ナタンとメルヴェ達は、素早く移動する、三菱トライトンを追いかけ、円形交差点まで来た。
右側の動揺は、AMXー13軽戦車とラーテル歩兵戦闘車が、停車して封鎖している。
反対側の道路には、イヴェコ、トラックが荷台に、対空兵器パーンツィリを搭載して停車する。
こちら側に、背を向けた荷台上の対空兵装は、左右に機関砲と六個も筒を備えている。
もちろん、筒の中身は地対空ミサイルだ。
「対空兵器? また、あのヘリも飛んでいる」
「ここは、連合側が制圧しているのね…………」
円形交差点を過ぎて、左右に立つ、ホテル・シャンボー&商業ビルを通りすぎた、二人。
ナタンは、上空を飛ぶ、深緑色のヘリコプターを見かけた。
これは、AAー12自動散弾銃を左右両側に搭載した、小型無人ヘリコプターだ。
メルヴェは、道路を歩く大量の連合軍兵士やレジスタンス員を見ながら呟く。
また、赤いダウンジャケット、黄色いコートなどを見に纏う民兵も見える。
彼らは、レジスタンス員よりも軽装であり、リボルバーや散弾銃を手に持つ。
しかも、中には、お手製の鉄パイプで作った、マスケット銃や二連散弾銃を構えている者も居た。
通り過ぎてゆく、道沿いには、他にも釘バットや鉄パイプを握りしめる民兵が歩く。
「市民たちも民兵として、戦いに参加しているワケか?」
「みんな、帝国の支配には、ウンザリしているのよ」
そう言いながら、ナタンとメルヴェ戦は、アヴェンサー・マルニクス通りを進んでゆく。
その左斜め向かいには、マン、トラックが牽引トレーラーを、二連結して停まっている。
横を過ぎてゆく時に、後部荷台に 87式25ミリ連装機関砲を二基配備していることが分かった。
「チィーナ製だな?」
「ヘリや対人用だわ」
87式25ミリ連装機関砲は、対空兵器としてだけではなく、対人用にも活用できる。
もちろん、オーガー&シュヴァルツ・リッターなどの装甲は、紙みたいに貫通してしまうだろう。
ナタンとメルヴェ達は、味方の防空部隊を見ながら、ヤマハ・グリズリーを走らせた。
「ん? また、ヘリか?」
「いや、ジャイロコプターだわ」
ナタンとメルヴェ達が向かう先に、二人乗りのジャイロプレーンが飛んでゆく。
二人は、彼らも同じ場所に救援に向かうのだろうかと思う。
そして、右斜め向かいに続く道路である、ジャン・ド・マルス通りに目を配った。
そこは、鉄条網がグルグルと螺旋状に巻かれており、土嚢が山積みにされていた。
土嚢の山には、FN、MAG重機関銃が二丁設置されていた。
また、対戦車ミサイルとして、9M113コンクールスが設置されている。
そのまま二人は道路を進むと、枯れ木より向こうを眺めた。
すると、右側にオルヌ通りへと続く横道を見つけた。
元NPO法人が使用していた、ビルの手前にある、この道も当然ながら封鎖されている。
真っ赤な車体のホップオン・ホップオフ・バスが停まっているからだ。
二階建てのバスである、これにもオープントップにされた上部には、土嚢や鉄板が置かれていた。
また上の土嚢や窓からは重機関銃や汎用機関銃などが敵を狙っている。
しかし、ナタンとメルヴェ達は、何の銃が配置されているかまでは分からなかった。
「急げ、あっちだっ!」
「誰かぁーー! 負傷者を運んでくれっ!?」
「敵襲っ!!」
「急げええええ」
慌ただしく、手を振りながら、黄色ベレーのレジスタンス員が味方兵士を呼ぶ。
連合軍兵士が、雪上に真っ赤な血を流す、負傷者を引き摺りながら、衛生兵をと大声で叫ぶ。
応援に向かおうと、AK74を構えながら素早く走る、ワータイガーとドリアード達。
こうして、歩道は何だか騒がしくなってきた。
「あんなに…………銃声だっ!」
「直ぐ側ねっ!」
巨大な銀行ビル&男性服店の間にある、エグモン通りからは、機銃弾やRPG弾が飛んできた。
