ブラジラ製、アグラレ・マルア軍用ジープから、二名の兵士たちが、激しい機銃掃射を行っている。
「敵は混乱しているっ!」
「今がチャンスだわっ!」
門型バーに備え付けられた、M2キャリバー重機関銃を撃ちまくる帝国警察隊員。
運転手役だった警察隊員も、PKTM車載機関銃を連射し続けていた。
「援軍に来たのは誰だろうかね? それより、ナタンとメルヴェ…………手を上げてくれ、教え子を撃ちたくは無いんだ」
「二人とも、動くと蜂の巣にするわよっ!!」
シャスポー銃を構える、フロスト中尉は真剣な眼差しと、柔和な笑みを浮かべる。
一方、ネージュ準尉は、P90を突きだすように構えながら、二人に対して怒鳴る。
また、シモーネを含む他の警察隊員たちも、銃を構える。
「くそっ! もう、諦めるしか無いのか?」
「ナタン、ここは大人しくしましょう…………」
ナタンとメルヴェ達は、それぞれの武器を捨てようとしたが。
「死ねっ! 二人とも、早くこいっ!」
「こっちに来るんだっ!!」
タカヤマは、土嚢に載せた、豊和20式小銃を連射しながら叫ぶ。
マフディも、FN、FALを単発連射しつつ、二人を援護射撃した。
「ぐっ? 余計な邪魔が入ったか?」
「ぎゃっ! 橫からか?」
「今だっ! メルヴェ、走るぞーー!」
「ナタン? 分かったわっ!」
左側からの射撃により、フロスト中尉が構える、シャスポー銃を握る手に銃撃が当たる。
ネージュ準尉も、橫からの奇襲を受けて、一瞬だけ怯んでしまう。
二人が隙を見せた事で、ナタンとメルヴェ達は、すぐさま部屋の奥へと逃げて行った。
「二人も行ったわね? そいじゃ、私も逃げますか」
「援護するっ! 早く走れっ!」
フランシーヌも余り目立たないように、戦場から逃走していく。
周りには、帝国兵が多数存在するが、これは全て幻でしかない。
こうして、彼女も、ナタンとメルヴェ達が逃げて行った部屋の中に入っていった。
「おい、おい、コイツは退散した方が良さそうだな」
「俺達の援護射撃は、無駄だったか?」
「いや、逃げる味方の時間を稼いでくれっ!」
「もう少しで、爆破任務が完了する…………」
クリスヴェクターを乱射するウェストと、ムーディAKMSを連射し続ける、ハキム。
二人の疑問に、タカヤマは答えつつ自らも豊和20式小銃で、単発連射を続けていた。
マフディは、右手に起爆スイッチを持ちながら、MAT49短機関銃を撃ち続ける。
「ぐ、ここは僕たちも部屋に逃げるぞっ!」
「はい、隊長っ!」
フロスト中尉とネージュ準尉たちに続いて、室内の真ん中に居た警察隊員たちは、部屋に逃げ込む。
「奴ら、隠れやがった? ここは、もう少し惹き付けるぞ」
「まだ、味方も後退しきれていないっ!」
マフディとタカヤマ達は、予想よりも敵が慎重に行動したので、予定を変更する。
思ったより敵が近づいて来ず、しかも多くの味方兵士が、未だ逃げ惑う。
こう言った状況では、流石に起爆はできない。
「敵を追い込めっ!!」
「追撃を仕掛けるっ!」
マーカーを楯にしつつ、シジセとヴィサル達は前進してくる。
もう一台のマーカーも、機銃と自動擲弾を撃ちながら走ってくる。
「ドミニック、トゥキリ、ペゼリッ! 我々は二人を援護するっ!」
「了解、隊長っ!」
「了解しました…………」
「援護射撃開始」
ウルシカ中尉は、塹壕と化した砲撃後に伏せると、FN、SCAR《スカー》ーHを単発で撃ち続ける。
それに続いて、ドミニックはAKー101の銃身下部からGPー25を発射した。
トゥキリは、AKー201分隊支援火器の二脚を置くと、機銃掃射を開始した。
ペゼリも、AKー101を単発射撃で敵を狙い撃ちしていく。
「砲撃するぞっ!」
「援護開始っ!!」
四人の後ろからも、KBPブルを装備した、帝国軍部隊が砲撃を始めた。
