【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第111話 警察署への潜入任務

公開日時: 2024年7月10日(水) 10:08
更新日時: 2024年7月13日(土) 10:37
文字数:3,009


 ZILー157トラックは、車体を揺らしながら路上を走っていく。


 その幌内では、ナタンとメルヴェ達が並んで、外に広がる景色を見ていた。



「いよいよ、敵の要塞に突入か…………」


「ここから先は、敵の陣地よ?」


 ナタンとメルヴェ達を含むレジスタンスと、連合軍コマンドー部隊からなる、変装潜入部隊。


 彼等は、要塞みたいに聳え立つ、鼠色の警察署手前まで近付いていた。



 GAZー67ジープ、ZILー157トラック等は、低速で走っていく。

 


 これらの車両は、警察署・地下車両保管庫へと繋がる入口に到達して、中へと進んで行く。



 そこでは、帝国警察隊員たちが、大量に待ち構えて居るのであろう。



 だが、敵が警戒している警察署内部に侵入した、二台の偽装車両は難なく潜入することができた。



「何処の部隊だ? 第三小隊の増員は、まだ来る時間では無いぞ」


「いやぁ~~アレだよ? 補給部隊として、我々は来たのさ」


 GAZー67ジープを止めた、警察隊員に、何処の所属だと、ギデオンは聞かれた。


 すると、彼は平然と嘘を話して、敵を欺こうと試みる。



「ふむ、補給物資の送り先は分からんから署長室に行くと良い…………それから署長に話は直接してくれ、さあ行ってよし」


「ああ、有り難うなっ!」


 帝国警察隊員に対して、帝国警察下士官に化けた、ギデオンは礼を言う。


 次いで、GAZー67ジープを走らせると、駐車場の端に停車させた。



 もちろん、ナタン達が乗った、ZILー157トラックも、その後ろに停車させる。


 その中から、潜入工作員として、彼等が飛び下りる。



 こうして、出てきた全員が、帝国警察隊員に変装している。



「全員、気を引き締めろよ、ブツは危険な物なんだからな」


「そうだ、間違って、落としたりするなよっ!」


 士官服姿に、顔を布を巻いて隠した、ウェストと、素顔のままであるハキム。


 二人は、ナタン達レジスタンスの潜入工作部隊を、先導する。



 彼等の言うブツとは、C4爆弾を意味しているが、警察隊員たちは武器弾薬だと思っただろう。


 危険物を扱う、補給部隊員たちが喋っているように聞こえるからだ。



 例え、肌が浅黒くとも、堂々としていれば、何ら問題はない。


 何故なら、帝国では上流階級の人間や軍高官などに認められた、アラビ人兵士が多数存在している。


 兵士として戦闘力が高かったり、医療技術を持っていたり、容姿が美しい者達だ。



 それ故、肌が黒いと言う理由だけで、下手に因縁を着ければ、上が黙ってないだろう。


 と言うわけで、黒人兵士やアラビ人兵士とは言え、二人は誰にも怪しまれる事がなかった。



 ギデオン達は、先に上階に上がってお、司令塔として機能する、通信室に向かっていく。


 他にも、武器庫・署長室などと言った、三ヶ所を爆破することが、彼等の狙いだ。



 一方、ナタン達は、各車両や建物全体に、爆薬を仕掛けることが任務だったが。


 予想より敵の数が多かったことで、彼等は予定を変更しようとした。



「ハキム、上から先に仕掛けようぜ、駐車場はダメだ」


「分かった、三階から行くぞ」


 ウェストとハキム達は、敵の多い駐車場から計画を大きく変更した。


 こうして、三階に行って、上から順に爆薬を仕掛ける事にした。



「俺、ナタン、メルヴェ、ハーミアン、ハルドル」


「ハキム、レギナ、ティエン、リュファス、サビナ」


 ウェストとハキム達は、二組にチームを分けて、一階・二階に向かう人選を行った。



「良いか、計画通り建物の四隅に俺達は爆薬を仕掛ける、これで警察署内を混乱させるんだ」


「じゃあ三階は任せたぞ、俺達は二階に行く」


 ウェストとハキム達は、仲間を率いて廊下を進んでいき、階段を上がる。



「みんな、ついてこい…………」


 ハキム率いる、チームは二階に行ってしまった。



「また、別れるぞ」


 さらに、階段を上った、ウェスト達は爆薬を仕掛けるため、再度二組に別れて行動しようとする。



「ナタンとメルヴェ達は向こうに行け、俺達は通路沿いに仕掛けるからな」


 ウェストは、懐から小箱を幾つか取り出すと、何気なく鼠色の廊下で、壁際に置いた。


 一見すると、この様子は誰かが、点検を行うために作業しているように見える。



「分かった、じゃあ僕らは行くよ」

 

