【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

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デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第268話 鋼鉄の怪物

公開日時: 2024年7月12日(金) 13:09
更新日時: 2024年7月15日(月) 08:27
文字数:3,068


 巨大なホウルトラック、BeIAZ《ベルエーザット》ー75501は暴走しながら突っ込んでくる。



「虫達よっ! 頼んだわっ!」


「はっ! コックピットを狙うんだな?」


 ヤブローの噴出した、虻《アブ》や蟆子《ブユ》らしき、虫は羽根をバタつかせながら飛びさってゆく。


 これらの真っ黒い塊は、やがて、黄色い巨体左側をにある操縦席を覆ってしまった。



 それにより、ナタンは運転手を混乱させて、事故を誘発させるんだろうと考えた。



 二人の思惑通り、物凄い勢いで走っていた、ホウルトラックは蛇行運転を始めた。



「やった、倒したぞ」


「待てよ、ありゃ~~?」


「ゾンビだね、直ぐに撃つわ」


「こんな近くでっ!」


 BeIAZ《ベルエーザット》ー75501は、コントロールが効かなくなり、楕円形のBNPビルに突っ込んだ。


 ヤブローの虫達がなければ、後もう少しで、鉄条網を踏み潰しながら此方に突撃してきそうだった。



 ダンターは敵を撃破できて喜んだが、スタッロは荷台のダンプ部分が起き上がるさまを怪しんだ。


 そこから、ワラワラと出てきたのは、数十隊のゾンビ達だった。



「ウガアアァァァァッ!?」


「ガアーーーーー!!」


「うわ、この距離で来るのかよっ!!」


「何かデカイ奴も居るっ!」


 大量のゾンビ達に、筋骨隆々なマッチョ・ゾンビも混じり、一斉に突撃してくる。


 しかも、連中は鉄条網に引っ掛かった、仲間の上を乗り越えてくる。



 さらに、防弾板を殴り飛ばして、津波のように押し寄せてくる。


 それにより、白人民兵や連合軍兵士たちは、奴等から逃げようと、散々になって逃げていく。



「ここは、塞ぐっ!!」


「あっ! 待てっ!!」


「ガアアーーーー」


「逃げろっ! ぐゃっ!?」


「撃ちまくるんだっ!」


「グオオォォォォ~~~~!?」


「く、くく来るなっ! ぐぇ…………」


 混乱する連合側部隊を、ゾンビ達が背後から群れを成して襲いかかる。


 砲郭部分の入口は、内部からアラビ人兵士によって、防弾板で塞がれてしまう。



 それを見た、黒人民兵は大慌てで、パロワシアン通りへと走っていく。


 同じく、逃げていた白人PMC要員は、背中に飛び乗られて、頸動脈を噛み千切られてしまう。



 逃げずに反撃しようと試みた、アシュア系レジスタンス員は、M4A1を連射しまくる。


 離れた位置から、AK74を単発連射していた、連合軍兵士は、マッチョ・ゾンビに突進される。



「近づくんじゃないっての?」


「不味い、味方側が殺られているわっ!」


「後ろ側から来る奴等だけでも、倒さないと」


「援護しにいくっ!」


「俺もだっ!」


 火炎瓶を投げまくり、近寄ってきたゾンビから、グランマッシュは、スリングショットで倒す。


 メルヴェは、ベルクマンMG15を窓から機銃掃射しまくる。


 ナタンも、AMDカービンで、動く死体達を何度も撃ちまくる。



 そんな中、窮地に陥った味方を救いに向かうべく、スタッロがベランダから飛び出していった。


 ダンターも、ショートソードを片手に握ると、勇猛果敢に特攻していく。



「うらああああーーーー!? こっちだっ!」


「うおおっ!!」


 雑魚ゾンビは、銃や火炎に倒されていくが、マッチョ・ゾンビだけは、未だに動き回っている。



 連中を片付けるため、スタッロは両手に握るウォーハンマーを振り回した。


 ショートソードで、敵の脚や腕を斬っては、ダンターは逃げまくる。



「後は、マッチョ・ゾンビだけだっ!」


「ああ、だが包囲されたな」


「心配いらんさ」


「三人が囲まれたわっ!」


「援護しないと不味いっ!?」


 スタッロは、ウォーハンマーを振り回しては、マッチョ・ゾンビの顔を潰していく。


