【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第247話 夜間の停戦状態と明け方

公開日時: 2024年7月12日(金) 12:35
更新日時: 2024年7月15日(月) 07:55
文字数:3,160


 帝国側の装甲擲弾兵部隊を壊滅させた、連合側は急いで、陣地を作り直していた。


 時刻は、夕方近くなるが、連合側が用意した器材が、公園内に続々と搬入されている。



 三機編成の無人輸送機型カマンKーMAXが、コンテナを投下した。


 この他にも、トヨタ・テクニカルなどが公園に土嚢を運んできた。



「イズラエル軍が、連邦庁舎ビルに居るんだと」


「そう見たいね? ここからでも人影が見えるわ」


 ナタンとメルヴェ達は、戦闘が終了して、疲れきった表情で、木箱に座っていた。


 破壊された壁のない部屋からは、向かい側にある建物が見えた。



「リブレリィー・ブゥザーには、TOWミサイルランチャーを幾つか設置しよう?」


「迫撃砲も必要だ、何個か中央部に配置しておくとしよう」


「銀行の方には、ジャベリン部隊とSPGー9無反動砲を配置する」


 奥の部屋からは、ウェンとタカヤマ達が話す声が聞こえてきた。


 また、その会議にはドゥロルも混じっているらしく、彼が話す声がする。



「急げ、迫撃砲を運ぶんだ」


「機銃陣地も構築するぞっ!」


 ナタンとメルヴェ達は、背後から聞こえる兵士たちの声を聞きながら立ち上がる。



「凄い数の兵器だ…………明日は決戦になるね?」


「そのようね? どうやら、連合側は本気ね」


 公園内の塹壕は、修復されたばかりではなく、さまざまな改修が加えられている。


 砲撃跡に、ZUー23ー2対空砲とSー75ミサイルサイトが設置されている。



 そして、その周りを円形状に土嚢が囲む。



 ロワ通りに面した、ティアット・ロイヤル・ドゥ・パーク劇場も砲撃により、半壊していた。


 戦闘中に気がつかなかったが、敵が占拠して、トーチカとして活用したのだろう。



「劇場が崩れている…………そう言えば、フックも向こう側から伸びてたな」


「味方のRPGーが破壊したのよ」


 正面の敵で、ナタンとメルヴェ達は、手一杯だったから劇場まで、目は向けられなかった。



 味方の放った、RPGー7やパンツァーファウスト3は、殆どが塹壕や建物に当たった。


 戦車や装甲車からの砲撃や機銃掃射が激しく、砲手も、ゆっくりと狙っている暇がなかったからだ。



「さあ、ジュースでも飲みに行こう?」


「そうね、次いでに食料配給も貰いに行きましょう」


 ナタンとメルヴェ達は、疲れた体を動かし、部屋から出ていく。


 工兵隊や様々な部隊が陣地構築や兵器配置に勤しむ中、廊下を進む。



「イズラエル軍は、兵器を大量に持ち込んだ………工兵により、組み立ては完了している」


「こちらは、二個中隊しか残っていない」


「我々は、もう少人数だけだ」


 ドゥロルとウェン達の会話が聞こえてきたが、タカヤマは二人よりも疲れた感じがした。



「味方も増員されたが、敵も増員されている」


「それそろ、正念場みたいね?」


 ナタンとメルヴェ達も、どっと疲れが溜まっており、重たい体を無理に動かしながら歩いて言った。


 その後、二人は隣に立つ今朝戦闘を行った、ビルに入り、食事を取った。



 また、段ボール箱で作られた、簡易ベッドに横たわり、朝まで眠る事にした。



「ナタン、ナタン、朝よ?」


「はぁ~~? 敵は…………」


 朝になると、メルヴェが真上から見下ろす形で、ナタンに朝だと告げた。



「敵は、まだ攻めて来てないわ、私達は昨日と同じく、民兵部隊とともに、チィーナ軍を支援しろって」


「分かった…………たぶん、二人とも、民兵かPMC扱いなんだろう?」


 メルヴェは、味方からの指令を彼に伝えながら、ベッド右脇を通り過ぎる。


 ナタンは起き上がると同時に、AMDカービンを手に取り、歩きだした。



「食料と水は、この中に入っているから向こう側の見張りに着きながら食べましょう」


「そうだな、そうした方が良いかな」


 他愛ない会話をしながら、メルヴェとナタン達は、隣の建物に向かっていく。


 そこは、昨日の戦闘で半壊仕掛けたBNP社が所有する建物だ。



