【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

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デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第255話 地獄の釜が開いた

公開日時: 2024年7月12日(金) 12:54
更新日時: 2024年7月15日(月) 07:59
文字数:3,192


 連合側の拠点には、未だ帝国軍による制圧射撃が加えられていた。



「さあって、お次は、あの野郎だ」


「倒せるのか?」


 スタッロは、ダイナマイトを三つ装着した爆裂矢アガニ・ボルトを放つ。


 その先には、二連魔道粒子筒を搭載した、キャリッジ馬車がある。



 ナタンは、例え矢が当たったても、魔法で弾かれるだろうと思った。



「馬車が爆発したわっ?」


「やったのか」


 倒せたと思った、メルヴェとチュー達は、キャリッジ馬車があった場所を眺める。


 だが、強烈な爆風は、巨大な氷壁を破壊しただけで、魔女と二連魔導粒子筒は無事だった。



「うわっ! 射ってきたぞっ! トーチカに当たった」


「トーチカ自体は無事だが、中の連中は…………」


 魔女は、青いクリスタルが尖端に取り付けられた、二連魔導粒子筒からビームを発射した。


 それは、パレ広場とロワイヤル通りに面する、ヘスコ防壁で作られた、トーチカに直撃した。



 中からは、機銃掃射が続けられていたが、防衛部隊が殲滅したのか、銃撃音が途切れてしまう。


 チューとワン達は、そちらの方を気にして呟いたが、すぐに窓より下へと身を隠した。



「次は毒だっ!」


「あの氷壁に、毒を回り込ませられるのか?」


「火炎瓶も飛んでいったわっ!」


 毒ガス矢ポイズン・ガス・ボルトを放った、スタッロは自信満々な様子だ。


 しかし、ナタンは毒の効果は、敵に効くはずがないだろうと思った。



 そして、メルヴェは、コロニー通りの方から火炎瓶が飛んできた事に驚く。



「グレネード弾も飛んだぞっ!」


「さっきのダンターだ、 火炎瓶はグランマッシュの奴が援軍に来たんだ」


「毒ガス矢が当たったわ?」


「やはり、効いてないのかしら?」


 ナタンが叫ぶと、スタッロは落ち着いた表情で、標的である馬車を睨む。


 毒ガス矢ポイズン・ガス・ボルトは命中したが、メルヴェには敵を仕留められたかは分からない。



 パトリシアは、緑色の毒ガスが風に吹かれ、消え去ることを待った。


 そうしているうちに、二台のトヨタ・テクニカルと、軍用トラックが現れた。



「ビーム野郎は、榴弾で吹き飛されたかっ!」


「まだ、チュンタウロが残っているわよっ!」


「心配ないわ、射撃管制装置やセンサー類は仕留めた、これで命中率は低下しているはず」


「だと良いけれど…………下に来たわねっ!」


 スタッロは、ダンターのハンドモーターが放った一撃が、敵を仕留めたと思う。


 チュンタウロ戦闘偵察車を驚異だと考える、メルヴェに対して、パトリシアは対処したと答える。



 その言葉を聞いていた、ベッキーは階下に、味方トラック部隊が到着した事に気づいた。



「大丈夫か? 周りは装甲車だらけなんだぞ?」


「心配ねぇって…………それより、正面の敵に集中しろっ!」


 トヨタ・テクニカルに乗った、黒人民兵がM50重機関銃を両手で握りながら機銃弾を撃ちまくる。


 その周囲には、赤錆たドラム缶を、幾つもワイヤーで巻いてあった。



 これは、二重で円形に配置されており、装甲板の代わりに搭載してあった。



 もう一台からは、ポールマウントに載せられたY字型スリングショットから火炎瓶が投射される。



 さらに、周囲からは降車したPMC要員たちが、ジャベリンを即座に放った。


 これにより、ダルド歩兵戦闘車は二台とも破壊されてしまった。



 残るポローランド製ガントラック、ヒバレットも、荷台後部からZUー23ー2を連射する。


 これにより、チュンタウロ偵察戦闘車は、穴だらけになって動かなくなった。



「まだ、敵の装甲車は残っている?」


「心配ない、あそこの屋上を見てみろ」


 ナタンは、スタッロに言われた通り、ティアット・ロイヤル・ドゥ・パーク劇場の屋上を見た。


 そこには、民兵とPMCの部隊が登っており、RPGー7を撃っていた。