 ショートソードを両手に、ダンターは敵の頭を真っ二つにする。


 パチンコ玉を放ち、面玉から脳を射ち抜く、グランマッシュ。



 そうして、数が減った動く筋肉死体たちだが、いつの間にか、三人を取り囲んでいた。



 ナタンとメルヴェ達は、二人を助けようと、銃撃を強める。



 しかし、筋骨隆々な奴等は、手足が撃たれただけでは中々射殺できない。


 そこに、建物背後のコロニー通りから、トヨタ・テクニカルが猛スピードで回り込んできた。



「援護するよっ! 伏せなっ!」


「射撃開始だわ、やってやる」


 荷台の三脚に搭載された、デューシカ38重機関銃から、ナタリーは途切れなく火を吹かせる。


 カトリーヌも、デューシカ38歩兵支援用火器に着いた二脚を、トヨタの屋根に載せた。



「うわ、やべーー! 伏せろっ!」


「頭を下げなきゃっ!?」


「ひいぃぃぃぃっ! 味方に殺られちゃうわっ!」


「ガア…………」


「グオオッ! グオオオオ?」


 二人の猛烈な火力支援により、スタッロとダンター達は急いで身を伏せた。


 そうして、何体ものマッチョ・ゾンビ達は、大口径弾により、粉々に砕けていく。



「終わったな、もう大丈夫ですよっ!」


「後は、バリケードを作り直さないとね」


「これで、決着したのかしら?」


 運転手らしき、男性兵士が降りて来ると、地面に頃がった死体を蹴飛ばす。


 服装は、白に近いベージュ色と濃い茶色を中心に、薄い・灰・鼠・黄緑からなる迷彩服が目立つ。



 茶色い坊主に近い短髪の彼は、プーニハットをポケットから取り出して被る。


 ナタリーとカトリーヌ達も、武器弾薬をトヨタ・テクニカルから下ろし始めた。



「助かったのね?」


「また、帝国軍の攻撃が停止したな」


「だが、油断はできん」


 グランマッシュは立ち上がると、近くの防弾板を動かして、立て直し始める。



 ウォーハンマーで、ピクピク動めく、マッチョ・ゾンビの頭を、スタッロは思いっきり叩き割る。


 ダンターは、背中からタバティエール銃を取り出して、ホウルトラックの方に向けた。



「はぁ…………? 終わったのか?」


「取り敢えずね、疲れたわ」


 ナタンは、壁に背中を預けつつ肩から力を抜いて、緊張を解いた。


 メルヴェも、しゃがみこんで、額から幾つか汗を床に落とした。



「パトリシアは? 死んでいる…………」


「機銃弾に殺られたんだわ」


 ナタンは、パトリシアの声が聞こえない事を不自然に思い、彼女が居た場所に目を向けた。


 しかし、既に事切れた死体と化していたのを、メルヴェは確認した。



 どうやら、死因は複数の機銃弾が体を貫いた事で、後ろに倒れたと思われる。


 幸い、顔だけは綺麗なまま目を閉じており、まるで眠っているかのようだ。



「残念だ、優秀な狙撃手だった」


「…………本当ね、悲しいわ」


「援軍を呼んできたわっ! って、パトリシア?」


 ナタンとメルヴェ達は、パトリシアの前で、静かに十字を切った。


 そして、左腕に包帯を巻いた、フランシーヌがPMC部隊とともに現れる。



「ダメだ、死んでいる、担架の用意を」


 PMCのマミーが、パトリシアを見て、すでに死亡していると、判断すると部下たちを呼ぶ。



「フランシーヌ、見えないと思ったら援軍を呼びに行ってたのか?」


「ああ、ヤバそうだから、こっちに何人か回して貰いにね…………だが、遅かったようだわ」


「いいえ、貴女は頑張っただけよ、ただ彼女は天に行ってしまったわ」


 ナタンは、フランシーヌに質問すると、彼女は残念そうな表情で詳細を語る。


 それを聞いて、メルヴェも悲しげな顔をしながら立ち尽くす。



「装甲ブルドーザーは、まだか?」


「それより、死体を片付けないとっ!」


「路上の武器は屋内に入れろ」


「敵の的になるからな、急がんと」


 インディオ系PMC要員が、軽迫撃砲を抱えながら外を走る。


 死体に、火炎魔法を掛けては、ヒンド系レジスタンス員が動かなくなった、ゾンビ達を焼き付くす。


 連合軍兵士とイズライル軍兵士は、手作り式ガトリングを屋内に運び込む。



 こうして、連合軍側は、帝国軍による第二次攻勢を何とか食い止めたが、その被害は甚大だった。

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