【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第201話 広いビル内を巡って

公開日時: 2024年7月12日(金) 01:18
更新日時: 2024年7月14日(日) 21:28
文字数:3,141


 ナタンとメルヴェ達を含む、連合側部隊は二階への階段を登っていく。


 そして、二人を含む部隊は、ついに味方が待つ二階へと、たどり着いた。



「援護射撃をっ!」


「援軍はまだかっ!」


 PMCと民兵たちの部隊は、帝国側部隊による猛撃で追いつめられていた。


 左側の事務机やロッカーを楯にして、連合側部隊は何とか抵抗を試みている。



 一方、帝国側は一階と同じく、大人数により二階フロアを完全制圧しようとしている。


 しかし、一階と違って、ウィザード&ソーサラーなどの特殊兵種は居ないようだ。




「▩◤◣◥▩□▣◆◇」


「▧■◣◢◣□▧▧▤」


「スパイク・バヨネット…………56式かっ!」


「81式も? て、事は……………コイツらは?」


 味方部隊に、制圧射撃を加える兵士たちを見て驚く、チィーナ軍兵の機関銃手。


 05式微声短機関銃を持つ、チィーナ軍兵も援護射撃を行う前に敵を見て慌てる。



「どうしたっ?」


「アレは、チィーナ人だっ!」


 ドゥロルが、05式微声短機関銃を構える兵士に声をかける。


 そして、分かったが、どうやら帝国側兵士の中には、チィーナ人が混ざっているらしい。



 旧式銃器である56式自動歩槍は、刺突専用の折り畳み式銃剣が取り付けられている。


 81式自動歩槍も、チィーナ軍で使用されていた、SKS騎兵銃を元とする旧式銃器である。



「チュソン兵の次は、チィーナ人か?」


「いや…………中には、ジューポン人やコリャン人も混ざっているようだ」


「帝国は手段を選ばず、アシュア系を徴集してきたようだわ」


 ドゥロルが、疲れたような顔をしながら呟くと、チィーナ兵機関銃手は、敵を険しい表情で睨む。


 困ったような口調で愚痴を溢しつつ、ガリルARを構える、シルヴィ。



 その双眼が見つめる方向には、多数アシュア系兵士が存在する。



 彼らは、64式小銃を構えるジューポン人兵や、K1A機関短銃を持つコリャン人兵だ。


 おそらく、連中は志願ではなく、強制徴集により、拉致洗脳されて連行されてきた哀れな人々だ。



 とは言えど、今や訓練を受けた帝国兵であり、連合側に取っては脅威でしかない。



「さて、援護射撃だっ! あと、なぜ他国の兵士だと分かった」


「特殊部隊だからだ、隣国の銃器くらい知っていて当然だっ!」


 ドゥロルは、素早くマイクロ・タボールを構えると、何発か連射する。


 80式汎用機関銃を乱射しつつ、チィーナ兵の機関銃手は質問に答えた。



「そんな事より、いきますからっ!」


「俺達は背後に行く、援護を頼む」


 一発銃弾を放ち、シルヴィは素早く足音を立てずに隠密移動していく。


 05式微声短機関銃を構えながら身を屈めつつ、走っていく、チィーナ軍兵。



「んあ? 味方だっ! 増援が来てくれたっ!」


「た、助かった…………はぁ?」


 AK74を撃ちまくる、顔を布で被ったPMC要員は、救援部隊に気づく。


 ステンガンを撃っていた民兵は、机裏に身を隠しながら溜め息を吐いた。



「ナタン、私達は味方を助けに近寄るわよっ?」


「OKだ、合流しようっ! まず俺が援護しつつっ!」


 メルヴェの言葉を聞いた、ナタンは早速AK12を乱射しまくりながら近くの棚にまで走る。



「ぐぁ? また、一発だけ喰らっちまったか?」


 チュソン兵、チィーナ兵、コリャン兵、ジューポン兵まで混ざる帝国側部隊の火力は凄まじい。


 ナタンは、敵を牽制しつつ移動するはずが、集中する激しい制圧射撃により負傷してしまった。



「無事なのっ? ナタン、ねえ?」


「ああ、心配ないっ! 腕に一発だけだ」


 階段の方から、メルヴェは生きているかと、ナタンに問いかけてきた。


 それに対して、彼は答えながら敵と味方を観察する。



 味方部隊の人数は、自動小銃や短機関銃などで武装した七人だけだ。



 しかも、中には、二次大戦時の武器を手にしている者も居る。


 対する敵は、二十人くらいは居て、自動小銃を中心に様々な銃器を使っている。



「PMCは、これだけしか居ないのか?」


「他は、みんな殺られちまった」


 ナタンの問いかけに、机や棚などで作った遮蔽物に潜む、味方兵士は答える。



「メルヴェ、下手に近づかない方がいい? 敵の火力が強すぎる」


「分かったわっ! じゃあ~~私は、こっから援護するわっ!」


 AK12だけを頭上に掲げながら撃つ、ナタンは敵の多さに厄介だと思う。


 メルヴェは、階段の壁に身を隠しつつ、ミニミを敵に向かって適当に撃ちまくってみた。



「戦力差が大きすぎる…………」


「うああああっ!!」

 

