【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第142話 101号室でのVR戦闘訓練&洗脳教育は完了

公開日時: 2024年7月13日(土) 12:02
文字数:3,025


 新しい帝国警察隊員が完成した。



 今、彼女は仲間たちを追って、必死で走っている。



「レギナ、ミア…………もう少しよ、味方が戦っているわ」


「私達は、左側面から仕掛けるわよっ!」


「敵は残らず、みんなで殲滅しないとねっ!」


 非常に重たいはずの汎用機関銃ラインメタルMG3を軽々と背負いつつ走る、ベーリット。


 ステアーAUGのスコープを覗き、森林内を調べた後、直ぐに駆け出す、ミア。


 コンパウンド・ボウを構えつつ、疾風の如く疾走する、レギナ。



 三人が進む先では、森の中に逃げた囚人や連合軍兵士たちが、抵抗を続けていた。



 先ほど、ヘリコプターから降下した兵士達や刑務所の看守らが、森林内で銃声を木霊させる。



「私達は、ここから…………」


「敵を狙い撃つっ!」


 木の太枝に、汎用機関銃ラインメタルMG3を載せて、ベーリットは機銃掃射する。


 木の陰から、ステアーAUGのスコープを覗いて、敵を狙い撃ちする、ミア



 二人による、思わぬ側面からの奇襲は、脱走囚人&連合軍兵士たちを混乱させる。



「敵が、横からも来たのかっ?」


「そっちにも人を回…………ぐ」


 連合軍兵士が、横からの敵襲に気付き、脱走囚人が攻撃された方向を見た瞬間に、胸に矢が刺さる。



「弓を持った奴がいるっ! 気をつ?」


「音がしない武器なんて、ひきゃっ!?」


 矢継ぎ早に、矢を射っているのは、二人から少し離れた位置に潜む、レギナである。


 帝国兵として、強化された肉体は疲れを知らず、また弓の弦も、素早く強力に引くことができた。



 そのため、彼女は位置を変えながらも、次々と敵を仕留めていく。



「レギナ、やるわね…………」


「彼女が仲間に戻ってくれて良かったわ」


 そう呟く、ベーリットとミア達だが、その間にも、レギナは一人敵陣に向かってゆく。


 勇猛果敢な彼女は、コンパウンド・ボウを次々と射ちながら走り、敵の直ぐ間近へと近づいた。



「ぐっ!」


「がっ?」


 姿の見えず、音もしない敵による攻撃に、囚人と兵士たちは、ただ体を矢で射貫かれるばかりだ。


 しかし、レギナは、たった一人で敵を仕留めていくが、段々と森の奥深くへと来てしまっていた。



「ここは…………こうすればっ! ブシュッ!」


「ぐぁぁぁぁ?」


「うぉえ…………!?」


 ガスマスクを外した、レギナの口から細菌粘液が、吹き飛ばされた。


 弧を描くように、宙を飛んだ透明な粘液は、囚人や兵士たちの真ん中に落ちる。



 すると、それを中心として、周囲の敵が次々と口から泡を吐いて倒れてゆく。


 そして、四人の囚人や兵士たちが、吐き気に苦しみながら死んだ。



「まだまだ、行けるっ!」


 レギナは、何故か自身が使える、様々な特殊能力を知っていたが。


 それは、もちろんVR空間で戦う彼女の脳内に、戦闘情報が送り込まれてくるからだ。



 この箱庭で、彼女は否応なしに洗脳され続けて、帝国が作り上げた傀儡となる他ない。



「次の奴らはっ? アンタらねっ!」


「ぐえっ!」


「ぎゃっ!?」


 レギナは、VR空間での戦いにおいて、自らの能力を知ることとなった。


 彼女は、戦闘情報が脳内に送り込まれるまま、それを応用して戦い続ける。



 それに従って、彼女は木々に隠れる、囚人と兵士たちを、コンパウンド・ボウで射殺する。


 だが、彼女は視界が悪い森林地帯を利用さはて、未だに数多く敵が潜んでいることに気づいた。



「うわっ? 敵が現れやがったっ!」


「黙れっ!! ブピューーーー!!」


 一人の兵士が、レギナへと密かに近づいていた事を、彼女は察知していた。


 だが、彼女は相手に対して、口から粘液を水鉄砲のように勢いよく噴射した。



「うわああああっ?」


 顔に粘液がかかった兵士は、大声を張り上げながら後ろ倒れた。



「こっちから来たかっ!」


