「あそこに隠れている、ヤツを狙えっ!」
「私達を守りなさいっ!」
「◣◥◇◥▤▦▤◉▦◎◑」
「▦▤◣◌●□◇◆」
「◥〇◆▣▩●◢◤□」
「◥□◇◣◢◣▤〇◌」
ウィザードの命令に従い、チュソン兵たちは88式小銃を構える。
また、奴自身は氷壁を作りだし、背後にモングル系のソーサラーを立たせる。
それから、氷壁の上から雷撃魔法を放ち、チュソン兵たちに激しい制圧射撃を行わせる。
「ぐわわっ! 手榴弾でも喰らえっ!」
「◆◆▣っ!?」
「◣◆◌□◤◤□っ!」
ナタンは、懐から手榴弾を取り出し、二回も敵の方へと投げた。
凄まじい銃撃に晒された、彼が身を隠す事務机は穴だらけになってゆく。
しかし、投げられた手榴弾が炸裂して、チュソン兵たちを吹き飛ばす。
と、言っても連中を、二名ほどしか倒せなかった。
さらに、チュソン兵たちが、左側から回り込んできて、一気に銃撃を繰り出してきた。
「わっ? 音がしないだと、厄介な連中だ…………」
ナタンを左側から襲った複数の銃撃は、銃声が鳴らない拳銃弾だった。
見ると、拳銃を構えた野戦帽を被るチュソン兵たちが、回り込んできていた。
一人は、サプレッサー付きのCZ82拳銃を両手で握っている。
もう一人は、サプレッサー付きの64式拳銃を、構えながら走ってくる。
「5、45ミリ弾を喰らえっ! この野郎っ!」
「●◇▤●▩◢◤◥…………」
「◉◢◥◢◆□▩◤◢●っ!?」
ナタンは、すぐさま床に伏せつつ、AK12を弾倉が空になるまで、乱射しまくった。
それを喰らっても、平気な顔でチュソン兵たちは拳銃を撃ち、プスプスと小さな発射音を鳴らす。
しかし、銃撃を受けつつも、反撃してきた彼らだが、流石に血を流し過ぎたのか倒れてしまう。
「やっと、終わったか?」
「増援は、まだかあっ?」
「ロワ通りに行ったそうだっ!!」
ナタンは、机に背を凭れさせ、AK12の弾倉を交換しながら呟く。
だが、その合間にも敵から猛烈な制圧射撃や機銃掃射が、机をズタボロにしていく。
そんな中、アシュア系PMCは味方が来てくれることを期待して叫ぶ。
しかし、白人民兵は返答しながら、二連散弾銃を撃つ。
それでも、敵の勢いは止まらない。
おそらくは、ソーサラーによる幻影も何人か、敵には含まれているのだろう。
ただ、チュソン兵を含む人数自体が非常に多いのも、また事実だ。
「まだ、増援は来ないのかよっ!」
「喰らえっ! うぎゃっ!」
「うわあっ? があ、が……………」
「カアァァッ!」
南アシュア系PMC要員は、反撃しようとMP5を乱射し始めた途端、顔を蜂の巣にされてしまう。
コーカサス系の民兵は、身を伏せたまま隠れていた、事務机がズタズタになるほど銃弾を浴びた。
もちろん、それによって、二名とも絶命した。
さらに、水色・青緑・茶色の迷彩服を着た、灰毛に覆われた、ワーウルフが襲いかかってくる。
「ぐっ!? ヤバいっ!」
「死ねぇぇぇぇっ!!」
ドラムマガジン&サプレッサーを装着した、スコーピオン短機関銃から何十発も弾丸が放たれる。
ナタンに当たるワケではないが、乱射しながら真っ直ぐ特効してくる、ワーウルフに彼は恐怖する。
「喰らええーーーー!!」
「やっ! やめろぉぉっ!?」
銃剣を片手に飛びかかって来た、ワーウルフを前に、ナタンは必死でAK12を前に出す。
「があっ? う、うう…………」
「その首、貰ったああーーーー!! は?」
ナタンの太ももに銃剣が突き刺さり、次いで首を狙った一撃を、ワーウルフが放つ。
はずだったが。
「ごぶぅぅ? ぐごぼぉっ?」
「援軍だっ!!」
「いったい、誰が来たんだ?」
突如、ナタンの前で、チュソン兵ワーウルフは雨霰《あめあられ》がごとく、機銃掃射を喰らってしまった。
そして、ヤツは口から大量に青い血を吐き出しながら倒れた。
アラビ人民兵は、お手製パイプ拳銃を撃ちながら喜ぶ。
白人PMC要員は、味方の姿を探して、ソファーに身を潜めながら、目をキョロキョロさせる。
「助かった…………誰が、殺ってくれたんだ? はぁ~~?」
「もちろん、私よっ!!」
ナタンは呟きながら、声が聞こえた方に振り向くと、そこにはメルヴェが居た。
しかも、ミニミ分隊支援火器を、左右に何回も振り回しながら乱射しまくる。
「◣◉▦▤◇っ! アアッ!」
「▣▤◢◇◇▣◥…………」
メルヴェの機銃掃射は、チュソン兵たちを確実に殺していく。
強力なアンデッド兵も、何十発もの弾丸に体を貫かれては一溜りもない。
「ああっ! シュトゥルムZたちが……………」
「構わん、どうせ代わりは幾らでも居るっ!」
「そうだぜ、幻も本物もどうせ消耗品だしな」
洗脳されているとは言え、チュソン兵は軽装備だが、中々の強さだった。
それもそのはず、チュソン人民軍や民兵隊に属する彼等は、普段から過酷な軍事訓練を受けている。
さらに、身どころか命を削るような鍛練と労働に、日夜を問わず明け暮れている。
そんな彼等だったが、中には、一般帝国兵と同様の装備を身に付けている者も居た。
近くで、AK74Uを撃っていた、帝国兵が味方部隊の損耗振りを嘆いたが。
連中を護衛に着けて、氷壁で身を守るウィザードは、兵士が何人落命しようと、まるで気にしない。
ソーサラーも同じく、冷酷な台詞を吐きながら嗤ってみせた。
「おわわ、不味いっ! 狙われ始めたわっ!」
「メルヴェ、こっちに来るんだッ!」
映画スターのように、ミニミ分隊支援火器をド派手に乱射した、メルヴェは注目を集めてしまう。
ゆえに、何人かの88式自動小銃を持った、チュソン兵たちから狙われて、銃弾の嵐が飛んでくる。
それを受けた彼女は、慌てて走り飛び、前屈みに成りながら床に吹せる。
AK12を撃ちながら、彼女を援護しつつ、ナタンは自身の側まで来るように言った。
「何ともないか、メルヴェ? 弾は当たっていないよな?」
「ええ、それより…………」
5、45ミリAK弾を何発か撃ち終わると、ナタンはすぐに机に身を引っ込める。
そんな彼の元へと、匍匐《ほふく》前進しながら、メルヴェは何とか移動してきた。
「あのソーサラーとウィザード達が、邪魔で邪魔で厄介で仕方がないわっ!」
何とか、ナタンの元まで来られた、メルヴェは少しだけ顔を出すと、亀みたいに頭を引っ込める。
ウィザードは、コサックが被るパパーハ帽を被り、黒い軍服コートを身に纏っている。
一方、ソーサラーはモングルの伝統衣装である青いデールを着ている。
頭には、ロシャ帽と言われる、ウシャンカを大型化したような物を被っている。
よく見ると、それは全体に動物から取られた灰色のフワフワ毛皮が付いた、フラップ帽子だ。
「どけどけっ! 援軍だっ!! オラァッ!!」
「援護するっ! 前進しろっ!」
「我々が、火力支援を担当するっ!!」
「精密射撃なら…………」
80式汎用機関銃を持った、チィーナ軍兵士が、室内に突入すると同時に乱射し始めた。
また、もう一人のチィーナ軍兵士は、窓から転がり込みつつ、05式微声短機関銃を静かに撃つ。
先ほど、ドゥロルと呼ばれた、ベレー帽を被る、アラビ顔のイズラエル兵も突入してきた。
かなり大きなベージュ色のベレー帽を被る女性兵士も、室内に入るなり、すぐさま地面に伏せた。
「◤◉◇◣◢▩〇……………」
「□◥◆▣◣ッ!?」
「ぐばぁっ!!」
「ぐわわわわわわっ!!」
チィーナ兵たちの射撃で、チュソン兵や帝国兵たちが、次々に青い血を吐きながら倒れていく。
「シルヴィ、頼んだぞっ!」
「了解、いくわよっ!」
マイクロ・タボールを撃ちまくりつつ、走りながら、ドゥロルは窓側の廊下を突撃していく。
シルヴィと名を言われた、女性兵士は即座に立ち上がると手榴弾を投げた。
そして、彼を狙う敵兵士を、サプレッサーを付けのガリルAR一人ずつ単発射撃で射殺していく。
「ぐぶぉぉ?」
「◇▦●◤◥◥」
帝国兵やチュソン兵たちは、今投げられた手榴弾の爆風で吹っ飛ぶ。
さらに、単発射撃を受けながら何人もの兵士が殺られてしまう。
こうして、四人の援軍が登場したことで、確実に数を減らしていった。
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