【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

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デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第228話 戦闘終了後

公開日時: 2024年7月12日(金) 11:11
更新日時: 2024年7月14日(日) 21:43
文字数:3,616


 戦闘が終了すると、レオは内臓を損傷しているため、ヤドリアンとソイラに付き添われていた。



「レオ、生きていたか? 顔色が良くないな?」


「他の連中に死人は出てないか?」


「済まん、俺は途中から動けなくなったから分からないんだ」


 イェスパーとヴラウリオ達が、重傷を受けた、負傷兵に肩を貸して連れてきた。


 レオは、彼等に事情を説明しながら申し訳なさそうに呟いた。



「そうか、分かった、俺達も一緒に行く」


「コイツを助けねば、成らんしなっ!」


「ああ、負傷者のためにも、そうしてくれ」


 イェスパーとヴラウリオ達は、レオの後を追って歩いていく。

 

 その途中には、灰色に塗装された、ダビドIMV歩兵機動車が、二台路上に停車していた。



 PKT車載機関銃を搭載した、この二両は、やはり機関銃手に、ロボット兵アトラスを載せている。


 また、その奥には、ダビドIMV通信車が、一台だけ停車している。



 おそらくは、指揮官用の車体だろう。



「警戒を緩めるなよっ! まだ、逃げ遅れた敗残兵が残っているかも知れない」


「ああ…………特に、RPGには注意が必要だな」


「リオネーラ、グスターボ? 警戒は他の連中に任せろっ! お前たちも救護に向かえ」


 高速攻撃車両である、UAZ《ウアズ》ー469には、三人の兵士が乗っていた。


 車体には、前方右側に、PKP汎用機関銃を備えている。



 まん中には、 ポールマウントに載せられた、SPGー9に無反動砲が搭載されている。


 車体の後部左側には、AGSー30自動擲弾銃があった。



 それぞれの武装を、キューバル派遣部隊員が、引き金を握って警戒に当たっている。


 また、周囲に散会していた、二名の兵士たちに、ヤドリアンは指示を下す。



「はっ! 中を見てきますっ!」


「直ちにっ!」


 命令を聞いて、ドラグノフを構えていた、ブラックベレーを被る、リオネーラは走っていく。



 その前に、見えた姿は細顔に、大きくて丸い目に黒い瞳を持つ、若い黒人兵士だ。


 背中には、Sa《サ》23短機関銃をベルトのフックに着けている。



 一方、グスターボは、RPGー7Dを斜め上に向けて構えていたが。



 指示が下ると同時に、武器をSa《サ》23短機関銃に持ちかえて、直ぐさま走ってゆく。


 彼の容姿は、大柄で黒髪黒目を持つ、ラテン系白人男性だ。


 フェイスバイザー付きのエビテール型ヘルメットを被り、プロテクターを全身に装備している。



 そのため、RPG射手兼防弾兵であると思える。



「救急車が見えて来たぞ、確りしろよ?」


「もう少しよ、あと少し」


「心配しなくてもいい、死ぬほどじゃないからな」


 ヤドリアンとソヤラ達は、辛そうなレオを心配して言葉をかけた。


 そんな彼等は、装甲ガントラックであるパキートの左側を通り過ぎる。



 コイツの荷台には、砲塔に、ZUー23ー2機関砲が装備されている。


 また、後部側面に見える三つの丸い穴は、おそらく銃眼だろう。



「救急車って、アレだな?」


「そう、あそこの二台だっ!」


 レオが呟くと、ヤドリアンは二台並んだ装甲車を指差した。


 円に青十字の模様が、正面に画かれた、パンデュール1だ。



「ヤドリアン副隊長、こちらへっ! 救急隊員が待機していますっ!」


「アナイス、分かってる、今負傷者が来るからなっ!」


 パンデュール1救急車の裏から、褐色肌をした女性兵士が現れた。


 彼女に、ヤドリアンは答えながらも急いで、レオを連れていく。



 アナイスは、ステッチキン機関拳銃を、両側のホルスターに容れている。



 彼女は、褐色肌で焦げ茶色のロングパーマ、大きな黒い瞳に、キリッとした眉と大きな唇を持つ。


 灰色ベレーを被る、彼女は薄紫色の半袖シャツと青ジャケットを羽織り、青ズボンを履いている。



「確認しますが、負傷兵ですね?」


「ああ、だが、俺より向こうのが重傷だ…………」


 アナイスは、レオに声をかけたが、彼は後ろから連れて来られた負傷者を気にする。


 イェスパーとヴラウリオ達が、連れてきた兵士は、かなり重傷だからだ。



「分かりました、衛星兵っ!」


 アナイスは、衛星兵たちを呼ぶと、救急医療チームが走って来る。



「コイツは、酷い…………こっちの兵士は、近くの野戦病院に連れていく」


「ドローンを準備しろっ!」


 司教みたいな格好のリッチ&軍医リッチたちは、レオより重傷である負傷者を搬送しようとする。