「あっちは任せてねっ!!」


 ナタンとメルヴェ達は、ウェスト達から離れて、薄暗い警察署内の廊下を歩いた。



「全て終わったな…………」


 署長室に、C4爆弾を設置し終えた、ギデオン率いる連合軍コマンドー達。


 彼等は、当初の目的を達成したことで、任務を終えたと判断して帰投しようとする。



「モニカ、クラーク、下に行くぞ」


「分かったわ」


「了解っ!」


 ギデオンの命令に従い、連合軍コマンドー達は返事をすると、彼について行く。



 一人は、南アルメア系である、モニカと呼ばれる女性コマンドだ。


 SIG、540ライフルを背中に抱えながら、彼女は歩く。



 もう一人は、ヒンド系であり、クラーク呼ばれた男性コマンドだ。


 INSASライフルを担いで、彼も堂々と廊下を進んでいく。



「ギデオン、こっちも完了したぞ」


 薄暗い廊下を歩いていた、ギデオン達三人の前方から、仲間達である二人組が現れた。



「ブルーノ、ベッキー、ここはもう良い…………立ち去るぞ」


 ギデオンは、向こうから現れた男性コマンドをブルーノと呼ぶ。


 その少し後ろを歩く、女性コマンドは、ベッキーと言われた。



 二人に対して、彼は任務完了したので、直ぐにここを去ると伝えた。



 顔を布で隠した、南太平洋系のブルーノは肩にFNCを担いでいる。


 白人系のベッキーは、C7LSW分隊支援火器を両手に持っていた。



 彼等五人が、廊下を足早に歩いて行くと、向こうから、二人の警察隊員が現れた。



「おっ! あんた等は新しい隊員達か?」


「へぇ~~貴方達がねーー?」


「いや、我々は補給物資の搬入に来ただけだよ、書類を署長室に届けたから仕事は終わりさ」


 前方から来たのは、第三小隊に属する、レオとミア達であった。


 二人は、新しい仲間かと期待して、ギデオン達に声をかけたが、その期待は直ぐに否定された。



「そうかい…………分かったよ、邪魔して悪かったな」


「じゃあね~~」


「では、これにて失礼させて頂く」


 落胆する、レオとミア達だったが、二人は別れを告げながら歩きだす。


 そんな彼等を気にせず、ギデオンは何食わぬ顔で、横を通り過ぎて行く。



「今の奴、何処かで見たような記憶が…………」


「はぁ、そう言われれば、何処かで…………と言うか、キーランに似てなかったか?」


 ミアは、通り過ぎた連中の方に振り向きながら、不意に呟いた。


 それを聞いた、レオも今通り過ぎた、下士官が、かつての友キーランに酷似していると思う。



「まさか、彼も洗脳されて、別部隊に?」


「可能性は有るな? 後で調べて見よう、データベースを探れば、何か分かるかもな」


 まさかと思う、ミアとレオ達だったが、彼等は話し合いながら曲がり角を通った。


 すると、そこに更なる偶然が、二人の前に訪れた。



「う…………」


「はあっ!?」


「ナタンッ!」


 不意に、曲がり角から現れた警察隊員が、無言で、二人の右脇を素通りしようとする。


 だが、レオとミア達は、彼の顔を見逃さなかった。



 その顔が、幼馴染みである、ナタンだったからだ。



「…………いえ、違います、私は先を急いでいるので行かせてもらいます」


 ナタンは、何とか誤魔化そうと、平静さを保ちながら離れようとする。


 こうして、二人から逃れようと、彼は顔を合わせず、早々に立ち去ろうとした。



 だが、もちろん、そう簡単に上手く逃げられるはずが無かった。

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