【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第76話 包囲され窮地に陥るレジスタンス

公開日時: 2024年7月10日(水) 01:13
更新日時: 2024年7月12日(金) 23:12
文字数:3,012


「さあっ! …………銃を床に置いて、すぐに降伏しろっ!」


「分かった、降伏するっ! 俺の命はどう成っても良い、だから部下達だけは助けてやってくれっ!!」


 長身の士官に脅された、ウェストは仕方なく降伏する事を選択した。


 それで、手に持っていた武器を、工場の緑色に塗装された、床上に置く。


 そして、彼が装備と予備の拳銃も捨てると、仲間たちも、全員が彼と同じく武器を床に落とした。



「ふんっ! …………黒い獣《けだもの》の分際で、生意気を言いやがってっ!」


 長身の士官は叫ぶと同時、部下に目配せをして、秘密裏に命令を下した。


 うつ伏せ状態で、ナタンは両手を頭に乗せながらも、長身の士官を凝視する。



『…………彼は…………まさかっ!?』


「行動開始っ!!」


 ナタンが見据える、長身の士官は、部下に大声で命令を下す。


 彼の背後に控えていた、四名で構成される部下達は素早く動く。



 彼等は、左右に展開していた、帝国軍兵士たちを、次々と手に持った銃で撃ち殺してゆく。



「全部片付いたか…………?」


 長身の士官は、辺りに転がる、帝国軍兵士たちが死体となっている事を確認する。


 そして、緊張を説いたのか、溜め息を吐きながら、ボソリと呟く。



「お前は…………まさかっ!?」


「お疲れ様でした、ウェスト少尉」


 地面に伏せていた、ウェストが頭を上げると、長身の士官は、彼を起こすべく手を差し伸べた。



「コードネーム、ステンマシンカービン」


「コードネーム、グリースガン」


 ウェストは、旧ブリティア軍で使用された、短機関銃の名前を言った。


 対する、長身の士官は、旧アルメア軍で使用された短機関銃に名付けられた、渾名《あだな》を言った。



「やはり、お前が連合軍が送り込んだ、工作員か…………」


「はい、私はとある作戦計画の情報と、支援物資と武器を運んで参りました」


 ウェストが彼に尋ねると、長身の士官はローマ式ではなく、額に手をかざす敬礼をした。



「連合軍特殊工作隊所属のギデオン・シーウェルです? お話より先に、まずは死体を片付けましょう」


「ああっ! それはそうだが、何処に隠すんだ?」


 長身の士官、ギデオンは微笑みながら、死体を片付ける作業を優先すると言い出す。


 それを、どのような方法で死体を片付けるよとするか、それが気になる、ウェストは質問する。



「それは心配要りません、トラックから彼等が出てくれば」


 ギデオンが言った瞬間、彼の部下が、ノートPCを操作した。


 すると、輸送トラック後部から、機体下部に四本のアームを備えた、ドローンを出現させる。



 廃工場内を飛び交う、ドローンは帝国兵を片付けるべく、アームを動かしつつ宙に死体を浮かべる。


 また、それを運ぶドローン以外は、支援物資や武器弾薬を下部に吊り下げていた。



 こうして、ドローン部隊による効率的で、迅速な作業により、全てが素早く片付いていく。



「これで、アジトまでは楽に帰れますね、道中の変装による敵の欺きは我々にお任せをっ!」


「助かるな、さて、お前ら帰るぞ」


 ギデオンとウェスト達に続き、帝国軍兵士に変装した、ギデオンが率いる四人の部下達は歩きだす。


 そして、ナタンを含む、レジスタンス達は、アジトを目指して帰路に着く。



「あそこの部屋の梯子から降りられる」


「そしたら、アジトへの帰り道だ」


 隣接する隣の工場まできた、ウェストとハキム等は屋内で、最奥に位置する部屋を指差した。



「では、行きましょうか?」


『…………彼は? 何処となくキーランに似ているな? …………』


 梯子の存在する部屋を目刺し、ゆっくりと歩いて行く、ギデオン。


 彼を背後から、凝視するナタンは昔ともに公園などで遊んだ、旧友の面影を思い出す。



