【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

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デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第189話 闘技場を越えて

公開日時: 2024年7月11日(木) 22:37
更新日時: 2024年7月14日(日) 10:01
文字数:3,024


 六方向に道が繋がっている、特殊な交差点まで、連合軍機甲部隊は、何事もなく走行した。



 しかし、ここで、いきなりEBR90偵察戦闘車が破壊された。


 その後に続く、ERC90偵察用装甲車も砲撃を受けて、砲塔が宙を舞う。



「な、なんだっ!? 何処から撃って来たんだっ!!」


「待ち伏せよっ!! あっちこっちに居るわっ!?」


 ナタンは焦りまくり、メルヴェは辺りを囲む敵部隊に気づく。



 南西にある、モリ通りには、鼠色のポローランド製PLー01ステルス軽戦車が潜伏していた。


 北西のヴィクトワール通りには、チュコ製、Tー72CZ、M4主力戦車が待ち構えていた。


 東のアクデュック通りには、アリエテMk《マーク》2小型主力戦車が、二台も並んで隠れていた。



「前に行くしかないっ!!」


「RPGよっ! 気を付けてっ!」


 交差点から北にある、ブルグマン通りを、このまま突っ込んで行くか。


 それとも、北東に向かう、ドゥワファック通りに進むしか、この二つに一つしか道はない。



 だが、待ち構えていたのは戦車隊だけではない。



 彼方此方《あちらこちら》から、大量のRPG弾や機銃掃射が飛んでくる。



「ぐわああっ!?」


「ああああっ!!」


「ぎゃああーーーー!」


「ごばぁっ!」


 ゲッコー、RDLVはRPG弾が直撃して、大爆発を起こし、空にオレンジ色の炎を吹き上げた。



 バジャジ製、三輪タクシーは、機銃掃射の中に混じっていた機関砲にやられて、穴だらけになる。


 そして、コントロールを失った車体は、やがて横転してしまった。



「不味い、残るは俺たちと、あのトラックだけだっ!」


「分かっているわ、でも前に行くしか…………はっ!?」


 RGー33トラックだけは、真っ直ぐに、ブルグマン通りを突き進んでゆく。


 しかし、直後に発煙弾や青色の毒ガス弾が、路上にバラ撒かれた。



「前はダメだ、東に向かうっ!」


「そっちしか道は無いわっ!」


 充満する、白煙と青色の毒ガスを避けるべく、ナタンは進路を東に向けた。


 メルヴェも狙いを定めず、M60から途切れなく滅茶苦茶に乱射しまくる。



 そうして、二人の乗った、ヤマハ・グリズリーは、ドゥワファック通りに突っ込んで行った。


 直後、二人が通りすぎた路上に発煙弾や毒ガス弾が投げ込まれた。



「後少しだったな…………」


「もう少しで、お陀仏だったわね」


 ほんの僅かな時間、あと一歩だけ、進むスピードが遅かったら、ガスに巻き込まれていただろう。


 そう思い、ナタンとメルヴェ達は身震いしながら、ヤマハ・グリズリーの速度を上げた。



 一方、ドゥファック通り、マツダ販売店前。



「あん? ここで見張ってろって言われたが、本当に来んのか?」


「来るって、連絡が来ただろう? 早く路上に仕掛けろよっ!」


 スパイク・ストリップを設置する作業をしながら、レオは愚痴る。


 そんな彼を叱りながら、カルミーネは確りと仕事をこなそうとする。



 すでに、周りの歩道には、障害物が多数設置されている。



 L字鋼・H形鋼などを組み合わせて作られた、チュコの針鼠がある。


 さらに、手前には竜の歯と呼ばれる小さなコンクリート製ピラミッドが、幾つも並べられている。



 また、手前右側にあるアマゾーヌ通りに向かう横道は、鉄条網が何重にも敷設されている。


 その他、通れそうな場所にも、同様に障害物が置かれている。



 こうして、後は二人が罠を設置すれば、封鎖は完了するはずだった。



「ほらっ! ボサッとしてないで早くっ!」


「ちゃんと、やんないなら給料でないよ?」


 ミアとベーリット達は、歩道・左側にある三脚にMG3の機関部を載っけていた。



