【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第122話 赤い血の人間か? 青い血のアンデッドか?

公開日時: 2024年7月10日(水) 10:53
更新日時: 2024年7月13日(土) 11:35
文字数:3,009


 地下室に拘禁された、ナタンは椅子に座らされて、身動きが全く取れない。


 そんな彼には、レジスタンス員たちから殴るけるの虐待が行われている。



「死ね、死ね、死ねっ! 死ねえっ!!」


「さあ、くたばりやがれっ! スパイ野郎っ!」


「うっ! うっ!! あ? ぐはっ!」


 数人のレジスタンス員たちから、凄まじい暴行を受ける、ナタン。


 頬を、ぶたれた衝撃と鋭い痛みが、彼の頭部全体を駆け巡る。



「や、やめろ、俺は帝国兵じゃない…………ゴフッ!」



 すでに長時間、殴られた事により、ナタンの顔は腫れ上がっていた。


 頬を殴られる度に、木製の椅子、はガタガタと小さな音を立てて揺れる。


 しかし、両腕を後ろ手に縄で縛られたままの彼は、成す術もなく身動きが取れない。



「帝国兵じゃないだと、その格好は何だ?」


「赤い血が体に流れているから、帝国兵じゃないって~~のか?」


「どうせ、変装用に血液を入れ替えたんだろっ!」


 レジスタンス達は、とにかく怒りをぶつけるべく、ナタンを暴行し続ける。


 こうして、彼は短期間に、地獄の拷問かと思うほど、ひどい拷問が加えられた。



「やめ…………俺は…………十八番、拠点のレジスタンスだ…………」


「は?」


「はぁ~~」


 ナタンは、自身が所属するレジスタンスの拠点番号を言ってみた。


 その声を聞いて、一瞬だけ、レジスタンス達による暴行は止まった。



「てめえ…………あの場所は、既に襲撃されて、潰されたんだよ」


「まさか、あそこも貴様が潜入して…………」


「ちっ! 違うっ! 襲撃された? 中に居た連中はっ!!」



「それを、お前が知る必要は無いんだよっ!!」


「よせ、やめろーーーーーー!?」


 一人のレジスタンス員が、ベルトに差し込んでいた、手斧を抜き取る。


 それを、勢いよく振り上げて、一気に頭を叩かんと、ナタンの額に狙いを定める。



 彼は、眼前に映る、狂気と怒りの表情を浮かべる男に恐怖する。


 自身に迫る、刃を目に入れた、彼は大きな声で叫ぶが、周りは敵だらけ。


 彼を、帝国側のスパイだと疑う連中ばかりで、誰も仲間だと信じず、助ける気配はない。



「今、楽にしてやる…………」


「ぐ…………ここまでかよ」


 ついに、ナタンの頭上から、一気に手斧が振り下ろされる。



「ぐっ! アレ?」


 頭を叩き割られたと思った、ナタンだったが、勇気を出して、目を開いた。


 そこに手斧を持った、さっきのレジスタンス員は居なかった。



「敵襲っ!?」


「反撃しろっ!」


「ぐわっ!」


 ナタンの周りを囲んでいた、レジスタンス員達は襲撃者によって、次々と撃ち殺される。


 もちろん、それは帝国側の兵士によって行われた奇襲である。



 その攻撃で、レジスタンス達は殲滅されて、椅子に縛られたままだった、ナタンだけが生き残った。



「うっ? 帝国軍か、ここを襲撃しに来たのか…………」


「そうさ、このアジトの人間は殲滅したよ」


「貴方、さっきは危なかったわね」


 ナタンが目を開けると、そこには黒いフード・マントを着た、帝国軍兵士が一人。


 そして、自らを睡眠スプレーで捕らえ、ナイフを頬に突きつけた、女性レジスタンス員が居た。



「はぁ…………君達は?」


 そう喋る、ナタンは助かったと安堵しながら、二人を見て呟く。


 その背後に回った、オレンジ髪の女性レジスタンス員は、彼を縛る縄をナイフで切る。



「帝国軍・憲兵隊所属のラハーラー・コウヤール…………」


「同じく、帝国軍・憲兵隊所属のイラクリ・パチュリアよっ!」


 彼等から憲兵隊と聞いて、ナタンは彼女もレジスタンス員に扮した、工作員だったのか。


 そう思い、一瞬唖然としながらもら立ち上がって、自身の手首を触る。



