【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

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デブにゃーちゃん
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第12話 侵略者は救世主として援軍に現れた

公開日時: 2024年7月9日(火) 11:08
更新日時: 2024年7月12日(金) 22:31
文字数:3,611


 隊長と副官に続き、駆け出して行く、黒衣の感情無き兵士たちの横顔を見た、彼は。



「…………コイツらの顔は? 何で傷だらけで? 」


 若者が見た、走り出した兵士たちの横顔だが、それは恐ろしい見た目をしていた。


 顔中は、酷い切り傷とツギハギだらけであり、歴戦の猛者を思わせた。


 また、皮膚の爛れたり、剥がれて、肉が剥き出しに成っている者も居た。



 奇妙なのは、兵士たちが傷だらけで、ゾンビ顔だからと言う訳では無い。



 彼等の容姿は、他にも妙な部分が見えた。



 兵士たちの肌色は、白や灰色で幽霊みたいに精気がない色合いだ。


 傷さえ無ければ、さぞ女に持てるで有ろう、顔立ちの者ばかりで有った。



 更に、傷付いた部分には、本来は赤黒い血が付いている筈なのだが。


 そこには、唇同様に、青黒い色が張り付いているのであった。



「ね~~ぇーー? 君ぃ~~? そこ邪魔だから退いてくれるかなっ?」


 暫くの間、デモ隊と治安維持部隊に突撃して行った、ゾンビの兵士たち。



 暫くの間、それを只、茫然と眺め続けているしかなかった、彼だったが。


 またも、背後から若い女性の声を聞いて、すぐに後ろに振り向いた。



「あの? 俺は難民じゃあ…………」


「うんうん? 分かって居るわよ…………お姉さんはさあ~~今お腹が空いていてねぇーー? ちょっとだけ貴方の血液を貰おうかしら?」


 彼は、先程の男と同じ服装をした、妖艶な女性に難民では無いと正直に答える。


 当の彼女は、そんな事は大した気にせず、笑みを浮かべて若者に突如襲い掛かった。



「あっ! 止めろっ! 痛っ!?」


 彼は、いきなり黒衣の軍服を着た女性から、組伏せられてしまう。


 着ている服の首元をずらされ、左肩を噛みつかれた、彼は悲鳴を上げる。



「あーーーーあっ!? …………」


「ふぉーー! ふうはふひやいにょっ! …………」


 悲鳴を上げる若者に対して、お構い無しに血を啜る、謎の女性。


 因みに、彼女は、もぉーー五月蝿くしないのっと、モガモガしながら言っている。



 そして、若者は女性の顔を間近に見ていると、彼女が懐から何かを取り出す。


 注射器を、噛みつかれている左肩とは、反対の右肩に打たれる。



 すると彼は、まるで安心するかの様な感覚を味わいながら、力無く眠りに落ちた。



 彼が最後に見た光景は、幻想的に見えた。



 美しい、シルバープラチナの長髪に、眉毛と睫毛。


 マシュマロに、粉雪をまぶしたかのような白い肌。



 細く、シャープな顔立ち。



 濃い碧眼に、真っ青な唇から牙を見せる、無邪気な少女と、大人の女性。



 彼女は、その中間くらいと言った容姿をしている。



 その姿で妖しく微笑む、黒い軍服を着た、死神。


 または、悪魔を思わせる女性将校の顔であった。



「あはっ♡ …………中々可愛い顔をしてるわねっコイツ? 決めたっ! コイツは私が貰うわねっ?」


「隊長…………勝手な真似は勘弁を…………」


「我々は、人員の補充任務が与えられているだけです…………」


 謎の女性が子供みたいに、はしゃいで居ると、後ろから、部下たちであろう二人が近付いて来た。



 一人は、ウェットスーツを着た、兵士だ。



 彼は、頭から狼の耳と背中の腰から尻尾を生やした、灰色長髪の若い少年である。



 もう一人は、黒い略帽を被り、黒い軍服を着た、兵士だ。



 彼の顔は、右側半分が青色に腐り、吹き出物を沢山つけている。



 二人とも、隊長である彼女の暴走を止めようと注意して来た。



「何よっ! 上官に逆らうのっ!? 良いでしょっ! 別にぃ~~? 私達帝国軍には戦力圧倒的に不足しているのよっ!?」


 謎の女性は、部下らしき二人に声を掛けられると、突如ヒステリックに騒ぎだした。



「だからぁ…………? コイツを私が貰ってもノーーープロブレムよっ! さあ貴方達、惚け~~としてないでコイツを洗脳改造車両まで運びなさいっ!」


 女性は、二人の部下に告げると、それから一人先に、洗脳改造車両まで歩いて行く。


 そして、狼少年と毒ゾンビらしき部下達も、若者を担いで洗脳改造車両まで向かって行った。



 三人と連れられて行った、若者の向かう先には、巨大な兵器が存在した。



 それは、淡い水色の大型トラック、MAZー7410だ。



 コイツは、道路の真ん中を通り、荷台に指揮通信室を作って、交差点で陣取っていた。



