【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

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デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第267話 黄色い巨体

公開日時: 2024年7月12日(金) 13:08
更新日時: 2024年7月15日(月) 08:27
文字数:3,189


 帝国軍は、ゾンビの群れを使って、強引に前線を押し上げてきた。



「二階に陣取るぞっ!」


「声がするっ! ゾンビが来ているわっ!」


「うへぇ~~? 連中、こっちにまで来たのかよっ!!」


「ヤバイわ、このままじゃ、防衛線が突破される…………」


「なら、援護射撃するだけだっ!」


「私達も、戦わないとねっ!」


 建物の二階に上がって、ナタンはAMDカービンで、窓からロキヨーム通りに向かって射撃を行う。


 メルヴェも、サルマスシズK10を撃って、ゾンビの群れを止めようとする。



 二人の後から来た、スタッロはウォーハンマーを大窓に設置して、ビッグ・ボウを載せた。


 彼の右側から、フランシーヌは両手で確りと構えた、ストックレスAKを単発連射しまくる。



 二人の左側にある大窓を、ダンターはタバティエール銃で殴った壊した。


 後ろから来た、ヤブローもスナイダー銃からコップを外して、遠くのゾンビを狙撃する。



「私は、小窓から敵の射撃手を射つわ」


 パトリシアは、小窓からバレットM82の銃身を出して、二脚を窓辺に載せる。


 次いで、スーパーマーケットの向こうにあるビル屋上から制圧射撃をしている重機関銃を破壊した。



 本来なら、位置を特定されるため、窓から狙撃銃の銃身は出さない。


 しかし、この状況下では、早急な狙撃支援が必要だと思った彼女は、仕方なく速射した訳だ。



「一丁破壊したわ」


 パトリシアは短く呟いたが、機関銃手を射っても、次の射手が来るだけだ。


 それなら、重機関銃その物を破壊した方がよいと、思って破壊した。



「ん、壁に穴が開けられているわっ?」


 スコープを覗いている彼女は、十字レティクルをビルの白い壁に合わせる。


 すると、シュヴァルツ・リッターが、スレッジハンマーで壁面を崩す様子が見えた。



 次に、壁穴の暗い影に包まれた室内から機銃掃射が行われ始めた。



「敵は、幾つ機関銃を用意しているんだいっ? そっちは?」


「散発的だが、相変わらず、ゾンビが走ってくる」


「何とか食い止めているよっ!」


 パトリシアの質問に、ダンターはタバティエール銃を、ベランダに載せながら、ゾンビを狙撃する。


 スナイダー銃を両手で握る、ヤブローは動く死体の膝を撃ち抜く。



「ゾンビが大量に来たぞっ!」


「あのトラックが下ろしているんだっ!」


「また、味方だっ!」


「何をする気かしら?」


 ナタンは、AMDカービンの弾倉を交換しながら、壁に隠れて外を注視する。


 黒く塗装された何台ものZILー131軍用トラックから、ゾンビが大量に吐き出される。



 その光景を見て、スタッロはトラック部隊を狙ったが、直ぐに移動して行った。


 しかし、そこに一両だけ、ベージュ色のジャグア装甲偵察戦闘車が現れた。



 ダンターとヤブロー達は、車両とともに現れた連合軍歩兵部隊を不思議に思う。



 彼等は、グルグル巻きにされた有刺鉄線を伸ばして、ロキヨーム通りを封鎖する。


 二重に張られた線の内側に、ドラム缶や装甲板が置かれていく。



「味方の到着だっ!」


「形勢逆転だっ?」


 ゾンビの大群を銃撃で、押し留めていた、ナタンとメルヴェ達は安堵する。



「ぐっ! 撃たれた…………ゾンビ化する、早く撃ってくれ~~~~」


「仕方ないっ!」


「いや、待てっ!」


 フランシーヌは、左腕を撃たれてしまい、悲鳴を上げて転げ回る。


 ダンターは介錯してやろうと、タバティエール銃を彼女の頭に向けた。



 だが、スタッロは素早く銃身に手を添えて、射殺を制止した。



「ゾンビ化しない?」


「通常弾だ、貫通している」


 フランシーヌは暴れるのを止めると、スタッロは再びゾンビ達に、ビッグ・クロスボウを向ける。



「みんな、援軍と武器を持ってきたよっ!!」


 いきなり、グランマッシュが現れると、ベルクマンMG15n.A.軽機関銃と弾薬箱を持ってきた。


 他にも、PMC部隊が木箱やプラスチックケースなどを置いてゆく。



「グランマッシュ、今まで何処に行ってたんだ?」


「今言った通り、武器を探しに行ってたのさっ!」


 ナタンの質問に、グランマッシュは答えながらPMC部隊とともに外へと出ていく。



「これは、私が使わせて貰うわ」


「分かった、撃ちまくってくれっ!」


 メルヴェは、ベルクマン15を手に取ると、窓から制圧射撃をゾンビの群れに浴びせる。


 ナタンも、AMDカービンの引き金に掛けた指を何度も動かす。



「ゾンビの群れは、コイツを使えばっ!」

 