「お前は、内臓を殺られているな…………一度、開腹手術をせねば成らん、麻酔準備だっ!」


「早急に、メスと内視鏡を準備しないとっ!」


 レオは、ヤドリアンとソヤラ達によって、長い四つ足に、車輪が付いている担架に載せられた。


 司教姿のリッチと軍医リッチ達は、急いで彼をパンデュール1救急車へと運ぶ。



「ああ、くそ…………眠るのか?」


 そう言いながら、レオは麻酔ガス用のマスクを、顔に装着されると、深い眠りに付いた。



「レオ、レオ? 時間だよ?」


「レオ、もう動けるだろう」


「カルミーネ、フロスト中尉…………」


 カルミーネとフロスト中尉の声が聞こえた、レオは目を覚ますと起き上がる。



「皆は? ミアやベーリット、レギナは?」


「落ち着いてくれ、今から説明する、それより早く起き上がるんだな」


 自らに被せられている、青い毛布を退かした、今の彼は白いシャツだけを着ている。


 フロスト中尉は、混乱しながら仲間たちの身を案ずる彼を落ち着けようとした。



「ここは、昨夜の戦闘で君たちが活躍した場所だ…………軍服や装備は、そこの武器ボックスの上に置いてある」


 フロスト中尉は、室内の窓側にある乱雑に積まれた、プラスチックケースを指差した。



「それで、仲間達は?」


「重傷者だらけだが、全員アンデッド、問題は無い…………」


 レオは自身が眠っていた間に、ミアを含む全員の安否が気になって仕方がない。


 そんな彼に対して、フロスト中尉は冷静に説明し始めた。



「しかし、ミネットは胸部損傷で入院中、また、首も斬られていたからね? 咄嗟に蔦で首は防御したようだし、アンデッドだから簡単には死ななかったようだが…………まあ、明日には復帰できるだろう」


「そうですか、それなら良かった」


 フロストは、重傷を負ったが何とか一命を取り留めた、ミネットの状態をレオに教えた。



「シェラは、かなりの威力が高い雷撃を受けたんだが、防弾鎧内に施された絶縁体のお蔭で、全身に重傷を負ったが、ギリギリで生きているよ…………彼女は何日か安静にして貰わないと」


「彼女も?」


 フロスト中尉は、レオに雷撃を受けた、シェラが入院中であり、早期復帰が困難であると説明する。



「現場に居合わせた、アスカリ部隊だが? ファルクは腹部重傷を受けて生死をさ迷っているそうだ? また、フェリシテと言う隊員は全身に大火傷を負ったらしいな」


「連中も、かなり殺られてしまったんですね…………」


 アスカリ部隊も被害を被ったことを伝える、フロスト中尉に対して、レオは昨夜の戦いを思い出す。


 敵味方双方が入り乱れて、乱戦により、陣営に関係なく、ともに多くの死傷者が出た。



 それを脳内に浮かべた、彼はボンヤリとする。



「それから、昨夜は敵兵を捕らえたようだね? 彼等には、これから戦力になって貰うよ、クク…………」


「そそ、ソイツらは? 昨日の連中ですね?」


「イッセン・トンバルバイ二等兵ですっ! RPGの射手ですっ!」


「カディアトゥ・ベアヴォギ二等兵っ! 今日から第三小隊のメンバーに成りますっ!」


 嬉しそうに、戦利品として滷獲した兵士たちを、フロスト中尉は紹介する。


 レオは、彼等の姿を見て驚きながら、氷壁や蔦網で連合軍兵士を捕らえていた事を思い出した。



 イッセン・トンバルバイを名乗る黒人男性は、服装が変わっていた。



 鼠色の上下制服に、青い肩章が備わり、青い弾帯ベストを腹に巻いている。


 頭に巻いていた、ヘッドスカーフも当然青色の物になっていた。



 ホロサイト、伸縮ストック、ハンドガード付きレイルシステム、フォアグリップなど。


 武器も、これらを装着した、AK47カスタムを両手に握っている。


 また、分割可能で、携帯が容易なRPGー7Dを背中に背負っていた。



 女性兵士である、カディアトゥ・ベアヴォギは、相変わらず、顔が見えない。



 フリッツ・ヘルメット、戦闘服は同じだが、迷彩模様が青と白などに変更されている。


 面を隠すためのマスクも、縁が青色で中側は迷彩に染められていた。



 彼女の迷彩服は、青・黒・灰・水色と、アルメア海軍デジタル迷彩に似た配色だった。



 膝や肘の、パッドや弾帯付き防弾ベストも、青色に塗装され直している。


 武器は、ダットサイト、フォアグリップを装着した、AKMカスタムを両手で持っている。



「彼等も、俺達の仲間になってくれたか…………」


「そうだ、それよりも部隊全員で動くぞ、今日は殲滅戦だっ! 兵器も用意したしなっ!」


 レオが小さく呟くと、フロスト中尉は興奮したのか、大きな声で叫ぶ。



「レオッ! カルミーネッ! これから、将校同士の話し合いがあるっ! それに、まだ仲間が来るぞっ! 急げ、着いてくるんだっ!」


 新たな仲間を得た、フロスト部隊は連合側を殲滅するべく行動を開始した。

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