【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第264話 奇襲戦と反撃

公開日時: 2024年7月12日(金) 13:06
更新日時: 2024年7月15日(月) 08:25
文字数:3,261


 戦場では、レーダーに探知されない低空を、帝国軍と連合軍のドローンが飛翔している。


 そして、双方の部隊や兵器を見つけると、大型爆弾や手榴弾を投下しては、破壊を繰り返している。


 

「ぐぅぅ? 爆撃か?」


「ナタン? 私達は、中世部隊と一緒に居ろってさ」


 弾薬箱の山に座るナタンに、メルヴェが近づいてきた。



「スパイ容疑は晴れてないし、信用しろってのは無理だもんな」


「オマケに、みんな気が立っているわ…………」


 ナタンは、立ち上がりながら背伸びをして、欠伸《あくび》をする。


 メルヴェは、張り詰めた重たい空気が支配する中、顔を暗くさせた。



「まあ、な? 帝国軍の進撃が再び始まったら、スパイどころじゃないからな」


「味方も、だいぶ来ているわね」


 何気ない会話をしながら、ナタンとメルヴェ達は、歩きながら室内を見渡す。


 砲撃で開かれた穴は、ドラム缶や土嚢が置かれた上に、防弾板で完全に塞がれている。



 また、ドローン軽戦車が出ていき易いように、防弾板を重ねただけの防壁もあった。



「カトリーヌ、設置完了したよ」


「ナタリー、こっちも砲弾を配置したわ」


 赤ベレーと黒髪ショートのウッドランド迷彩服を着た、黒人女性が何かを置いたらしい。



 良く見ると、彼女は黄緑に染色された軽量プレートに、深緑色の細菌保存装置を着けている


 顔も下半分を覆っている事から、デバッグ・ソルジャーだと分かる。



 背中には、SKSカービンを背負い、腰の茶色い皮ホルスターには、MAC50拳銃を容れている。



 もう一人は、黄緑色の弾帯付き防弾ベストに、ウッドランド迷彩服を着ている。



 しかし、チリチリのロングヘアをポニーテールにしているが、猫耳がピクピクと動いていた。


 正面から背後で、尻尾が動く様子が見えるが、彼女は、MASー38短機関銃を両手で握っていた。



 どうやら、先に話した方がナタリーで、後者はカトリーヌと言うらしい。



 二人は、来るべき帝国軍の侵攻に備えて、ミラン対戦車ミサイルを配置したようだ。



「武器が揃ってきたようだね?」


「それだけ、敵の攻撃が近いのよ」


 ナタンは周囲に集められた、迫撃砲や対空機銃を目にすると、不意に呟いた。


 メルヴェも、次々と色んな兵士たちが運んでくる武器弾薬を見て、決戦が始まると気を引き締める。



 アラビ人兵士が何本も、RPGー7を床に強いたブルーシートに並べる。


  M45クアッドマウント対空機関砲を搭載した、白い三菱デリカトラック。


 無数のドローンに、手榴弾を取り付けている連合軍工兵。


 お手製のパイプを束ねた、手回し式ガトリングを民兵は三脚に載せる。



「凄い武器だ、と言うか連中は何処に行った?」


「あそこね? ホラ、あっち」


 ナタンとメルヴェ達は、建物の南西に向かって歩いていく。


 その道中にも、アラビ人部隊を中心とした様々な兵士たちと、すれ違う。



 中世風のコスプレに身を包んだ、四人組を探していた、二人は彼等を発見した。


 どうやら、建物の端で樽に座って、飲み会を催《もよお》しているようだ。



「あんた達の援護しろってさ?」


「こっちに増援しに行けとよ」


「おおっ! そうか、なら歓迎するぜっ!」


 メルヴェが話しかけると、ナタンもAMDカービンの銃身を下げながら呟く。


 すると、スタッロは空になったビール瓶を掲げながら快く迎えてくれた。



「飲まなきゃ、やっとられんら~~?」


「二人とも、飲み過ぎだ」


 ヤブローも、へべれけに酔っぱらって、顔を真っ赤にしながら、右手の大ジョッキを上げた。


 ダンターは、酔い過ぎた二人を嗜《たしな》めながら、自身は水筒に紙ストローを差し込みながら水を吸う。



「まあ、あんたら? 武器も砲弾とか、そう言ったのは全部、運び終わっているから適当に座りなよ」


「分かったわ、それより貴女は何処で何をしていたの?」


「そう言や、姿が見えなかったね」


 グランマッシュに誘われた、ナタンとメルヴェ達は、二人して一個の木箱に腰掛けた。



「私は、大聖堂方面に行ってたのよ、そこでゾンビを前に、このスリングショットと格闘で対応してたの」


