【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

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デブにゃーちゃん
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第261話 ウクレイナ軍部隊の善戦

公開日時: 2024年7月12日(金) 13:03
更新日時: 2024年7月15日(月) 08:04
文字数:3,219


 連合側で参加しているウクレイナ義勇兵により、向かい側の建物内からは激しい銃声が聞こえる。



「建物正面は制圧したっ! 援軍を寄越してくれっ!」


「やりやがった、凄い速さだ…………」


「ナタン、俺達は気が抜けないぞ」


「まだ、ゾンビが走って来ているわっ!」


「分かった、我々アラビ人部隊が突入するっ!」


 ウクレイナ軍義勇隊は、早々に建物の一角を制圧して、突入口を確保したらしい。


 そして、三階から、オレーナが味方部隊に向かって、増援を呼び掛ける。



 ナタンは、彼等の迅速な行動に驚嘆しながら、AMDカービンから弾倉を抜く。


 ウェストとメルヴェ達は、装甲バスの両脇や上から、ゾンビ部隊が強襲してくるさま見た。



 当然、彼等は銃撃を加えるが、サン・ミッシェル大聖堂側でも機銃掃射で抵抗している。



 そのため、向こう側も何とか、ゾンビを退けていた。



「援護は来ないのか? このままじゃ殺られちまうっ! こっちにも、ゾンビが来やがるしっ!」


「また、戦車が撃って来るぞっ!!」


「退避、退避ぃーーーー!?」


「もう避けられないっ!? 頭を下げろっ!」


 ウェストとハキム達は、公園を走るゾンビに向かって、銃撃していた。


 そんな中、大聖堂側から、再びカプランMT軽戦車が走って来て、砲身から科学弾頭を発射する。



 チィーナ軍兵士やアラビ人兵士たちは、散々に回避したため、逃走するのが遅かった。



「うわああっ!?」


「ああーーーー」


 ナタン達が走ってきた方向に逃げた、アラビ人兵士やチィーナ軍兵士は、黒い爆煙に巻き込まれる。



「うぅ? クソッ!」


「ああ、アアァァッ!!」


「グェ、グオーーーー!?」


「く、来るなっ!」


 砲撃で吹き飛された、チィーナ軍兵士は、アラビ人ゾンビを、前に這ってでも逃げようとする。


 壁際に倒れた、アラビ人兵士は、チィーナ兵ゾンビに、M4A1を撃ちまくる。



「不味い、放っては置けないっ!」


「うわああーー!! た、助けてくれ~~!?」


「グルォォ」


「彼等を助けなきゃ」


「この死にやがれ、近づいてくるな」


「ガオオオオーー」


 ナタンは、AMDカービンを撃って、アラビ人ゾンビの右足を撃ち抜いた。


 次いで、チィーナ軍兵士に素早く駆け寄っていき、片足を掴んだ奴の頭に弾丸を撃ち込む。



 M4A1を撃ちまくる、アラビ人兵士だが、チィーナ兵ゾンビの体を貫くだけだ。


 底に横から、メルヴェが素早く、イエローボーイを連射した事で、両足を攻撃できた。



「よし、助かった、後は…………」


「戦車が逃げていきやがる?」


「RPGー7が効いたんだろう、当たらずとも圧力は掛けられる」


「ハキム、ウェスト、前進しよう」


「ここに居ても、殺られるだけだわ」


 アラビ人兵士は、チィーナ兵ゾンビの頭に、M4A1を向けると、一撃を撃ち込んで倒した。



 次なる科学砲弾を警戒する、ウェストの目には、カプランMTが大聖堂へと逃げる姿が移る。


 ハキムが推察した通り、RPGー7による四方八方からの猛攻が効いたらしい。



 モスバーグM500を持ち、ハルドルは前の建物へと、姿勢を低くしながら走っていく。


 ティエンも、コルトXMー177E2を、何発か公園の方に連射すると、彼に続いて駆け出す。



「あ? まあ、行くしかねぇか…………ハキム、ナタン、メルヴェ、行くぞぉ~~」


「ああ、早く行かねば、科学攻撃の餌食だっ!」


「待って、と言ってる暇は無いわね?」


「おい、置いてくなよ、んあ?」


 ウェストは、向かいの建物に駆け出して行くと、ハキムも公園に銃撃しながら走ってゆく。


 メルヴェも、何回かイエローボーイを大聖堂に迫るゾンビに乱射した後、すぐに移動し始める。



 彼等の後を追おうとした、ナタンは背後から聞こえてくる大きな射撃音を聞いた。



「装甲車だ」


 ナタンは、アラビ人兵士達が防弾板で入口を塞ぐ前に、味方装甲車両が到着するのを見届けた。


