戦闘に巻き込まれてしまった、二人が無事だった事で、女性隊員たちは驚いてしまった。
「な? 何で、ここに居る訳…………」
「二人とも、無事だったの?」
「もしかして、もう既に戦いは終わった?」
ネージュ・ミア・ベーリット達は、無事な二人の姿に、きょとんとしてしまう。
「俺たちは、こちらの方に、助けられたんです」
「それと、ザミョール中尉にも助けられました」
手短に、窮地を救ってくれた、ラハーラーの事を紹介する、レオとカルミーネ達。
「はっ! 帝国地上軍の方、ザミョール中尉っ! 申し訳有りません…………内の隊の者が、ご迷惑をかけてしまいっ!!」
「気にすんな? 一つ貸しを作っただけだ、それと…………話は署でな?」
「ふふ、そうさっ! 別に気にしなくて良いよ?」
平謝りして頭を下げる、スネージュ準尉を前にして、ラハーラーとザミョール達は、困惑する。
また、二人とも彼女に対して、謝罪を止めるように頼む。
「それより、僕はラハーラー軍曹、所属は帝国地上軍・野戦憲兵隊」
「私は帝国警察部隊、第三管区、担当の第三小隊所属のスネージュ準尉であります」
ラハーラーは、何時までも平謝りする、ネージュ準尉を止めるため、所属先を教える。
すると、彼女も頭を上げて、同様に自身が所属する部隊名を答える。
「ここの処理は、我々に任せて貰えますか? でないと、我々の隊長の機嫌が悪くなるので?」
「分かりました…………私達は彼等の救出にきただけですので」
戦闘後に行われる、罠の解除や武器押収&潜伏している、レジスタンス掃討・捕虜確保。
と、多用な任務が残っているが、それ等の任務を、こなさねば成らぬ、ラハーラー。
彼は、ネージュ準尉に後処理を任せてくれと頼むと、彼女の方も、それを了承した。
「了解であります、では我々は事後処理を行わないといけないので、これにて失礼させて頂きます」
「はい、私達もこれにて退散します」
ラハーラーとネージュ準尉は、互いにローマ式敬礼をして、その場を後にした。
「俺も失礼しよう」
「分かりました」
ザミョール中尉に、ラハーラーは再び、ローマ式敬礼をした。
そして、踵を返して、早々に装甲車へと向かって行った。
「さあ、行くか」
その後、ラハーラーは部下達と共に押収した武器リストを確認しに行った。
「奴等は、サボってないといいが…………」
一方、ザミョール大尉は地下に潜り、洞窟にて待機する部下の元へ行った。
そこから、離れた警察車両の一団は、警察署を目指して、車列を組んで市中を走行する。
また、車列中央に位置する、指揮車両の車内では、険悪な雰囲気が漂っていた。
ネージュ準尉から、キツく締められている、二人の姿があったからだ。
「はぁ~~? 帝国地上軍が協力してくれたお陰で、任務は取り合えず成功したけど…………」
指揮管用の座席に腰掛けて、両足を組んだ、ネージュ準尉。
彼女は、こめかみに青色の筋を浮かばせて、目を瞑る。
「二人とも、失敗していたらどうするのよっ!!」
「はい、済みません」
「申し訳有りません」
ネージュ準尉は、教師時代からの教え子である、レオとカルミーネ達を叱咤する。
現在は、二人とも己の部下であるが、潜入任務とは言え、危険な行動を取ったからだ。
「全く…………もし何か有ったらって心配しちゃうじゃない」
「先っ! 準尉…………」
「つっ!? …………」
だが、彼女が、レオとカルミーネ達を激しく叱咤した理由だが。
それは、もちろん教え子を失いたくは無いと言う、思いもあるからであった。
そこから、かなり離れた場所の地下では。
帝国地上軍と帝国警察特殊部隊が、レジスタンス狩りを遂行している最中であるが。
当の抵抗勢力である、レジスタンス達は、次なる襲撃に向けて、準備していた。
