「うぎぃあああああ~~~~!!!!」
「あ、あ、あ、あ…………あ…………ぁぁ?」
「ひひゃはァーーーーアーーーー!?」
脳内を強烈な電流と共に、見たくもない悪夢を見せ続けられる。
大きな声で奇声を叫び続ける、ヴラウリオ・イェスパー・シモーネ達。
帝国警察部隊に、捕らえられた捕虜たちは、こうやって拷問を受けるのだ。
『…………ここはっ!!!! 止めろっ! 来るなっ! お前らは何だっ!? スライム、オークッ!? 痛い痛い痛いっ!!!!!! ぐあぁぁぁァーーーー!? …………』
ヴラウリオは、大勢の怪物達に噛みつかれたり、頭を殴られまくる。
フェスターシュニー博士が、機械を止めるまでは決して終了することが無い悪夢を見せ続けられた。
『…………誰? お母さんなのっ!! …………』
『…………違うよアタシはあんた見たいな糞ガキのママじゃあ無いんだよっ!! …………』
イェスパーは、幼少時に継母から、日常的に虐待を受けていた。
その中で、トラウマに成っている記憶が大幅に改変された。
事実よりも、凶暴性を増した継母が両手に持った、鉈庖丁や釘バットで、頭を叩かれ続けていた。
『…………止めてぇぇぇ~~~~!! …………』
こうして、現実世界では、イェスパーも悪夢を見せ続けられて苦しむ。
また、拘束された体を、ブルブルと震わせ、大粒の涙を流していた。
『…………私は何処に居るの? ここは暗い? 暗闇がずっと続いているわ? あっ!? あれは? 溶岩が私を溶かそうとっ!! いやぁ~~!? いやぁ熱いィぃーー!! …………』
ずっと走っても、何処までも追い掛けてくる、溶岩に襲われる、シモーネ。
熱々の溶岩流に、体を徐々に溶かされる悪夢に魘《うな》される。
彼女は、溶岩による余りの熱さと、身を溶かされる痛みに耐えかね、悲鳴を上げる。
さらに、絶叫しながら激しく暴れまわる。
その三人を、じいーーと観察する、マッドサイエンティストたる、フェスターシュニー博士。
彼女は、コンソールパネルを操作して、次の洗脳作業に移る。
「だいぶ、帝国に逆らうのに懲りたようねぇ~~? お次は気持ち良い夢を魅せて上げるわよ…………ふふふ」
フェスターシュニー博士は、洗脳されている、三人を眺める。
彼等に取り付けた、ヘッドギア内部の耳元から脳内に、麻薬のように響きわたる甘い誘惑声を流す。
マイクに向かって囁かれた快感音声は、三人に次なる洗脳処置を実行する。
「さぁ~~帝国の一兵士として殺しなさい、奪いなさい、邪魔者は殺せ…………肌の黒い者は敵だっ! 殺さなければ我々が殺られる、犯されるっ!! 生き残りたければ戦いなさいっ! 身を焦がす程の快楽が欲しければ兎に角全てを殺せぇっ!!!!」
マイクに向かって、フェスターシュニー博士は、悪戯っ子のような笑みを浮かべる。
それから、彼女は三人の脳内へと、冷酷な殺戮命令を下す。
「さて? この三人はどんな楽しい夢を見ているのかしらね~~?」
楽しそうに、大きなモニターの画面に目を向ける、フェスターシュニー博士。
そして、三人は博士の設定した悪夢を見せ続けらられていた。
さらに、疲弊し壊れ切った、思考と精神に、麻薬のようにリラックス出来る、データーが送られる。
気持ちが良い、大量虐殺任務の夢を強制的に見せつけられる。
『…………は? モンスター達はっ!? …………人間? いやっ! コイツらは人間じゃあ無いっ! …………コイツらは獣だっ! 人間なら他の人間を襲わないっ!? イェスパーにシモーネもいる…………』
『…………お母さんじゃあ無いっ!! 黒い肌のお化けめっ!! 本物のお母さんを変えせぇーーーー!! ヴラウリオ、シモーネッ! お母さんを助ける為に力を貸してくれっ! …………』
『…………分かったわっ! 二人とも、協力してこの黒い怪物達を殺しましょうっ! 私達の痛みと悪夢の元凶はコイツらよっ! …………』
彼等三人が見る、悪夢の中には、黒人と黄色人などが、有色人種が怪物みたいに暴れまわっている。
そして、三人の姿は武器を構えた、帝国警察隊員の姿となっている。
襲い掛かってきた、大勢の有色人種に、彼等は銃を乱射する。
『…………死ねっ! …………』
『…………クタバレ…………』
『…………殺せっ! …………』
彼等、三人の意識にある根底には、フェスターシュニー博士による殺戮命令が下る。
それが、快感脳波に乗って、甘い囁きの如く、深く染み渡る。
こう言った措置により、自分達を襲う有色人種を怪物として認識しつつ、銃を発砲しまくる。
ヴラウリオは、黒い野戦帽を被り、黒い制服に、身を包む。