 デュカル通りを占拠していた、車列に攻撃を仕掛けてたのだ。


 URー416装甲兵員輸送車、TMー170装甲兵員輸送車などが、何発もRPGー7を受ける。



「やったぞっ! 敵部隊を撃破したっ!」


「いや、待てっ! 何か来るぞっ!!」


「アレは、群衆かしら? 私達の応援に民兵が来たの…………」


「向こうからも、何かが来るぞっ!」


 ウェストは、ガッツポーズを取りながら戦いに勝利したと思った。


 だが、ハキムは左側から敵が来た事に気がつき、ムーディーAKMSを単発連射する。



 また、メルヴェは大量の群衆が必死に叫び声を上げながら走ってくる様子を目を細めて眺める。


 ブルーノも、敵が右側から攻めて来るのに気づいて、それを仲間たちに知らせる。



「不味い、ゾンビだよっ! アレは敵の列車だっ!」


 Y字型スリングショットから、火炎瓶を投げていた、女性民兵が大きな声で叫ぶ。


 大きな赤ベレーを被る彼女は、ピンクブロンドのロングヘアで、白い肌をしていた。



 服装は、緑と黄色を基調とした、アラビ商人風に見える衣装に、赤茶色の皮鎧を着ている。



「はぁっ! ゾンビですって、バイオハザードじゃあるまいし」


「しかし、連中怪我をしながら走って、こっちに来やがる…………」


「帝国は、ゾンビ兵だけじゃなく、ゾンビその物まで投入してきたんだ、急げっ! 銃撃しろ」


「装甲列車か? 敵がまた、撃ってくるぞっ!」


「正面は、大量のゾンビ…………その手前には装甲列車か」


 アイリーは、ゾンビと聞いて驚くが、確かに手足を滅茶苦茶に振り回しながら走る群衆は変だ。


 咆哮を上げながら、一直線に向かってくるゾンビ軍団を前に、ブルーノは焦る。



 ウェンとハキム達は、銃を構えて、左右から進んでくる敵の列車を狙う。



「来たぞっ! 列車の相手は下の部隊に任せようっ!」


「俺達は、ゾンビの相手だっ!」


 テクニカル部隊は、ゾンビの大群に向かって攻撃を行っていた。


 M50重機関銃は、大口径弾を撃ちまくり、ゾンビ達の四肢を吹き飛ばす。



 Y字型スリングショットも、火炎瓶を投射して、炎を撒き散らす。


 ヒバレットも、荷台後部からZUー23ー2を連射して、左側から来た帝国軍の列車を攻撃する。



 ウェストは、クリスヴェクターを撃ちまくって、何とか敵を足止めしようとする。


 手榴弾を幾つも投げて、ギデオンは窓の下に身を隠す。



「やったわ、前列のゾンビは爆風で死んだよっ!」


「これでも、喰らえっ!」


「梱包爆薬と吸着爆弾だ、お土産に貰っておけ」


「もう、そこまで狭っている?」


 バーレットM82で狙撃した、パトリシアは大口径弾が、ゾンビ部隊を貫通するのを視認した。


 そして、スコープを動かして、手榴弾が炸裂した様子を確かめる。



 スタッロは、強酸性矢ストロング・アシッド・ボルトを打ち込み、走るゾンビ達を十数体も倒す。


 先ほど、見つけた爆弾類を、チューは振り回しながら投げ飛ばす。



 また、ナタンは必死で、ベネット・メルシエの引き金を引き続ける。



 そして、周囲は爆発に包み込まれた。



「列車は、まだ無事だっ! 幾つかのモジュールを破壊したようだがっ!」


「それより、ゾンビ達を何とかしないとっ!」


 ギデオンは、ひたすらウェブリー&スコット拳銃を乱射する。


 ウェン達は、ゾンビの大群を相手に銃撃を続けている。



 しかし、同じ建物や周囲のビル等から、銃撃やRPGー弾が発射されるが、大群は数を減らさない。



 それどころか、ティアット・ロイヤル・ドゥ・パーク劇場の屋上を守備していた部隊を襲う。


 また、周辺のトーチカに群がり、見張り台を押し倒す。



「うっ! 下から撃ってきたぞっ!」


「装甲列車めっ! ゾンビを援護する気か」


 チューは、03式自動歩槍を窓から引っ込めながら叫び、ワンは逆に80式汎用機関銃を撃つ。


 二人を攻撃するのは、ヴァゴンザックと言われる特別部隊輸送用ワゴンた。



 ロシャ連邦で、囚人移送用に使用される列車の貨物だが、今乗っている者たちは帝国兵だ。


 連中は、列車の窓や出入口から、AK74やビゾン短機関銃を乱射してくる。



 ゾンビ部隊を支援する為、それらによる激しい銃撃が二階のナタン達や車両部隊を襲う。



 こうして、帝国軍は生物兵器を使った、科学攻撃による本格的な殲滅作戦を展開してきた。

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