【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

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デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第212話 火花を散らす両軍部隊

公開日時: 2024年7月12日(金) 10:48
更新日時: 2024年7月14日(日) 21:36
文字数:3,323


 建物の脇を密かに進む、帝国警察・第三小隊。



「あまり、窓には近づくなよ? 狙撃兵や敵戦車が狙っているからな」


「さっきの奴は、炎上しているわ? 戦闘で殺られたのね? けど、近くに別な戦車が居るわよ」


 不用意に近づけば、隣や周囲の建物から狙われてしまうと、レオは仲間たちに注意する。


 そんな中、外を警戒しながらミアは、MPiーAKー74Nのサーマルスコープを覗いた。



 楕円形のカントリー・プラザ・BNP・PFビル付近には、敵機甲部隊が展開している。



 彼女が言う通り、先ほど柵を破壊しつつ三人を狙っていた、ストーマー30歩兵戦闘車は黒焦げだ。



 だが、その代わりに、深緑色に塗装された、FV101スコーピオン偵察戦闘車が戦っていた。


 三台からなる軽戦車部隊は、ロキヨーム通りから、76ミリ、カノン砲を撃っている。



 相手は、おそらく味方の機甲部隊だろう。



「うわわ? 今のはレギナか? 撃破したぞっ!」


「次もっ!?」


「もちろん、プロダクト54を撃ち込んでやったわよ」


 三台のFVスコーピオン偵察戦闘車は、次々に徘徊型自爆ドローンで破壊される。


 しかし、連合側も何も用意していない筈もなく、航空部隊を飛ばしてきた。



「リトルバードだっ!」


「伏せろっ! 機銃弾が飛んでくるっ!」


「対空武器は無いの? はっ!」


「ふ…………」


 アルメア軍・特殊部隊で使用される小型ヘリ、リトルバードが、プロペラ音を激しく鳴らす。


 上空から飛来した、八機編成の飛行隊は、タンカラーに塗装された機体から機銃を撃たない。



 レオとミア達は、咄嗟に身を伏せて窓から離れたが、ベーリットは反応が遅れた。


 しかし、彼女を庇って、サナダが覆い被さるように床へ伏せた。



 直後、敵ヘリの両脇に搭載された、ミサイル・ボックスから弾頭が発射された。



「上の階が、丸ごと殺られた…………」


「次は、RPGー7だっ!」


 やはり、連合側は罠を張っていたらしく、建物上階をミサイルで吹き飛ばした。


 それに合わせて、向かい側の建物からRPGー7が、一斉発射される。



「うわっ! 一斉に来たぞっ!」


「ベーリットは無事か? サナダ、よくやった」


「はい」


「それより、ヘリが逃げていくわ」


 こちらのビルに当たる、RPGー弾頭に焦るレオは叫んでしまう。


 カルミーネは、爆風が吹きすさぶ中、ベーリットの安否を確認する。



 サナダは、彼に短く答え、ミアはヘリ部隊の飛びさってゆく姿を見る。



 警察隊員たちを攻撃したのは、ボーイングAHー6と言われるリトルバードを発展させた無人機だ。



 一旦、帰投した後に再び対地ミサイルを積んで戻って来るかも知れない。


 そう考える警察隊員たちは、急いで何とか対応しようとする。



「レギナ、ドローンは?」


「ダメね、撃ち落とされたか、電波妨害かは分からないけど、使えないわ」


「コイツは、不味いっ! おっ?」


「取り敢えず、撃ち返せっ!!」


 ミネットは、複数の蔦で作成した囮《デコイ》を、少し離れた位置に作りまくる。


 そして、レギナに対して、プロダクト54を射ってくれるように頼むが、無理だと言われた。



 とにかく、反撃しないと不味いと思った、ソムサックは両腕に搭載した短機関銃を撃ちまくる。


 そんな彼の頭に、ガツンッと狙撃銃による精密射撃が飛んできた。



 ヴラウリオも、両手だけを頭上に掲げて、セトメ・モデロLを乱射する。



「狙撃手が居るっ! たぶん、あの向こうの丸っこいビルか、手前のビルからだ」


「あんな遠くに…………今はマークスマンライフルしかないわ」


「専用の狙撃銃は、置いてきてしまったしな? 今あるのでも充分に戦えるが、このRPGの数じゃあな」


「確かに、RPG射手も厄介だしな」


「私の囮《デコイ》も、殺られまくってますわ」


 防弾ヘルメットの眉間を撃たれた、ソムサックは再び斜め上から射撃を浴びた。


 それ故、飛んできた方角から楕円形ビル・もしくは手前のビルに狙撃手が居ると判断した。



