スピィン、バレアレス諸島州、マヨルカ島、リュグマジョー近辺。
『Suー57を撃破っ!』
『ミグ41だっ!』
リュグマジョー付近にある田畑では、連合軍のラファール戦闘機が何機も飛ぶ。
また、帝国軍の戦闘機部隊も迎撃を行うために、空を勢いよく飛んでいく。
『戦闘空域に、到着したっ! ゴルフ場に降下させる』
ソー・ナテン・ゴルフィ・アカデミーの道が、円形に囲っている芝生に、巨大な影が映る。
それは、卵を、二つもくっつけたようなデザインの白い航空機だ。
この機体は、飛行機・ヘリコプター・飛行船などから良い部分だけを集めて、設計されている。
その名は、エアランダー10だ。
そして、下からは、小型ミニグライダーを装着した兵士が降下していく。
次いで、円筒形の赤いカプセルが投下される。
「ウェルバイクかよ…………」
「俺は当たりだ、モトコンポだっ!」
空挺部隊に属する、彼等は緑色のスポーツ・ヘルメットを被り、迷彩服を着ている。
背中には、M4A1カービンを背負う彼等は、赤いカプセルを開いて、中身を漁る。
愚痴る兵士が見つけた物は、第二次世界大戦時に、空挺部隊用に製作された、ウェルバイクだ。
笑顔を浮かべる兵士が、中身を確かめて出てきたのは、ホンダ・モトコンポだ。
前者は、第二次世界大戦時、車高が低すぎるゆえに、整地された道しか走破できなかった軽車両だ。
後者は、ジューポンで販売されたが、当初在庫があまりまくり、後から人気が高騰した軽車両だ。
「さあ、行くぞ」
「我々は、リュグマジョーへっ!」
超小型バイク部隊は、リュグマジョーを目指して走りだす。
その途上にある、造船所・施設郡が前方右側に見えた。
白い建物が、建ち並ぶ上空を灰色のオスプレイが、三機もホバリング状態で止まっている。
また、造船所近くを通りすぎた、バイク部隊は、見方の車両部隊と出会った。
「あ、味方部隊だ?」
オレンジ色に車体を覆うポールが塗装された、アリエル、ノマド。
タンカラーの車載機関銃で武装された、デューンバギー。
この二台より後ろに、緑色に塗装された、軍用四輪ATV、ヤマハ・グリズリーが続く。
これら軽車両部隊は、造船所を制圧されるために派遣された奇襲部隊だ。
マヨルカ島では、連合軍の迅速な作戦展開により、島全体が早期に完全制圧されそうであった。
スピィン、メノルカ島、フェノリエス。
「GOーー! GOーー! GOーー!」
オスプレイ、バローなどのティルトローター機から兵士達が降下していく。
ファストロープで、彼等は真下にある町を制圧するべく、作戦を開始する。
彼等は、町の北側にあるボート修理場を目指して、さらに北部に広がる田畑へと降りたった。
「BTRー80だっ!」
「無反動砲を用意っ! 撃破したっ!」
ハウメ・マスカロ通りを走る、軽車両部隊は、円形交差点の手前を走っている。
すると、右側の建物より向こうから、装甲車が登場したことで驚く。
しかし、即座に停車させた、即席戦闘車両ベスパ 150TAPから無反動砲を発射した。
至近距離からの一撃により、敵装甲車BTRー80は側面から撃ち抜かれて爆発炎上する。
そして、軽車両部隊は、無事に円形交差点にまで来た。
「敵兵っ! 敵兵っ!」
「反撃だっ!?」
「行くぞっ! 歩兵が出てきたっ!」
「帝国軍の守備隊だなっ!」
「撃ち抜いてやる」
左側にあるピザ屋から、何人もの帝国軍兵士たちが現れて、こちらに気づいた。
折り畳み式スクーター、バルモビルに乗った兵士は、H&K、MP7を撃ちまくった。
折り畳み式の立ち乗り四輪車ディスレイダーに乗った兵士は、マグプルPDRを連射しまくる。
また、背後の座席に座っている兵士も、ARー57を激しく撃った。
「ぐわああっ!」
「ぐぶぅっ!?」
「コイツも、喰らえっ!」
「オマケだっ!」
ディスレイダーに立ったまま乗る運転手と、牽引された荷台に座る兵士たち。
運転手は、次々と撃ち殺されていく、帝国軍兵士たちに向かって発煙弾が投げる。
次いで、兵士はアーウェン37から、グレネード弾を何発も放った。
「うわああああっ?」
「ぎゃーー!?」
発煙弾の白煙は、帝国兵を混乱させ、グレネード弾は、店内に隠れる連中を吹き飛ばす。
スポーツ複合施設、運動場。
ここには、地上に降りた、オスプレイから軽車両が出てきた。