 ベージュ色のシミターMkII偵察戦闘車が、30ミリ、ラーデン機関砲を発射しながら走ってきた。



 キャタピラで路上を走破する、この車両はKMAB装甲バスに対して、連続砲撃を続ける。


 しかも、向かい側や近くの建物からはRPGー7による一斉射撃が行われた。



「うおっ? 大爆発したぞ」


 ナタンは、KMAB装甲バスが大爆発したのに驚き、腰を抜かした。



「急げ、今度は向かいの建物だ」


「無反動砲も運ぶぞ」


 チィーナ軍兵士たちは、無反動砲の砲身と三脚を分解して、持ち運び始めた。


 それを眺めている暇なく、ナタンも窓を飛び越えて、屋内から出ていく。



「メルヴェ達は、何処に行ったんだ?」


 ナタンは建物内に入ると、一人廊下を走って奥を目指す。


 ここでは、連合・帝国と双方の兵士が死体となって、無惨に転がっていた。


 とにかく、ひたすら彼は奥に向かって、苦戦しているであろう味方の増援にいく。



 その途中、シミターMkIIが、突撃していく姿が見えた。



「味方も前進しているのか」


 ベージュ色の金網に包まれた車体に続き、何台かトヨタ・テクニカルが続く。


 ナタンは、窓から斜め下に向かう坂を下ってゆく、車両部隊を眺めている暇なく前に向かう。



「おい? こっちよ、こっち?」


「君は、オレーナだっけ?」


 オレーナは、大きな壁穴の左側から手を振って、ナタンを呼んだ。


 ここは、酷い砲撃を受けたらしく、天井に幾つかも穴が空いている。



 要は、半壊状態なのだが辛うじて、一階と二階がトーチカとして使えそうだった。


 彼女が身を隠す、壁も敵の機銃掃射によって、削り取られていく。



「そうよ、アンタは?」


「ナタンだ」


 オレーナの側まで近づいた、ナタンは小穴から周囲を観察する。


 そこに、敵の戦車らしき姿はなく、遠くに存在するビル郡から攻撃が飛んできていた。



「他の連中は?」


「知らないわ、上じゃないの?」


 辺りを見回しながら、ナタンは仲間たちの事を、オレーナに聞いた。


 しかし、彼女はAKー103を単発で何回か撃ちながら分からないと答える。



「そうか、分かった…………メルヴェ達は、上に行ったのか」


 AMDカービンを小穴から撃った後、ナタンは周りの味方兵士を見た。


 ここに存在するのは、ウクレイナ軍部隊とPMC部隊だけだ。



「トヨタが来たわっ!」


 味方の部隊が来ると、建物手前で機銃掃射を一斉に始めた。



 オレーナは、彼等に合わせて、自身のAKー103を連射する。


 ナタンも膝だちで、壁際からAMDカービンを単発連射した。



「凄いな、しかし?」


 トヨタ・テクニカルのドラム缶に囲まれた、キャリバーM50重機関銃は火を吹きまくる。


 緑色のトヨタ・テクニカルに搭載された、マキシム四連対空機銃も、凄まじい連射を敵に浴びせる。



 これら機関銃とRPGー7の勢いに負けて、敵部隊は、蹴散らされていく。


 しかし、未だ建物から行われる帝国側の射撃は衰えず、次々と発射されてくる。



「アールピィーーGーーーー!?」


「離れろっ!」


「敵も、反撃してきたぞっ!」


 オレーナが、大声で叫ぶと、緑バラクラバの兵士は壁から離れる。


 そして、着弾した後、緑ベレーの兵士は直ぐに、フォルトー401汎用機関銃を撃ちまくる。



 どうやら、敵は左側のビル郡からRPGー弾を、一斉に放ったてきたようだ。


 ナタンは逃げ遅れてしまい、アチコチから振り袖ぐ、瓦礫と灰煙に包まれた。



「ケホッ! ケホッ! があ、クソ…………あ?」


「うあ、生きてるね?」


 灰煙の中から、ナタンは立ち上がると、AMDカービンを床に落ちた手に取る。


 その時、真後ろから女性兵士が起き上がる声が耳に届いた。



「パトリシア? なぜ、ここに」


「それは、話すと長くなるよ?」


 ナタンは、瓦礫の下から現れた、パトリシアに驚きつつも話しかけた。



「あの装甲バスを破壊しようと、ヤブローと一緒に、こっちに来たんだよ? そしたら、砲撃で瓦礫の下敷きさ」


「そうだったのか? 大変だったな」


 パトリシアは、ナタンの問いに答えながら、床に伏せて、バレットM82を構えた。


 スコープを覗いた彼女は、窓からAK74を構える帝国軍兵士に照準を合わせて、すぐに撃つ。



 こうして、連合側は苦境に立たされながらも、何とか複数のビルを奪還した。

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