 最近、増員されてくる隊員が少ないから補充兵を滷獲してこいってさ?」


「コイツらは、貴重な戦力になってくれるんだから」


「そろそろ、RPGーの射手も必要になってきたし」


 いきなり背後から、レオが歩いて来ると、カルミーネが握る、タンフォリオT95を下げさせた。


 ベーリットも、帝国警察隊員として、思想信条を洗脳させて、改竄・変更させるべきだと説得する。



 今の帝国軍・帝国警察は、連合軍による反抗作戦に呼応した各地に潜む反乱分子に手を焼いている。


 連合軍の進撃と、各地で頻発する様々なレジスタンス組織による暴動とテロで、形勢不利な状況だ。



 ゆえに、人員と物資が不足気味になった、帝国側は手当たり次第に、捕虜・市民を捕まえている。



 そうして、様々な人々を人種関係なく、無闇矢鱈に捕らえては、洗脳・改造している。


 このようにして、連合側兵士や民間人を、最前線に補充人員として送っていた。



 そう言った事を考え、ミネットとシモーネ達も、殺さずに利用した方が良いと進言した。



「フッ? まあ、女性陣が皆で、そう言うなら僕は従うよっ! おい、運が良かったな?」


 何時もの飄々とした雰囲気に戻った、カルミーネは凍り漬けにされた、黒人兵士から離れた。



「そう言えば、シェラとサナダ達は? どこ行ったんだ?」


「あそこですよ、味方部隊と対峙してます」


「お前ら、喧嘩は止せよーー!」


 先程から、姿が見えない二人を探して、顔を振るう、カルミーネ。


 そんな彼に、オルツィは居場所を教え、ソムサックは今にも戦いそうな二人を止めに入った。



 見れば、サナダとシェラ達は、四人の帝国側兵士と武器を向けあっていた。

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