【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第296話 任務完了、帰投する

公開日時: 2024年7月12日(金) 17:48
更新日時: 2024年7月15日(月) 08:43
文字数:3,098


 両手で握るマニューリンMR73の銃口を、ルカは真っ直ぐ確りと、ナタンに向けている。



「お前、お姉ちゃんを殺したなっ!」


「殺してない、眠らせただけだ」


 8インチの長銃身から、ルカは何発も発砲したが、すぐに弾切れになる。



「マニューリンの装填弾数は、たった6発だっ! お前の腕じゃ、俺の頭は狙えない? それに、この距離じゃあ、357マグナム弾では強化された肉体と防弾ベストを貫通できても大した傷は与えられないぞ」


 ナタンは、両手を振って、自分は不死身だと告げる。



「うるさいっ! だったら、これで殺してやるっ!」


「やるな? だが、そんなんじゃ勝てない」


 ルカは、マニアゴ・コンバットナイフを片手で強く握り絞めると、真っ直ぐ突っ込んできた。


 その一撃は、頸動脈を斬るかと思われたが、ナタンは軽く動いて、簡単に交わしてしまう。



「お返しだっ! オラ」


「うげっ! げお…………うぅ?」


 ナタンは、ルカの腹に膝蹴りを叩き込みながら、体を掴むと、オサーを床に撃った。



「すぅ…………」


「眠ったか、安心しろ? お前は使えそうだから殺しはしない」


 弾頭から亜酸化窒素ガスが噴出すると、それをルカは吸ってしまう。


 そして、昏睡状態に陥った、彼の体を抱き上げながら、ナタンは耳元で呟いた。



「で、どう報告するの? 命令は残党部隊を全員殺処分するはずだったわよね? そう言う殲滅任務だったでしょう? 命令違反になるわよ」


「メルヴェ、うちの隊には衛生兵が居なかっただろう? ルイーズは医務班員だったっ! ルカは勇気ある奴だし、少年兵にしてやろう…………それに、戦力増強のためだ? 上には上手く報告しておくから」


 メルヴェから文句を言われた、ナタンは言い訳しながら、ルカを抱いて歩きだす。


 奥から、微かに風が吹いてくる事ので、彼には出口がある事が分かった。



「ジハード、ファン、ルイーズを頼む? ハルドル、キーラン達に撤退すると伝えてくれっ!」


「了解しましたぜっ!」


「丁重に運びます」


「はいっ! 第二分隊は退散するからなっ!」


 ナタンの命令で、ジハードとファン達は床で倒れている、ルイーズを運んでいく。


 ハルドルは、上の入口に向かって、大きな声で叫ぶ。



「さて、メルヴェ、外に向かおう」


「たく、余計な手間を増やして…………」


 ナタンの後を愚痴りながらも、メルヴェは着いて行く。


 こうして、連合軍の残党部隊を潰した、二人は地上へと向かった。



「ここは、ロゼ通りに面するピザ屋の中だったか? んあ?」


「外から銃声がするわっ! 戦闘中よっ!!」


 蓋を開いた、ナタンは地下室から出てくると、店内を歩いて、窓から外を眺めた。


 メルヴェも、壁に張り付きながら敵戦力を把握しようと密かに通りを注視した。



 直ぐ側の駐車場では、残党部隊が民間車に混じって、銃撃戦を展開している様子が見えた。



「撃ちまくれっ!」


「とにかく、破壊するんだっ!」

 