 グランマッシュは、マルキ通りの交差点に出ると、民兵部隊と合流する。


 そこには、木製カタパルトがあり、彼女はそれに手榴弾を載せるとともに発射する。



 こうして、ゾンビの群れや帝国軍の進撃は止められるかと思われた。



「空襲だっ! 離れろっ!」


「屋内に退避する」


「うわあっ! ぎゃあーー!」


「どわあっ!?」


 敵の無人機スキャットが、ロキヨーム通りの上空を通過する。


 そして、ロケットポッドを連続発射しながら逃走して行った。


 その後を追ってきた、翼竜2型が二発誘導ミサイルを発射する。



「負傷者を後送してっ! 私達は、ゾンビを止めるのよっ!」


「味方の航空機だ、連合軍が近いっ!」


「ぐあ? う…………」


「うぐぅぅ」


「本当だ、有人機まで飛んでるっ!」


 グランマッシュの誘導で、連合軍兵士は白人民兵を引っ張ってゆく。


 背中に、連合軍兵士を載せた、アラビ系民兵も上空を戦闘機が飛んでいるのを視認した。



 帝国軍の黒いSuー47ベールクトを、白灰色に塗装された、タイフーンが撃墜する。


 しかし、今の攻撃で鉄条網より後ろに布陣していた、ジャグア装甲兵員車が爆破されてしまった。



「機関銃を持ってきたぞっ!」


「これって? ま、使えるでしょ」


 白人民兵と黒人民兵が、荷車を引っ張って来ると、そこには、三連ガトリングが載せられていた。


 と言っても、手作りの物だが、グランマッシュはすぐ機関部に、四角い鉄箱を右側から取り付ける。



 そして、左手でクランクを素早くグルグルと回して、射撃をゾンビに浴びせる。



「敵の戦車隊も、だいぶ破壊されたらしい?」


「RPGーとジャベリン、それに爆撃機型ドローンが効いているようだ」


 連合軍兵士とPMC要員たちは、防弾板を鉄条網が裏に運ぶ。



「ゾンビの数も、少なくなったな~~?」


「あっちから戦車も来なくなった」


「味方のテミスとアイアンクラッドが、ゾンビを掃除してくれてるらしい?」


「なら、あと一押しだっ!!」


 連合軍兵士とアラビ人兵士は、防弾板の裏からゾンビ達を狙い撃つ。


 ラテン系民兵は、路上から何回もコマンド軽迫撃砲を放ちながら話す。


 それに、何度も砲弾を装填する、南太平洋系PMC要員も意気込む。



「な、なんだ…………ありゃあ?」


「グランマッシュ、離れてっ!」


「いや、私が何とかしないとっ!」


「RPGーを用意しろっ!?」


 形勢逆転しつつある中、ナタンは遠目に黄色い何かが走ってくるのを見た。


 いきなり、アレンベル通りから狭る、それは巨大な猛獣に思えた。



 メルヴェは、ガトリングを回し続ける、グランマッシュに退避しろと言う。


 しかし、頑固な彼女はカタパルトの方に向かい、梱包爆薬を載せる。



 民兵やPMC要員たちも、慌てて対戦車用武器を探し始める。



「やった、当たったぞっ!」


「これで、奴も…………」


「いいや、まだ来るわっ!」


「この距離なら、私の虫がっ!」


 黄色く巨大な車体が猛進撃してくるが、これは、BeIAZ《ベルエーザット》ー75501だ。


 ロシャ連邦製のホウルトラックと言われるダンプカーだ。



 コイツを止めるため、連合側は四方八方彼方此方《しほうはっぽうあちらこちら》からRPGー7を放ちまくる。


 その大きさ故、RPGー弾が当たりはするが、壊れて止まる気配は全然ない。



 東アシュア系民兵とコーカサス系PMC要員たちは、カールグスタフ無反動砲を撃つ。


 それは、カタパルトからグランマッシュが投射した梱包爆薬とともに当たる。



 だが、やはり停止する事なく、奴は走る速度を上げて来た。



 その時、操縦席を狙って、ヤブローが赤紫色をした、フードや袖から羽根虫を放出した。

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