【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第24話 次のアジトまでの道程は地獄への死出の旅路を通らなければ成らない…………

公開日時: 2024年7月9日(火) 13:26
更新日時: 2024年7月12日(金) 22:39
文字数:3,364


「誰か居たか…………」


「レジスタンスの姿は見えません?」


「何も発見出来ません」


 地下道内を巡回する、帝国警察部隊が、ナタン達レジスタンスの行く手を塞ぐ。



 この暗い地下道は、地下墓地《カタコンベ》へと続いているが。


 ここを通らなければ、別のアジトへは辿り着けない。



 しかし、行く手を阻み、まるで、カタコンベを守護するように警察隊員が立ち塞がる。



 アンデッドである、帝国警察部隊員達は、十二人と数が多い。


 対する、ナタンを含むレジスタンス達は七人と人数が少ない。


 それに、帝国警察特殊部隊員の方が、装備・能力ともに上であり、さらに練度と士気も高かった。



「アイツ等、ゾンビ兵やヴァンパイアだけじゃなく? シュヴァルツ・リッターも居やがるぜ」


 レジスタンス員が、敵を観察して、大きく重苦しそうな黒鎧に身を包んだ、不気味な兵士を見た。


 それに、険しい視線を向け、彼は敵から発見されないように小さな声で呟く。



 シュヴァルツ・リッターと呼ばれた兵士は、黒い鎧を着こみ、MG42汎用機関銃を構えていた。


 背中には、大剣と大楯を背負い、見るからに強く、半端な攻撃は効きそうに無い外見をしていた。



「何としても、ここを通らなければ成らないのだが、これでは? 仕方ない、爆弾を仕掛けろ…………ナタン、メルヴェ、敵の注意を惹いてくれっ!」


 アラビ人である、ハキムは小さな声で呟き、仲間達に、C4爆弾と地雷を仕掛けろと指示を出す。


 もちろん、ナタンとメルヴェ達にも、彼から命令は下された。



「他の道は無いし、どの道敵と戦わなければここは通れない…………」


「爆弾の設置が完了しましたっ!」


 ハキムは未だ、カタコンベの入り口を塞ぎ続ける敵を警戒していると。


 仲間のレジスタンス員から、爆弾設置が完了したと告げられる。



「ハキム…………俺達は何時でも行ける」


「奴等の注意を惹けば良いんでしょう?」


 奇襲攻撃の準備が出来た、ナタンとメルヴェ達は敵から注意を惹こうとする。


 そして、地下道から、何時でも飛び込めるように、銃を構えて姿勢を低く身構える。



「ナタン…………行くわよっ!」


「ああ…………分かった」


 メルヴェは、両手にUTSー15散弾銃を構えて突撃する。


 ナタンも、FAーMAS自動小銃を構えて、突撃して行く。



 メルヴェが発砲した散弾は、帝国警察隊員たちの体を、次々と薙ぎ倒して行く。


 ナタンが発砲する5、56ミリ弾も、帝国警察隊員たちの体に貫通して、無数の風穴を開けていく。



「ここに居たかっ!! レジスタンス!」 


「敵だ…………発砲しろ…………」


 帝国警察隊員の下士官と隊員達は、体を貫く銃弾を物ともせずに反撃してきた。


 警察隊員たちは、銃を発砲しながら、シュヴァルツ・リッターの背後に隠れる。


 次いで、巨体を楯にしつつ、左右から銃弾を撃ち放ってくる。



 突然の奇襲に、警察隊員は驚いたが、すぐさま、一旦態勢を立て直した後、反撃に移ろうとした。



「メルヴェッ! もう良い退却だっ!!」


「ええっ! ナタン、どうやら充分に惹き付けた様ねっ!」


 暗い地下道内から、ナタンとメルヴェ達は、互いに叫び合う。


 カタコンベの入り口前を警備していた、帝国警察部隊員に銃撃を加える。



 仲間たちが待つ、奥の地下道へと、互いに援護しながら後退した行く。



「全身する、後に続け…………」


 シュヴァルツ・リッターは、背後に隠れていた、警察隊員に告げる。


 背中から、防弾仕様の大楯を取り出して、左手で構える。


 右手には、MG42汎用機関銃を握りしめ、滅茶苦茶に乱射しながら、ゆっくりと歩き出す。



「デカ物が食い付いたなっ!」


「そう、良い子ね…………早くこちらに来なさい」


 警察隊員を、大勢引き連れて、攻撃してきた、シュヴァルツ・リッターは二人を殺そうと歩き出す。


 奴に対して、ナタンとメルヴェ達は、振り向き様に銃撃を加えながら走り、後退して行く。



「ナタンとメルヴェを援護しろっ!」


 レジスタンス達も、短機関銃や自動小銃で、二人の援護を始める。


 こうして、帝国・レジスタンスと、双方は激しく戦いだした。



 そして、相互に激しい銃撃を、地下道内の右へ左へと飛び交わせる。



 また、レジスタンス達は、応戦しながら徐々に後方へと下がっていく。


 警察隊員は、シュヴァルツ・リッターを、全面に押し出して、前進して来る。



「今だっ!! 爆破しろっ!!」


 ナタンが叫ぶと、レジスタンス員は、起爆装置を作動させて爆弾を爆破させる。


 そして、シュヴァルツ・リッターの両脇で、強烈な爆風が炎とともに発生する。



 すると、警察隊員たちは、爆風と飛び散った破片に殺られてしまう。


 さらに、天井から降り注いだ土砂の下敷きになって、ペチャンコに潰れてしまった。



「ケホッ! ケホッ!」


「うっ! ぐふぐふっ!」


 飛び散った土砂の土埃を吸い込んだ、ナタンとメルヴェ達は苦しそうに咳き込む。


 また、二人は仲間たちの姿を確認しようと、後ろにある地下道に目を向ける。



「皆ぁーー? 無事なのか…………」


「無事なら返事をしてぇーー!」


 土埃が、暗い地下道内を舞い、視界を遮る中で、ナタンとメルヴェ達は叫ぶ。


 すると、土埃の向こうから、大きな声がで返事が木霊した。



「こっちは無事だっ! しかし爆風の威力が強すぎたな…………退路が塞がれてしまった、仕方が無いから引き換えして他のルートを辿るぞっ」   

  

 ハキムの声が、向こう側から聞こえて来て、二人は安心した。


 そして、声が聞こえる方へと、二人は土埃の中を進み、レジスタンス仲間達と合流する。



「ハキム? 次は何処に向かうんだ」


「早くしないと、また敵の警備や増援が来るわよ?」


 ナタンとメルヴェ達は、レジスタンス部隊を率いる班長である、ハキムに対して質問する。



「取り合えず来た道をまた通って今度は別のルートを…………昔の防空壕を通りアジトを目指す、分かったか? ならもう行くぞ」


 ハキムは、レジスタンス達を率いて、今まで辿って来た道を引き返す。


 ナタンとメルヴェ達も、彼の指示に従い、黙って着いていく。



 暫くの間、彼らは一言も喋らずに、地下道で気を張り詰めて、警戒しながら進む。


 敵は、今のところ確認できないが、誰も油断はしていない。

 

 彼等は、バッタリと出くわしても良いように、いつでも戦闘するために銃を構えて歩く。



「ここは何だか寒いな…………」


 ボソリと呟く、ナタンは、またも唐突に強烈な不安感に襲われる。


 彼の脳内には、死に対する恐怖と自分が帝国兵に捕まる姿が浮かぶ。



「…………撃たれた? 死んだ? 誰が…………僕が!? いや生きているだけど…………誰かが僕を抱き抱えて連れて行く? 血塗れの僕を謎の帝国兵が? 胸元までしか見えず顔は分からないが確かに連れて行く! …………」


 ナタンは、幻覚か夢かは分からない、映像を脳内で思いだし、そこから意識を反らせないでいた。



「…………これは幻影だろうか? それとも夢悪なのか…………誰かが叫んでいる…………誰何だろう答えなきゃ…………」


 ボンヤリとしていた意識から、はっと我に返った、ナタン。


 彼は、自分を揺さぶる、黒髪ショートヘアの女性に目を向ける。



「…………タン? タン、ナタンッ!」


「っ!? メッ? …………メルヴェ?」


 ナタンは、眼前に立っている、メルヴェの顔を見て、一呼吸して緊張を解く。



 戦っている時よりも、彼は何時、敵が襲って来るか分からない時間の方が恐怖を感じる。


 周囲を警戒している長い静かな時が、逆に怖くて堪らないのだ。



「どうしたの? また不安に成ったのね、確りしてよっ! 戦いは始まったばっかりなのよ?」


「あ…………あ? あっ! 済まない…………どうかしていた、君の言う通り気を確り引き締め無いとな…………」


 ナタンとメルヴェ達は、共にレジスタンス達が作った、列の最後尾に並ぶ。


 それから、二人して小さな声で、話し合いながら進んで行く。



 やがて、地下道の奥に、鋼鉄製ドアが姿を現し、それをレジスタンス員が開けようとすると。



「何だっ!」


「罠だっ!! 放れろーーーー!!」


 レジスタンス達が不思議がっていると、仲間が叫ぶが、もう遅い。


 転がって来た閃光手榴弾は炸裂して、大きな破裂音と眩い光を放った。



「ルキ・ウェルヒッ! 帝国警察特殊部隊だっ! 投降しろっ! さもないと、貴様らは全員撃ち殺す」


 ナタン達レジスタンスは、一瞬の内に目と耳を、閃光手榴弾が炸裂した、光と音にやられた。


 さらに、罠を張り、待ち構えていた、帝国警察部隊に銃を突き付けられた。

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