白煙は、既に霧散しており、帝国側からは連合側が、後退していく様子が伺えるようになっていた。
「ぐあっ! どわっ!」
「ぐぅぅ!?」
「ぐわっ! がああああっ!」
「が、ぐ、ぐぉ…………」
大量の機銃弾とグレネード弾により、連合側は逃げ遅れた、兵士達が吹き飛ばされてゆく。
殿を勤めていた、チィーナ軍兵士は、グレネード弾の爆発に巻き込まれる。
床を這いつくばって逃げていた、自衛隊員は、機銃弾に撃たれてしまう。
M16A3で、応戦しながら逃げている、連合軍兵士は、砲撃で体が宙を舞う。
グロック17を、二丁拳銃で撃ちまくっていた、アラビ人兵士は、何発もの機銃弾に体を貫かれる。
「今だわっ!」
「あ、おいっ!?」
MKPT車載機関銃を撃っていた、女性隊員は走り出す。
それを、後ろからキャリバーM50を撃ちながら援護していた男性隊員は止めようとする。
「ユーセフ、敵は待ってはくれないよっ!」
「待てよ」
黒くて薄いストールを何重にも顔に巻いて、ブラックベレーを被る女性隊員は黒髪を靡《なび》かせる。
黒いライダースーツのような服装に、グローブとコンバット・ブーツを装着している。
要は、全身黒尽くめだ。
左脇腹には、AK用の予備弾装を八個容れてある、リオ・ブルー色に塗装された、バッグがある。
百連ドラムマガジン専用である同じ色に塗装された弾帯を、背中側の腰に下げていた。
背中には、小さな灰色のリュックを背負っていた。
その右側には、竹刀袋が、左側には、ブレイザーR93タクティカルが握られていた。
これには、倍率調整可能スコープ、サプレッサー、折り畳み可能な小型三脚が装着されている。
ユーセフと呼ばれた、アラビ人隊員は彼女を追うだけで、手一杯だ。
「敵が走ってきたぞっ!」
「撃て、撃て、うぐっ!」
「遅いわっ!」
アラビ人兵士や連合軍兵士たちが、応戦するも、彼女が握るAK74に次々と撃たれてゆく。
これには、GPー34・サプレッサー・ダットサイトなど、様々な部品が装着されている。
「このっ! うぐっ!」
「だから、遅いってのっ!」
多数の兵士が射殺された後、AK74の弾が切れたと思った、黒人PMC要員はAKMを構える。
しかし、女性隊員は素早く、スタームルガーP85拳銃をホルスターから引き抜いて、発砲する。
「ぐぁっ!?」
「嘗めないでっ! こっちは歴戦の猛者よっ!」
「この距離なら」
黒人PMCを撃った後、黒尽くめの女性隊員は再度突撃する。
しかし連合軍兵士が、M4A1を構えて連射しようとした。
「うらっ! このぉーーーー!!」
「があっ? ぐお?」
女性隊員は、撃たれる前に左脚の膝を思いっきり蹴り上げ、次いで背中から竹刀を取り出す。
と同時、連合軍兵士は思いっきり、首を右側から橫凪に叩かれた。
「っと、敵の銃撃が激しいわねっ! ユーセフ、早く来てっ!」
「分かってる、待てよ?」
女性隊員は、床に伏せて敵の銃撃を避けようとして、ユーセフと呼ばれた男性隊員を呼ぶ。
彼は、頭に黒白の一松模様に染色された、シュマーグを被る。
さらに、その上にテュベテイカと呼ばれる、タタール民族が被る帽子を載せていた。
また、青と水色に黒い線が入った迷彩服と、同じ模様のタクティカルベストを着ている。
軽装兵なのか、彼は防弾プレートは身につけていない。
「今、これを使うっ!」
ユーセフは、ブッシュマスターM4A3を何発か撃つと、首からスリンズベルトで下げる。
そして、背中から取り出した、マンホール地雷・空中射撃型2を、三枚投擲した。
「ぐわああっ? ぎあっ!!」
「ぐえっ! ぐあっ! ご」
連合軍兵士やPMC要員を、回転するマンホール型地雷から放たれる、7、62ミリが襲う。
こうして、帝国側は、連合側を押していった。
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