【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

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デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第190話 逃亡者と追跡者

公開日時: 2024年7月11日(木) 22:38
更新日時: 2024年7月14日(日) 10:02
文字数:3,429


「レギナは、敵の手に堕ちたのか…………クソッ!?」


「残念だけど、黒いマントを靡《なび》かせながら、追ってに加わっているわっ!」


 ナタンとメルヴェ達は、交差点を超えて、ビルの間を走り抜ける。



「じゃあ、レギナは帝国の手先に…………」


「でしょうね? じゃなきゃ、今ごろ後ろに居ないわっ!」


 ナタンは後ろの機銃マウントで、M60を連射しまくる、メルヴェに声をかける。


 それに、彼女は険しい表情で、額から冷や汗を滴しながら答えた。



 背後から追ってくる帝国警察の車両は、四台。



 それらに乗っている警察隊員は、かつて共に幼少時代を過ごした仲間たちだ。



「今んところ、当たっては居ないけど、近づいては来ないわねっ!」


「機銃掃射を警戒しているんだろうっ?」


 ヤマハ・グリズリーは、装甲板に包まれた牽引トレーラーに機銃を備えている。


 それ故、そう易々と四台の軽車両を近寄らせはしない。



 逃走する二人は、T字路を越える。



 その左側には、ヴェト通りがあり、歩道両脇にさまざまな自動車が停車してある。


 右側には、円い二つの窓が目立つ、マイソ・ナ・セアベラニ博物館がある。



「交差点だっ! メルヴェ、あそこまで真っ直ぐ行くぞっ!」


「このまま行けば、大通りねっ! 危険だけど、ブリュッセル宮殿に行くには、どのみち通らなきゃならないわねっ!」


 交差点の遥か向こうには、道路が見え、右側には巨大な高級レストラン・ビルが存在した。


 しかし、ナタンとメルヴェ達はビルに見とれている暇はなく、逃走を続けねば成らない。



 もちろん、その間もM60からは無駄使いせぬよう、断続的に機銃弾が撃ち出される。



「よし、交差点を抜けっ!?」


「煙幕弾っ!」


 ナタンとメルヴェは、前方に発射された、グレネード毒ガス弾に驚く。


 何発も発射された、毒ガス弾は道路を青い煙で満たす。



「ガスなら、装甲も関係ないわ…………」


 ベーリットは、そう呟きながらポッドバイクの車体に、GPー25グレネードランチャーを撃つ。


 彼女は、次いで合計六個あるGP25の蓋を車体に収納する。



 彼女は、次にタッチパネルを操作して、車体前方・両脇から蓋を横下に開く。


 そこから出てきたのは、青色に塗装された、CBJーMS個人防衛火器である。



「仕方ない、隣に行くぞっ!」


「分かったわ、あわわっ!」


「おっ! 曲がったぞっ! 今が、チャンスだっ!」


「そうね…………って、アイツはナタンじゃないのっ!」


「…………!? しまっ! ナタンだわっ!!」


 ナタンは、交差点を右に曲がり、リヴルヌ通りへと、ヤマハ・グリズリーを走らせた。


 当然、彼の姿は曲がる際に、敵による射撃に晒されてしまう。



 その隙を、狙った機銃弾が飛んできて、メルヴェは彼に弾丸が当たるかも知れないと焦る。



 AWOー700を運転する、レオは好機到来とばかりに、ワルサーP5Lを右手で構える。


 その側車に乗った、ミアは何発かずつ、MG3を連射する。



 ベーリットも、CBJーMSから十数発も、機銃弾をバラまく。



 しかし、実際に当たった弾丸は、装甲板に命中して弾かれるだけだった。



「うわあ、狙って来やがったか?」


「逃げ切るのは難しいわね…………」


 運良く攻撃が当たらなかった、ナタンは背後からの追撃に気を引き締める。



 M60を機銃掃射しながら、メルヴェは前方に行かせはしないと、引き金を引き続けた。


 追撃部隊に追い越させると、無防備な彼が射撃を受けてしまうからだ。



「まだ、撃って来るわっ!」


「行かせない気ねっ!」


「ベーリットが行ったぞっ!」


 ミアとレギナ達は、連続で飛んでくる機銃弾により容易に、ヤマハ・グリズリーには近付けない。


 そんな中、カルミーネは一人スピードを上げて突っ込んでいく、ベーリットに驚く。



「私のも防弾仕様だからね…………ナタン、レギナ」


 ベーリットは、風防ガラスの中で呟きながら、眼を鷹がごとく鋭くさせる。


 次いで、彼女はポッドバイクのスピードを、一気に加速させて、ヤマハ・グリズリーを追い越した。



「いくわよっ!!」


 ついに前方へと回り込んだ、ポッドバイクは後方から真っ青な毒ガスを噴出する。



