「密輸品の受け取りに行くのは、ウェスト率いる第一班だ…………物資の強奪任務に向かうのは、ヨハンナ率いる第二班だ」
レジスタンス・リーダーは語りだすと、暗い室内の壁に、上方から白いスクリーンが垂らされた。
そこに、映し出された地図に、学校の教師が、使うような細い棒の先端を当てる。
それで、席に座る仲間達に説明を始める。
「第一班は遠出になるが、地下道を通り、西区へ輸送される補給トラックと合流する、そこから物資と人員を受け取ってくれ」
棒を振りながら、目的地を指し示しつつ、話を続ける、レジスタンスのリーダー。
彼は、第一班の行動予定を簡潔に語り、次に第二班に関する作戦を詳細に伝える。
「続いて、第二班だが? サイバー攻撃によって、輸送ルートを書き換えた、補給物資を全て強奪するんだっ! 君達は民間のトラックに乗って東区へ潜入してくれ」
さらなる、説明を行う、レジスタンスのリーダーは、真剣な顔で語る。
彼は棒をゆっくりと動かしつつ、スクリーンに描かれた、地図の赤丸に棒を当てる。
そうして、潜入ポイント+トラックの位置等を教えた。
「作戦の説明は以上だっ! 他に何か質問は有るか?」
辺りを見渡し、席に座る、レジスタンス達へと。
質問は有るかと問う、レジスタンスのリーダーは、険しい顔付きに成る。
「無いな…………ブリーフィングは解散だっ! では全員出動準備に掛かれ、これより我等レジスタンスは補給任務を遂行するっ!!」
「ラジャーー!!」
「ラジャーー!!」
「ラジャーー!!」
「ラジャーー!!」
質問が誰からも、一切出てこない事から、レジスタンスのリーダーは、解散命令を出した。
席に座っていた、レジスタンス達も、全員が下された命令に従い、席を立ち上がる。
すると、一斉に彼等は、額に右手をかざし敬礼を取る。
レジスタンスのリーダーも、無言で敬礼を返す。
それから、出動する第一班・第二班に所属する、レジスタンス達は、それぞれの班に集まる
彼等は、武器のチェック等を行うと、ブリーフィングルームを出る。
そして、通路を通り、地下秘密基地内に幾つか存在する出入口を目指す。
表から見ても分からない、巧妙に隠匿されている、この場所はレジスタンス達しか知らない。
「メンバーの確認だ…………俺、ハキム、ナタン、メルヴェ、レギナ、ハルドル、ティエン、サビナ、リュファス、ハーミアン」
レジスタンス・リーダーから、第一班の分隊長に任命されていた、ウェスト。
彼は、自らが率いる事になる、メンバーの名前を次々と点呼していく。
「良しっ! 全員居るな、俺達は地下道を通って地上へ出る、しかし地上への道は険しいだろう…………何故なら先日の襲撃で帝国軍・帝国警察は地下にも捜索隊を投入しているからだ、また地上の部隊も一層警戒を強化している」
薄暗い通路を進む、分隊の仲間たちを先導する、ウェスト。
彼は、仲間達へ帝国側の人員が増えていて、任務が困難であると言うことを伝える。
「俺達は敵陣を奥深くまで進み、物資と武器に加え、新たに派遣されてきた仲間達を迎え入れるんだ…………そいつ等は連合軍の特殊部隊の工作員だ、隊長の顔には、片眼鏡《モノクル》を掛けているから、すぐに分かるはずだ…………みんな、気を抜くなよっ!」
「隊長、了解です」
「了解しました」
目的地までのウェストによる説明が終わり、彼から、仲間達に気を抜くなと気遣いが掛かけられる。
それに、ナタンとメルヴェ等を含む、仲間達は全員了解したと答える。
こうして、彼等は秘密基地に設けられた、出入口の一つにまで歩いてきた。
また、通路先の行き止まり、コンクリート壁がある部分まで来た、彼等は立ち止まってしまう。
「一見すると行き止まりに見えるけど、これを回して、こうして弄くってと」
「重たいけど、ここから行くのが一番の近道なのよね」
壁際・右側の端まで、レギナとハーミアン達が、二人で歩いて行く。
彼女達は、灰色の重たいコンクリート壁に取り付ついた。
それから、すぐ身体に力を入れて、コンクリート壁を動かそうと行動する。
