帝国軍は、総攻撃を仕掛けており、イズライル軍部隊を後退させつつある。
しかし、連合側も必死の抵抗を試み、激しい銃火が連中を迎え撃つ。
「BMOーTだっ! 戦車を、歩兵戦闘車に改造した奴だっ!」
「敵の火力支援が来るぞっ!」
シャンセルリー通りから、現れた黒いBMOーTは、Kord《コード》重機関銃を連射してくる。
ロシャ海軍歩兵の火炎放射部隊専用、重装甲兵員輸送車である、コイツはロケット弾を放ってきた。
帝国軍兵士は、瓦礫の中から身を伏せて、RPKー74Sを連射しながら味方車両の登場を喜ぶ。
オーガーも、路上からKBPブルを発射しながら、援軍が到着して叫ぶ。
「このまま、押しまくれっ!!」
「火力支援は絶大だっ!!」
「標的確認…………」
「敵の装甲車、登場っ!」
「ヤシン105を使えっ!」
シュヴァルツ・リッターは、瓦礫の中からPKP汎用機関銃を、膝だち腰だめで撃ちまくる。
グールは、RPKー74Sの二脚を、コンクリート片に載せて、滅茶苦茶に乱射しまくる。
BMOーTの車内からら、RPOロケットランチャーを帝国軍兵士が発射してきた。
それが、郵便局の正面に何回も当たって、凄まじい火炎を撒き散らす。
イズライル軍兵士は、ひたすら、ガリルARを連射して、何とか抵抗している。
また、別な兵士は対戦車用武器であるヤシンに、105ミリ、タンデム対戦車用弾を取り付ける。
「敵装甲車、撃破っ!」
「いや、まだだっ!」
イズライル軍兵士は、ヤシンを右肩から下ろして、真っ赤な炎と黒煙が上がるのを確認した。
しかし、ドラムマガジンを取り付けた、ガリルARMを乱射する別兵士は、敵装甲車両を見つけた。
BMOーTの装甲は硬く、タンデム弾頭を受けても破損しただけで、まだ車体は健在だった。
「負傷者だっ! 退いてくれっ!」
「ぐぅ? うあ…………」
「向こう側が苦戦しているらしい?」
「私達の方も来たわよっ!」
「私が何とかするわ」
イズライル軍兵士が、負傷者の両手を引っ張りながら歩いていく。
ナタンは、瓦礫に身を隠しながら建物左側から走ってくる、二人を目にして呟く。
黒いBMC・キルピ歩兵機動車が公園の方から向かってくる姿を、メルヴェは目撃した。
フランシーヌは、バレットM82で、防弾ガラス窓を狙い撃つが弾丸が貫通しなかった。
「ヤバい、アレは硬いよっ!」
「だとしても、撃ち続けるんだっ! そうすれば、防弾ガラスも割れる」
「いや、その前に兵士が降りて来たわよっ!」
「ああ、だが、こっちも援軍が来たぞっ!」
フランシーヌは、バレットM82を置くと、ストックレスAKを撃ちまくる。
ナタンは、AMDカービンを何発も連射して、敵部隊を牽制する。
メルヴェも、ベルクマンMG15をBMC・キルピ歩兵機動車に、機銃掃射を浴びせた。
敵歩兵たちが、ワラワラと後部座席から降りてくるから、そこを彼女は狙ったのだ。
カイリーは、シャンセルリー通りから、ベージュ色のフェレット装甲車が走ってくる姿を視認した。
「援軍の味方装甲車だっ! 敵は?」
「ランチャーを持って来たぞっ!」
「向こう側のイズライル部隊を援護してくれ」
「ここは、何とかするわっ!」
後ろから、チィーナ軍兵士が、80式汎用機関銃を持って現れる。
また、砲手もPFー89ロケットランチャーを担いで走ってくる。
ナタンは、AMDカービンの弾倉を交換するが、もう他に、弾倉が無いことに気づく。
メルヴェも、ベルクマンMG15のベルト式弾帯が途切れる寸前だと分かった。
「敵装甲車、出現っ!」
チィーナ軍兵士が叫びながら、PFー89を発砲すると、黒いフィアット6616が爆発する。
しかし、穴から後続車両が、三台も現れて、機銃掃射を行ってくる。
「不味い、弾が切れた」
「私のも…………」
「なら、コイツを使いなっ!」
