【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第249話 高級将校の到着

公開日時: 2024年7月12日(金) 12:37
更新日時: 2024年7月15日(月) 07:55
文字数:3,171


 聞こえた悲鳴に、驚いた三人は、帝国軍の高級将校が捕虜に噛み付く姿を見た。



「うう…………うがああああ」


「うーー! うーー!」


「むぐぅぅっ!?」


「さあ、行けっ! 仲間を増やしてこい」


 噛み付かれた、レジスタンス員はゾンビと化して、獲物に喰らいつかんと走ってゆく。



 ウラルー375が、牽引していた、テプルシカから下ろされた捕虜たちは、手足を縛られている。


 しかも、口を黒いギャグボールで塞がれて、騒ぐ事もできない。



 壮年の高級将校は、犬を走らせるように命令するが、ゾンビに聞こえているかは分からなかった。


 その背後に、書類を持った略帽を斜めに被る金髪ポニーテール女性秘書官が現れた。



「オルレフ旅団長、新たに捕虜二百名を追加しました」


「アーシャ、そいつ等もゾンビに変える…………最前線に大量投入するためにな?」


 オルレフ旅団長とアーシャ達が、会話している間にも、続々と軍用トラックが到着する。



「ここは、野戦病院&仮説基地だからな?」


 フロスト中尉は、集まってくるトラック部隊や歩兵部隊と、連行されてくる捕虜を見て呟く。



「この目を見ましょう~~? さあ、大人しくなりなさい」


「はい…………」


「はい?」


「種子を植え付けた、もう貴方らは私の子だよ…………」


「がう、ぎがっ!」


「ぐぐ?」


 連行されてきたばかりである、様々な連合側兵士たち&民間人たちが地面に座らされている。


 しかし、拘束されていない彼等は、女性ウィザードから催眠魔法を受けていた。



 長いヴラウンゴールドの髪に、黒い尖り帽子を被る彼女は、正に魔女だ。


 長い軍服コートを羽織ってはいるが、前は開かれており、下着型の紫色をした水着が見える。



 一方、女性ドライアドは並べられた捕虜たち全員に、自身から伸びた蔦《ツタ》を突き刺している。



 どうやら、背中や首に後頭部へと、鞭蔦の先端部を捩じ込んだ後に種を植え付けたらしい。


 冷酷な無表情の顔を、青緑をした蔦と葉で覆い、長い髪も青緑に染めらた草みいになっている。



 彼女は、ロシャ製、鼠色と薄紫のVSRー96迷彩マントを着ている。


 その下は、同じ模様である、スポーツブラとホットパンツを履いている。



 手足には、自らの刺蔦を巻き付けていた。



「カシアナ師団長、旦那様がお待ちです…………ザリファ特務隊長殿も全部隊員が揃いました」


「あら、そんな時間かしら? じゃ、旦那様のためにも、この子達を連れてかなきゃね?」


「分かった、行くとしよう」


 帝国軍兵士が現れると、カシアナは旦那と聞いて嬉しそうに、スキップしながら歩いて行った。


 その後を、催眠洗脳された捕虜たちが着いていき、彼等はテント内に向かって行った。



 ザリファも、体中を青緑色の蔦や草葉に包まれた、新たな部下を引き連れて歩いていく。



「ふむ、僕らも交渉して、隊員を増やして貰おう?」


「そんな事、勝手にできるんですか?」


「それより、全隊員を集めなくては…………」


 フロスト中尉が呟くと、レオとミア達は部隊集合が先だと進言する。



「うん、そうだな? 大人数になったし、一度は整理しないと、ん?」


「中尉っ! ネージュ以下、二十三名、全員が揃いましたっ! みな、突撃に備えて待機していますっ!」


 先に戦闘で、フロスト中尉が率いる第三小隊は、大幅に増員された。


 その人員を、どうやって整理しようかと、彼が考えていると、ネージュ準尉が現れた。



「そうか、やっておいてくれたか? 助かったよ? でも、もう少し待っててくれ、ネージュ…………あと、一個分隊は人員を増やさなくては成らないからね」


 フロスト中尉は、そう言いながら視線をキョロキョロと動かすと、ある物を目にした。


 灰色の車体に、青い線が入った、青パトランプを備えた、ウラルー4320トラックだ。



 アトミウム通りから駐車場内に入ってきた、トラックに彼は近づいていく。



「やあ、運転手君? 中に入った人員は兵士かい? それとも捕虜かな?」