 その荷台上部には、対空兵器パーンツィリを二基搭載していた。



 車両右側まで、彼を含む四人は歩いて行くと、車両側面にある城門みたいな形状の扉が開かれた。


 そこに、彼等は中に入って行った。



 その頃、難民たちと治安維持部隊による激しい衝突が繰り広げられていた戦場はと言うと。


 後方から現れた謎の黒い部隊により、徐々に暴徒達は鎮圧・殺処分されていった。



「ネオナチ野郎の豚共が来やがったぜっ!!」


「ナチスの豚野郎共は皆殺しだ~~~~」


 彼等には、火炎瓶の炎は効いたが、ナイフによる脇腹を狙った刺殺は効果が無い。


 釘の先を斜めに切り取り、鋭く尖らせた、釘バットによる殴打も効かない。



 暴れ回る暴徒たちは、次々と銃弾の嵐で撃たれ倒れていった。


 残りの暴徒たちも、兵士等により突き出された銃剣を、真っ赤に染めるだけだった。


 自動小銃の銃身下部に備え付けられた、銃剣で喉を切り裂かれる者。


 頭に深々と、コンバットナイフの切っ先を突っ込まれて、続々と路上に倒れ死んでいった者。



 そして、隊長らしき男は、グロック17を橫向けに連射しては辺りを見渡す。


 彼は、平気な顔で、無慈悲に次々と暴徒達を殺処分する。



 副官の男も兵士達に先立ち、腰に下げている鞘から、フルーレを抜き取る。


 それは、刀身が眩く銀色に光り輝き、青い薔薇状の鍔が付いた柄を、彼は強く握る。



 そして、灰色の道路を跳躍して、殺人鬼が如く暴徒達を次々と斬り殺し、路上に捨てていく。



 ある者は左目を突かれて、針の様な刀身が後頭部まで貫通してしまう。


 また、ある者は、溝内を貫通して道路の脇に放り出される。



 その光景に恐怖し、逃げ出す者を、副官の男は背後から飛び掛かる。



 そして、首から喉まで、フルーレで貫き串刺しにする。


 次に、暴徒の首から素早くフルーレを抜き取り、反り血が飛び散り、副官は白頬を赤く染める。



「…………じゅるっ!? 美味いな…………」


 副官の男は、白い手袋で頬に付いた反り血を拭うと、布地についた血と、頬に貼りいた血を嘗める。


 それから、彼はニタァーーと、薄気味悪い笑みを浮かべた。



「有り難う…………助かったよ? 所であんたらは? いったい何処の部隊だ? 所属は軍か警察か? それともネオナチ自警団…………ハンザ合衆国・国境警備隊?」


「全部違う…………」


 治安維持部隊・隊長が、後から突然やって来た、謎の部隊長らしき男に質問する。


 その問いに、黒服を身に纏う、部隊長らしき彼は答える。



「じゃあ憲兵隊か? 特殊部隊…………まあ何でも良いか…………?」


『ザザーーーーザッ!! ~~~~!? 此方はCPよりショッピングモールにて難民による暴動発生! 至急付近をパトロール中の警官は応援に向かえっ! 軍や他の治安組織と協力して任務に当たれっ以上だっ! ザザ…………』


 治安維持部隊・隊長の元には、無線でCPから緊急連絡が届いた。


 内容は、今戦いを終えたばかりなのにも関わらず、別現場に急行しろと言う無茶な命令だった。



「我々は至急現場に向かう、あんたらは? いったい、どうするんだ…………?」


「勿論、応援に向かうさっ!」


 治安維持部隊・隊長の質問に対して、謎の黒い部隊・隊長は短く答えた。



「よしっ! 負傷しっ!? …………」


「それは我々の後続部隊の医療班が何とかするっだから我々は先を急ぐぞっ!」


 治安維持部隊・隊長は、命令を出そうとしたが、すぐに謎の黒い部隊・隊長に遮られた。


 だが、負傷者は、彼等が何とかすると言ったので、気には成ったが。


 現場のショッピングモールも、大変な事態に陥っている事を考慮した。



 また彼等、謎の部隊であるが。



 何処かの治安維持部隊か、または軍などに属する特殊部隊だと、治安維持部隊長は思う。


 それから、彼等は謎の部隊と共に、現場に急行して行った。



「さて…………任務開始だ…………使える物を回収しろ、外品は廃除しろっ!!」


 先程の顔に吹き出物を着けた、略帽を被った兵士。

 彼女が、道路に転がる死体と重症を負った負傷者を、部下の兵士達と共に見て回る。



「るんるんっ♡ 新しい新兵が補充っ補充っ♡ また私の雑用係が増えるわねっ♡」


 巨大な洗脳改造車両の座席屋根に飛び乗った、黒い軍服を着た女性は愉しげに笑う。


 彼女は、道路に転がる死体と、負傷者達を見下ろして、上機嫌で呟くのだった。


 巨大な車両と共に、二十人の黒い兵士達は隊列を組んで、不気味な進軍を開始した。



 兵士達は、肌の色が黒いアラビ人や黒人たちを見つけると素早く動きだす。


 そして、軽傷者や重傷者だろうと構わず、銃殺したり、コンバットナイフで斬り殺した。



「頼む…………誰か助けてくれっ!!」


「お願いっ! 助けて…………頂戴っ?」


 重症を負った、黒人男性&茶髪ボブヘアの白人女性たちは身動きが取れない。



 道路に倒れている、この二人は救助を求めていた。

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