M2キャリバー重機関銃を備えた、グロウラーITV だ。
二機目、三機目のオスプレイが現れる度に、これは下ろされていく。
その周囲には、装甲車ピラーニャ、コッカリル900ミリ低圧砲など、機甲部隊が展開している。
マヨルカ島も、問題なく連合軍が展開しており、既に島全体へと空挺部隊が降下していた。
このまま行けば、シチリア島どころか、イタリィー本土に加え、キプロス海峡まで制圧できそうだ。
しかし、肝心のハンザ本土では連合軍コマンドを中心とするレジスタンス部隊が苦戦していた。
ハンザ、ベルギュー州、ブルグマン通り。
『マヨルカ島では、連合軍のエアランダーが………ザザッ! マレーシュア、シングァポール間を結ぶ橋がテロで爆破さ…………れ』
「聞いたか? 作戦は成功しているが、後方も大分やられてるってよ?」
トヨタ・テクニカルの助手席に座る、アシュア系PMC要員は、ラジオを聞いていた。
「だが、帝国側も相当領土を喪失しているんじゃないか? 今回の連合軍は本気だ」
「今までの冷戦状態や、小競り合いとは違って、こんなに戦力を出しているんだし」
アシュア系PMC要員の言葉を聞いて、ナタンはAAー52車載機関銃を構えつつ返事する。
メルヴェも、建物の上から奇襲を受けないように警戒しながら、ダネルMGLを構えて呟く。
二人は、コルリー・スーパーマーケットの建物が左側を通りすぎてゆくさまを見る。
「そろそろ、仕掛けてくるか?」
「そうね? ハッ!?」
ババババと、何処か遠くから銃声が響き渡り、戦闘が行われているんだと、二人は思った。
ナタンは気を引き締め、メルヴェは左右の建物屋上に目を配る。
「近いな? 二人とも、準備してくれっ!」
「分かっている、いつでも戦えるっ!」
「私だって、行けるわ」
「ん、うわあっ!? RPGーI!」
戦闘により機銃掃射や爆発音が木霊する中、アシュア系PMC要員は、MP5短機関銃を握る。
ナタンも、AAー52の照準を、屋上や屋根へと向けながら答える。
メルヴェは、いきなり敵が来ないかと、ダネルMGLを後方に向ける。
しかし、そんな三人が驚くほど大きな声で、運転手は叫んだ。
その後、車列前方で爆発音がしたかと思うと、四方八方からRPG弾が飛んでくる。
「敵襲ーーーー!? 敵襲だぁっ!?」
「撃ち返せ」
「こっちからも、榴弾を撃つんだっ!」
「弾を惜しまず撃ちまくれっ!」
「グレネード、グレネードを発射してくれっ!」
前方から、PMC要員たちが、車載機関銃やグレネードランチャーを撃つ音が聞こえる。
猛土の上部からは、80式汎用機関銃を白人PMC要員が反撃して撃ちまくる。
ハンヴィーの上部からも、黒人PMC要員が、 Mk19自動擲弾銃から榴弾を放ちまくった。
それ以外にも、左右の建物や走る車両からは自動小銃や汎用機関銃などが火を吹く。
こうしている間にも、RPG弾は建物や車両に当たって、派手な爆発炎を吹き上げる。
「始まったか…………うぁ」
「バスが燃えているっ!」
「ヤバイ、これじゃ」
黄緑色の装甲バスに改造された、スカニア、アストロメガは、大破炎上している。
RPG弾を、二発も喰らったのであろう、車体は真っ赤な炎に包まれていた。
バス全体に、刺々が如く、生やされているように装備された、汎用機関銃も折れ曲がっている。
また、何台かのハンヴィー、トヨタ・テクニカルなども破壊されていた。
それを見た、PMC要員たちの声が、前方から聞こえてきた。
「クソ、死体が頃がっている…………」
「ナタン、仇を討つのよっ!」
二人が乗っている、トヨタ・テクニカルも当然屋上から狙われる。
ナタンは必死で、斜め上に向け、AAー52から機銃弾を途切れなく放ちまくる。
メルヴェも、帝国兵が自動小銃やRPGを撃ってくる建物屋上や窓を睨む。
そして、敵兵に対して、ダネルMGLから榴弾を次々と撃ち放ってゆく。
「ぐぁ」
「ああああーー」
「ぐわあっ!」
「ゴフ…………」
ナタンの機関掃射は、敵兵を撃ち殺したり、屋根から落としたりする。
メルヴェの放ちまくった、榴弾は敵を吹き飛ばし、爆炎で体を焼いてしまう。
こうして、二人は必死で帝国軍・帝国警察による待ち伏せに対して、応戦していた。
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