「ああ? 中身は政治犯なんだけど、上からの命令がないから、後ろの移動式ブタ箱に入れたまま何だ」


 フロスト中尉は、何気なく左側の座席に座る運転手に声をかけた。


 そして、彼は四つの格子窓が付いた荷台に、目をチラリと向けた。



「悪いが人員不足なんだ、こっちに兵隊を譲ってくれないかい?」


「はあ? しかし、上の命令には逆らえないし」


 フロスト中尉は、ニヤリと笑いながら運転手の兵士に中身を譲るように頼む。



「僕は君より階級は上だぞ? 上官に逆らえば反逆者扱いになるだろうっ! それに書類を出してくれ、名前を書いておく? そうすれば、後は此方《こちら》で責任を持つ」


「…………分かったよ、なら好きにしな? ただし、本当に責任は取ってくれよ」


 フロスト中尉に言いくるめられた運転手は、面倒くさそうに、書類を手渡した。



「よし、これを」


「ああ、さあ後ろの連中を持って行ってくれ」


 紙をドアに押し付けながら、書類にサインを記した、フロスト中尉。


 彼は、それを運転手に渡すと、トラック後部のドアが開かれた。



「後は好きにしな」


 どうやら、今のは運転手が機械を操作して、ドアを開いたようだ。



「分かった、有り難う」


 それだけ告げると、フロスト中尉はトラック後部に向かっていく。



「わあ、凄い…………ネージュ、レオ、ミア、着てくれっ!!」


「何ですか、隊長? う、これは…………」


 開かれたドアの前に立つ、フロスト中尉に呼ばれた、ネージュ準尉は歩いて近づいて行った。



「凄いだろう? この白い連中は? レオ、ミア、あっちのテントに連れて行ってくれ」


「コイツらは凶悪犯ですか? まあ、しかし了解しました、今連れてきますよ」


「分かりました、中尉っ! 帝国に逆らった組織の中でも、屈指のヤバさを持つ連中かもね」


 中身の囚人たちを見た、フロスト中尉は笑いながら二人を呼ぶ。


 レオとミア達は、渋々トラック内に犇めき合うほど、ぎゅうぎゅう詰めにされた囚人たちに驚く。



 そして、大勢の連中を連行し始める



 囚人たちは、白い袋を頭に被され、白い服は黒い拘束具で両腕と腹を、ガチガチに縛られている。



「いいかい、君たち? 聞こえているかは分からないけど、あっちのテントまで連行するからね」


 そう言うと、フロスト中尉は歩きだし、二十名ほどの囚人たちも、レオとミアたちに連行される。



「さあ、さっさと歩け」


「時間が無いのよ」


 連中は、全員に黒い首輪が連結されており、先頭の者は、レオとミア達が強引に引っ張る。



「ん、アレは確か、元レジスタンス員のーー?」


「ハーミアン・マシリンギ二等兵です、それから、レギナとベーリット達ですね?」


 アトミウム近くに設置された、大きな黒いテントの前で、フロスト中尉は、部下たちを見つける。


 そして、ネージュ準尉も三人が何やら話している姿を目撃する。



「レギナ、生きていたのね?」


「ハーミアンこそ、よく無事だったわ」


 レギナは、柔和な笑みを浮かべながら、ハーミアンと再び仲間となれた事を喜んでいた。



「アンタ…………レギナと一緒に、レジスタンスに所属していたんだって?」


「ええ、そうよ? それが?」


 そこに割り入るように、ベーリットが現れると、背の高い彼女は、ハーミアンに顔を近づける。



「だからと言って、レギナはアンタの物じゃないんだからね? 私の方が昔からの友達だし」


「私だって、彼女と戦場をともにした時間は長いわよっ?」


 圧をかける不機嫌顔のベーリットに対して、ハーミアンも笑みを浮かべながら答える。



「このっ! 新入りの癖に生意気な」


「何よっ! だだ背が高いだけのっ?」


「ストップ、ストップ…………両方とも、隊長が来たわよ」


 今にも喧嘩しながら拳銃を抜き取りそうな、ベーリットとハーミアン達を、レギナが仲裁した。



「隊長、済みません? お見苦しいところを…………」


「はあ~~? まあいい、それより警備をご苦労様だ」


 レギナが申し訳なさそうな顔で、フロスト中尉を向かえる。


 そして、連行されてきた捕虜たちは、テント内に入れられて行った。

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