「この距離ならっ!」


「私に勝てると思ってるのっ?」


 レギナは、WIST《ヴィス》ー94Lを、前方から迫る短機関銃を持った兵士に撃ちまくる。


 そして、後ろから襲ってくるナイフを握る囚人に対しては全く気にしない。



「ぐあぁっ!」


「うげぇ」


 短機関銃を撃つ前に、拳銃の速撃ちで、兵士を倒した、レギナ。


 一方、囚人の方は彼女に近づいた時点で、口から血を垂れ流しつつ白眼を向いて死んだ。



「ガスマスクを外していたの…………迂闊《うかつ》に私の側に近寄れば死ぬだけよ」


 冷徹な表情で囚人を見る、レギナだったが、彼女の口や体からは、密かに細菌が放出されていた。



「レギナ、凄い戦果だわ」


「貴女が味方になってくれて良かった」


「ちょ…………? 二人とも、照れるじゃないっ?」


 驚いた顔をしながら、ベーリットはレギナへと近寄ってきた。


 ミアも、素直にレギナへ感謝の言葉をかけつつ近づいてきた。



 しかし、二人に話しかけられた、当の彼女は恥ずかしがる。



「ん? それより、何か聞こえない?」


「まだ、近くに敵が居るから…………」


「いや、これは空から聞こえてくるわ」


 レギナ、ベーリット、ミアたちは遠くから妙な音が聞こえることに気付く。



 多目的ヘリ、Kaー26が、二機も森林上空へと近づいている姿が、樹木の隙間から見えた。


 通常、このヘリは物資輸送や農業などで農薬を散布する目的で使用される。



 しかし、この二機が運搬している物は、強烈で凶悪な兵器だった。



 急に戦場へと、降り注いだ、やや青みがかった霧雨。



 しかし、これは超強力な猛毒だった。



「ぐああっ! ぐ、ぐるじーー!!」


「ぎぃや~~~~た、助けてくれぇ?」


「ぐおっ! !? !! ゴボッ!」


 囚人や連合軍兵士たちは、もがき苦しみながら次々と絶命していく。


 広範囲に散布された激薬は、帝国兵には効果がなく、敵だけを散々に苦しめたあと殺害する。



 やがて、これ以上、女性隊員の三人が活躍する間もなく、残っていた敵は殲滅された。



 こうして、VR空間内の戦闘は終了した。



「は? ここは…………」


「ここは、101号室、帝国の軍や警察署なら何処にでもある洗脳部屋よ」


 目を開けた、レギナは後ろに立つ、フェスターシュニー博士の存在に気づく。


 彼女が、今まで装着されていた、ヘッドマウントディスプレイを外したのだ。



「洗脳調教、思想の改竄・変更、それからVR戦闘訓練過程…………これら全部が終了したの」


「そう…………ですか?」


 フェスターシュニー博士から説明を受ける、レギナの顔は、ポカンとしている。



「まあ、鏡で自分の姿を見てみなさい」


「…………これが私?」


 フェスターシュニー博士が持つ、レギナは手鏡を見る。


 そこに映る、自分の肌は死化粧みたいに白く変色し、髪は青灰《スノーブルー》色に染まっていた。



「あっ! 二人は? 二人は何処ですか?」


「あぁ? あの二人なら、CT台で寝ているわよ」


 レギナが、つい先ほどまで一緒に戦っていた仲間である、ベーリットとミア達を探す。


 フェスターシュニー博士は、レギナに対して、二人が寝ている台を指差して教えた。



「んあ? あーーーー! 寝過ぎたわ~~?」


「すごく肩が凝ってる…………」


 ミアは、自身のヘッドマウントディスプレイを外したと思ったら、元気一杯に両手を天に上げる。


 ベーリットも、気だるそうに、右肩を押さえながら上半身を起こした。



 二人は、洗脳されて未だに眠ったままのレギナを心配していた。



「配信制の戦争ゲームを、やっていた気分だわぁ~~? なんか疲れた…………レギナも起きたかしら?」


「まあ、殆ど同じような物だからね? レギナも、そろそろ生まれ変わっているはずだわ」


 レギナは、VR戦争ゲームを強制的に脳内で、プレイし続けており、現実では眠らせれていた。


 ミアとベーリット達は、彼女の無事を確認するために、慎重に近づこうとした。

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