【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

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デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第169話 ワーウルフVSマサイ族の戦士

公開日時: 2024年7月11日(木) 17:53
更新日時: 2024年7月14日(日) 08:57
文字数:3,217

「な、あそこから撃ってきたぞっ!」


「先に奴らから片付けるぞっ!」


 増援として続々と現れる、帝国警察部隊を、ナタンとメルヴェ達は撃ち続ける。


 それに反応して、帝国警察部隊は目標を彼等に変えると、銃撃を放ってくる。



「やっぱり、撃ち返してくるよな」


「なら、こっちも撃ちまくるのみ」


 ナタンは立ちながら、FADを構え、バイクの陰に隠れる、帝国警察隊員を狙い撃つ。


 メルヴェは片膝を地面につくと、両手でFADを構えて、敵を牽制するべく連射する。



 こうして、最初は二人の警察隊員と撃ち合いになるが、徐々に敵側に援軍が現れはじめた。


 突如、サイレン音が鳴り響いたかと思うと、二台のパトカーが到着する。



 メルセデス・CLS・ベンツ、ブラバス ロケットだ。



「援護するっ! 走れっ!」


「奴らは壁に隠れているっ!」


「下にも居るぞっ!」


 パトカーを盾にしつつ、ナタンとメルヴェ達や下にある陥没穴で戦うマサイ族の戦士に注意が向く。



 警察隊員たちは、グロック17やワルサーPPKと言った拳銃を撃ってくる。


 二人は素早く身を引っ込めたが、彼は隠れることが出来ない。



 しかし、素早い身のこなしで、彼は飛びはね、銃撃を回避しまくる。



「これくらい、何てことはないっ!」


「ぐわっ? ああああっ!」


「うっ!」


 そう叫びながら、マサイ族の戦士は、左手から何発も火球を連発しまくる。


 いくつか放たれた炎は、警察隊員の顔や拳銃を握る手に当たる。



 顔に当たった者は地面に転がり、直ぐに火を消す。


 手に火がついた者も、地面を何回も叩いて、雪で消そうとする。



「よそ見をしている暇はないぞっ!」


「いや、あるっ!!」

 