「爆弾は仕掛けたぞっ!」


「よし、やれっ! ぎゃああ」


 白人レジスタンス員は、空に向けて、AK74を滅茶苦茶に乱射する。


 トヨタ・テクニカルから黒人民兵は、キャリバーM50重機関銃を上空に撃ち続ける。



 連合軍兵士は、路上に爆弾を設置していたらしく、何かを弄っていた。


 それに、黒人レジスタンス員は、指示を出したが、いきなりレーザーに体を貫かれた。



「宇宙兵だっ! 撃ち殺せっ! ぐぎゃっ!」


「うわあっ!?」


「ぐああああっ!」


 白人レジスタンス員は、ビームランチャーで吹き飛ばされた。


 連射されるレーザーを受けた、黒人民兵は、トヨタ・テクニカルごと爆発する。


 連合軍兵士も、二丁レーザーガンで撃ち殺されてしまう。



「まだ、居るぞっ!! オレグ、アレクセイ、左から行けっ!」


「了解、火力支援しますっ!」


「側面から仕掛けますっ!」


 Aー545小銃を構えて、ジェットパックを飛翔させる、隊長らしきカスマナーフトは命令する。



 レーザーガトリングを持っている、オレグは左側へと滑空していく。


 背中のジェットパックから、ビームキャノンを射って、アレクセイは飛び上がりながら移動する。



「フョードルは前へっ!!」


 背中のジェットパックに備えられた、八連ミサイルポッドを放ちながら、隊長は真っ直ぐ突っ込む。


 彼は、Aー545小銃を連射しながら、ロボット兵フョードルを、二体も引き連れていく。



「敵だっ! 火炎瓶を投げろっ! ぐわっ!」


「ぎゃああああっ!」


「怯むなっ! 撃ちまくれっ!」


「一気に敵を殲滅するっ!」


 黒人民兵が、火炎瓶を投げようとしたが、Aー545に撃たれて、路上に落としてしまう。


 その火炎に巻き込まれた、白人レジスタンス員は、体に火が着いて暴れだす。


 しかし、連合軍兵士はACRを撃ちまくり、アラビ人兵士はAKカスタムを乱射する。



「不味い、このまっ! ぎゃっ!」


「クソッ! ぐわああっ!!」


 隊長より前を走っていた、二体のフョードル達が、両手に握るレーザーガンを乱れ射ちする。


 それにより、連合軍兵士とアラビ人兵士たちを、簡単に射殺してしまう。



「ボリス隊長、制圧完了です」


「周囲に敵影なしです」


「よし、巡視船まで帰投するぞ」


 オレグは、レーザーガトリングを抱えて、アレクセイは、レーザーライフルを下げつつ報告する。


 ボリスと言われた、隊長カスマナーフトは、ジェットパックを噴射させる。


 そのまま、三人とフョードル達は上空に浮かんでいる宇宙巡視船まで戻っていった。



「手伝うまでも、無かったか?」


「レーザー武器を多用しているとはね」


 ナタンとメルヴェ達は、圧倒的な戦闘力で敵を壊滅させた、カスマナーフト部隊に驚嘆した。



「ここは潰した、俺達も帰ろうか」


「そうしましょう」


 ナタンは、ルカを抱えながら外に出ていき、メルヴェも後に続く。


 黒い自動運転バス、NAVYA製EVOが来ると、二人は中に入る。



「ここに、寝かせてやろう」


「はぁ? それから、どうすんのさ?」


「隊長、もう一人も連れて来ました」


「彼女は、乗せますね?」


 ナタンは、そっとルカを四つ並んだ座席に座らせると、メルヴェから文句を言われる。


 すると背後から、ティエンが声を掛けてきて、ハルドルも話してきた。



「そうだな、ルイーズも座席に寝かしてやってくれ、それから君達は先に警察署に帰ってていい…………メルヴェ、どうするかは今から説明する」


「了解ですぜ」


「撤収します」


 ナタンの説明を聞いた、ジハードとファン達は、車内に乗り込み、ルイーズを座席に寝かせる。


 それから、二人とも天井から下がった、つり革を掴む。



「では、お気をつけて」


「お先に失礼します」


 ティエンとハルドル達も、車両に乗ると、ドアを閉める前に、ローマ式敬礼をした。



「それで? 説明ってのは?」


「これさ」


 メルヴェは、抱かれつつ頭を撫でられながら、耳元で囁かれる。



「メルヴェ…………奴らも、どうせ明日には帝国警察の仲間入りだ? 殺すのも、精神だけを殺すのも大した変わらんさ」


「う? でも、上の命令は殲滅だって?」


 いきなり、ナタンに包容された、メルヴェは大人しくなる。



「なら、書類上は志願者と言う事にして置けばいいさ? どうせ、どこの隊も規律を守る気は無いし、勝手に戦力増強はしている? 最早人種すら関係なく兵力をかき集めているくらいだ」


「それは?」


 ナタンの話しを聴きながら、メルヴェはウットリしてしまう。



「フロスト中尉やネージュ準尉も、戦力増強は喜ぶだろう?」


「そ、そうね? そう言う事なら納得するしかないわね」


 ナタンは、メルヴェの頬にキスしながら話し続けると、ようやく彼女も了承した。



「そうか、じゃあ警察署までは、アグラレ・マルアに乗って、デートしようか」


「で、デート…………♡」


 ナタンの言葉に、顔を真っ赤っかにしながら、メルヴェは呟く。



 こうして、二人は警察署に帰投して行った。

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