「お? っとと…………」


 二人は建物の中に入ると、ベリー・レパードが何か作業をしている姿を見た。



「何をやっているの?」


「それは?」


「戦闘準備だよ、昨日の戦闘で、罠を使い切ってしまったからね」


 メルヴェとナタン達は、左側の壁に、絵画を立て掛ける、ベリー・レパードに話しかける。


 彼女が言うように、仕掛けられた絵画だが、これは爆弾や何らかの罠である。



「他にも? 敵味方識別センサー付きトラバサミ、ミミックボックス、感電絨毯&マグネット絨毯&粘着絨毯とかを仕掛けなきゃね~~?」


 ベリー・レパードは、そう言いながらグルグル巻きにされた、カーペットを取りに行った。



「ここは、まだ持つだろうか?」


「少なくとも、トーチカとしては、もう暫くは使えるんじゃない?」

 

 ナタンは、不意に辺りを見ると、PMCやレジスタンスの工兵部隊が罠を仕掛けている様子を見た。


 メルヴェも、大穴や小さな小穴が多数できた壁を見ながら呟く。



 昨日の戦闘では、砲弾と機関砲弾により、建物内は酷い損傷を受け、風穴と焼け跡だらけになった。


 しかし、連合側は建物を未だ放棄する気はなく、完全に破壊されるまで使いきる気だ。



「急げっ! 連合軍がくるまで持ちこたえるんだっ!」


「軽迫撃砲を向こう側に運ばないと」


「おっと、邪魔になるな」


「退けないと、成らないわね」


 民兵やレジスタンス員たちが、弾薬箱や迫撃砲を抱えながら階段を降りてくる。


 ナタンとメルヴェ達は、上から来る二人を避けて壁際まで移動する。



「昨日の部屋に行けってさ?」


「あのボロボロの部屋か」


 階段を登った、メルヴェは廊下を歩きながら呟き、ナタンは後を追う。



「そう…………んで、ここね?」


「昨日の戦闘は、酷かったな」


 メルヴェは、部屋から公園を見ながら大量の兵器を目にする。


 ナタンも、昨日は無かった、多数の自走砲が配置してある事を見つける。



 右側のロワ通りには、滷獲された、Tー64とTー90戦車部隊に護衛された自走砲が見える。



 三台のトラック型自走砲ATMOS2000が道路沿いに停車している。


 公園内の塹壕には、野砲として、ソルタムM71、155ミリ榴弾砲が四基配備してあった。



「要塞化されているわね? 土嚢と対空兵器まであるわ」


「Tー90は、四台? Tー64は二台か…………あのトーチカは、ヘスコ防壁だな」


 向かい側のビル郡を見つめて、メルヴェは感嘆しながら呟く。


 昨日の戦闘で、多数RPGー弾を喰らって、穴ボコだらけになった、ビル屋上には対空兵器がある。



 チィーナ製87式対空機関砲、ZPUー4対空機関砲などが円形土嚢に囲まれて多数配備されてた。



 ナタンも、公園に目を向けながら、網に灰砂を詰められた四角い物体に注目する。


 これを幾つも組み合わせて、トーチカが四隅に設置されているのだ。



 この他、見張り台や大型二階建てバスなどが、要所に配置されている。



「向こう側から援軍が来たわ」


「チィーナ軍の戦闘車だ」


 深緑・緑・茶など、デジタル迷彩に塗装された、04A式歩兵戦闘車が、前後二両で走って来る。


 歩兵戦闘車の機甲部隊は、ブリュッセル宮殿正面にあるパレ広場を進む。



「空から支援も来たぞ? 連合軍は直ぐそこまで来ているんだな?」


「どうやら、そのようね…………マドリードやパリも解放されたのかしら?」


 ナタンとメルヴェ達は、ラジオやスマホに新聞を見る暇なく、ここまで来た。


 それ故、連合軍が何処まで、ハンザ地域を進軍・解放しているかは分からないのだ。



 そうやって、二人が話している内に、シャヘド171シームルグの飛行編隊が上空を飛ぶ。


 ベルビュー博物館の方から現れた、飛行部隊は公園上空を滑空していく。



 無人機部隊は、ティアット・ロイヤル・ドゥ・パーク劇場の前にある円形広場に物資を投下した。



「小型コンテナを投下したな」


「武器や防具でも入っているのよ」


 ナタンとメルヴェ達は、次々と運ばれてくる物資や兵器を見ながら呟く。


 こうして、二人は戦闘が始まるまで、見張りをしながら休息した。

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