「ハッ! では、我々はこれにて失礼させて頂きますっ!」
ザミョール中尉はローマ式敬礼を取り、直ぐさま、後ろに向き直る。
それから、ガリーナ二等兵を引き連れて、ポルシェ・カレラGTへ向かった。
「行ったか…………鬱陶しい奴等だ」
二人が居なくなると、フォイルスニェーク大尉は、吐き捨てるように、小さな声で静かに呟いた。
ポルシェ・カレラGTのドアを開き、ザミョール中尉とガリーナ二等兵たちは、乗車した。
「出せ…………近くの下水処理施設へ向かうんだ、そこからなら目標の敵拠点に行ける」
「別の入口から侵入するんですね?」
ザミョール中尉とガリーナ二等兵たちは、別ルートから、地下へと侵入を試みようとする。
二人は、チラリとカーナビに映し出された、下水処理施設の位置に目を向ける。
「少々遠回りになりますが、我々もこれで敵の拠点へ」
「つーーか、さぁ~~? 帝国軍部隊は厄介だねぇ、私達の邪魔してさっ!」
「手柄を渡したくは無かったんだろう?」
ガリーナ二等兵とカピトリーナ二等兵たちは、車内で話し合う。
一方、ザミョール中尉は、車外の風景を眺めつつ静かに呟く。
彼の瞳に写る景色は、白い霧に包まれた無数に乱立するビル群だった。
天高く聳えるビル群。
それは、濃霧と空の分厚い白雲に、上層階を覆われている。
そのため、下からでは下層階までしか見えなかった。
ビルの窓を眺める、ザミョール中尉は、そこかしこの灰色と黒色に塗装された、ビルを眺める。
帝国のドラゴンと紋章が描かれた、青い垂れ幕などが、下がっている姿に、彼は目を向ける。
建物の左右に下がる、長い垂れ幕は、風で揺らめいている。
ビルの中層階から掲げられた、旗もヒラヒラと少しだけ動いてる。
低いビル屋上の霧に紛れて霞む、帝国軍が取り付けた、看板。
「俺にも、フロストみたいに、上のコネが有ればな…………」
それらを見ながら、ザミョール中尉は、溜め息を吐いて呟く。
彼も、高級軍人や官僚グループなど、そう言った人脈が欲しいと、心のそこから願う。
彼等が乗った、二台のパトカーは前後二両で、疾走していく。
二台は、建ち並ぶオフィス街を通り抜け、下水処理施設の近くへとやって来た。
「カピトリーナ? 無線で、我々が地下に行きたいと、あちらに伝えてくれ」
「了解です、中尉っ!」
ザミョール中尉は、少し不機嫌そうな顔をしながら命令を下す。
すると、カピトリーナ二等兵は無線で、下水処理施設へと連絡を入れる。
「下水処理施場の警備隊へ…………こちらは帝国警察ブリュッシェン市街治安警備隊、第四管区第二小隊所属のカピトリーナ二等兵です」
カピトリーナ二等兵は、警察無線を使って、下水処理場へと自分たちが伝える。
「現在、我が隊は、テロリストの拠点へと潜入工作員の救援に向かっています、そちらを通して貰いたいのですが…………」
『こちらは下水処理施設警備隊、隊長のエイフマン少尉だ、了解した…………第二小隊を内部に通す』
カピトリーナ二等兵が話す相手である、エイフマン少尉が待つ建物が見えてきた。
それとともに、下水処理施設も目に入ってきたが、その外観は三階建てで灰色に塗装されていた。
また、駐車場入口には、守衛に警備兵が、二名ほど立っていた。
彼らよりも、後ろには鋼鉄製のゲートが設置されており、関係者以外は立ち入りを阻んでいる。
警備兵たちの右横には、詰所があり、そこにも、一名だけ警備兵が椅子に座っていた。
帝国軍や警察は、インフラ施設をテロの標的として、狙われないように警備・駐留している。
そう言った訳で、帝国側は建物を城塞のように、コンクリートや警備システムで強化していた。
故に、この施設も警備体制が敷かれている訳だ。
「第二小隊ですね、話は聞きました、どうぞ通過して下さい」
「御苦労…………」
ポルシェ・カレラGTが詰所の前で停車すると、警備兵は窓を開いた。
