【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

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デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第244話 籠城戦

公開日時: 2024年7月12日(金) 12:31
更新日時: 2024年7月15日(月) 07:49
文字数:3,035


 機甲戦力を持たない連合側は、帝国側に砲撃力で押されていた。



「まだ、敵が来やがるぞ…………」


「敵は、私の幻影を本物と信じているから、進軍速度が落ちましたね?」


 87式自动榴弹发射器で、塹壕内に隠れる帝国軍の兵士たちを、ウェンは砲撃しまくる。


 軽装兵・歩兵・防弾兵などが、発射された榴弾により、爆風に包まれてゆく。



 アイリーの展開している偽者歩兵は、建物正面で、路上から銃やRPGー7を射っている。


 もちろん、これは本物ではないが、それでも帝国兵たちの侵攻を遅らせる事ができた。


「バレットM82を持ってきたよ? 敵は何処だい?」


「パトリシア、待ってくれっ?」


「バレットでは、戦車は破壊できないが防弾兵や装甲兵を攻撃してくれっ!」


 対物ライフルであるバレットM82を持って、パトリシアと呼ばれた、女性兵士が走ってきた。


 その後を追って、ファマエSAF短機関銃を抱えた、男性兵士が走って来る。



 ウェンは、榴弾で敵兵士たちを、爆風で撃退しながら叫ぶ。



「分かったよ…………でも、ここはバレットより、拳銃を先ず撃たないとっ!」


「敵が近づいて来てるじゃないかっ!?」


 パトリシアは、バレットM82を破壊された窓辺に立て掛けると、両手で68式拳銃を握った。


 男性兵士も、ファマエSAF短機関銃を路上に向かって撃ちまくる。



「レステル、あんたは火炎瓶を投げてくれっ! 私はフラグを投下するっ!」


「分かったぜ、それが終わったら俺は援軍を呼んでくるからなっ!!」


 パトリシアは、手榴弾を幾つも投げ落とし、遠く離れた公園内の塹壕線に火柱を上げる。


 レステルと呼ばれた兵士も、火炎瓶に着火すると、何個か路上に投下する。



 割れた瓶から、ガソリンと炎が燃え広がり、火の海を作った。


 これにより、帝国軍部隊は、建物へと容易に近づけなくなった。



「次は…………狙撃するよ?」


「俺のも、銃弾が見つかったからな、再び狙撃できるっ!」


 パトリシアとタカヤマ達は、バレットM82とバレットM95で、敵部隊の移動している隙を狙う。



「待てっ! 火炎弾が飛んでくるっ!」


「アチコチから放たれているっ!!」


「ウィザード部隊が、ビルの向こう側に居るんだっ!」


「とにかく、伏せましょうっ!?」


 前方のビル群から何個も、気球くらい大きな火球が放たれてくる。


 しかも、何らかの砲弾を何発も放ったらしき、砲声も周囲に響く。



 ウェンとワン達は、急いで屋根が残っている場所へと退避する。


 ナタンとメルヴェ達は、逃げるより身を伏せて、頭に両手を被せた。



「ぐぶっ! ぐおう?」


「う、ぐ…………」


「ああああっ!」


「ぐあっ!?」


 火炎弾と迫撃砲による曲射砲撃で、屋根が吹き飛され、チィーナ兵や自衛隊員に被害が出る。


 また、隣室で戦っていた、PMC部隊や民兵たちも体を燃やされた上に、路上へと落下していく。



「くぅ…………仇は取るよ」


 パトリシアは、バレットM82を窓際に運び、土嚢に載せると、一発弾丸を放った。


 真ん中分けした茶髪ショートヘアの彼女は、深く息を吸い込み、撃破した敵車両を確認する。



「よし、射撃管制装置は破壊したよっ!」


 彼女は、黒人と白人のハーフらしき、細い顔をしている。


 そして、アーモンド型の釣り目で、黒に近い茶色い瞳が輝きを放っていた。



 服装は、赤茶・黒・白のデジタル迷彩服を着ている。


 背中には、ODグリーン色のリュックを背負っていた。



 その容姿から彼女は、コール・デューティ・モダンウォーフェアに登場するロシア空挺軍に見えた。



「だが、まだ撃ってくるぞっ!」


「だね、仕方がないから私は、歩兵を射つよっ!」


 ウェンの言葉に、パトリシアは返答しながら弾丸を素早く放つ。


 二発も撃たれた弾は、塹壕内からMG3汎用機関銃を撃ちまくる帝国軍の機関銃手を二人射殺した。



「戦車は…………?」


「また、航空機だっ!」


「今度は、敵かも知れないよ」


「不味いわね」


 プロペラ音が鳴り響き、ナタンは咄嗟に伏せると、ワンは88式汎用機関銃を空に向ける。


 フランシーヌも、ストックレスAKを空に向けて、メルヴェも屋根の下に逃げ込んだ。



「いや、また味方だっ! 心配しなくていいっ!」


「赤と白だと?」


 191重機関銃を撃とうと、斜め上に銃身を向けていた、チィーナ軍兵士は叫ぶ。


 ナタンは、立ち上がると、正面上空から滑空する航空機を見ながら呟く。



「あ…………Tー90を撃破したわっ!」


「しかし、まだ、三台も残ってるよっ!」


 Yak《ヤク》ー55は、上空から飛来すると同時、爆弾を戦車隊に向けて投下した。


 途端に、一台のTー90が爆発して、砲塔が空高く飛び上がる。



 メルヴェは、額から汗を垂らし、壁に隠れながら破壊された敵戦車を眺める。


 フランシーヌは、窓辺からストックレスAKで、押し寄せる敵歩兵部隊に連射を浴びせる。



「まだ、援護してくれるようだぞっ!」


「歩兵を蹴散らしてくれると良いが?」


「グールが毒ガスを吐いたっ!」


「煙幕の代わりに使う気だっ!?」


 赤い翼に白い機体カラーのYak《ヤク》ー55は、旋回しながらロワ通りから公園に戻って来る。


 そして、機銃掃射しながら地上を攻撃するも、多数の毒攻兵が口から青いガスを吐いた。



「BTR撃破っ!」


「戦車と同じで、まだ、何台か残ってるから気を抜くな」


「車載機銃を破壊、無力化したよ」


「やったな? だが、まだ福武装の機銃が残っているぞ」


 BTRー80部隊は、六台くらいで公園内に突入してきていた。


 しかし、近づきすぎたため、自衛隊員が放った、パンツァーファウスト3が当たってしまった。



 それにより、たちまち前面装甲が爆発して派手な火花を散らす。



 ウェンは険しい顔をしながら、敵に87式自动榴弹发射器から榴弾を放つ。


 パトリシアは、バレットM82でBTRー80のKPVT車載機関銃を撃破した。



 レステルは、既に火炎が消えた路上に両手だけ出して、ファマエ短機関銃を撃ちまくる。



「下から来ているっ! どうやら、罠を突破したらしいっ!」


「あっ! 飛行機が撃ち落とされたっ!!」


「BMP撃破成功っ!」


「火炎弾がまた来るよっ!」


 レステルは、路上を眺めると、直ぐに背後の方に振り向いた。


 ナタンは、上昇しようとしていたYak《ヤク》ー55の機体から火が吹く瞬間を見た。



 対空射撃が当たってしまい、コントロールを失った機体は、ブリュッセル王宮に向かっていく。



 そして、背後の敷地に墜落して、爆発音を木霊させた。



 HJー8の砲身から、チューが放った誘導弾は、BMPー3を撃破する事に成功した。



 しかし、息つく暇もなく、フランシーヌが遥か遠くから火球が放たれるさまを見る。


 同時に、迫撃砲が撃たれる音も、遠方から聞こえてきた。



「火炎弾と迫撃砲が来るっ!! 退避しろっ!!」


 ウェンの言葉を聞いて、全員が奥へと避難するが、やがて火球と砲弾が建物へと降り注いだ。



「ぐぅっ! うわっ!」


「ぐああっ?」


「ぎゃああーーーー!」


 建物北側は、完全に破壊されてしまい、崩落した瓦礫に包まれた。



 また、今の砲撃は建物全体を半壊させた。



 それにより、自衛隊員やチィーナ軍兵士に犠牲者が多数でた。


 彼らは、瓦礫山の下敷きになったり、屋上から落下したり、砲撃や火球で焼かれてしまった。



「来たぞっ! どんどん、突入してくるっ!」


「レステル、分かっているよ…………」


 ウッドランド迷彩を着ており、パトロールキャップ型野戦帽を被る、レステルは敵の足音を聞いた。


 彼は、廊下の左側に行くと、敵兵を待ち伏せするべく膝だちで待機する。



 パトリシアも、部屋の入り口から右側を警戒しながら、68式拳銃を両手で構えた。

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