【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第165話 機動部隊と騎兵隊2

公開日時: 2024年7月11日(木) 17:47
更新日時: 2024年7月14日(日) 08:55
文字数:4,690


 黒いスカルドラゴンが空中から上昇していき、段々と遠ざかる。


 ナタンとメルヴェ達は、再び骨竜が降下してきて、毒ガスを吐かない内に逃げようとする。



「ま、まさか? あんな物まで、帝国は持ち出してくるとは…………」


「急ぎましょう、アレの毒を喰らえば、一撃死になっちゃうわっ!」


 ナタンとメルヴェ達は、バイクのハンドルを強く握り締めると、一気に加速させた。


 こうして、二人は敵部隊の執拗な追撃を、何とか逃れたかと思った。



「また、戦闘かよっ! メルヴェッ! 右に曲がって、逃げるぞっ!」


「分かったわっ! このまま、そこまでバイクを走らせましょうっ!」


 だが、しばらくバイクを走らせていた、二人の正面では、激しい炎と飛び散る粉塵が見えた。


 そこでは、十字路を中心に、レジスタンス部隊と警察部隊が、交戦している。



 ナタンとメルヴェ達は、戦火を避けるべく、ここからも離れようと画策した。


 しかし、正面左側から急に、黒いルクス装甲車が登場した。



「うわっ! 避けられないっ!」


「避けるしかないわっ!」


 ナタンとメルヴェ達は、右側の隙間を通って、バイクを突っ込ませる。


 それと同時、通り過ぎた、ルクス装甲車が派手な爆発音を響かせる。



 しかし、前方にも道を塞ぐようにして、青いVAB装甲車の残骸が燃え盛りながら並んでいる。




「うわあ、これじゃ前に進めないっ!」


「何処か? 別な道は…………」


「こっちだ、こっちっ!」


 ナタンとメルヴェ達を、緑色の覆面を被った、レジスタンス員は、右側から手招きをしながら呼ぶ。


 また、RPGー7を構えた、アラビ人レジスタンス員が、弾頭を発射する。



 そこは、駐車場となっている場所で、レジスタンス側の部隊が立て籠っていた。



「済まない…………助かった」


「助けてくれて、有りがとうっ! 危うく、死ぬところだったわ」


 ナタンとメルヴェ達は、駐車場内に入ると、反対側が瓦礫で塞がれている様を見た。


 なので、二人はバイクを止めて、覆面レジスタンス員に礼を言った。



「今、瓦礫を爆薬で吹き飛ばすっ! それまでは、敵を牽制する連中に加わってくれっ!」


「分かったよ、敵を食い止めれば良いんだなっ!!」


「その敵は…………正面からね、やってやるわっ!」


 駐車場の入口から両脇には、✕型に鉄骨が組み合わされた、大きな窓がある。


 そこから、何人かのレジスタンス員たちが、警察部隊が来ないように、銃を撃ちまくっている。



「敵がRPGを射ってきたぞっ!」


「伏せろっ!?」


「ぐああああっ!」


「ぎゃああああーー!」


 レジスタンス部隊は、AKやRPGー7などで、警察部隊を食い止めていた。


 だが、そこへ敵が放った、RPGーの対戦車用タンデム弾頭が飛んできた。



 そして、入口付近のレジスタンス員達を、コンクリート片とともに、爆風で包み込んでしまった。


 さらに、警察隊員たちが、向かい側の建物から制圧射撃を浴びせてくる。



「敵を撃ち返せっ!!」


「連中を止めるんだっ!」


「ナタン、ヤバいわっ! 敵が突撃してきたわっ!」


「メルヴェ、援護射撃し続けるしかないっ!」


 黒人レジスタンス員が、AKMを単発連射で、向かい側の建物を狙う。


 白人レジスタンス員も、RPKを連射させ続けて、突撃してくる敵を寄せ付けないようにする。



 ナタンとメルヴェ達も、それぞれFADで、迫る警察部隊を撃ちまくる。


 しかし、一人だけ、向こうにRPGー7を恐れずに、突っ走ってくる兵士が見えた。



「オーガーだっ!」


「RPGーを射つっ!」


「ぐわあっ!」


 オーガーを狙って、レジスタンス部隊はRPGー7を放った。


 それにより、簡単に敵を撃破することが出来たが、何故だか逆に人数が増えた。



「幻影だっ! ソーサラーが居るっ!」


「オーガーは偽物だっ! 他の兵士に気をつけろあと!」


