丸みを帯びた天井を持つ、鉛色の地下防空壕・内部で、死体を隅に隠す、二人組が存在した。
「終わったな」
「これで良し」
そこは、地下防空壕の通路脇に、変電所として作られた空間である。
その隅には、冷蔵庫・二台分ほどもある大きな機械が設置してあった。
「着替えたし行くぞっ!」
「そうだな、行こうっ!」
その裏に、死体を二つも投げ捨て終えた男達は、服を着替え終えて、完璧に変装する。
それから二人は、ゆっくりと、地下防空壕の奥を目指す。
「誰も居ないよな」
「静かにしてくれ」
二人の正体だが、それは、レジスタンス員に変装した、レオパルドとカルミーネ達であった。
「大丈夫だよ? 心配すんなって」
「レオは、気を抜きすぎだよ」
レオは、頭髪を平凡なブラウン・ゴールド色に染めていた。
カルミーネは、目立たないアズテック・ブラウン色に染めていた。
彼等が、目指す先だが。
レジスタンスが作り上げた、大量に武器を隠匿した、秘密アジト&武器庫の入口だ。
「ああ、済まない? 今は戦場に居るからな?」
「分かったなら、黙って奥のアジトに行こうよ」
レオは、上下を濃緑色の服に身を包み、マルーン色に染められた、ベレー帽を被る。
パラキート・グリーン色の旧式で、弾帯が付いていない防弾ベストを身に付けていた。
腰に巻いた、ベルトには、ティール・グリーン色のアルメア軍で使用される弾帯を下げる。
これは、左右にグレネード用の袋付き、小銃の弾蒼が三つも入る物だ。
武器は、レジスタンスの落とした、ワルサーMPL短機関銃を、両手に持っていた。
一方のカルミーネも、若草色をした、ジャケットに、フードを被る。
その上から、フレッシュ・グリーン色に染められた釣り用ベストを着ていた。
下には、ラッキー・グリーン色の作業ズボンを履いている。
足には、レタス・グリーン色のホルスターを備えていた。
手には殺害した、レジスタンスから入手した、ベレッタM12短機関銃が、握られていた。
彼等は、静かな通路の奥へと進む。
そして、地下防空壕内の暗闇に溶け込みながら、レジスタンス側が使うアジトを、二人は目指す。
足音も建てず歩く、彼等の鼻には、湿気と埃臭い匂いが、何とも言えぬ雰囲気とともに漂っていた。
そんな中、黙って歩いていた、二人だったが。
彼等は遂に、レジスタンス達が潜む、アジトの入口まで辿り着いた。
そこには、鋼鉄製の錆びついた、かなり大きな両ドアがあった。
この内部から下には、大量に爆発物が隠匿された、地下洞窟が存在する。
だが、ドアを開こうとした彼等の背後から、何者かが銃を向けてきた。
「動かないでくれるね?」
後から女の声が聞こえた二人は、顔色を変えずに両手を上げて降参ポーズを取る。
「おっと妙な動きを見せたら、君達の頭を7、62ミリ、ラシアン弾が穴を開けるから気を付けて、ちょうだいね」
銃口を向けたまま、背後の女性らしき人物は喋り、姿を見せない。
また、淡々と声色を変える事なく、二人に次の指示を下した。
「その扉を開けてくれるかな、そうして貰えると僕も助かるし、君達も命を刈り取られ無いしね」
「仕方無いかっ?」
「分かりましたよ」
女性レジスタンス員による指示を聞いて、レオとカルミーネ達は、重そうな鋼鉄製の両ドアを開く。
それから、中へ入ると、背後から銃口を突きつけられたまま歩かされる。
「機械の所まで歩け」
中は、他の地下道にある部屋と同じく、冷蔵庫ほど大きい錆びた茶色い機械が、三つ存在する。
その他には何も無かったが、女性レジスタンス員から、そこに行けと、二人は指示を下された。
彼等は、背中をライフルの銃口で突っつかれたことで、渋々いかされた。
「それを動かして、前に押せ…………」
三つもある機械の内、一番左にある機械を押すように命じられた、レオとカルミーネ達。
彼等は、重たい機械を動かしたが、機械の下には、人間が一人だけ入れる穴があった。
そして、内部からは、土臭い湿気の匂いが漂ってきた。
ここに広がる物は、薄暗い空洞と、茶黒い土の表面であった。
「入れっ!!」
内部へ行けと言われた、二人は黙って穴の中に入ろうとする。
穴には、所々塗装が剥げた、錆び付いた銀色の梯子があった。
レオ、カルミーネの順番で中に入ると、突然背後から、二人とも何者かに銃口を突きつけられた。
「誰だ、お前等はっ!」
「何者だ、帝国兵か」
振り向いた、二人が何者か等をみると、銃を突きつけたのは、レジスタンス員たちだった。
一人は、紅いニット帽を被り、上下に、ラシャングリーン色のスウェットを着ている。
ベルトには、小さなココア色のバッグを、二つ下げている。
上部にダットサイトを取り付けた、イサカM37散弾銃を構えていた。
もう一人は、オレンジ色のバンダナを頭に巻いたレジスタンス員だ。
上には、浅葱色《あさぎいろ》の野戦服を着ており、さらに黄緑色をしたポンチョを羽織っている。
下には、コンゴ・ブラウン色の作業ズボンを履いている。
腹には、四本もベージュ色の弾帯を腹に巻いていた。
両手には、レーザーポインター付きのシテス・スペクトラ短機関銃が握られていた。
「よっと、ほら? 合言葉はっ!」
「知らない」
「済まない」
そして、二人の背後に、再び女性レジスタンス員らしき人物が、梯子《はしご》を掴む事なく飛び降りた。
彼女の姿は、ココア・ホイップ色に染められた、パコール帽を被っている。
服装は、スモーキィ・ベージュ色のシャルワルカミースを着ている。
その上に、マントである、パトゥを羽織っていた。
両手には、スリングベイル付きのハンジャリー製、AMDー65ライフルを構えている。
右肩からは、斜めにかけて、薄茶色いAK用の弾帯バンダリアを下げる。
左肩からは、拳銃用の薄茶色いホルスターを下げていた。
その全体的な格好は、レジスタンス員よりも、洞窟に潜む、アフガン・ゲリラ民兵みたいに思えた。
彼女の容姿は、薄浅黒い肌に、艶がない真っ黒い髪が暗闇に溶け込む。
しかし、線の細い眉と、アイルトン・ブルー色に光る瞳は、逆に目立つ。
こう言った、特徴を総評すると、整った顔立ちの持ち主であった。
「はあっ? 帝国のスパイかっ!!」
「いや、案内役が敵に殺られちまってな? 俺達は連中の護衛役で、代わりに、この暗号文を届けに来たんだ」
「曲がり角まで来たら、いきなり彼等は僕らの目の前で、蜂の巣にされたんだよ? だから合言葉は知らない?」
二人を怪しんだ、女性レジスタンス員は、黒い瞳で鋭い眼光と殺意を向けてきた。
その言葉に対して直ぐ様、レオとカルミーネ達は咄嗟に思い付いた言いわけを、口から吐き出した。
「それを信じろと?」
「証拠なら、ここに」
二人は、信用ならないと言った感じで、女性レジスタンス員は、AMDー65の銃口を下げない。
懐から、暗号文が書かれた紙を取りだそうとして、レオは右手を旧式ベストの中に入れる。
「変な動きをするなっ!!」
「妙な真似をしてみろっ!」
レジスタンス員たちは、レオの背中に銃口を向けて威嚇したが。
それを、大声を上げて、女性レジスタンス員が制する。
「やめろっ! お前も、それを床下に投げろっ! 妙な動きをしたら、直ぐに撃つからなっ!」
「分かった、大人しく従うよ」
女性レジスタンス員から、そう指示された、レオは素直に従った。
そして、紐で結ばれて、丸められた白い紙を、茶黒い地面の上へと投げ飛ばす。
「さあ、もっと早く歩け」
それを女性レジスタンス員は受け取って、中身を見る事なく、二人にAMDー65を向けた。
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