「新入りたち? 木管楽器は、そこに置いといてね」


「了解です」


「分かりました」


 弓矢を右肩に掛ける、レギナが言う木管楽器とは、9M111ファゴットだ。


 旧ソ連製の対戦車ミサイルである、コレを彼女は新米隊員に運ばせていた。



 黒いツナギに、銀色の神風特攻隊と卍が描かれた特服を着ている、無表情な男性兵士。


 中世風の鎧に身を包み、茶髪ロングヘアーを靡《なび》なびかせる冷酷な表情をした、女性兵士。



 二人は、ファゴットを雪積もる地面に設置した。



「シェラ、貴方はチュコの針鼠の裏に隠れて? サナダ、貴方は予備のミサイルを用意して? えっ?」


 レギナは、アレコレと指揮官のように、二人に次々と指示を下す。



 女性兵士は、シェラと言うらしく、命令された通り、チュコの針鼠に隠れる。


 男性兵士であるサナダは、ミサイルを運び終えると黙って、ファゴットの側に控える。



 だが、そんな彼等の目に、かなり遠くから何かが向かってくる姿が伺えた。



「帝国警察の検問だわっ!?」


「こうなったら、強行突破だっ!」


「うわああっ!!」


「なな、なあっ!?」


 M60をド派手に乱射しながら、一代のヤマハ・グリズリーが、猛スピードで疾走してくる。



 それに驚いた、レオとカルミーネ達は、スパイク・ストリップを展開する前に、左右に飛んだ。


 こうして、できた隙を狙い、ナタンとメルヴェ達は容易に突撃してしまう。



「はっ? 追わなきゃならんっ! カルミーネ、ミア、ベーリット、レギナッ! 行くぞっ!」


「シェラ、サナダ、他の連中は残っててくれっ!!」


 封鎖を突破してしまった敵を追うべく、サイドカー、AWOー700にレオは乗った。


 カルミーネも急いで、ドゥカティ・スーパースポーツ950Sに跨がると急発進させる。



「止まれっ! と言って、止まる連中じゃないわね…………」


「急いで、奴らを追わなきゃ成らないわっ!!」


「二人とも、ファゴットとミサイルは任せたからねっ!」


 AWOー700の側車に飛び乗った、ミアはMG3車載機関銃を握った。



 ベーリットは壁面に立て掛けていた、ノルウィー製、電動四輪バイクに走る。


 ガラス窓は、壁際を向いており、彼女がキーを操作すると、垂直に立っていた車体だけを下ろした。



 そして、彼女が座席に座ると、ポッドバイクと言われるコレは、ガラス窓を車体カバーごと下げた。



 レギナは、青と銀色に塗装された、BMW、R1250RTーPに向かった。



 検問を突破した、二人はドファック通りを進み、交差点をすぎた。



「メルヴェ、追っては来てるか?」


「来てるわっ! あぁ…………しかも、最悪な連中が来てるわよ…………」


 ナタンは前だけを見て、必死でヤマハ・グリズリーを走らせまくる。



 背後を警戒する、メルヴェはM60の引き金へ静かに指をかけた。


 次いで、強烈な反動を起こしながら、ベルトリンク式の機銃弾を撃ち放った。



「うわっ! 撃って来やがったぜっ! ヤバい、こっちも反撃しないとっ!」


「分かってる、今コレを撃つから黙っててっ!」


 ナタンとメルヴェ達を追跡する、帝国警察部隊は、猛烈な射撃に晒された。



 レオは、AWOー700の走る速度を少しだけ落とすと、ワルサー5PLを何回か発砲する。


 ミアも、応戦しようとMG3を撃ちまくり、機銃弾を飛ばし続けた。



 しかし、前を走る牽引トレーラーの装甲板を貫くことは出来なかった。


 十何発か当たった機銃弾は、カンカンと装甲に弾《はじ》かれながら音を立てる。



「メルヴェ、無事かっ? 連中は何人だっ!」


「五人だわ、レオ達よ? しかも、レギナの姿が見えるわっ!」


 背後からくる敵の人数を、ナタンは聞いたが、メルヴェは驚くべき事実を伝えた。


 それは、レギナが敵の戦列に加わっており、自分たちを追跡してくると。



 すなわち、彼女は帝国に捕まって、洗脳されていたと言う事だ。



「はあっ!? マジか…………」


「マジもんのマジ、本当のマジ話しよ」


 そう話しながら、ナタンとメルヴェ達は、次の交差点にまで迫っていた。

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