【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第229話 増員される警察隊員と帝国軍部隊

公開日時: 2024年7月12日(金) 11:10
更新日時: 2024年7月14日(日) 21:42
文字数:3,125


 フロスト中尉は、部下であるレオとカルミーネ達を引き連れて、道路に出た。



「フロスト中尉? 遅いじゃないか?」


「お待ちしてました、フロスト中尉」


 彼等が出た先では、ウルシカ中尉とヤリスレイ少佐たちが待っていた。



「済みません、遅れてしまって…………」


「それは別に良い? どうせ、人員が減って、編成に手間どったんだろう? うちも、あそこに居る残り二人しか兵力が残っておらん」


「半自動小銃《パプホカ》の調子が、オカシイな?」


「ちゃんと、分解清掃をしてないからよ?」


 フロスト中尉が遅刻を謝罪すると、ウルシカ中尉は、二人の兵士に目線を写す。


 黒いFASTヘルメットを被った、男性隊員が、ライフル銃に、クリーニングロッドを突っ込む。


 彼は、顔全体をバラクラバで覆っているので、目元だけしか見えず、青黒い瞳しか分からない。



 清掃されているのは、ザスタバM59/66PAP半自動小銃だ。


 装備として、サーマルスコープ&二脚を装着している。



 また、背中には、リフレックスサイトを取り付けた、ベネリ・ノヴァ狩猟型を背負っていた。



 HS2000拳銃を、プラ製ホルスターに容れている。


 そして、やや大きく膨らんだ、弾帯が付いてない黒色の防弾ベストを身に付けている。



 女性兵士の方は、黒い野戦帽を被り、明るい金髪を、お団子ポニーテールに纏めている。



 顔は、男性隊員と同じく、黒いバラクラバを身に付けている。


 だが、目元を見るに、青黒い瞳に、ややピンクがかった白肌から全体的に伶俐《れいり》な印象を受ける。



 そして、野戦帽とポニーテールが、ベーリットを思わせる。


 彼女は、主な武器として、ザスタバM70AB2型を背負っている。



 黒い防弾ベストには、AK用の弾帯を六個も装着していた。


 プラ製レッグホルスターには、ザスタバCZ99拳銃が見えていた。



「遅刻は大丈夫ですよ、我々、帝国地上軍の戦力も整ってませんし?」


 ヤリスレイ少佐は、フロスト中尉の遅刻を咎めず水に流した。


 その理由は、帝国軍側も、後詰め部隊が増援として、到着していないからである。

 


「オホンッ! さてと…………本題に入りましょう? 私たち、帝国軍としては貴方たちを後方支援するのが任務です…………そこで伺いますが、フロスト中尉? 昨夜のアスカリ部隊を、ウルシカ中尉の指揮下に入れて構いませんね? 彼女の部隊は、ほぼ壊滅しましたから」


「こちらとしては、彼女とは顔馴染みですし、我が隊は昨夜の戦闘で戦力を増強、および人員も増加されましたからな? アスカリ部隊を第五小隊に追加するのは構いません」


 ヤリスレイ少佐の意見に従い、フロスト中尉は、アスカリ部隊を第五小隊に編入する事を承諾する。



「聞きましたか、ドミニック兵長…………これから貴方たちの分隊はウルシカ中尉に従いなさい? 分かりましたね?」


「はっ! 了解しましたっ!」


 ヤリスレイ少佐の命令を聞いて、近くに控えていた、ドミニック兵長は一歩前に出る。



 それと同時に、ローマ式の敬礼を行った。



「では、私達は後方から射撃と砲撃支援を行います、貴方たちは前線で頑張って下さい」


 そう言って、ヤリスレイ少佐は灰色に塗装された、高速攻撃車両フィエロに向かっていく。


 これは、キューバル製の特殊部隊向けに開発された俗に言う、軍用バギーだ。



 右側にはPKP汎用機関銃、車体上部の門型ポールには、AGSー30自動擲弾銃を搭載している。


 最後尾の門型ポールには、NSVT車載機関銃が配備されていた。



「行ったな? 優しそうな顔をしてたし、話の分かる人で良かったよ」


「ああ、全くだ…………しかし、ここで功績を上げねば、私は降格処分だ、はぁ~~?」


 ヤリスレイ少佐は、自身の任務を全うするべく、高速攻撃車両フィエロに乗り込む。


 その時、車体右側に赤い消火器が装備されており、目に止まった。



 だか、何時までも、それを眺めている暇はなかった。


 車両は、後方の砲撃陣地へと走っていき、フロスト中尉とウルシカ中尉たちは話し合う。

 


「それで、こっちは準備万端なんだが~~増員された連中が、まだ来てないんだ」


「うぅむ…………ならば、仕方ない? もう少し待機していよう」


 フロスト中尉とウルシカ中尉たちは、路上で話し合うが、空は明るくなっていた。


 普段は、暗雲や真っ白い雲に覆われているはずなのだが、何故か今日は日光が差す。



「増員部隊が来たら、部隊編成した後に、突撃命令を下す…………目標は、ここから正面にあるBNPビルだ」


「その増員が来て編成が終わったら、私が照明弾を撃つ…………それで、軍部隊も砲撃を始めるだろう」


 しかし、二人は天気を気にする事なく、作戦開始の準備を議論する。


 今は、天候よりも部隊編成と作戦予定を、何よりも優先したのだ。



「まあ、それまでは英国紳士みたいに、優雅に紅茶でも飲んでようか? あっ!」


「ん? どうした」


 フロスト中尉は、議論を止めて、作戦前の小休止をしようと言いだした。


 そして、四両からなる、スエーディン製、自走砲バンドカノン1を眺めていた。



 呑気な事を言いだした、彼が何かを見ながら妙な声を発したので、ウルシカ中尉も首を振るう。


 それから、彼女も自走砲を有する、砲兵隊の後方から、向かってくる黒いバンを見つけた。



「フロスト隊長っ! ネージュ以下、七名…………ただいま到着しましたっ!」


 UAZー3909汎用自動車、通称ブハンカと言われる黒いバンが到着した。


 その正面には、丸いヘッドライトが二つと黒いラジエーターがある。



 ただ、ラジエーター付近に、吸血鬼の牙が上下に装飾されている事で、まるで化け物に見える。


 そんな車体側面から、ネージュ準尉が新たに増員された隊員たちを連れてきた。



「ああーー! 休む暇が失くなったな、参ったな?」


「仕方がない、仕事に取りかかるぞ…………」


 フロスト中尉とウルシカ中尉たちは、休む間もなく部隊編成に取りかかる。



「中尉、そちらの方は?」


「知り合いだ、第五小隊の隊長、ウルシカ中尉だよっ! もちろん、そう言う中じゃないよ」


 ネージュ準尉から問われた、フロスト中尉は素直に答える。



「ベッドを共にした事もあるけど、それも仲間たちと一緒で、カビ臭い塹壕の中でだし? しかも、夜中まで砲声が鳴り響いて、どっちも眠れなかった時さ」


「本当ですかぁ~~? それなら良いのですが…………」


「本当だよ、コイツとは大陸間戦争の頃からの知り合いだ? しかも、どちらかと言えば腐れ縁だ」


 フロスト中尉の言葉を信じず、ネージュ準尉は鋭い目付きで睨む。


 そんな彼女に対して、ウルシカ中尉は疲れた表情で答える。



「色男の戯れ言に付き合っては居られん、さっさと、ビル内への突入方法と、侵入経路について話すぞ」


「ここじゃあ~~何だから、中で話そうか? 移動しよう」


 ウルシカ中尉は、本題である作戦会議に入ろうかと言いだした。


 それに合わせて、フロスト中尉も昨夜制圧した、BNPビルを指差す。



「まずは、ドローンからの映像で、敵の様子を探ろう? 何事も偵察からだ」


「その後は、初期の砲撃た忌みと、第二次の攻撃方法と、侵入経路を策定せねばな」


「あ、待っ! って、行くしかないか…………? みんな? 中で、ミーティングするわよっ!」

 

 そう言って、フロスト中尉とウルシカ中大尉たちは、BNPビル内へと向かっていく。


 二人が砲撃で開いた穴に入っていくと、ネージュ準尉も警察隊員たちを引き連れて行った。



「ネージュ、新たに増員された人員は、アラビ系が多いな?」


「はい、中尉っ! 彼等は義勇部隊員であり、特殊部隊出身の精鋭ですっ! それから、また一人、病院に入院中ですが? 怪我が完治次第、こちらに向かうように伝えてます」


 何気なく、フロスト中尉が呟くと、ネージュ準尉はアラビ系が多い理由を答えた。


 そして、また一人だけ後から合流することも伝えるのだった。

 面白かったら、ブックマークとポイントを、お願いします。


 あと、生活費に直結するので、頼みます。


 (^∧^)

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート