【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

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デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第191話 追跡者を振り切れっ!

公開日時: 2024年7月11日(木) 22:39
更新日時: 2024年7月14日(日) 10:02
文字数:3,919


「カルミーネが行ったわっ!」


「なら、後はどっち…………!!」


 離れてゆく、カルミーネのバイクに向かって、メルヴェは、M60を機銃掃射する。


 何回も放たれる弾丸は、路上の雪を吹き飛ばしまくる。



 それで助かった、ナタンY字型の特殊な交差点を、左右どちらに曲がるか迷う。



 だが、そんな彼は、ある物を見た。



 緑色に塗装された、装甲板を貼りまくった、ダフ、トラックが左側の斜め前から走ってくる姿だ。



「左側に行く、メルヴェ、後ろは頼んだっ!」


「え? 分かったわ……て言うか、さっきから既に?」


 左側の道に、ナタンはヤマハ・グリズリーを曲がらせると、メルヴェも後ろを見た。


 そこには、車体全部を追加装甲で覆い、窓ガラスには金網を何重にも貼った、トラックの姿がある。



「ヤバい、ぶつかるっ!」


「……前に、逃げてゆくんだっ!」


 ナタンとメルヴェ達は、装甲トラックが来る前に、必死で曲がり角を走り抜ける。



「うわっ! みんな、止まってくれっ!」


「アレは不味いわっ!?」


 ダフ、トラックを前にして、流石に勝ち目がないと思った、カルミーネはバイクを止めた。


 レギナも、バイクを止めると直ぐに建物へと走って行った。



 他の面々も、乗り物を急停車させたりしながら逃げ出し、近くにある建物内へと飛び込む。



「装甲トラックだわ……これじゃ、ナタン達は終えないわね?」


「いや、行ってしまったぞ?」


 ダフ、トラックは、ナタン達が行った先に進路を向けて走ってゆく。


 その左側からは、装甲板が貼られた銀色コンテナからM2重機関銃が火を吹きまくった。



 銃声とともに、辺りの雪や建物に、弾丸が当たる度にコンクリートが削られる音が鳴りまくる。


 そんな中、ミアとレオ達は、道路左側にある弁護士事務所ビルの入口から様子を伺う。



「…………ヤバかったわね? どうする? 追撃する?」


「あんな、巨大装甲車、対戦車ミサイルがないと戦えないわよ?」


「まあ、今は無理だな……応援が来るまで待とう」


 ベーリットは、左側の屋内駐車場から、ポッドバイクを運転しながら出てきた。


 そうして、風防を上げると、車体から降りて仲間たちと、どうするか話し合おうとする。



 右側の屋内駐車場からは、カルミーネとレギナ達が出てきて、追撃は断念しようと言いだす。


 流石の彼らも、対戦車用武器が無しでは、装甲車両は破壊できないからだ。



 一方、ボンテ通りに逃げ込んだ、二人は後ろを走るダフ、トラックが気になった。



「後ろのは味方だよな?」


「そうよ、安心して」


 左側には、コンピューター・サポート・サービス店のビルがある。


 右側には、トーン・ホテル・ブリストン・ステファニーがある。



 そこを左側に曲がれば、ルイーズ通りだが、ナタンとメルヴェ達は、話し合いながら進む。



「ここは広い、狙撃手やRPGに注意してくれっ!」


「そうね…………どこに敵が居るかは分からないからね」


 ルイーズ通りには、右側に雪被る木々が植えられていた。


 その反対側には、いくつか建物が並び、シュタイゲンベルガー・ウィルチャーズ、ホテルがある。


 また、それらの手前にある歩道には、左右どちらにも色んな車が停車していた。



「RPGーだっ! 気をつけろっ!」


「ホテルからだわっ!」


 二人が、ホテルのU字型・道路に差し掛かった際、突如奇襲を受けた。


 ナタンとメルヴェ達は、すばやくヤマハ・グリズリーを移動させながら銃撃で撃ち返す。



 彼女が、M60を滅茶苦茶に乱射しながらだ。



 そうして、敵の奇襲を切り抜けた、彼等は無事ホテルから離れてゆく。


 しかし、後ろを走っていた、ダフ、トラックは何発ものRPG弾を喰らってしまう。



「うわっ! 繁みからだっ!」


「アレは交わせないっ!」


 U字型道路の間には、雪被る繁みがあり、そこからドライアドが突然たち上がる。

 

 そうして、奴は灰色の長筒であるRPGー29から弾頭を放った。



 それは、ダフの荷台コンテナ後部を吹き飛ばしてしまった。



 さらに、他にも白いホテルの上からは、RPGー7による攻撃が四方から飛んでくる。


 V字型のホテルは、屋上や窓に潜んでいた、帝国兵が、何発も弾頭を撃って攻撃を継続する。



「このままじゃ、殺られちまうぞっ!」


「いえ、他のRPGは直撃してないわっ!」


 ヤマハ・グリズリーを走らせ続け、敵の奇襲から無事に逃げ延びた、ナタンは愚痴る。


 しかし、メルヴェは冷静に後ろを力強く走るダフを見守る。



 そのコンテナには、何重にも貼られた装甲板がある事で、通常型RPGが貫通しない。


 つまり、爆破はされても、外側の追加装甲しか壊せてないのだ。



 さらに、中からも、四つの銃眼からM2重機関銃による強烈な反撃が開始される。



 斜角の関係で、上層階に潜む帝国兵を攻撃できなかったが。



 それでも、下層階に居る連中を牽制する事には成功した。



 こうして、ガントラックは損傷を受けながらも、二人を追ってこれた。



「無事に逃げたようね」


「だったら良かった」


 敵の奇襲を振り切った、ナタンとメルヴェ達は、円形交差点を進む。


 ここは、特殊な形状をしており、左右にある建物が斜め後ろから続く道に沿って、斜めに建ち並ぶ。



 二人は、右側から中央の道へと道路を回り込むようにして、ヤマハ・グリズリーを走らせる。



 その後に、ダフも続いてくる。



「ここは不味いな、ヤバい雰囲気が漂っていやがる」


「狙撃兵と特技兵が潜む、可能性が大だわ…………」


 クリーム色の大きなビルが右に、大小様々な建物が左に建ち並ぶ。



 ここの道路は、明らかに奇襲に適している。



 ナタンとメルヴェは、走る速度を上げながらも奇襲に備えて屋上に眼を配る。


 だが、やはり奇襲により、RPG弾が大きなビルから何発も発射された。




「RPGだっ! 凄い数だぞっ!」


「これじゃ、当たっちゃうわっ!」


 右側にある大きなビルからは、窓や屋上から大量のRPGー弾が飛んでくる。


 それに混じって、RPKやPKPと言った機関銃類も、帝国兵が射ってくる。



 また、AKを乱射する兵士や、ドラグノフで狙ってくる狙撃兵も存在した。



 ナタンとメルヴェ達は、上から雨のように降り注ぐ、銃撃とRPG弾に慌てる。


 この攻撃を掻い潜るべく、ヤマハ・グリズリーは速度をグンと上げた。



「このままだと、殺られちまうっ!」


「いえ、大丈夫よっ! 味方だわっ!」


 左側にある、さまざまな建物から民兵たちが銃を撃ち始めた。



 屋根や、屋上からは狙撃用の猟銃やAKを構える民兵たちが、帝国兵を撃ちまくる。


 出窓と、その上にあるベランダにも、散弾銃やRPGー7を構えた、民兵が居る。



 また、屋根から出ているドーマー窓からも、クロスボウが出ている。



 焦りだした、ナタンに対して、メルヴェは冷静に味方の存在を伝える。



「こっちも撃ち換えさないとねっ! キッチリ、礼は弾むわよっ!」


「ああ、やっちまってくれっ!」


 メルヴェは、M60で帝国兵が銃を撃ってくる窓を狙って何発も銃弾を発射する。


 大きな建物の窓を撃つと、次は出窓を、さらにベランダに銃撃を加えてゆく。



 そうして、彼女が射撃を続けている間に、ナタンは、ヤマハ・グリズリーを一気に加速させた。



「ダフは、どうなっている?」


「まだ、健在よっ! RPGを何発か喰らった見たいだけどっ!」


 ナタンは、自分たちの後ろを走るダフ、トラックが無事か、メルヴェに聞いた。


 彼女が確認すると、何重にも貼られた装甲板がRPG弾の直撃を防いだらしく、まだ動いてはいた。



 とは言え、荷台に積んだ装甲コンテナは、かなりボロボロになったいた。


 それでも、M2キャリバー重機関銃から弾が途切れる事は無い。



「ん、アレは…………シュヴァルツ・リッターッ! それに、オーガーだわっ!」


 通りすぎてゆく、建物の屋上にPKPを抱えながら連射しまくる、シュヴァルツ・リッターが居る。


 また、オーガーは茶緑色に塗装された、バズーカー型の武器を肩に担いで立っている。



 メルヴェは、連中を撃とうとするが遅かった。



「AT4? ジャベリン?」


「んん? どうした…………」


 メルヴェが口にしたのは、西側諸国や現連合軍などで、主に使用されている対戦車用武器だ。


 急に、M60から連続で聞こえていた発射音と、空薬莢を排出する金属音がなくなった。



 それに、ナタンは違和感を感じて、彼女に問いかけた。



「うっわ…………!?」


「な、何が起きたっ!」


 直後、オーガーはバズーカ型の武器RPGー28を発射した。


 この一撃は、ダフの荷台コンテナに直撃して、完全に吹き飛ばしてしまった。



 そのあまりにも、高い威力に、メルヴェが戦慄していると、後ろが見えないナタンも動揺する。



 だが、それでも残った荷台コンテナの残骸が燃えてはいた。


 しかし、牽引トレーラーを即座に切り離した、トラックは道路を走り続ける。



「運転席だけが、残っているわっ!」


「はあ? なんだよ、それ」


 ナタンとメルヴェ達が話し合う中、オーガーは次の武器を取り出す。


 これも、先ほど使用した武器と同じく、バズーカー状の筒型であるが、大きくて長くもなかった。



「また、撃って来たわっ!」


「じゃ、逃げるぞっ!」


 しかし、ミサイル型の弾頭が発射されると、メルヴェはナタンに警告する。


 それを聞いて、彼は全速力で、ヤマハ・グリズリーを走らせた。



「ぐわああああっ!」


「ぎゃああーー!!」


 ミサイル型の弾頭は、出窓とベランダから銃撃していた民兵を吹き飛ばす。


 ベランダに立つAKMを撃っていた民兵は、砲撃で吹き飛び、燃えながら三階から地上に落下した。



 また、その下に居た、RPGー7を構えていた民兵は全身を真っ赤な炎に包まれつつ倒れた。


 オーガーが放ったのは、焼夷兵器と言われる、RPOシュメーリ、ロケットランチャーだ。



「ヤバ…………燃えているわっ!」


「だったら、逃げるぞっ!」


 ナタンとメルヴェ達は、戦場から離れるべく、さらに、ヤマハ・グリズリーを加速させた。

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