 その後、梯子を全員が降りて、ドローン部隊も後に続かせ、彼等はアジトへと戻って行った。



「くっ! かなり、ここは臭うな…………」


 先程、激烈な戦闘が繰り広げられた、下水道内を歩く、ギデオン。


 彼は、鼻が曲がりそうな程、空間に広がる余りにも酷い臭さに、露骨に嫌そうな顔をする。



「我慢して下さい、私達も出来れば通りたくは無いんですから」


「ああ、臭いに慣れて無くて…………済まないね?」


 レギナが、横から不意に言葉をかけると、ギデオンは済まないとだけ短く答えた。



「それより、貴方と何処かで会った事があるかしら?」


「いえ、貴方達と会うのは始めてですが?」


 レギナの質問に対して、ギデオンは平然とした顔で違うと答えるが。


 やはり、彼はキーランでは無いかと彼女は疑いの目を向ける。



「ナタン…………アイツさ、何かキーランに似てない?」


「うん、僕もそう思うよ?」


 ヒソヒソ声で話す、メルヴェとナタン達だが、二人はギデオンの背中を見つめながら怪しいと思う。


 彼等は、新たに現れた、連合軍コマンド隊長ギデオンを怪しみつつも、ずっと歩いていく。



 下水道内を進み、運良く帝国側部隊とは出くわさず、レジスタンスの秘密アジトへと戻った。



 その後。



 無事に、アジトの入口にまで、幸いなことに無事、戻って来られた彼等だったが。


 入手した、武器・弾薬類を吊り下げた、ドローンとともに中に入ろうとする。



「ここが、入口ですか?」


「一見すると、行き止まりに見えるがな…………」


「ここを押せばね」


 ギデオンの短い言葉を聞いた、ハキムとレギナ達は一歩前に出る。


 二人は、左右に並んで、灰色のコンクリート壁を力強く押して、ゆっくりと回転させる。



「さぁ皆、中に入るぞっ!」


「あーー! 重かったわぁ」


 こうして、偽装された回転式ドアから、アジト内に入ろうとする、連合軍工作員とレジスタンス達。


 彼等全員が入ると、最後尾のハルドルとサビナ達は、コンクリート壁を回転させて入口を閉めた。



「さて、もう変装はしなくて良いな、皆服装を替えよう」


「そうですね、隊長殿っ!」


「味方に撃たれるなんて、ゴメンですしね」


 そう呟くように指示を出した、ギデオンに従い、部下達は、帝国軍兵士の服装を脱ぎ始める。


 皆、味方による誤射は、とうぜん受けたくは無いから、着替えだした訳だ。



 それから、トーテン・シェーデル・ゾルダートの格好をしていた、彼等は正体を晒す。



 ギデオンは帝国軍士官の服装を脱ぐと、下には白いシャツに青いネクタイをしていたが。


 それも脱いでしまうと、さらに下は、白いTシャツを着ていた。



 そして、彼は黒いズボンを脱ぐと、下には薄い生地の黄緑色をした、作業ズボンを履いていた。


 彼は、瞳から、サイアンブルー色のカラーコンタクトを取り、ゼラニウム色に光る瞳を露にする。



「髪色も脱色しないとな」


 そう語る、ギデオンの後ろに控える部下達も、もちろん彼と同じようなラフな格好をしていた。



 四人の内、一人は背が高い女性であった。



 彼女は、かなり長い茶髪ロングヘアに、カメリア色の瞳で、南アルメア系な顔立ちだ。


 彼女は、ワーウルフを猫版にしたような格好をしている。


 頭には猫耳を、顔には猫鼻を、口元から犬歯を覗かせていた。



 その横に立つ人物は、少し浅黒い肌だ。



 癖の強い黒髪を7、3に整えた、南アシュア系な顔立ちで、瞳はクラベット色であった。


 彼も、トーテン・シェーデル・ゾルダートみたいに、顔の右半分を赤黒い骸骨が露出していた。



 また、後ろに存在する二人の内、右側に位置する若い女性は背は低かった。


 栗色ショートヘアで襟足を跳ねさせ、前髪を揃えており、チェリーポップ色の瞳であった。



 左側に位置する男性は、南太平洋系の顔立ちで、肌は浅黒かった。


 黒髪オールバックに、薄緑色をした草葉が混じり、瞳の色はレッドアップルであった。

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