しかし、そこには、ナタンとメルヴェ達に左側から近づく大きな影があった。
「んんっ? なんだ」
「味方よ、戦車を積んでいるわっ!」
ルノー、トラックが走ってきて、荷台に搭載した、サブラ軽戦車の砲塔が回転すると砲撃が飛ぶ。
しかも、荷台上には他にもイズライル兵らしき、連合側兵士が、銃を構えた。
タボール、ブルパップ式自動小銃を手に握る彼らは、エグモン通りに対して発砲する。
ナタンとメルヴェ達は、ここの戦闘は彼らに任せ、先を急ぐ。
「おっ? 他にも援軍か?」
「どうやら、そうみたいね」
ナタンは右側を走る車列に気づき、そちらに一瞬だけ目を配ると、タンカラーの車列が見えた。
プラサン・ワイルダー軽装甲バギーが、二連結した、アテムを牽引していたのだ。
さらに、その上部には、カメラが取り付けられた車載機関銃が搭載されている。
牽引されている、二連結アテムだが。
これには、正面に機関砲を備えた砲塔の左右に、四角い誘導弾ポッドが搭載されている。
また、後方には予備弾薬を入れた箱を車体と同じタンカラーの布で包んで、積載してある。
その後続には、自立型兵器化された、二連結アテムが、二台で後を追っていた。
プラサン・ワイルダー&アテムは、イズライル製の最新兵器である。
これらの車両に、メルヴェは圧倒されていたが、彼らは先に、キャナダ大使館へと向かっていった。
「撃て、反撃するんだっ!? もう、すぐそこまで帝国軍が着ているぞっ!!」
「隊長、防衛線に援軍が来ましたよっ!」
トローヌ通りを守備する部隊の白人隊長は、叫びながら、FN、MAG重機関銃を撃ちまくってた。
その側では、土嚢に隠れながらRPGー7を抱えた黒人兵士が、ナタンとメルヴェ達を見て喜ぶ。
他にも、アシュア系兵士が、AKMを何発か単射で撃って、敵を足止めする。
また、顔に赤い布を巻いた、アラビ系兵士がFPK狙撃銃を撃つ。
「一号車、二号車は引き続き、隊長車に続け? 三号車、四号車は連中を援護しろっ!」
ナタンは、背後を走るダフの向こう側からチィーナ兵・隊長が叫ぶように指示する声を聞いた。
無線を使ったのかは分からないが、トローヌ通りを過ぎてゆく際に、彼は後ろを見た。
「少しの間だけでも、撃つわよっ!」
背後では、メルヴェが防盾からM60を途切れなく連射しまくっている。
さらに、トローヌ通りを塞ぐように、08式歩兵戦闘車が車列から離れ、二台も並んだ。
次いで、即座に砲塔から、99式30ミリ機関砲を遠くに存在する敵部隊に撃ち放っていく。
そして、後部ハッチが開き内部から続々と、チィーナ軍兵士が降車していく。
「アレなら任せて置いても、大丈夫だろう」
「ナタン、私達の戦場は、すぐそこよ」
ナタンは、味方部隊の展開するさまを見ながら呟き、次に目的地であるキャナダ大使館に目にした。
メルヴェも、彼に戦地が近いと警告しつつ、自らも気を引き締める。
そうして、ついに彼らを含む車両部隊は、リュクサンブール通りにまで来た。
大使館と銀行の間に面する通りには、既に吹き飛ばされた、土嚢が崩れていた。
しかも、辺りには、様々な人種国籍からなる兵士や民兵たちの死体が散乱していた。
「俺たちは、ここで降りるぞってのーーはっ!」
「コイツにゃ~~装甲板が、ねぇからな~~」
「いいから、行くぞっ! 二人ともっ!」
「私たちは、中に行く…………内部も攻められているだろうからな」
三菱トライトンは、銀行ビルの手前に停車すると、黒人兵士と白人兵士たちは愚痴る。
そして、彼らが荷台から飛び降りると、車内から、アシュア系兵士とインディアン系兵士が出る。
また、通りのど真ん中に勢いよく、ダフが走っていき駐車する。
それから、すぐに、イズライル軍兵士たちが飛び出てきた。
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