頭を、ジンジンと鋭く刺激する痛みに悶える、ナタン。
彼の側では、メルヴェが冷たい視線を見下すように向ける。
また、その様子を、レオとミア達が見守る。
「痛たたたっ! …………」
「もう変な口は聞かない?」
暫くすると少しづつだが、ナタンは頭の痛みが収まってきた。
そんな彼に対して、もう変な口は聞かないかと尋ねる、メルヴェ。
だが、そこに鬼役の二人組みが現れた。
「あっ! 四人とも、見っけ! てか、ナタンの声が聞こえたけど?」
「あれだけ? 五月蝿い声で叫んだら、居場所なんて速バレるわよ?」
鬼役である、カルミーネとベーリット達が、休憩小屋に隠れてた、四人の前に現れた。
それは、二人が言う通り、大きな声で、ナタンが叫んでしまった事により居場所がバレたのだ。
「あーー? このバカのせいで見つかちゃったわぁ~~」
「いや? お前が頭を叩いたせいだろっ!」
メルヴェは、自らが頭を殴った、ナタンが騒いだせいで見つかった。
なので、彼女は仕方が無いと言い出したが。
その言葉を聞いた、彼は見つかった原因は殴った、お前にあると抗議する。
しかし、彼女から睨み返されたので、それ以外に彼は何も言い返せず、黙り込んでしまった。
「…………俺も一瞬言いそうに成った? 口は災いの元だな…………」
「…………ナタン君? 凄く可哀想…………」
その様子を黙って見守る、レオとミア達は、哀れなナタンを見て思った。
そして、六人は未だに姿を現さない、キーランとレギナ達を再び探す。
「この付近は探したな?」
「奴等は隠れるのが上手いからなーー?」
「何処へ隠れたのかなぁ」
「分からないわね~~?」
キーランとレギナ達が、草むらに隠れたのかと考えた、カルミーネとレオ達。
二人は、木陰や木の枝を、必死で掻き分けたりして探しまくる。
だが、一向に見つからない彼等は、何処へ消えたのかと思いつつ首を振って、あちこちに目を配る。
「まだ見つからないのかよっ!」
「文句ばっか言って無いで、あんたも真剣に探しなさいよっ!」
またも性懲りも無く、口喧嘩を始める、ナタンとメルヴェ達。
そんな二人を、余所に他の四人は、キーランとレギナ達を探して、辺りを散策する。
「中々、見つかる気配はないねーー」
「そだね…………彼奴等は帰ったのかな?」
「な訳無いでしょっ! 彼奴等は何処かには居るわよ? きっと…………」
ミアは、額に手を添えて、陽射しを両目から避け、ベーリットは両腕を組む。
また、メルヴェは左側の草むらに目を配り、まだ見付からぬ二人を探す。
「きっと何処かって? いったい何処だよ」
「それを僕等は探しているんだよ?」
「じゃあ、探すのを止めて帰ろうぜーー? もう夕方だぞっ!」
左右に顔を振るレオ、後ろに振り向き、何かを見逃していないか確認する、カルミーネ。
時刻が夕方となり、疲れたことで、二人のことを放置して帰ろうかと言い出す、ナタン。
彼等も、木蔭やベンチ等の裏を調べて見るが、やはり、二人は見付からなかった。
「おいっ! 遅すぎるぞ、お前ら」
「私達の事を放って置いて、先に帰っちゃったのかと思ったじゃないっ!」
六人の前に、休憩小屋の蔭から中々見付からなかった、キーランとレギナ達が現れた。
そして、二人は余りにも、自分達を発見できない六人の事を怒った。
「お前らが隠れるの上手すぎるから此方が見付けられないんだろっ!」
「そうよっ! そうよっ! 六人係りで探しても見付けられない場所に隠れる二人の方が悪いのよっ!」
二人に対して、逆ギレするナタンと、むしろ二人の方こそ悪いと、メルヴェも叫ぶ。
それを言われた、キーランとレギナ達も言い返す。
「お前ら、しっかり調べろよッ!」
「ずっと後を着けていたのよッ!」
何と、キーランとレギナ達は、六人に見付けられないように、遠くから後をずっと着けていたのだ。
そして、喧嘩が始まりそうな不穏な空気が漂うと、他の仲間達がそれを制す。
「まあまあ…………どっちも喧嘩はいけないよ、ねっ?」
「そうだぜ? それに、もう夕方だし親も心配するから帰ろうぜ~~」
「うーーんっ! そうね、お家に帰りましょう」
「僕も皆の意見に賛成っ! 喧嘩を見るより家に帰ってパスタを食いたいしぃ~~」
