【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第79話 緊急出動

公開日時: 2024年7月10日(水) 09:04
更新日時: 2024年7月13日(土) 10:04
文字数:3,216


「中尉っ! 緊急出動要請ですっ!?」


 第三小隊オフィスのドア前まで来た、フロスト中尉とネージュ準尉たちだったが。


 二人の頭上から、いきなり、サイレンの音がジリリリリッと鳴り響く。



 彼等の元に、野戦帽を被っていない、ベーリットが現れると、緊急出動を告げた。


 彼女は、両手にAGー3ライフルを構えており、その表情には、焦る気持ちが伺えた。



「クソッ! テロリストめ…………身体が襤褸ボロだけど応援に行かない訳には行かないし」


「フロスト中尉、待って下さい…………私が指揮を代行しますので貴方は休んで居て下さい」


 己の肉体に溜まった渦負荷と、精神的な疲弊による疲れで、フロスト中尉はヘトヘトだ。


 しかし、それでも現場へと、応援に駆けつけ無ければと、彼は悩む。



 だが、彼の身を心配する、ネージュ準尉は、自信満々に自分が指揮を代行すると進言した。



「しかし…………」


「任せて下さい」


 彼女に任せても、大丈夫だろうかと、フロスト中尉は困惑する。


 そんな彼に対して、ネージュ準尉は優しく微笑む。



「じゃあ任せるよ、だけどくれぐれも無理はしないでね」


「はい、了解しましたっ! ベーリット今すぐに出動よっ!」


 眠たげな隈《くま》の出来た、重たそうな両目を細めて頼む、フロスト中尉。


 そんな彼から命令が下ると、ネージュ準尉は、満面の微笑みを浮かべた。



 こうして、彼女は張り切って現場に向かおうとする。



「ベーリット、他の皆は?」


「もう準備出来ていますっ!」


 くるんと身体を回して、ベーリットに向き直った、ネージュ準尉。


 彼女は、部下達の準備が整ったかと、様子を問う。



「後は私達だけですよ、さあっ! 早くっ!」


「分かったわ、貴女は先に行って」


 部隊員の出撃体勢は整えてあると、報告する、ベーリット。


 ベーリットに答えた、ネージュ準尉はドアを開いた、フロスト中尉に続き、急いで室内に入る。



「すぐに行かなきゃっ!?」


 そんな彼女に、返事を返す暇も無かった、ベーリット。


 彼女は、AGー3ライフルのスリングベイルを背中にかけ直すと、急いで仲間達の元へと走った。



「じゃあ、お休み?」


「お休みなさい」


 フロスト中尉は、ブルーグリーン色のソファーに腰掛けて眠った。


 その様子を急いでいる、ネージュ準尉は一瞬だけ見届けると、隣の部屋に入るため、ドアを開く。



「急がなきゃっ!!」


 ロッカールームに入ると、ネージュ準尉は、次に自分のロッカーを開く。


 彼女は、横に細長い弾帯が、左右一個ずつついた、軽量防弾ベストを着込む。


 正面に、左右三個ずつついた弾帯と、背中側に大きなホルスターが付いた、帯を身体に巻き付ける。



 それが終わると、彼女は直ぐに中から、斜めに立て掛けられた、二丁の銃を手に取る。



 それは、ストックとスライド部分が茶色く、銃身から機関部にかけて艶がない漆黒色の散弾銃。


 ブローニングBPS、ライフルド・ディアハンターであった。



 さらに、彼女は、もう一丁ある自動小銃のように貫通力が高い武器を手に取る。



 それは、短機関銃のように、コンパクトな武器である個人携帯火器《PDW》だ。


 漆黒色で、独特な形状をした灰色がかった、半透明な総弾数が、50発と言う弾数を誇る銃。



 これは、P90と呼ばれる高性能銃だ。



「よしっ!!」


 ネージュ準尉は、P90を背中側の腰に巻いた、ベルトから下げた、ホルスターに差し込む。


 次いで、ライフルド・ディアハンターを彼女は両手に構える。



「これで良しっ!」


 一人呟くと、ネージュ準尉は素早く身を翻して、車両保管庫まで向けて、飛び出して行った。


 蛍光灯の白い光に照らされた、灰白い壁と深青い床が、どこまでも続く廊下。



 そこを、超人的な速度で跳躍しつつ、彼女は疾走する。



 彼女は、応援を待って、苦戦する現場部隊と、出動を待つ、準備万端な部下達へと向かってゆく。



 警察署内部に存在する、暗く無機質な鼠色の特殊車両保管庫。



 そこには、軍に配備されるような重装備の装甲車が並んでいた。


