【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第10話 危険な罠

公開日時: 2024年7月8日(月) 13:44
更新日時: 2024年7月22日(月) 12:47
文字数:3,840


 ジャン・デュブリュック通りに向かって、ナタンとメルヴェ達は、並んで歩いていく。


 今の二人は、帝国兵に変装しているため、彼等が敵だと誰も思わない。



「戦車が走っていく」


「でも、もう私達を狙っては来ないでしょう」


 ナタンとメルヴェ達は、Tー80U戦車が動き出したので、そちらに注目する。


 きっと、レジスタンス部隊を蹴散らした事で、移動していくのだろうと、二人は思った。



 だが、いきなり戦車の近くで、コンクリート片が大爆発を起こす。


 次いで、矢継ぎ早に、RPGー弾が四方八方から発射される。



「うわあっ!?」


「があああたーー」


 帝国軍兵士たちも、砲撃や偽装爆弾を喰らって、黒煙と爆炎で、アチコチへと弾き飛ばされる。


 赤い乗用車やコンクリートを破壊しながら、RPGー弾は、道路に降り注ぐ。



「うわ、レジスタンス側の奇襲だっ!」


「これは、不味いわっ! こっちよっ!」


 ナタンとメルヴェ達は、二人とも急いで、隣の白い両ドアを開いた。


 だが、そこに味方であるはずの帝国軍兵士たちが、何故かAKMを撃ちながら走ってきた。



 そして、中に入ろうとする寸前の彼等を射殺せんと、小銃弾を浴びせてきた。


 しかし、運良く弾は当たらず、何とか彼等は屋内に逃げ込むことが出来た。



「レジスタンスが変装しているぞっ!」


「クソ、誰が敵なんだっ!」


「BTRーが、二両とも破壊されたぞっ!?」


「帝国軍部隊は、動揺しているな…………よしっ! すぐに、次の行動に移れ」


 帝国軍兵士は、AK74を乱射しながら、敵と思われる味方に変装している者を撃つ。


 機関銃手も、周辺で怪しい動きをしている者を、MG3で機銃掃射していく。



 そんな中、RPGー弾か、コンクリート片に偽装された爆弾か、分からないが装甲車も破壊された。


 帝国側が、突然の奇襲攻撃に慌てる中、ジスタンス・リーダーは、状況を冷静に分析していた。



「BTRーの応援が来たのか? RPGー部隊は下がらせて、梱包爆薬で対処しろっ!」


「分かりましたっ!!」


 レジスタンス・リーダーは、二人が隠れた、建物の隣にある、ビル屋上から地上を観察する。


 双眼鏡を、右手に握る彼は、冷静に背後に控える部下たちへと指示を出す。



 そして、敵の動きを封じるために作戦を練った、彼から命令が下ると、レジスタンス達は動いた。


 部下の一人が、信号拳銃を撃つと、真っ赤な煙が空へと上がってゆく。



「RPGーの攻撃が止んだぞ?」


「敵は、撤退したのか?」


「いや、まだだ…………気を抜くな」


「そうだ、まだ敵の変装部隊は逃げてないからなっ!」


 スコープ付きAKMを持っている、帝国側の選抜射手は、いきなり砲撃が収まって、気が緩む。


 RPKー74を両手に構えていた、分隊支援火器手も、銃口を下げてしまった。



 しかし、そこに再びレジスタンス達が、帝国兵に化けて、襲撃を仕掛けてきた。



 略帽のレジスタンス員は、突然AKMを乱射しまくり、敵を何人も射殺する。


 野戦帽のレジスタンス員は、ミニミ分隊支援火器を連射しまくり、敵を混乱させる。



「リーダー、敵の援軍ですっ! 装甲車が走って来ましたっ!」


「分かったっ! あのBTRを撃破しろっ! その隙を突いて、撤退するっ! 全員、準備を整えろっ!」


「はっ! 了解です」


 一人の黒人レジスタンス員が走って来ると、新たな敵が出現したと報告する。


 そして、リーダーの下した命令に従い、部下たちは機敏に行動を開始した。



 再び信号拳銃を持った、レジスタンス員が、弾丸を上空に放ち、今度は緑の煙を噴出させる。


 これは、撤退開始の合図であり、それを見た各員は敵を攻撃しつつ、何処かへと消えていく。



「不味いな? 戦闘が激しくなっている」


「これじゃあ、外には出られないわね?」


 ナタンとメルヴェ達は、レジスタンス側の攻撃により、迂闊に路上へと出られなくなってしまった。


 機銃弾が飛び交う中、レジスタンス員たちは巧みな機動で敵を翻弄しては、次々と襲いかかった。



 ジュビレ通りから現れた、BTRー90装甲車に対しては、素早い肉薄攻撃が開始される。


 その砲塔へと、帝国兵に変装している、レジスタンス員が、梱包爆薬を投げつけた。



「やったぞっ!」


「離れるんだ」


 敵味方が分からないBTRー90は、30ミリ機関砲を撃てないで、走行していた。


 そんな中、車体上部にある砲塔が爆破されて、車両による脅威を排除された。



 これを行った、レジスタンス部隊は、直ぐに建物の中へと逃げてゆく。



 ウシャンカ帽のレジスタンス員は、H&K、G3を乱射しつつ走る。


 フリッツ・ヘルメットのレジスタンス員は、ベカス散弾銃を、何度も撃っては逃走する。



「はあ…………戦いが終わりそうだな」


「これで、私達も安全にっ!?」


「帝国兵っ! 撃ち殺すっ!」