 幻影により増えた、重装兵オーガーを無視して、レジスタンス部隊は、敵の包囲を警戒する。


 だが、周囲の建物から銃撃してくる警察隊員たちに、レジスタンス員たちは気を取られてしまう。



 白人レジスタンス員と南アシュア系レジスタンス員たちは、AK47を乱射しまくる。



「グレープ、ガプロフッ! 今だ、突入しろっ!」


「よっしゃ、殲滅は任せなっ!!」


「やってやるぜ、噛み砕いてやる」


 しかし、そこに本物のカパーゼ曹長が、PKを抱えながら連射しつつ、真っ直ぐ向かってくる。


 その射撃は、滅茶苦茶だが、後続部隊を敵から攻撃させないためには、かなり効果的だ。



 また、彼が名前を呼んだ、兵士達も集まってきた。



 灰色の人狼である少年兵である、グレープ一等兵も、鋭い爪で、顔を覆いながら突撃していく。


 灰黒い人狼のガプロフ一等兵は、KSー23散弾銃から、弾丸を放ちながら走ってくる。



「うわああああああっ!」


「ぐああああーー!」


「ぐ、下がれっ! 援護するっ!」


「奥に逃げるのよっ! 援護するわっ!」


 黒人レジスタンス員は、肩や腹を機銃弾に撃ち抜かれて、後方に倒れながら絶命する。


 ラテン系レジスタンス員も、散弾銃を真っ向から浴びて、真後ろに転んでしまった。



 この事態に、ナタンとメルヴェ達は、二人ともFADを乱射しながら下がり始める。


 それに合わせて、他のレジスタンス達も、AK47を撃ちながら、徐々に後退していく。



「おいっ! アンタ、上や下には行けないのか?」


「ダメだ、階段は敵のRPGーで破壊されているし、下に行くには外のマンホールに逃げ込むしかないっ!」


「チッ! なら、まだまだ、戦うしかないわね…………」


 駐車場内を逃げる、ナタンは同じく、奥へと走る白人レジスタンス員に声をかける。


 その話を聞いて、メルヴェは舌打ちしながらも、後ろに振り返り、FADを撃つ。



「ようやく、ダイナマイトの準備ができたっ!」


「瓦礫を爆破して、撤退できるぞ」


 レジスタンス側の工兵たちも、爆破準備できたらしく、後退する味方を呼びながら援護射撃をする。


 彼等は、瓦礫から離れながら走ったあと、床に伏せて、瓦礫を破壊した。



 こうして、奥から灰煙が駐車場内を覆う中、ワーウルフ達は、白兵戦を仕掛けてきた。



「この程度の銃撃、喰らったところでっ!!」


「ぐああああっ!?」


「懐に入ってしまえばっ!!」


「ぶふぁっ!?」


「さて…………また、ちょっとした悪戯をしますか?」


「私達も、悪戯を…………やりますかっ!」



 グレープ一等兵は、鋭い鈎爪で、RPDを腰だめで乱射していた、白人レジスタンス員を斬り倒す。


 ガプロフ一等兵も、KSー23散弾銃の銃床で、AKMを持つ、黒人レジスタンス員を殴った。



 そうこうしている内に、さらなる警察隊員たちが、駐車場内に侵入してきた。



 サラサラ金髪ロングヘアー、碧色の瞳、水色に光る唇をニヤケさせて、ソーサラーは嗤う。


 明るい金髪ロングヘアを揺らす、ミミックマスターも口角を吊り上げながら走り出す。



「私の分身を見抜けるかな~~?」


「マジックショーを見せて上げるわ」


 ニヤゾヴァ軍曹は、右手に握るPP2000で、上部にダットサイトを覗きながら呟く。


 彼女は、銃を乱発しながら、自身の分身を大量に出現させていく。



 テレザ二等兵も、トランプカードや金ピカのコインを投げ飛ばす。



「ぎゃあっ! ぐえっ?」


「ぐわあっ! ぐげっ!」


 PP2000から放たれた、アラビ人レジスタンス員の頭に、いくつも風穴を開けていく。


 トランプカードは、斜め右に回転しながら飛んでいき、白人レジスタンス員の首を切り裂く。


 金色に光るコインも、バウンドしながら、天井と床に当たって飛んでいく。


 そして、最終的には、アラビ人レジスタンスの真上から頭に、めり込むように突き刺さった。



「うわっ! ラージ、カリーマ、先に行けっ!」


 ドラムマガジン付き、五六式歩槍を乱射しまくる、ラテン系レジスタンス員は叫ぶ。


 こうして、血塗れになった、彼は殿を行うらしく、地面に倒れながらも銃を撃ち続ける。