 軽装・中装・重装などと、様々な武器装備を使用する帝国側の火力は絶大だ。


 ナタンは、メルヴェの方を再び眺めたが、ミニミを撃ち終えた彼女が、身を退に下げる姿が見えた。



 また、彼女が退くと同時に、今度は白人民兵が二連散弾銃を発砲する。


 アラビ人民兵は、88式自動小銃から、ヘリカルマガジンが空になるまで小銃弾を放ちまくる。



「連中も、なかなか来られないよな?」


 ナタンは、頭上にAK12を掲げて何発か撃ったあと、左側へと移動していく。



 そして、そこから敵の様子を探って見た。



 ジューポン人兵は、89式自動小銃を単発射撃している。


 チィーナ兵は、56式自動歩槍C型を連射してくる。



 それにより、彼が隠れている机も被弾してしまう。



「▶▣●▩◣◥▩◣」


「◣◁●▩▤▧◆◇◢」


「◢◇▣◣◥」


「▧▤◥◣▣◇◆■◤◤」


「なんて言ってるんだよ?」


 何を喋っているか分からない言葉が聞こえ、ナタンが隠れている机に集中砲火が浴びせられる。


 もちろん、味方が身を隠す遮蔽物にも、帝国側部隊により、十字砲火が仕掛けられる。



 連中もまた、何列にも並べられた事務机や棚裏から射撃を行っている。


 やはり、チュソン兵の持つ88式自動小銃や98式自動小銃は強い。



 チュソン軍が、独自開発したヘリカルマガジンから発射される弾丸は強烈な制圧射撃となるからだ。



「◣◤◥◆◣▤▧◤◤▣」


「一発、次は?」


 そんな中、シルヴィは一瞬で姿を表すと同時、確りと構える、ガリルARを撃つと直ぐに姿を隠す。


 サプレッサーの効果で、消音された、ガリルARから発せられる銃声は極わずかだ。



 しかし、一瞬でも姿を見せた彼女に向かって、多数の銃弾が飛んでくる。



「あっ! 撃たれたぞっ!」


「KIAかっ!?」


 シルヴィが死亡したと思った、黒人PMC要員やパナマ帽を被る民兵たちは叫ぶ。



「ん? アレ、どう言う事だ…………」


 ナタンも、シルヴィの姿を確認しようとしたが、何回も撃たれる彼女に驚いてしまう。


 しかも、撃たれる度に、また新たなシルヴィが出現して、次から次へと机から飛び出てくる。



「やぁ? レジスタンス君?」


「おわぁぁっ!?」


 いきなり隣に現れた、シルヴィの姿を見て、ナタンは心臓が口から飛び出るかと思った。



「そうか、囮《デコイ》か? ドライアドの使う手だっ!」


「正解、ま…………正確には、ドリアードだけどね?」


 ナタンは、ドライアドが蔦《ツタ》を固めつつ囮として、藁人形や案山子《カカシ》に使う事を思い出した。


 巨大なキノコ型ベレー帽を被る、シルヴィの正体は、連合軍側に属する遊撃兵ドリアードだ。


 ゆえに、植物や蔦《ツタ》を操り、敵を撹乱させる戦術を多用できるわけだ。



「私のミツネフェットを見るだけで、撃つなんて……条件反射ね?」


 シルヴィは、敵が自身が作った、キノコ型のデコイを撃つさまを、ミツネフェットを外して見る。


 これにより、アシュア系が多数を占める敵部隊の注意は、偽者に集中する。



 そのお陰で、味方部隊に向けられる銃口が減って、PMCや民兵たちは、かなり助かった。



「それじゃ、次を行きますか」


「今度は何をするんだ?」


 シルヴィは一発だけ撃つと、81式班用軽機槍を腰だめで撃ちまくっていた、チィーナ軍兵を倒す。


 ナタンは、彼女を見ながら呟き、自身もAK12を撃つべく敵の様子を伺う。



 こうして、未だ形成不利な中、連合側も徐々に帝国側を押し返し始めるのだった。

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