【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第五部 レジスタンスは日常で過去を思い出す

第32話 平穏なアジトの中で…………

公開日時: 2024年7月9日(火) 14:42
更新日時: 2024年7月12日(金) 22:48
文字数:3,685


 地下深くにある、コンクリート壁の裏側には、レジスタンス達が潜む秘密基地がある。


 誰にも、知られる事なく、秘密裏に作られた内部には多数の人間が潜伏していた。



「二次大戦の時見たいに連合軍はいつ上陸して来るんだ………」


「さあ~~な? 上陸するにしても連合軍はノルマンジィーの様な犠牲を払わないといけないから当分は無理だろっ」


 秘密基地内部を歩く、迷彩服のレッドベレー帽を被った、レジスタンス員。


 深緑のバンダナを頭に巻いた緑色の作業服のレジスタンス員。



 この二人組が、第二次世界大戦時みたいに連合軍が、いつ自分たちを解放しにくるか。


 それは何時だろうかと言う話をしながら、基地内の巡回を続ける。



「南アルメア大陸はどうなった? 戦況はこちらが優勢なのか?」


「コマンドPCCとか、FARC《ファルコ》の連中が元気に暴れ回ってるって話だぜ?」


 巡回する、レジスタンス達が何処かへと、足を進ませていく。



 すると、今度は、別のレジスタンス達が、三人ならびながら歩いてくる。


 彼等は、南アルメア大陸の情勢を、色々と語り合う。


 真ん中のレジスタンス員は、黄緑色ベースボールキャップを被り、ウッドランド迷彩服を着ている。


 武器は、レミントンM870ショートショットガンを両手に持っていた。



 左側を歩く、レジスタンス員は緑色のブーニーハットを深く被る。


 服装は、緑のセーターを着て、白いカーゴパンツを履いている。


 Zー45サブマシンガンは、スリングベイルで背中に背負っている。



 この二人が、話をする。



「嘘を教えるなよっ! コマンドのギャング連中は壊滅したし? FARC見たいな共産ゲリラの連中も山とジャングルの奥に押し込まれて、俺達同様に洞窟の中で窮屈な穴蔵生活を送ってるって話だぞ?」