また、顔半分を腐った皮膚に覆われた、グールの姿で、セトメ・モデロLライフルを撃ちまくる。
イェスパーは、黒いフリッツ・ヘルメットを被り、制服を着ている。
そして、顔半分が、青黒い血と肉のこびりついた骸骨顔と成っている。
彼もまた、トーテン・シューデル・ゾルダードの姿で、敵にH&K416小銃を連射する。
シモーネは、頭に青色のウシャンカ帽を被り、黒いコートに身を包む。
ウィザードの姿となった彼女も、H&KG38ライフルを撃ち続ける。
三人は、それぞれ銃を構えて、有色人種たちを、次々と撃ち殺していく。
彼等に、頭部や背中を撃たれて、血を噴射しながら倒れていく、黒人や黄色人たち。
そんな有色人種を見ていた、三人だったが。
優越感と陶酔感を、麻薬による快感のように感じる思考と感情に改変される。
また、その精神は、すでに帝国警察隊員に成り果てていた。
「うふふ…………三人とも良い夢を見て居るのね? …………さっ! 仕上げよっ!!」
口元を歪ませながら、大きなモニター画面を見つめていた、フェスターシュニー博士。
彼女は、今度は拘束台の上で寝そべる三人に対して、ニヤけた顔を向ける。
すると、再びコンソールパネルを動かして、仕上げの作業を行う。
「うっ!! はははっ!? …………?」
「あははっあはははははっ!!!!」
「うふっ? あふぅん♡ …………」
三人の脳内へと、大量に麻薬快感情報が注入される。
大勢で武装した黒人ゲリラ・凶悪なアラビ人テロリスト・東南アシュアの共産党軍兵士など。
大量に、敵である有色人種兵士の姿が映る。
三人は、まるで、リアルなVR・FPSゲームを楽しむかの如く、苛烈な戦いを楽しむ。
死体が転がる、凄惨な戦場を笑いながら、愉快なサーカスや遊園地にきた、子供みたいに走り回る。
こうして、三人は飽きる事無く、殺戮を行う。
「ふぅ~~ん♡ 楽しそうねぇ~~♡」
椅子に座り、コンソールパネルの端に肘を着き、頬に右手を当てる、フェスターシュニー博士。
スヤスヤと安らかな寝顔を見せる我が子を寝かしつける母親のように、彼女は三人を見守り続けた。
こうして、凄惨なVR・殺戮ゲームの夢が、ようやく終わった。
それにより、三人の寝顔は、悪夢から介抱されて非常に安堵した寝顔を見せる。
「お母さん…………ようやく見つけたよ?」
そんな中、イェスパーのヘッドギアのバイザーからは涙が流れ落ちた。
また、口からは微かに聞こえるほど、小さな声で母親と言う言葉が出てきた。
「!?」
フェスターシュニー博士は、それに興味を持ち、コンソールパネルを操作する。
そうして、彼の記憶から母親を探りだして、すぐに見つける。
どうやら、彼は既に他界した、母親を悪夢の中で見つけたと言うことであろう。
それに、フェスターシュニー博士は興味を持ち、夢の中で、母親役を演じ始めた。
「ぼうや、よくやっわたね貴方は私の自慢の息子よ」
「お母さん、うん僕、頑張ったよ!」
現実にある、イェスパーの肉体まで、フェスターシュニー博士は近づいてきた。
彼女は、彼の耳元で囁くように彼を褒めて、大きなモニター画面に視線を移す。
それから、夢の中で、すでに他界している母親に褒められる、イェスパーを眺めた。
こうして、彼女は口許を緩ませて、彼を楽しそうに見ていた。
フェスターシュニー博士もまた、帝国に精神を改変される前は、誰かの妻だったかも知れない。
それか、幼子の母親であった可能性もあり、子守りをしていた名残からか。
はたまた、たんに洗脳される若い捕虜が珍しい言葉を呟き、それに興味を示しただけか。
悪戯をして、さらに悪夢を見せて、苦しめ様としたのかは本人にさえ、分からなかった。
そこに、101号室のインターホンが鳴り、自動ドアが開かれて、女性隊員が二名入室してきた。
「突然済みません、失礼致します」
「予定時間を過ぎても新兵が来ないものですから?」
101号室内に、ミアとミネット達が、とつぜん入室して来た。
彼女たちの質問に、フェスターシュニー博士は答える。
「予想より、この捕虜達の精神が強くてね改変作業も骨が折れるのよ、あ~~それでも待ちきれないと言うのなら、そこで捕虜に話かけて見たら何か反応が有るかもね?」
博士が言う通り、捕虜に対する殆んどの改変作業は終了した。
これから、何度も洗い物を洗濯しては、汚れを流すように、脳内に残る僅かな記憶も削除する。
この帝国兵へと、完全に肉体を改造する作業が残っていた。
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