地下深い場所に潜む彼等は、汚水が貯まる下水道に生息する溝ネズミの如く存在している。
こうして、しぶとく生き長らえていたが、ついに彼等は吉報を得た。
「おい、聞いたか? 南側が軍備を整えて反抗作戦の計画を練っているらしい」
「なら、帝国を一掃する日も近いな? ようやく吹雪とおさらばだな」
この星で、何処からかは分からないが、南側から北側へと、一大反抗作戦が開始される事となった。
「まだ噂だろう? いくら南側からの増援や物資の補給が入ったからって、皆浮かれすぎだよ」
「だとしても、今の私達には朗報よっ! もうすぐ一矢報いる事が出来るんですから」
地下秘密基地内を、歩きながら愚痴る、ナタンの背後から、メルヴェは強い口調で呟く。
「君は強いな、僕は気が滅入りそうだよ」
「確りして弱気にならないのっ!」
疲労により、気落ちしたままである、ナタンの背中を力強くバンバンッと叩く、メルヴェ。
「ほらっ! 二時間後には、ブリーフィングルームに集合だから、今の内に装備を整えておかないと」
「君の言う通りだね…………FAーMASの弾丸を補充しないと」
メルヴェと並んで歩く、ナタンは背負った、FAーMASに一度だけ目を向ける。
すると、また正面を向いて、早歩きで自室に戻ってゆく。
『帝国はまた新たな植民地を得ました…………植民地の名はフェアリーテイル・ワールド、スチーム・ワールド』
その途中で、右側にある部屋から聞こえてきた、ラジオが発する言葉に、二人は耳を傾ける。
『次のニュースです…………レジスタンスは我が帝国に対するテロ攻撃の頻度を増やしており、アフレアやタスマニャアに逃れた連合軍の反撃も近いと思われます』
帝国側のプロパガンダ放送から流される、キャスターの声だが。
それは、帝国軍・帝国警察も、万全の態勢で軍備を調えている。
また、連合軍・レジスタンスの反撃を察知している事を伝えた。
二人は、ニュースを聞き流しつつ、歩いていたので、続きは聞かなかったが、大体予測はできた。
大方、帝国はレジスタンスによる反撃に備えて、他所から増援を寄越すのだろうと、二人は思う。
別の場所、他にも無数存在する、惑星や時代に加えて、異空間にまで侵攻する帝国。
彼等は、有りとあらゆる場所から増援を派遣してくるかも知れない。
もし、そうなれば圧倒的な戦力差でレジスタンスを含む連合軍は壊滅してしまう。
そして、この惑星も、帝国による支配下へと落ちるだろう。
ナタン達による努力は、常に呆気ない死と洗脳される恐怖と、隣り合わせの上にある。
それに、レジスタンス&連合軍が計画する反撃も、結局は何の意味も為さないかも知れない。
だとしても、彼らは希望を捨てきれず、今日明日も、武器を手に取る。
そうして、強大な帝国を相手にした、無謀な戦いに身を投じるのであった。
「どうやら、連合軍の反撃が近いようだね? できれば、今すぐにでも来て欲しいよ…………ただ、そうなったら、戦いは激しさを増すだろうな」
「本当だわっ! そうすれば、帝国軍や警察を一気に片付けることが出きるしっ! でも、確かに戦闘は凄まじいことになるわね…………」
ナタンとメルヴェ達は、話ながら連合軍が援軍として、ハンザに来ることを期待する。
そして、ゲリラ戦やテロ攻撃のような戦いではなく、大規模な戦闘、いや戦争になるだろうと思う。
「まあ、でも、まだ希望は残っているんだよ? メルヴェ」
「そうだと言いわね? そうだと…………」
本格的な戦争になると考えながらも、ナタンとメルヴェ達は、前を向いて進むしかない。
こうして、長い廊下を歩いていた、二人は遂に自分たちが使っている自室まで着いた。
それで、ドアを開いて、室内に入っていくのだった。
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