「…………分かったっ! だが、俺達も味方が逃げるまで援護するっ!」


「行くしかないかっ! しかし、行くのは少し速いなっ!」


 ブルガリヤ製、ARーM4SF小銃を、ラージーは単発連射していた。


 彼は、アラビ語で文字が書かれた、緑色の鉢巻きを、トラッカーハットに巻いている。


 緑色のマスクで顔を隠し、アルメア製ウッドランド迷彩を着て、弾帯付きベストを装着している。



 カリーマも、PKを腰だめで撃ちまくって、敵を迎え撃っていた。


 彼も、アラビ語で文字が書かれた、緑色の鉢巻きを、プーニハットに巻いている。


 ODグリーンの戦闘服に、背中には、大きなバックパックを背負っている。



「メルヴェ、バイクに乗るんだっ! もう、僕らも逃げよう」


「そうしましょうっ! 私達は、やるだけ、やったわっ!」


 ナタンは、トライアンフTR6トロフィーに素早く乗り込む。


 メルヴェも、ハーレーダビットソン・39年型に、サッと飛び乗る。



「援護するっ! 早く、穴から抜け出ろっ! ぐっ!」


「さっさと、行ってくれえっ!!」


「有り難う、遠慮なく行かせて貰うっ!」


「貴方達も、早く逃げるのよっ!」


 ラージーとカリーマ達は、ナタンとメルヴェ達の跨がるバイクが、穴から飛び出るまで援護する。



「敵発見っ! 撃てっ!」


「了解しましたっ!」


「逃がさない…………」


「逃がしはしないぞっ!」


 サスーリカ中尉は、道路に出た、二人を発見するなり、右側からトカレフを発砲しまくる。


 野戦帽を被った、グールであるサムイル準尉も、UMP45を乱射する。



 ユライ二等兵も、ブレン自動小銃を逃げる彼等に向かって連射しまくる。


 さらに、その右から、AKー104を構えて、ムサバイエフ一等兵が、単発連射する。



「撃ってきたかっ!?」


「気にしている暇は無いわよっ!」


 横から銃撃を受けようと、ナタンとメルヴェ達は、真っ直ぐバイクを走らせるのだった。



「奴等、行ったか? なら、俺達は…………」


「地下から逃げるぞっ!」


「んっ! あそこから、テロリストが逃げるわっ!」


 ラージーとカリーマ達は、近くにあった、マンホールの蓋を開いて、地下へと逃げ込む。


 それを見て、サスーリカ中尉は、次に彼等を標的に、トカレフを撃ちまくる。



「くっ! 地下に逃げたのねっ! 追うわよっ!」


 サスーリカ中尉は、何発かトカレフ弾を、マンホール内に撃ち込んだあと、手榴弾を投げ込んだ。


 それから、彼女が真っ先に下水道へと、一気に突入していった。



「行こう? もう少し走らせたら休める場所を見つけよう」


「そうしましょう…………もう戦いは御免だわ」


 あれから、ナタンとメルヴェ達は、誰も居なくなった道路をバイクで進んだ。


 街中を走る二人の目には、焼け焦げたビルや破壊された店舗、半壊したアパートなどが移る。



「ここも、戦場と化したのか」


「どうやら、そのようね」


 バイクを走らせ続ける、二人が眺める街の光景は荒廃していた。


 所々に、未だ火が燃えており、黒煙を舞い上げているさまをナタンは目にした。



 緑色や黒色の軍服を身につけた、無惨な死骸が、アチコチに倒れている。


 それを哀れに思いながら、メルヴェは険しい表情をする。



「この様子…………また、近いかな」


「たぶんね」


 道端に転がる死体と、舞い上がる炎と煙に、ナタンとメルヴェ達は戦場に近づいていると確信する。



「戻ろうか、このまま進んでも厄介だし」


「そうした方が良さそうだわ…………っと?」


 戦闘音こそ聞こえないが、この先では連合側と帝国側が戦っている。


 そう考えて、ナタンは今来た道を戻るべく、バイクのブレーキを踏んだ。


 彼の意見に同意して、メルヴェもバイクを駐車させたが、背後を振り向いた瞬間、それが見えた。



「戦車が居るわよ…………」


「えっ? あ、本当だ」


 メルヴェは遠くに、紺色と鼠色のデジタル迷彩が塗装された戦車を発見した。


 鋼鉄の巨体を視認した、ナタンも驚いて、小さな声で呟いてしまった。

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