急いで、対立する仲間の間に割って入り、喧嘩を止めようとする、ミアとレオ達。
そして、四人の喧嘩を見るよりも、早く家に帰って晩御飯が食べたい、カルミーネとベーリット達。
彼等の説得によって、喧嘩しそうな四人は一旦矛を収めた。
また、他の仲間達に合わせて、もう今日は大人しく家路に着く事にした。
「皆がそう言うなら仕方無いが、明日はまた俺達と再び勝負だ、ナタンッ! メルヴェッ!」
「私達が強くて怖いからって逃げ出さないでよっ!」
「あ? 誰が逃げ出すだって…………」
「俺達に対して勝負を挑むだと、望む所だっ! キーラン、レギナ…………お前ら明日は覚悟しておけよっ! 明日に成ったら鬼ごっこと達磨さんが転んだで勝負だっ!」
キーランとレギナ達は、向かい合って、激しく対立する、ナタンとメルヴェ達に対して勝負を挑む。
その宣告を受け取った、メルヴェとナタン達は、明日も遊びで勝負することを約束する。
四人は、喧嘩しようとも仲がよいのだ。
「でっ! 話は終わったか?」
「もう帰ろうよ」
「私も帰って見たいドラマが有るし」
「僕も母さんのパスタが食いたいっ」
ミア・レオ・ベーリット・カルミーネ達も、帰ろうと喧嘩していた、ナタンら四人を急かす。
こうして、今日の遊びは御開きとなった。
「あーー分かった、分かったから」
「皆の言う事に従って帰ろうか」
「そうした方が良いな? 近頃の夜は物騒だからな」
「だわね~~私も帰って御風呂に入りたいし、危ないのは御免だからね」
ナタン・メルヴェ・キーラン・レギナ達も、今日はもう帰ろうかと思った。
そして、それぞれ家族が待つ、家路に着くことにした。
『それじゃあ、さようなら~~~』
八人全員が、別れの挨拶を告げて暖かい家庭へと向かう。
家路に着いた、彼等は帰宅したら、テレビを見たり、御飯を食べたりなど。
家の中で、ゆっくりと静養して、明日学校で、また馬鹿騒ぎを起こす気であった。
「ナタン…………もう、ここで別れるけど明日の勝負は絶対に負けないわよっ!」
「あったり前だろっ! あんな奴等に負けられるかっ! 絶対に俺達が勝つんだ」
メルヴェは、明日の勝負は負けないと、目に炎を浮かべながら言う
ナタンもまた、闘志を燃やしており、負ける訳にはいかないと言う気持ちは強かった。
「そうよっ! その意気よ、絶対に勝つの! それじゃあ、また明日」
「おうっ! また明日なっ!」
こうして、帰路に着いた、ナタンとメルヴェ達は分かれていく。
彼等は、それぞれ家族が待つ自宅へと、夜の町を走りながら帰って行った。
「ただいまーー!?」
「五月蝿い子ね~~?」
ナタンが帰宅したら、母親が両耳を抑えて、バカ息子を出迎えた。
そして、彼は御風呂にシャワーを浴びに向かった。
母親の瞳は、ナタンと同じルクソールブルーの瞳であり、髪も同じタバコ・ブラウン色だ。
髪型は、腰まで伸びた、ロングヘアーにしていた。
服装は、ピンクのTシャツにジーンズと言う、ラフな格好をしていた。
「あんた、またこんなに服を汚してぇーー? 洗う身にも成って見なさいよ」
「はいはい、母さんっ! それよりもシャワーが終わったら御飯をっ!」
母親の愚痴を無視して、浴室へと素早く向かった、ナタン。
彼が、シャワーを浴びている間に母親は彼に伝言を伝える。
「ナタン、叔父さんから土産が有るのよ、叔父さん仕事でジューポンに行って何か? あんたに頼まれていた物を買ってきた見たいよ」
「マジでっ!? 見せてっ見せてよーー!!」
母親の叔父からの伝言に食い付いたナタンは、早めに体を洗い終える。
そして、叔父の買ってきたであろう土産を早速だが探しまくる。
「ナタン、あの箱よ?」
「あれかっ!?」
母親が指差した場所には、長い焦げ茶色のテーブルがあり、そこには大きな箱が置いてあった。
「何が入っているかな? おっ!? これは? 凄いぞ…………」
中身を見た、ナタンは余りに凄い物を見てしまい絶句する。
彼は、明日の学校に、早速その土産を仲間達にプレゼントしようと思った。
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