「後退だっ! 敵が砲撃してきたっ!」
「こりゃ、防衛線を下げねば不味い」
ナタンは、AMDカービンの弾倉が空になり、直ぐにMASー1935を手に取る。
メルヴェは、バレットM82を、フランシーヌから渡された。
ガリルSARを抱えた、イズライル軍兵士が必死で走ってくる。
その後ろから、チィーナ軍兵士たちも、何人か続いてきた。
直後、敵がRPGー7・RPO・AGI 3X40などを使って、猛攻撃を仕掛けてきた。
「うわああああっ!」
「きゃああっ!」
「ぐぅっ! 左側もボロボロだっ!」
「は? テミス部隊が来てるっ!」
連続して爆発する郵便局は、火山が噴火したかのごとく、噴煙を上空に巻き上げた。
ナタンとメルヴェ達は、あまりの衝撃に驚いてしまい、咄嗟に伏せてしまう。
カイリーは、郵便局の左側が跡形もなく、消し飛んださまを見て、渋面を浮かべる。
形成不利な中、マフディは階下で、テミス・コンバットUGVが走る姿を見た。
「まだ、ロボット戦車が残ってたんだっ!」
「ふぅ~~これで、暫くは戦線を維持できる」
マフディは、階下を走る豆戦車部隊を見て喜び、カイリーは深く息を吸いこんで呟く。
テミス・コンバットUGVは、PKT車載機関銃を乱射しながら進んでいく。
また、生き残っていた、REEMロボアーミー達も、ベレッタM92Fを両手から撃っている。
しかし、帝国軍も次なる手を打ってきた。
ワーウルフとドライアド達からなる部隊が、二階まで、一気に飛び上がってきたのだ。
「あっ! くそっ!」
「くっ! ちょっ! いきなり?」
「白兵戦かっ!」
「不味いわっ! こりゃ、やるしかないかしら?」
「この野郎がーーーー」
ナタンは、ドライアドから腕を蔦で絡め取られ、その隙を狙い、ワーウルフが鈎爪を振るう。
メルヴェは、彼を助けるべく、サルマスシズK10拳銃を向けるが、下から銃撃される。
カイリーは、EF88を向けるが、敵味方が入り乱れている状況で、撃てずにいる。
ストックレスAKを橫凪に乱射して、フランシーヌは、多数の敵兵を撃退する。
そんな中、マフディがFALを振り回し始めた。
「この野郎、死ねっ!」
「今ならっ!」
「ぐぅっ!?」
「うぐああああっ!!」
「助かった…………」
マフディの銃床《ストック》打撃により、ワーウルフは、一階に転落していく。
さらに、カイリーのEF88から連続で放たれた弾丸が、ドライアドを射殺する。
それにより、ナタンの窮地は救われた。
「後退命令だーーーー!! イズライル軍、チィーナ軍は、第三防衛線まで下がれっ!!」
誰の声かは分からないが、戦場に後方から拡声器を使った音声が轟いた。
「早く、後退するんだっ!」
「もうダメだな…………」
ナタン達とは、別な場所を防衛していた、イズライル軍兵士とチィーナ軍兵士が走ってきた。
「俺達も、はやく後ろに下がらないと…………は?」
「ぐあっ!?」
ナタンの背後を死んだ振りをしていた、ドライアドが立ち上がり、マカロフPMを向けた。
しかし、コイツは何処か遠くから狙撃されて、後ろに倒れた。
「誰だ…………オレーナか?」
背後に振り向いた、ナタンは遠くのビル屋上で、円形ドーム左側に伏せている、オレーナを見た。
緑髪が目立つ、彼女は、サベージ110BA狙撃銃のボルトを動かしている。
「助かったぞ、オレーナ」
「ナタン、早くしてっ!」
ナタンは、援護射撃してくれた、オレーナに手を振ると、メルヴェに叱られながら走り出した。
「いや、今オレーナが助け…………」
「分かっているから早くっ!!」
ナタンとメルヴェ達も、郵便局の残っている建物内へと避難していく。
こうして、連合軍部隊は防衛線を放棄して、後方に引き下がって行った。
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