「クソ、こうなったら殺るだけだっ!!」


 白いドアに付けられた窓から、外を眺めていた、ナタンは頭を下げてから呟く。


 メルヴェも、床に腰を下ろして、事態が収まるまで、じっと動かずに待とうとした。



 そう呑気に構えていた、二人だったが、そこに変装している、レジスタンス部隊が現れた。



 制帽を被るレジスタンス員は、グロック19を連射しまくってきた。


 青ベレー帽のレジスタンス員は、AK74を左右に振って、乱れ撃ちしてくる。



「うわわっ! 喰らえっ!」


「不味いわ、反撃しないとっ!」


「うげえっ!?」


「ぐあっ! ぐ…………」


 咄嗟の反撃で、ナタンはM4カービンを撃って、制帽を被る、レジスタンス員の胸に風穴を開ける。


 メルヴェも同じく、青ベレーを被るレジスタンス員の腹に、何発も銃撃を加えた。



 これにより、遭遇戦となったが、無事に敵を撃退する事ができた。


 しかし、変装していた、レジスタンス達は、本来ならば味方のはずである。



「まさか、二回も味方に殺られそうになるとわな」


「ここも、安全じゃなさそうだわ? 奥に行きましょう」


 そう言って、ナタンとメルヴェ達は、入口から離れて、奥へと立ち去ろうとする。


 その背後からは、銃声と爆発音が木霊しつつ、双方が悲鳴と怒号を上げていた。



 帝国軍部隊も、レジスタンス側の猛攻を前に苦戦しつつ、徐々に撤退を余儀なくされていた。


 レジスタンス・リーダーは、勝利の兆しを感じたが、同時に敵の反撃や増援が来ることを考慮した。



「味方は全員退散したようだな? 我々も撤退だ、時期を見誤れば、殺られてしまう」


 レジスタンス・リーダーは部下たちに撤退を促したあと、自らも屋上から素早く去ろうとする。


 こうして、彼等も最後まで、味方部隊が戦場を駆け巡るのを見届けた。



「ここまで来れば、どちら側にも出くわさないだろう」


「だと良いけど…………いえ、そうじゃないと、安心できないわよ」


 ナタンとメルヴェ達は、建物の奥で密かに潜伏して、一休みしようと考えた。



「はっ! 帝国兵っ! 知らん顔だ、味方じゃないなっ! 撃ち殺せっ!!」


「了解しましたっ!!」


「さっさと、射殺しろっ!?」


「うげっ! レジスタンスが来たわっ!」


「不味いなっ!!」


 レジスタンス・リーダーは、ウージー短機関銃を撃ちまくってきた。


 その背後から、赤ベレーを被る白人レジスタンス員は、AK47を滅茶苦茶に撃ちまくる。


 黄緑色の野戦帽を被る、黒人レジスタンス員も、M16A1を横凪に連射してきた。



 それに、慌てて反応した、メルヴェは外に向かって、ひたすら走ってゆく。


 ナタンも銃撃を回避せんと、道路を目指して飛び出していった。



「逃がすかっ! 撃ち殺してやるっ!」


「待ちやがれっ!!」


「放置しろっ! 俺達は、逃げねばならんっ!」


「こっちこそ、逃がさないわよっ!」


「殺られるかってんだっ!!」


 赤ベレーを被る白人レジスタンス員は、AK47が、弾切れになるまで撃ちまくった。


 黄緑色の野戦帽を被る、黒人レジスタンス員も、M16A1を左右に振るいながら連射する。



 レジスタンス・リーダーだけは、二人と違って、何処かへと退散していく。



 メルヴェは、路上に出ると踵を返して、M4カービンを撃ち返した。


 ナタンも、反撃のために彼女と同じく、外から中に向かって、銃を乱れ撃ちしまくる。



「ぐああっ!」


「ぎゃあっ!」


 赤ベレーを被る白人レジスタンス員は、AK47を床に落としながら、フラりと前のめりに倒れた。


 黄緑色の野戦帽を被る、黒人レジスタンス員も、力なく真後ろに転んだ。



「はあ? 終わったか?」


「見たいね…………」


「動くなっ! お前ら、レジスタンスの変装部隊だろうっ!」


 ナタンとメルヴェ達に、いきなり野戦帽の兵士が、AK12を向けてきた。



「中を見ろ、レジスタンスが死んでるぞ」


「私達は、味方よ」


「…………本当か?」


「ソイツらの言っている事は、本当だっ! ここに死体がある」


 ナタンとメルヴェ達を、未だに信用しない野戦帽の兵士だったが。


 ブルータイガー迷彩服を着ている兵士が、三人の背後から声をかけた。



「どうやら、本当に味方のようだな?」


「そう言ってるでしょ」


「じゃなきゃ、とっくに引き金に指をかけてるぞ」


 野戦帽の兵士に対して、メルヴェとナタン達は愚痴を溢した。



「済まなかった…………俺は周辺を調べてくる」


「分かったわ」


「じゃあ、俺達は付近を捜索するからな」


 そう言って、野戦帽の兵士は気まずそうな顔をしながら、立ち去ろうとする。


 彼の背中を見ながら、メルヴェは早く行けと言う顔を向け、ナタンも肩から力を抜いて立ち尽くす。



「もう、戦闘は勘弁だぜ…………」


「同感よ、もう今日は疲れたわ」


 ナタンとメルヴェ達は、緊張が解けて、どっと溜まっていた疲れを全身から感じた。


 だが、戦闘を終えた今、二人は帝国兵に混じりながら、無事に目的地へと向かえるのだった。

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