 数台の黒と青色に、塗装された、青いパトランプが付いたパトカーも、数台停車していた。



 他にも、同色である軽装甲車両の上部にcord《コード》重機関銃を搭載した物がある。


 警戒用に、シュバルツ・リッター達を乗せた、LAPVエノクが四台。


 ラインメタル MR.20 Rh202を武装として備える、装甲兵員輸送車型コンドルが、二台。


 各種の通信機器を備えた、指揮車型コンドルが一台と、さまざまな車両が、そこにはあった。



「早く乗らなきゃっ!」


 青色の両ドアを開いた、ネージュ準尉は跳躍しながら走ってゆく。


 そして、指揮車型コンドルの開いたままの後部扉を目指す。



 その中には、背中側に、ヴィーガー941を下げた、レイミアが立っている。


 また、両手に、AGー3を構えた、ベーリットも待ち構えていた。



「よっとっ!」


「もぉ~~遅いですよ、準尉っ!」


「敵は一秒も待ってくれませんよ」


 飛び込んで、指揮車型コンドルの車内に乗り込んできた、ネージュ準尉。


 彼女の両肩を着かんで、レイミアとベーリット達が迎え入れる。



「分かっているわよ、ちょっと準備に手間取っただけ、さぁそれじゃ早速緊急出動よ」


 指揮車型コンドルが発進すると、他の車両も続々と発進して、車列を整える。


 四台のLAPVエノクは、前部と後部を挟むように並走する。



「はやく行かないとね?」


 その間を、装甲兵員輸送車型コンドルが走行し、さらに、中心は指揮車型コンドルが走る。


 ネージュ準尉は、P90の安全装置が掛かっている確かめながら車内で呟く。



「で、向かう先はテロリストの地下アジトね」


「下水道から地下深く掘られた場所に作られた基地らしく、恐らくは十数名のテロリストが居ると思われます」


「先に潜入していた諜報員、スコル、リュカオン達からの情報によると敵のアジトには大量の武器・弾薬が有るそうです」


 指揮官用の椅子に座り両腕と足を組む、ネージュ準尉。


 その場から少し離れた、車内両脇に備えられた椅子に控える、レイミアとベーリット達。



 彼女達は、上司である彼女に諜報員たちの状況を説明する。



「更に現在、ザミョール中尉が率いる第二小隊が応援に駆け付け、交戦中との事ですっ!」


「テロリスト側はアジトに隠匿していた重火器を使用して、激しい抵抗を行っており、巡回中に応援に駆けつけた小数の第二小隊とスコル、リュカオン達だけでは…………」


 テロリストの拠点と、戦況の詳細を語る、レイミアとベーリット達。


 二人の報告を聞いた、ネージュ準尉は。



「第二小隊と、スコル、リュカオンね? もう暫くテロリスト側に潜入しているマーナガルム、アセナ達からは連絡が無いわね」


「彼等も無事だと嬉しいのですが」


「テロリストに正体がバレてなければ良いですけど」


「だわねぇ~~?」


 彼女たちが話している間も、コンドルを中心とした車両部隊は走り続ける。


 それ等は、目的地である、テロリストのアジトまで向かう。



 車列は、やがて警察署左脇にある地下車両庫の開いた、シャッターから坂を上って外に出る。


 警察署の外観は、鼠色コンクリートに覆われた要塞みたいな形をしていた。



 五階建てで、屋上中央には、四角いトーチカが存在する。


 そこには、監視カメラが四方に備えられていた。



 壁面には、中世の城塞に備わる銃眼みたいな縦長で黒色をした窓が、一階に付き、二十個もある。


 一番下の中央には、二本柱に支えられた、屋根付き、玄関口があった。



 どんよりと曇る空の元、灰・黒・青などに彩られた、オフィス街を車列は走る。


 艶の無い、黒色に塗装された、警察部隊の車両は、ひたすらにビル郡を通り抜けていく。



 それ等は、青白い雪の積もった道路を、雪を跳ね飛ばしながら進む。



 轍《わだち》を作りつつ、目的地の地下豪内より、さらに地下深くに掘られた、アジトに部隊は向かう。



 そして、第二小隊は、工業地区を通る。



 巨大なタンクを幾つも備えた、大規模な武器工場の建物。


 ビルのように、天高く聳え立つ煙突の三つ付いた、医薬品開発研究施設。



 等々と言った、ビルの間を彼女等は抜けて行った。

 面白かったら、ブックマークとポイントを、お願いします。


 あと、生活費に直結するので、頼みます。


 (^∧^)

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート