【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第十一部 帝国警察は来るべき戦いに備えて………………

第133話 新隊員が加入

公開日時: 2024年7月10日(水) 21:42
更新日時: 2024年7月13日(土) 11:45
文字数:3,017


 ここは、帝国警察部隊が駐在する警察署の一つ。



 その内部にある、第二小隊・隊員たちが待機する室内だ。



「さぁて、新しい子を紹介しよう……レギナ、おいで?」


「了解しましたっ!」


 そこで、悪魔のような不気味な笑みを浮かべる、フロスト中尉。


 彼が紹介した、新米女性警官である、レギナは中尉の左側から堂々と前に出る。



「レギナ・ザブリスキー二等兵です、以前の私はレジスタンスでしたが……これからは帝国のために一生を捧げます」



 レギナの服装と容姿だが、もちろん、レジスタンス時代とは違って変化していた。



 ピンクだった、ロングパーマの髪は、水色がかった青灰色に変わっていた。


 大きなセラドン・グレーの瞳は変わらないが、黒い派手なアイシャドーが目立つ。



 そして、以前は凛とした顔立ちで、可愛らしさと強さの合わさった雰囲気だったが。


 現在は、より強く憎しみがこもった表情と、大人の色香を纏う、危険な匂いを漂わせていた。



 さらに両頬は、病的に真っ白な肌色の女性となった。



 頭には、帽子と唾の間に、プルシャンブルー色をした線が入った、チャプカ型・制帽を被る。



 また、顔には下半分を覆うガスマスクを備える。



 また、右肩には白い飾緒《しょくちょ》を備え、左肩からは長い黒マントを垂らす。


 ベストには、バクテリエラー・ゾルダート用の細菌保存装置を備えている。



 足には、黒いミニ・スカートを履き、さらに下には茶黒いタイツと、黒いブーツを履いていた。



「レギナ…………その黒マント、邪魔じゃないの? アンタ、弓を射つんだし?」


「これ、特注品だから簡単に外せるのよ? こうやって後ろに回すワケ…………だから戦場や巡回に行く前には後ろに退かしてから走るわ」


 早速だが、旧知の仲であり、また凄く仲良しだった、ベーリットがレギナへと話しかける。



「…………巡回中で身に着けていたとかなら、コンパウンド・ボウじゃなくて、このWIST《ヴィス》ー94Lを使うわ」


 レギナは、ポローランド製、自動拳銃WISTー94Lを左腰から取り出す。


 自信満々なレギナは、笑みを浮かべつつ右手でラガンを構えて、正門を覗く。



 その先には、壁に掲げられた、ボードに貼られている。


 そして、そこには、レジスタンス員の指名手配書が画かれているポスターがあった。



「…………分かったわ、レギナ? まあ、また昔みたいに一緒に遊びましょう? レジスタンス狩りは楽しいしさっ!」


「レジスタンスだけじゃないわよ? これからは、アフレアから、コマンドー部隊が増援に送られて来るし、近々南方から反撃作戦が計画されているともね」


 昔は仲が良かった、ベーリット&レギナ達だが、こうして再び二人で並ぶ事ができた。


 しかし、彼女達は再開してから同士と成ったが、それも束の間でしかない。



 ハンザの南方アフレアより、遥か南に存在する南アフレア共和国周辺。


 また、深いジャングルと山地に覆われた、中央アフレア地域。



 前者では、連合軍が軍備を調え、後者は帝国の侵攻を地形が阻害する。



 そして、何よりも広大な砂漠である北アフレア地域を帝国軍は越えられなかった。


 過酷な自然環境と、ゲリラ部隊による遊撃、それらが進軍を阻むからだ。



「ノルマンディー上陸作戦みたいに、連合軍その物が、ハンザ大陸に直接くるわけか?」


「今は、昔と違って、移動手段に空中からヘリやティルトローターがあるし、連中何処から来るか分からんぞ」


 レオは、第二次大戦で、連合軍が行った作戦名を出し、カルミーネは様々な飛行機体の名前を言う。


 現代の上陸作戦では、揚陸用船底による兵員を直接敵地に揚陸させる事は先にしない。



 まずは、航空機により、敵地後方などへ迅速に特殊部隊を展開させる。


 その後に、トーチカやレーダーなど、敵施設を制圧してから援軍を呼ぶ。



 そして、大規模な上陸部隊を揚陸させる訳だ。



「大丈夫よ、都市にはビルに大量の地対空ミサイルや対空機関砲、高射砲、対空レーザーとかが配備されているし」


「それに、都市を囲むように、対地戦・対空戦に備えた、フラックタワーもあるわ…………町中や都市郊外には大量のトーチカ…………に緊急展開可能なバリケードがある」


「つまり、コマンドー部隊やアフレアから本格的な軍隊が来ても、こっちには万全の備えがあるって事だな」


「我々、帝国警察だけじゃなく、帝国軍も展開している上に、最近は他地域・他惑星・他次元からも人員が増派されているからな」


 彼等の言う通りに、連合軍がアフレアから大侵攻してくる可能性は、日々着実に高まっている。



 ミネット&シモーネ達は、いきなり敵が都市上空から降下作戦を展開してくる事を考える。


 しかし、二人とも都市防衛のために設置された、対空兵器があると安心する。



 また、ヴラウリオ&イェスパー達も、時軍の方が軍備や人員は上であると安心する。



 帝国は、現在も領土と植民地を拡大させている上に、兵器も毎日膨大な数を生産している。


 それに、ハンザ地域を含む惑星ヴァースには、兵士が増派され、兵器は大量輸送されていた。




「はい、はい……話はそこまでにして」


 フィーン先生、もといフィーン準尉が彼等の会話を止める。



「フィーンの言う通り、大事な話を始めるね? 君らが語る敵軍は、本当に大規模な反撃を行うだろう」


 フロスト中尉は、今日の任務説明に入る。



「…………そこで、最新型の武器や物資などが、多次元から送られてくる…………しかし、扱う人員までは余り増派されて来ていない」


「帝国は、多くの敵と戦っている以上、こちらに回す兵力が足りないのよ」


 フロスト達を含む帝国軍・警察部隊は、連日の戦闘で、常に死傷者を出している。



「それで……もっと、レジスタンスや敵コマンドー達を捕まえろと?」


「連中の中から優秀な人材を登用しましょうって、言うコトね」


 レオとミア達は、今まで以上に敵から捕虜を得て、洗脳する仕事が増えるのは大変だと思う。


 戦闘で運悪く捕らえられた、レジスタンス員は帝国の電脳装置で洗脳される。



 そう、レギナのように。



「まあ、それより、仕事に掛かろうか? レギナ……あ~~君は旧知の仲とは言え、新人だし? カルミーネ&ベーリット達と一緒に行動してくれ」


 フロスト中尉は、三人に指示を出す。



「……さてっ! 予定通り、三十分後、レオ率いる、ミア、カルミーネ、ベーリット、レギナたち一班は巡回に向かってくれ……ヴラウリオ率いる、イェスパー、ミネット、シモーネたちは執務室で待機だ」


「了解っ!!」


「了解っ!!」


「了解っ!!」


「了解っ!!」


 フロスト中尉の命令が下ると、全員がローマ式敬礼をした。



「よし、これにて、ミーティングは解散だっ!」


 執務室内に、フロスト中尉の声が響くと、第三小隊に属する面々は、各自行動に移った。



 こうして、指揮官である彼がネージュ准尉とともに、部屋から出て行くと。


 各女性隊員たちは、ゾロゾロと歩きながら新しい仲間である、レギナへと集まる。



「…………ねぇ? レギナ、今日から私達とも仲良くしてよね」


「みんなと違って、貴女とは親しくなかったけれど…………」


「もちろんよっ! ミアやベーリットの友達なら私の友達っ!」


 ミネット&シモーネ達の質問に、レギナは直ぐに答える。


 彼女が言った通り、ミア&ベーリット達の~~と答えた事は本心からだ。



 それと、帝国が彼女を、一レジスタンス員から帝国警察特殊部隊員へと変えてしまったからだ。



 帝国に逆らった者は死ぬか、洗脳されて生きたまま動く死体のように使われるだけだ。



 レギナも、その呪縛に魂が囚われてしまった訳だ。

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