 もし、楕円形ビルから撃たれた場合、マークスマンライフルの精度では、太刀打ち出来ないだろう。



 射程距離や狙撃精度などを考慮して、そう言った点から、ミアは無理だと思って呟いた。



 レオの背負っている、H&K、G3SG/1でも、狙撃手と戦う事は可能だ。


 だが、RPG射手達による猛攻と、狙撃手による精密射撃を前に、彼は何も出来ないのだ。



 それに、おそらく狙撃手も、一人では無いだろう。



 また、今は耐熱遮光フィルムも無いため、サーマルスコープに映ってしまう。



 イェスパーも、MgM /07軽機関銃を撃とうとしたが、今は不味いと身を潜める。


 その間、シモーネは分身である案山子を遠隔操作しながら狙撃を受ける。



「クソ、どうにか成らないのかよっ!」


「いや、味方の射撃が開始されたわ」


「グレネードだっ! まだ生き残りが居たんだっ!」


「こっちも、撃ち返してやるんだ」


 多数発射されるRPGー7の弾頭に、レオは歯がゆそうな顔をしながら反撃する機会を伺う。


 そうして待っていると、ミアは突然上階から聞こえた射撃音に歓喜する。



 しかも、その中には一丁だけだが、グレネードランチャーがあるらしく、ポンッと妙な音が鳴る。



 それを聞いて、カルミーネはベレッタMX4を撃ちまくった。


 イェスパーも、Mg M/07軽機関銃を窓から勢いよく乱射させまくる。



「今の内に、移動してくれ…………俺、ミア、ソムサック、オルツィは援護で残る」


「私が今から幻影魔法で、虹色モザイクを仕掛けますっ! これで、敵から部隊は見えないでしょうから何人か進んで下さいっ!!」


「分かった、行くぞっ! イェスパー」


「了解した、行くしかないってかっ?」


 H&K、G3SG/1を構え、レオはRPG射手を向かい側のビルに探す。


 また、オルツィは幻影魔法により、一階の窓全てに虹色モザイクをかけた。



 これにより、こちらの動きは分からなくなったが、代わりに目映い光が非常に目立つ。


 なので、廊下を走る味方部隊はRPGー7による猛烈な攻撃を受ける。



 それでも、先に進むしかない、ヴラウリオとイェスパー達は、ひたすら走ってゆく。


 そうして、渡り廊下まで向かって行った、彼らは一先ず身を隠す。



「まだ、安心できないわよっ! シモーネ、案山子を渡り廊下にまで移動させてっ!」


「分かったわ、やって見る」


 音が鳴らないように風刃魔法を放つ、ミネットは渡り廊下を怪しんだ。


 彼女に言われた通り、案山子を移動させた、シモーネだったが。



「うわっ! やっぱり、爆発したっ!」


「地雷か、レーザーセンサー式の爆弾だわ」


「それだけじゃない、たぶん大勢で渡れば、そこを狙って、より威力のある爆弾が起爆されるだろう」


「なら、どうする? ここは一階だが走って向かい側に行くか?」


「止めとけ、地雷は敷地内にも埋めてあるだろう」


 遠隔操作で案山子を走らせた、シモーネは驚き、ミネットは冷静に何が爆発したか考察する。


 ヴラウリオは、より大型爆弾が設置されていることを考え、下手に突撃できないと思う。



 イェスパーは、強行突破を考案したが、カルミーネは別な罠が仕掛けられていると警告した。



「…………私が、地雷原を突撃します」


「ダメだ、女性に行かせられるかってんだ」


「格好つけてないで何か? うわっ!」


「味方の迫撃砲だっ!」


 シェラが窓から飛び出ようとしたが、全力で彼女の腕を掴んで、カルミーネは止めた。


 そんな彼に呆れつつ、ベーリットはAGー3を構えて射撃を行おうとした途端、急に爆発が起きた。



 イェスパーは、斜め上から降ってくる砲撃に、味方の砲兵部隊による支援が始まったと思った。



「建物が、アチコチ吹き飛んでいるわ」


「RPG射手も、かなり減っただろう?」


「しかし、地雷原や渡り廊下は? はっ! 魔法を使えば…………」


 向かい側の建物が、上から降り注ぐ砲弾により、上階から崩落するさまを見て、シモーネは呟く。


 カルミーネは、敵が放つRPG弾頭が減ったことに気がつく。



 ミネットは、地雷原を破壊するためには、自身が全体魔法を放てば良いと考えた。



「地雷原は、厄介だ? ソムサックやシェラの鎧でも、ぶっ飛んでしまうかも知れないからな」


「だから、雷撃魔法を撃つわっ!」


 ヴラウリオは、セトメ・モデロLを何発か撃ちながら地雷原に潜む爆発の威力を警戒する。


 それを纏めて、破壊してしまおうと、シモーネは雷撃魔法を両手から広範囲に放った。

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