それに対して、ザミョール中尉も、即座に車窓を開けた。
「はっ!」
「…………」
詰所の中から、略帽を被った警備兵は、ザミョール中尉に、ローマ式敬礼をする。
狭い車内で、ザミョール中尉も小さく右腕を動かし、警備兵に敬礼を返した。
「封鎖解除っと」
それから、直ぐさま警備兵がコンソールパネルを動かす。
これにより、鋼鉄製のゲートは左右に開閉していき、車両が通行出来るようになった。
下水処理場を通過する、二台の高級車を改造した、パトカー。
ザミョール中尉の乗った、ポルシェ・カレラGT。
その後ろに続く、フェラーリSP12EC。
この二台は、敷地内の駐車場に停車する。
そして、パトカーから全員下りると、ボンネットを開いて、各々の武器を取り出す。
ザミョール中尉は、ポルシェ・カレラGTのボンネットを開く。
さらに、中の黒いケースを開いて、TOZー194散弾銃を背負う。
次いで、最新式自動小銃である、AK12を両手に握った。
ガリーナ二等兵は、PPSh41を取り出す。
ギルシュ二等兵も、ドラムマガジンを備えた、AEKー941を取り出す。
カピトリーナ二等兵は、ケースの中から、AN94を取り出す。
それから、青色の上部が、棺桶みたいな下部が四角くい形状をした、大楯を背中に背負う。
それは、ロシャ軍特殊部隊などで使用される、VANTーVMヘビーシールドだ。
一方、フェラーリSP12ECから下りた、警察・特殊部隊員たちも武器を取り出す。
まず、助手席から出てきたのは、女性隊員だった。
白髪サンカットヘア、ウェッジウッド・ブルー色の瞳、牙が生えた唇は、オメガ・ブルー色など。
彼女は、かなり容姿が整った、美人隊員であった。
武器は、黒い制帽と制服を着ており、AK74Uサプレッサーを構えていた。
その左脇に、立っている警察隊員は男性だ。
彼は、長いタージ・マハル色の髪を後ろで束ねて、前髪はオールバックにしていた。
顔は痩せこけており、瞳はレド・グレイ色で、唇は黒い。
顔面蒼白の死神みたいな顔立ちをしていた。
彼は、頭に黒い略帽を被り、黒いコート型の制服を着ている。
左腕には、青い十字架の付いた白い腕章を巻いている。
武器は、右手に、サプレッサー付きの大型自動拳銃ステッチキンを装備する。
左手には、胸当て型の黒い楯ZENIT・2Vを左手に構えていた。
その姿から、兵種はリッチである事が伺えた。
さらに、後ろにも男性警察隊員が存在する。
アイリッシュ・ブルー色の少し長めな髪、スモーキィ・アクア色に輝き鋭い眼が恐く見える。
さらに、鼻が高く、唇はコーフ・ブルー色で大きかった。
彼は、折り畳み式ストックを装着した、RMBー93散弾銃を両手に構える。
背中には、イズマッシュ・サイガ12自動散弾銃を予備武器として、背負っていた。
服装は、斜めに傾けた黒い王冠を被り、黒いロングコートを羽織っている。
また、装備として、弾帯付き防弾ベストを着ている。
その姿は、ミミック・マスターに思えた。
最後の女性警察隊員は、VSS消音スナイパーライフルを構えていた。
彼女は、シアン色のカールショートヘアに、いくつか青緑色をした、草葉が混じっている。
ガーターブルー色の丸い瞳は光沢を放ち、カリブ色をした唇も艶々としていた。
こう言った美しい姿をしており、彼女の兵種はドライアドみたいだった。
服装は、上下に、ロシャ連邦民警で使われる青色のブルータイガー迷彩服を着ている。
その上に、弾帯が四つも付いた、黒い軽量防弾ベストを装備していた。
「それで、貴方達は処理場から地下に行きたいんだそうですが?」
駐車場に 停車させた、パトカーから下りた面々を歓迎した者は、制服姿の士官だった。
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