二人は、両手を壁に押し当て、足腰に力を入れて踏ん張る。
それで、重たいコンクリート壁をクルりと回転させる。
これは、一見すると何の変哲も無い、コンクリート壁であるが。
正体は、オフィスビルに設置されている回転ドアのように成っていた。
「さぁーー? 皆、長旅に出発するわよ」
「いよいよ、冒険の旅路へ…………」
滑車が付いた、強力な漆黒の弓である、コンパウンドボウを背負った、レギナ。
彼女が仲間達に向かって、出発を告げると、ハーミアンも、危険な冒険の旅路になると覚悟する。
ハーミアンの容姿は、甘苦いチョコレートよりちむ、濃い黒肌で、細っそりとした身体と顔付きだ。
頭は、真ん中分けされた癖の有るパーマがかった綺麗な長い黒髪。
目は、アーモンド型の大きな瞳で、唇は薄いピンク色と言った特徴を持つ、若い美女だった。
出身地は、過酷な灼熱の大地ナミブ砂漠に位置する、アフレア地域国家ナミビヤである。
彼女は、ノルデンシュヴァイク帝国に苦戦する、レジスタンスを支援するためにきた人員だ。
つまり、南アフレア方面から派遣されてきた連合軍兵士なのだ。
その身分と所属は、元ナミビヤ軍兵士にして、連合軍・特殊部隊員である。
服装は、首に、サン・オレンジ色のスカーフを巻いており、ムーンライト色のTシャツを着ている。
その上に、ジャスパーグリーン色に染められた、ミリタリーブルゾン・ジャケットを羽織る。
右肩からは、AKの予備弾装を、八個容れた、ジンジャー色バッグを左脇腹に下げる。
百連ドラムマガジン専用の同じく、ジンジャー色をした、弾帯を背中側には腰に下げていた。
足には、ピーグリーン色のズボン、艶の無い黒色のアーミーブーツを履いている。
そして、右足には、ブラウン・オリーブ色のレッグホルスターを付けていた。
武器は、主武装に、サプレッサーとドットサイトを備えた、AK74を装備する。
予備武装としては、スタームルガーP85を、右足のレッグホルスターに閉まっていた。
「んじゃ? このまま私等が先導するわ」
「それで良いでしょうウェスト隊長?」
入口のコンクリート壁を回転させた、レギナとハーミアン達。
二人は隊長である、ウェストに自分達が、皆の先導を担当しても良いかと質問した。
「ウェストで良い…………そうだな、お前ら先導を頼む」
仲間から、隊長と呼ばれるのには、余り慣れていない、ウェスト。
彼は、名前で呼んで欲しいと、二人に告げ、先導も彼女等に任せた。
アルメア合衆国でも、彼は分隊長を担当していた経歴は有していた。
だが、その頃はコードネームで呼ばれていたため、隊長とは仲間から呼ばれたくはなかった。
その後、レギナとハーミアン達を、斥候役に先頭に立たせた、十人からなる分隊。
彼等は、暗闇に包まれた、静かな地下道を黙って進む。
暗い地下道は、一歩先を曲がった所から、何か怪物でも出てきそうな程、恐ろしい場所だ。
このように、雰囲気は不気味であったが、今は帝国と戦争をしている真っ最中だ。
地下道に作られた、無数の横穴には、罠や監視システムが張り巡らされている。
また、帝国・レジスタンス双方の兵士と、敵味方で、殺人マシーンが入り乱れている。
こうして、縦横無尽に、地下世界の闇中を溝鼠《ドブネズミ》や蜘蛛が如く、走り回っているわけだ。
そんな先の見えない、奥からは魔物が出そうな感じがする。
ここは、ゾンビや吸血鬼と言った、アンデッドが、いつ這い出て来ても可笑しくは無い。
この場所は、不気味な雰囲気に似合うからだ。
帝国側には、軍の中核を成す、ゾンビ兵のトーテン・シェーデル・ゾルダートが多数存在する。
それに、指揮官クラスの強さと能力を持つ、吸血鬼兵ヴァンパイアも中には混じっている。
つまり、本当に、アンデッドが潜んでいる可能性があるのだ。
彼等十人の慎重に進む、地下道。
その暗闇には、横穴から曲がって先へと伸びる、赤い丸太みたいなパイプが見える。
パイプは、天井と壁際の左端に備え付けられてい。
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