 NR2ナイフで、斬りかかったザミョール中尉による横凪。


 それを、マサイ族の戦士は長槍を振り回しつつ、細長い穂先で弾く。



 しかし、奴は刃が弾かれたあと、柄の下側から一発銃弾を放った。



「くっ!! 肩に当たったくらいで、私は殺られんっ!!」


「さぁ~~てな……どこまでやれるかな?」


 マサイ族の戦士は、肩を撃たれたにも関わらず、苦悶の表情一つ浮かべない。


 それどころか、逆に憤怒の表情で、ザミョール中尉を睨む。



 対する奴も、顔色一つ変えず、首を傾げながら、青い舌でNRS2ナイフを舐める。


 ただのナイフに見えた、ザミョール中尉が握る武器だが、実はNRS2、ナイフ型消音拳銃だった。



 NR2とNRS2は、見た目が殆ど同じナイフだが、後者には弾丸の発射機能がある。



「貴様は武器に頼らなければ、成ららぬほど弱いっ! 私の場合は、このエンペレ一本あれば充分だっ!」


「うるさい奴だ、何をどう使おうが戦闘では勝てば問題ないっ!」


 真っ直ぐに投槍エンペレを構え、強い殺意が籠った視線を向ける、マサイ族の戦士。



 対する、ザミョール中尉は冷ややかな笑みを浮かべながら獣化する。


 それから、一気に刺青《タトゥー》だらけの体が獣毛に覆われ、ワーウルフ姿へと変化した。



「ヤバい、あの黒人レジスタンス? ……を助けなければっ!」


「分かっているわよっ!」


 丁度、こちらに背を向ける形で、ザミョール中尉は立っていた。


 その隙を狙って、ナタンは狙撃し、メルヴェも何発か銃を連射する。



 それに気づいた、奴は右に飛んで、回避しようと試みる。



「ふん、後ろに気を配ってないと思っているのか?」


「ぐぁっ! しまった……やられた」


「大丈夫、ナタンッ! ちっ!」


 腹から青い血を流しながらも、ザミョール中尉は、腰から出した、弾頭ナイフの刃を発射する。


 その刃は宙を真っ直ぐ飛び、ナタンの右肩に突き刺さった。



 このナイフは、通称スペツナズ・ナイフと言われる刃を飛ばす武器である。



 これを喰らった、彼は下手に抜くと、出血が酷く成るので、刃を触ろうとはしなかった。


 メルヴェは彼を気づかい、後方に少しだけ離れた。



「向こうに集中しろっ!」


「奴らから倒すんだっ!」


 グロック17、ワルサーPPK等による射撃が警察隊員から、二人を狙って浴びせられる。


 この銃撃は、奥に引っ込んだ、ナタンとメルヴェ達を倒すことは出来ない。



 しかし、こうして制圧射撃による圧力をかけておく事で、身動きが取れないようにするのが目的だ。



 二人が、ザミョール中尉を狙えないように、警察隊員らは移動しながら撃ってくる。



 そうして、路地に隠れる彼等を射線に入れようとする。



「貴様も怪我をしたようだな?」


「ふっ! 関係ないな…………」


 一方、崩落現場では、マサイ族の戦士とザミョール中尉が対峙していた。


 獣化して、狼の顔をしている彼は、脇腹に一発だけ喰らったが平然としている。



 アンデッドに強化改造された肉体は、痛みを感じず、また内蔵を撃たれても多少は問題ない。



 また、向こうも肩を負傷しているが、未だ戦意が衰える様子はない。


 彼もまた歴戦の猛者らしく、激しい闘気を身に纏う。



「こっちから行かせて貰うっ!」


「こいっ!! お前らはライオンを狩るようだが、狼は狩る事は出来んっ!!」


 マサイ族の戦士は、再び真っ直ぐ槍を構えると一気に突進する。


 それをヒョイと交わしながら、ザミョール中尉はNRS2ナイフで首を狙う。



 しかし、ナイフの刃を、彼は後ろに下がる事で避けた。


 だが、それはフェイクであり、二発目の攻撃は拳が顎に激突する。



「ぐぇ…………」


「その命、貰ったぞ」


 マサイの戦士は、よろめきながら後ろに下がりだし、大きな隙ができた。


 この好機を、ザミョール中尉が逃すはずはなく、NRS2ナイフを高々と振り上げる。



「危ないっ!」


「不味いわっ!」


 ナタンとメルヴェ達は、壁際からFADを撃とうとしながら構えた。



「しまったぁぁっ!?」


「これで終わりだっ!」


 二人による叫びも空しく、マサイの戦士は悲鳴を上げる。


 対するザミョール中尉は、狼顔で勝ち誇った笑みを浮かべる。



 しかし、彼の刃は、敵に届く事はなかった。



「…………と、見せ掛けて?」


「うおっ!?」


 ドンッと言う鈍い音とともに、マサイの戦士による投槍エンペレを使った殴打が放たれた。


 刃が付いてない柄が、思いっきり、ザミョール中尉を吹き飛ばす。



 腹に凄まじい叩き込みを喰らった彼は、そのまま後ろに下がる。



「やるな? しかし、いや、これまでか」


「逃がさんぞっ!」


 ザミョール中尉は、腹を擦りながら呟くが、敵の増援が来たことで撤退を試みる。



 マサイの戦士は、それを防ぐべく、横凪に投槍エンペレを振るう。


 が、結局それは、敵が更に飛びはねながら後退した事で空を斬る。



 また、二人の背後から何かが走って来た。



「増援だなっ! また、機会があれば戦おうっ!」


「まてっ! 逃がさんぞっ!!」


 ザミョール中尉は、ズボンから取り出した、煙玉とスモーク弾を両手に握る。



 さらに、それぞれをバラ巻きながら後ろに飛ぶ。



 煙玉は、白い煙を一気に噴出し、スモーク弾は灰煙を徐々に噴出する。


 これを、何回か繰り返しながら、奴はマサイの戦士から離れていった。



 そうこうしている内に、東風EQ2050猛士が二台も現れた。


 さらに、ナタンとメルヴェ達が居る路地とは、反対側の建物から何者かが入口から出てくる。



「不味い、敵の増援だっ! 撤退しろっ!」


「こっちは数が不利だっ! 逃げろ…………」


 帝国警察隊員らは、連合側の増援を恐れて、ザミョール中尉と同じく、スモーク弾を投げた。


 それから、連中は逃げていくが、その背中やパトカーを狙って攻撃が加えられる。



「雷撃魔法だ、貰っておきなさい」


「石でも、顔面に喰らってけっ!」


「連中を片付けるぞっ! 急げっ!!」


「撃て、奴ら全員が死ぬまで連射しまくるんだ」


 白い煙と灰煙が混ざり、姿は見えないが向かい側の建物から誰かが攻撃を行っているようだ。


 また、東風EQ2050猛士から降車した連合側兵士たちも、自動小銃などを撃っている音がする。



「どうやら、敵は撤退を始めたようだな? これで安心できる…………」


「ほんと、ようやく一安心ができるわね…………はぁ~~?」


「そこに誰か居るのか? 敵かっ!」


 ナタンとメルヴェ達は、戦闘が終了したことで気が抜けてしまった。



 だが、そんな二人の背後から女性が声をかけてきた。

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