「うわっ!? 毒ガスだっ!?」


「不味いわ、避けてっ!」


 右手に、ヤマハ・グリズリーを走らせて、ナタンとメルヴェ達は、青ガスを回避した。



 そして、交差点を通りすぎてゆく。



「レギナ、カルミーネッ! あの車両に乗っているのは、ナタンとメルヴェ達だっ!」


「はぁっ!? アイツ等がか?」


「ちょうどいいわ…………彼らも、こっち側に来て貰いましょう」


 交差点の手前で、レオはバイクに跨がる二人に追撃目標が誰かを伝える。


 レバヌン料理店&ナイトクラブを通りすぎながら、カルミーネは思わず叫んでしまう。



 その後ろを走る、レギナは舌舐《したなめず》りしながら呟く。


 そして、彼女は、BMW、R1250RTーPのスピードを段々と上げる。



「カルミーネ、着いて来てくれるかしら…………レオ、ミア、援護をお願いするわっ!」


「あ…………? 分かったよ?」


「援護かっ! よし、やってやるっ!」


「なにか案があるのねっ! じゃ、射撃するわっ!」


 レギナは仲間たちに援護を頼み、一直線にBMW、R1250RTーPを疾走させる。


 その車体両脇には、白兵戦用に装備された武器がある。



 右側には、戦斧ナヅィヤック、左側には、攻撃用混ブズドゥィガンがある。


 こう言った武器を使い、彼女はヤマハ・グリズリーに白兵戦を挑もうと言うのだ。



 彼女が、スピードを上げるのに、カルミーネも合わせる。


 レオは、ワルサーPL5を何発か発砲しまくり、ミアもMG3を猛烈に機銃掃射させる。



「ガンガン言ってるぞっ! 後ろから猛烈に撃ってきたな?」


「制圧射撃よっ! レギナとカルミーネを援護する気だわっ!」


 装甲板の真後ろから金属を叩くような射撃音を聞いて、ナタンは敵が猛攻撃を仕掛けてきたと悟る。


 メルヴェは、レギナとカルミーネ達のバイクを近付けまいと機銃掃射するが。



「ベーリットはまだ追っているわね? なら私は…………ナタン、メルヴェイッ!! 降伏してっ!!」


「はっ? レギナ、お前っ!?」


「射角がっ!!」


 攻撃を簡単にすり抜けた、レギナは攻撃用混ブズドゥィガンを抜く。


 そして、ナタンの右腕を狙って、重たい一撃を放ってきた。



 それを助けようと、メルヴェはM60を、素早く向けようとしたが。


 距離が近すぎるため、敵である彼女を狙って、下方に射撃ができない。



「黙って喰らいなさい…………」


「殺られるかっ!」


「はっ! ナタン、助かったわねっ!」


 レギナの細腕だが肉体改造され、筋力が増しており、ゆえに重い武器も軽々と振るえる。


 しかし、ブズドゥィガンによる殴打を喰らう前に、ナタンは咄嗟に走る速度を下げた。



 そのため、間一髪で打撃を回避できた。



「チ…………打撃を受ければ、いいものをっ!」


 レギナは、殴打により、ナタンを殺そうとしたのではない。


 彼の右腕を叩けば、ヤマハ・グリズリーが停まるだろうと思って攻撃した。



 だが、予想は外れ、反撃を喰らう。



「この距離ならっ!!」


「当たったところで、そう簡単には死なないわよっ!」


 ナタンは、左手で腰からMASー1935を抜き取り、すばやく発砲する。


 それに対して、ブズドゥィガンで、顔を遮りながら、レギナは距離を取り始めた。



 とは言え、至近距離で、何発も腹や胸に拳銃弾を喰らってしまった。


 だが、低威力の拳銃弾を喰らっても、彼女は肉体強化を受けている。



 それゆえ、この程度では死なない。



「よくも、レギナをっ! ナタン、お前と言えど、女性に手を出すなら容赦はしないっ!」


「うるせぇっ! カルミーネッ! 帝国の飼い犬になった、貴様に言われたくないっ!」


 女性に手を出されたら、イタリィーの男として、カルミーネは簡単にキレてしまう。


 また、彼は過去にベーリットを助けられなかった、惨劇を経験した事もある。



 それを思い起こし、怒りのあまり彼はワーウルフに変身する。



 そんな彼を前にして、正義感が強い、ナタンも帝国の邪悪な支配を受け入れられるはずが無い。


 二人は、タンフォリオT95と、MASー1935で、互いの体を狙って撃ち合う。



「カルミーネ、これでも喰らいなさいっ!」


「連携攻撃だっ!」


「くぅ? 二人で来るとは、ズルいぞっ!!」


 防盾から顔と右手だけを出し、サルマスシズK10で、戦いに参加した、メルヴェ。



 それにより、ナタンは何発か肩や脚に拳銃弾を喰らいながらも、カルミーネを何とか撃退する、


 十発も、弾丸を喰らった彼は、二人から距離を取り始めた。



 そうして、ナタンとメルヴェ達はY字型の特殊な交差点まで走って来た。

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