 右手首の縄で縛られていた跡を、左手で擦りながら、彼は再び二人に質問する。



「それで…………ここの存在が分かったから、襲撃したって、ワケか?」


「その次いでに、君を偶然にも助けてしまったのさ」


「その通り、場所を教えていたのは、私だったんだけどねーー」


 ナタンの質問に、ラハーラーとイラクリ達は、すぐに答える。



「いや~~? 自分でも気がつかなかったわぁーー? 私が帝国側のスパイで、潜伏工作員《スリーパー》だったって事実にさっ!」


『…………帝国兵だと気がつかなかった? どう言う事だ…………』


 ニカッと口を開いて笑う、イラクリの奥歯には、ギラリと鋭く光る犬歯が映えていた。


 そして、彼女の言葉の意味が分からず、ナタンは疑問に思う。



「はぁ~~?」


 ナタンは、帝国側のスパイとして、イラクリが潜入していた事は理解している。


 しかし、それは分かるのだが、彼女が言った自分が工作員だったと知らなかった。



 この事が、すごく気になり、彼女に質問しようとする。



「分からなかったとは?」


「ああ、帝国側に捕まってから洗脳されてたけど、その記憶は脳の奥底に眠らされてたのよ」


「それを特定の暗号を送信して、彼女の記憶を覚醒させて、こうして襲撃作戦の手引きをさせたのさ」


 ナタンの発した言葉を聞いて、イラクリは直ぐに理由を答えた。


 次いで、ラハーラーも同じく彼女自身が帝国兵だと分からなかった事を説明する。



「ん~~で、何で当たり前の事を聞くんだい?」


「あーー分かったっ!?」


『…………しまったっ!! 正体がバレたか…………』


 ラハーラーとイラクリ達は、目の前にいる、ナタンに怪訝な顔を向ける。


 帝国側の者ならば、分かっているはずの事実を、知らない彼を怪しく思ったからだ。



「貴方、まだ新人何でしょう」


「それなら、分からないのも無理ないか」


「そ、そうなんだ、まだ配属されたばかりでね? オマケにドジってしまっとさ、アハハ…………」


 イラクリとラハーラー達は、不要な質問をワザワザしてきた、ナタンを怪しんだが。


 二人は、彼を入隊したばかりの新人だと、都合よく解釈した。


 それにより、彼は正体がバレる事なく、再度の窮地を脱した。



「それより、ここのアジトが襲撃されたって事は他の場所のも…………」


「もちろん、掃討作戦が開始されたからねーー」


「近々、敵の大規模な反抗作戦が予想されたから、それに備えて、先手必勝で奇襲を掛けたんだ」


 ナタンが恐れていた、他の拠点が制圧されているかも知れないと言う予想だが。


 より最悪の形で、帝国側が行っていたと言う情報が、イラクリとラハーラー達から告げられた。



 また、教えられた事実により、帝国側も反抗作戦を察知していたことが分かった。



 アフレア地域から連合軍側が、大規模な上陸作戦により、ハンザへの上陸を行う。


 それを予期してか、帝国軍は都市部や森林に潜む、レジスタンス達の排除に力を入れだしていた。



「反抗作戦か、あっ! それより、もう行かなければっ!」


「出口は廊下を出て、右に有るから~~」

 

「何処へ行くんだい?」


 ナタンは直ぐに、二人から離れて仲間の待つ、拠点に戻ろうとする。


 彼に対して、出口を教えるイラクリと、行く先を問いただす、ラハーラー。



「何処へって、地上に…………」


「地上にか? なら、右の出口を抜けた先を、左に曲がれば階段が有るから、そこから上に行きな」


 ナタンは、取り敢えず地上だと答えると、ラハーラーは、階段の位置を教えた。



「分かった、有り難う…………それじゃあっ!!」


 ナタンは、二人と別れて、部屋の左隅にあるドアを開いて出て行く。



『…………メルヴェ達と早く合流しなければ…………』


 そうして、拷問部屋から出た、ナタンは走って、廊下を進んで行った。



 これにより、彼は無事にレジスタンス達からの拷問から助かった。


 それと同時に、一時的とは言え、帝国軍憲兵隊の追及から逃れることができた。

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