 右側を歩く、レジスタンス員は、黄色いニット帽を被り、上下に抹茶色のツナギを着ている。


 AK47ー3型を右手に握った、彼が口を挟んできた。



「あっ? 最新の情報だと、南アルメアの戦況もかなり悪く成ってるのか?」


「頼むぜ、新しい情報はちゃんと仕入れないとな…………」


 ブーニーハットを被った、レジスタンス員は、自らの情報が古かったかと呟く。


 それに、ベースボールキャップを被った、レジスタンス員は呆れながら呟く。



 彼等三人は、そのまま基地内部の廊下を歩き、奥にある武器庫を目指して行った。



 このレジスタンス基地内部には、武器と弾薬が沢山あり、それに食料と医薬品などが充実していた。



 その基地内部で休んでいる、ナタンは夢を見ていた。



『…………何処だ? ここは? 銃声っ!! …………何の列に並んでいるんだ? …………』


 ナタンは、黒衣に身を包んだ、帝国軍兵士たちが列を成す、その左側を並んで歩いていた。


 そして、ナタンは自分の体だと言うのに、まるで体が言う事を聞かず、勝手に動いてしまう。



 彼は、長い列を作って歩く、フリッツ・ヘルメットを被った、兵士たちについて行くしかない。



『…………コイツらは何処へ行くんだ? 行進が止まった? …………』


 警察隊員の後を黙って、ナタンは歩くだけだ。



『射撃用意っ!!』


 ナタンが、帝国兵達による行進がやっと止まったと思った瞬間、突然自らの口が勝手に動いた。


 すると、喉の奥から声を張り上げ、指揮官みたいに大声で命令を下す。



『…………何だって? それより…………あの人達は? …………』


 自身の口から出た、言葉に驚く、ナタン。



『我等ノルデンシュヴァイク帝国に逆らった者で使えない連中等必要無いっ!!』


 右側に、クルッと回った、帝国兵のトーテン・シューデル・ゾルダード達。



 連中と相対するのは、皆全てが武器を持たない善良そうな一般人だ。



 痩せた、黒人男性。

 年老いた、白人。

 アラビ人女性。

 黄色人の子供達。


 等と言った、どうやら帝国軍兵士に逮捕された捕虜のようだ。



 彼等は、皆一様に丸太に鎖で、ガッチガチに固定されている。


 こうして、身動き一つ取れないように拘束されていた。



『射撃用意っ!!』


 ナタンは指揮官として、叫ぶ。



『…………嫌だっ! 撃たせたくないっ! …………』


 正面から、右側にある丸太に固定された、捕虜たちが、ナタンの目に映る。


 左側には、帝国軍兵士たちが銃殺隊として、並ぶ列が見える。


 彼は、帝国軍・指揮官として、自らの意思に反した、冷酷な処刑命令を下す。



『撃てっ!!!!』


 周囲に、ナタンの言葉が響き渡る。



『…………嫌だっ! 嫌だっ! 嫌だっ! 嫌だっ! …………命令を撤回しろ!? …………』


 心の中では、ナタンは必死で、銃を撃たせたくないと叫んだ。


 だが、帝国軍・指揮官である、彼は捕虜たちを撃ち殺せと言う、無慈悲な発砲許可命令をだした。



『…………止めろおォーーーーーー!! …………』


 ナタンは涙を流しながら悲痛な絶叫を上げる。



『良くやったっ! 貴様らの射撃でゴミを排除する事が出来た、さて? 後片付けは他のゴミ共にして貰おう』


 次々と、ただ命令に従って、自動小銃を発砲していく、帝国軍兵士たち。


 何一つ抵抗すら出来ない、捕虜達が処刑されていく残虐な光景。



 それを、ナタンは声にならない悲鳴を、心の中で叫び上げながらも動けない。


 帝国軍士官である、もう一人のナタンは冷酷非常な言葉を吐き、ニヤけながら喋る。



『…………悪夢だっ!? …………これは現実じゃないんだ!! …………』


 ナタンは、自分が悪い夢を見ているはずだと思うが、一向に夢から目の覚める気配は無い。


 頬を掠める湿気が無い、乾燥しきった冷気や、顔に降りかかる雪等の冷たさ。


 それ等は、これが悪夢では無くて、現実の光景なんだと、彼に痛感させる。



『? …………新兵の射撃訓練は終わったの?』


『たった今、終わった所だ?』


 背後から自らを呼ぶ声に振り向いた、ナタンの視界に、帝国軍・女性下士官が映る。


 黒い略帽を、右斜めに傾けて被り、軍服コートを纏った、下士官の格好をした、メルヴェだ。



『そう…………なら起床時間よ? 目覚めなさい? …………』


『…………目覚め? …………』


 メルヴェらしき、女性兵士が発した謎の言葉に、はっと我に帰り、ナタンは夢から覚める。


 彼は、粗い呼吸を調え、横で、メルヴェが安らかに寝息を立てて寝ているのを確認する。


 そして、ようやく安堵の溜め息を吐き、再び眠ろうとして、毛布を被ろうとした。



「ナタン? 起きていたの…………」


「ああ、何だか悪い夢を見ていて…………」


 寝覚めた、メルヴェに悪夢を見ていた事を説明する、ナタン。


 彼は凄く、おぞましい悪夢の内容を、メルヴェに細かく教える。



「って訳なんだ…………」


「つまり?  貴方は帝国軍士官として自らの思いとは裏腹に捕虜達を処刑する様に命令したと…………」


 ナタンが語る悪夢の内容を聞いた、メルヴェは話を上手くまとめて要約する。


 そして、彼は冷や汗を額から、ダラダラと流しながら、彼女を見つめる。



「それは夢じゃなくて現実よっ! それに貴方と私の所属は帝国軍じゃなくて帝国国家情報保安警察でしょう?」


「メルヴェッ!! 何を言って…………」


 またもや、はっと夢から覚めた、ナタンは目を大きく見開く。


 それから、彼は先程よりも呼吸を荒くして、ベッドから下りて、上着を着る。



「はっ!?」 


 ナタンは、ベッドの脇に置いてある棚代わりとして、二段積まれた、段ボール箱に目を向けた。


 その上に置かれた、ペットボトルに彼は手を伸ばした。


 口内が渇いていたらしく、彼は中身のミネラルウォーターを、一気に飲み干す。



 彼は、飲み終えたあと、また視線を動かして室内を見渡す。


 そして、一緒に就寝した、メルヴェが寝むっている姿を確かめて安心した。



「すぅ~~すぅ~~」


 気持ちよさそうに深く眠る、メルヴェを見つめる、ナタン。


 彼は、二段の段ボール箱上にある空に成った、ペットボトルを静かに置く。



 そして、時間を確認するために、壁に立て掛けられた時計を見る。



「…………時間は夜中の三時か? またあの悪夢を見たくはないし? 銃の分解点検でもするか…………メルヴェは起こすと悪いし? 一人で銃の整備でもして来るか…………」


 そう思い付いた、ナタンは小さな声で呟きながら、仕度を整える。


 次いで、部屋から外に出て、工具箱がある道具保管室を目指して、歩いていった。


 幸い、道具保管室は、そんなに部屋から離れてはなかった。



 その扉を開けると、中にはレジスタンス員が、一人警備についていた。



「ん? お前は別の拠点から来た連中の一人だな、何の用だ? 道具箱なら奥の作業机の上に置かれているから自由に使えよ、ただし持ち出しは厳禁だからなっ!」


「分かっているよ…………少しの間だけ拳銃の手入れをさせて頂くよ」


 頭に、バンダナを巻いた、迷彩服を着ている、レジスタンス員が、ナタンに気づく。


 FNCライフルを背負う、彼は敵が来たかと思い、一瞬だけ身構えた。



 だが、現れたのが味方だと分かると、横に退けてくれて、彼を奥に通す。



「しばらく、掛かるからな」


 ナタンは、彼に作業机を使わせて貰うと告げると、部屋の奥に向かう。



 奥には、三つの金属製棚と木製棚が置かれていた。


 それらには、ハンマーや電動工具などが、丁寧に陳列されつつ保管してあった。



 ナタンは、ベルトに下げた、ホルスターから鈍い銀色の拳銃を抜くと、黙々と分解掃除を始めた。

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