機甲戦力を持たない連合側は、帝国側に砲撃力で押されていた。
「まだ、敵が来やがるぞ…………」
「敵は、私の幻影を本物と信じているから、進軍速度が落ちましたね?」
87式自动榴弹发射器で、塹壕内に隠れる帝国軍の兵士たちを、ウェンは砲撃しまくる。
軽装兵・歩兵・防弾兵などが、発射された榴弾により、爆風に包まれてゆく。
アイリーの展開している偽者歩兵は、建物正面で、路上から銃やRPGー7を射っている。
もちろん、これは本物ではないが、それでも帝国兵たちの侵攻を遅らせる事ができた。
「バレットM82を持ってきたよ? 敵は何処だい?」
「パトリシア、待ってくれっ?」
「バレットでは、戦車は破壊できないが防弾兵や装甲兵を攻撃してくれっ!」
対物ライフルであるバレットM82を持って、パトリシアと呼ばれた、女性兵士が走ってきた。
その後を追って、ファマエSAF短機関銃を抱えた、男性兵士が走って来る。
ウェンは、榴弾で敵兵士たちを、爆風で撃退しながら叫ぶ。
「分かったよ…………でも、ここはバレットより、拳銃を先ず撃たないとっ!」
「敵が近づいて来てるじゃないかっ!?」
パトリシアは、バレットM82を破壊された窓辺に立て掛けると、両手で68式拳銃を握った。
男性兵士も、ファマエSAF短機関銃を路上に向かって撃ちまくる。
「レステル、あんたは火炎瓶を投げてくれっ! 私はフラグを投下するっ!」
「分かったぜ、それが終わったら俺は援軍を呼んでくるからなっ!!」
パトリシアは、手榴弾を幾つも投げ落とし、遠く離れた公園内の塹壕線に火柱を上げる。
レステルと呼ばれた兵士も、火炎瓶に着火すると、何個か路上に投下する。
割れた瓶から、ガソリンと炎が燃え広がり、火の海を作った。
これにより、帝国軍部隊は、建物へと容易に近づけなくなった。
「次は…………狙撃するよ?」
「俺のも、銃弾が見つかったからな、再び狙撃できるっ!」
パトリシアとタカヤマ達は、バレットM82とバレットM95で、敵部隊の移動している隙を狙う。
「待てっ! 火炎弾が飛んでくるっ!」
「アチコチから放たれているっ!!」
「ウィザード部隊が、ビルの向こう側に居るんだっ!」
「とにかく、伏せましょうっ!?」
前方のビル群から何個も、気球くらい大きな火球が放たれてくる。
しかも、何らかの砲弾を何発も放ったらしき、砲声も周囲に響く。
ウェンとワン達は、急いで屋根が残っている場所へと退避する。
ナタンとメルヴェ達は、逃げるより身を伏せて、頭に両手を被せた。
「ぐぶっ! ぐおう?」
「う、ぐ…………」
「ああああっ!」
「ぐあっ!?」
火炎弾と迫撃砲による曲射砲撃で、屋根が吹き飛され、チィーナ兵や自衛隊員に被害が出る。
また、隣室で戦っていた、PMC部隊や民兵たちも体を燃やされた上に、路上へと落下していく。
「くぅ…………仇は取るよ」
パトリシアは、バレットM82を窓際に運び、土嚢に載せると、一発弾丸を放った。
真ん中分けした茶髪ショートヘアの彼女は、深く息を吸い込み、撃破した敵車両を確認する。
「よし、射撃管制装置は破壊したよっ!」
彼女は、黒人と白人のハーフらしき、細い顔をしている。
そして、アーモンド型の釣り目で、黒に近い茶色い瞳が輝きを放っていた。
服装は、赤茶・黒・白のデジタル迷彩服を着ている。
背中には、ODグリーン色のリュックを背負っていた。
その容姿から彼女は、コール・デューティ・モダンウォーフェアに登場するロシア空挺軍に見えた。
「だが、まだ撃ってくるぞっ!」
「だね、仕方がないから私は、歩兵を射つよっ!」
ウェンの言葉に、パトリシアは返答しながら弾丸を素早く放つ。
二発も撃たれた弾は、塹壕内からMG3汎用機関銃を撃ちまくる帝国軍の機関銃手を二人射殺した。
「戦車は…………?」
「また、航空機だっ!」
「今度は、敵かも知れないよ」
「不味いわね」
プロペラ音が鳴り響き、ナタンは咄嗟に伏せると、ワンは88式汎用機関銃を空に向ける。
フランシーヌも、ストックレスAKを空に向けて、メルヴェも屋根の下に逃げ込んだ。
「いや、また味方だっ! 心配しなくていいっ!」
「赤と白だと?」
191重機関銃を撃とうと、斜め上に銃身を向けていた、チィーナ軍兵士は叫ぶ。
ナタンは、立ち上がると、正面上空から滑空する航空機を見ながら呟く。
「あ…………Tー90を撃破したわっ!」
「しかし、まだ、三台も残ってるよっ!」
Yak《ヤク》ー55は、上空から飛来すると同時、爆弾を戦車隊に向けて投下した。
途端に、一台のTー90が爆発して、砲塔が空高く飛び上がる。
メルヴェは、額から汗を垂らし、壁に隠れながら破壊された敵戦車を眺める。
フランシーヌは、窓辺からストックレスAKで、押し寄せる敵歩兵部隊に連射を浴びせる。
「まだ、援護してくれるようだぞっ!」
「歩兵を蹴散らしてくれると良いが?」
「グールが毒ガスを吐いたっ!」
「煙幕の代わりに使う気だっ!?」
赤い翼に白い機体カラーのYak《ヤク》ー55は、旋回しながらロワ通りから公園に戻って来る。
そして、機銃掃射しながら地上を攻撃するも、多数の毒攻兵が口から青いガスを吐いた。
「BTR撃破っ!」
「戦車と同じで、まだ、何台か残ってるから気を抜くな」
「車載機銃を破壊、無力化したよ」
「やったな? だが、まだ福武装の機銃が残っているぞ」
BTRー80部隊は、六台くらいで公園内に突入してきていた。
しかし、近づきすぎたため、自衛隊員が放った、パンツァーファウスト3が当たってしまった。
それにより、たちまち前面装甲が爆発して派手な火花を散らす。
ウェンは険しい顔をしながら、敵に87式自动榴弹发射器から榴弾を放つ。
パトリシアは、バレットM82でBTRー80のKPVT車載機関銃を撃破した。
レステルは、既に火炎が消えた路上に両手だけ出して、ファマエ短機関銃を撃ちまくる。
「下から来ているっ! どうやら、罠を突破したらしいっ!」
「あっ! 飛行機が撃ち落とされたっ!!」
「BMP撃破成功っ!」
「火炎弾がまた来るよっ!」
レステルは、路上を眺めると、直ぐに背後の方に振り向いた。
ナタンは、上昇しようとしていたYak《ヤク》ー55の機体から火が吹く瞬間を見た。
対空射撃が当たってしまい、コントロールを失った機体は、ブリュッセル王宮に向かっていく。
そして、背後の敷地に墜落して、爆発音を木霊させた。
HJー8の砲身から、チューが放った誘導弾は、BMPー3を撃破する事に成功した。
しかし、息つく暇もなく、フランシーヌが遥か遠くから火球が放たれるさまを見る。
同時に、迫撃砲が撃たれる音も、遠方から聞こえてきた。
「火炎弾と迫撃砲が来るっ!! 退避しろっ!!」
ウェンの言葉を聞いて、全員が奥へと避難するが、やがて火球と砲弾が建物へと降り注いだ。
「ぐぅっ! うわっ!」
「ぐああっ?」
「ぎゃああーーーー!」
建物北側は、完全に破壊されてしまい、崩落した瓦礫に包まれた。
また、今の砲撃は建物全体を半壊させた。
それにより、自衛隊員やチィーナ軍兵士に犠牲者が多数でた。
彼らは、瓦礫山の下敷きになったり、屋上から落下したり、砲撃や火球で焼かれてしまった。
「来たぞっ! どんどん、突入してくるっ!」
「レステル、分かっているよ…………」
ウッドランド迷彩を着ており、パトロールキャップ型野戦帽を被る、レステルは敵の足音を聞いた。
彼は、廊下の左側に行くと、敵兵を待ち伏せするべく膝だちで待機する。
パトリシアも、部屋の入り口から右側を警戒しながら、68式拳銃を両手で構えた。
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