「なるほど、それで姿が見えなかったのね?」


「そう言う訳だったのか」


 グランマッシュの言葉を聞いて、ナタンとメルヴェ達は、答えに納得した。



「てか、アンタ等の名前は?」


「俺は、ナタンッ! ああ、君達の名前は知っているから言わなくていいよ、こっちは…………」


「メルヴェよ、宜しく」


 グランマッシュを含め、四人とも一緒に戦っていた、二人の名前を知らない。


 だから、ナタンとメルヴェ達は、彼等に自分らの名前を教えた。



「そうかい? アンタらは何処の所属?」


「我々は、傭兵だったが、今は民兵所属だっ!」


「うぅ? 前はレジスタンスだったが、PMCになってから更に、無所属の民兵かな」


「なら、うちらと同じフリーランスねっ!」


 グランマッシュは、ナタンとメルヴェ達のことを、質問してきた。


 結果、同じような存在だと思った、ヤブローは笑顔を向ける。



 そんな中、アシュア系PMC要因たちが、ショッピングカートに武器弾薬を載せて運んで来る。



「錫堃《シークン》、爆弾は設置した? いざと言う時の退路を確保しないと」


 大柄で体格が良い、格闘家アスリート見たいな美女が歩く。


 とは言え、前髪パッツンにした黒髪ストレートに、白い肌、切れ長の茶色い瞳。



 これらを持つ、唇の大きな彼女は、凄く綺麗だ。



 服装は、黄緑の野戦服と、大きな弾帯が四個付いた防弾ベストなどを着ている。


 ショッピングカートには、弾薬箱と砲弾を幾つも積んでいる。


 また、Mk14、EBRマークスマンライフル&75式班用機槍も金網に容れていた。



「あーー? 薫愛《アリシア》、それは既に終わっている、もう次の場所に行くだけだ」


 男性の方は、ウッドランド迷彩服に、緑色に染色された中量級ベストに、様々な弾帯を着けている


 そして、首からスリングベルトで、74式汎用機槍を下げている。



 短髪で痩身の彼は、背は低いが、日に焼けた肌から察するに、特殊部隊員であると伺えた。



「なんだい? アイツら…………」


「弾薬運搬手だろうか?」


「別に気にするこたあ~~ねえぜっての」


「ほぉ~~! ほぉ~~? それより、飲むほうりゃだいじら」


「飲みすぎだよ…………」


「酔っぱらい過ぎて、戦えるのかしら?」


 グランマッシュとダンター達は、二人組を怪しむが、スタッロはビール飲むのに夢中だ。


 呂律が回らないほど、酔っぱらっている、ヤブローに、ナタンとメルヴェ達は呆れてしまう。



「迫撃砲を、屋上近くに隠して置こう?」


「そうだな、敵が攻めてきたら撃ってやろうか」


 白人PMC要員と黒人レジスタンス員は、武器の用意に関して話し合っていた。


 二人は軽迫撃砲を運ぼうとして、持ち上げた途端、いきなり爆発が起こった。



「な、なんだっ!?」


「敵の襲撃かっ! 全員、武器を取れっ!」


「ぐわっ!?」


「うわあーーーー!!」


 連続して、武器弾薬が爆破すると、白人民兵は、大慌てで身を伏せる。


 奇襲部隊が侵攻を開始したと思った、アラビ人は銃を構える。



 敵に反撃するべく、RPGー7を取りに行った黒人PMC要員は、突然爆風で吹き飛ぶ。


 それに巻き込まれる形で、東南アジア系レジスタンス員も業火に包まれる。



「誘爆してるわあっ!?」


「さっきの二人だっ! アイツら、潜入工作部隊だったんだっ!」


「そんな事より、くるぞっ!」


「全く、瓶が全部ダメになってしまっらら~~? ら? ら?」


 グランマッシュは、大きな木製スリングショットを手に取ると、壁から少し離れた位置に移動する。


 タバティエール銃を手にした、ダンターは壁に出来た小穴から敵を狙う。



 スタッロも、防弾板を少しだけ退かして、ビッグ・クロスボウを構えた。


 しかし、ヤブローだけは、コップ付きのスナイダー銃を持ちながら体を、ふらつかせるだけだった。



「ヤバイわ、戦車隊が来ているわっ! ナタン、どうするっ!」


「RPGー兵を支援しようっ! それしか、僕たちにできる事はないっ!」


 メルヴェは、イエローボーイを片手に急いで壁際近くに向かう。


 ナタンも、走り出すと同時にAMDカービンを持ちながら、スタッロの側まで行った。



 こうして、帝国軍による三度目の奇襲攻撃が始まった。

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