【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第22話 帝国国家情報保安警察=ゲシュタージの任務…………

公開日時: 2024年7月9日(火) 13:22
更新日時: 2024年7月12日(金) 22:40
文字数:3,542


「本日より当警察署、第二小隊に配属に成りました、ガリーナ・クルプスカヤ二等兵と申します…………皆様方まだ私は若輩者の身ですが、どうか御指導ご鞭撻を賜りますように…………どうかお願いします」


「同じく本日より当警察署に配属に成りました、ギルシュ・レーヴィット二等兵です、偉大なるノルデンシュヴァイク帝国国家の永遠の繁栄の為に、我が命が尽きるまでこの身を捧げ続けますっ!」


 ガリーナ二等兵は、若紫色をした、ショートヘアに薄紫色の瞳を持つ。


 また、美人だが左半分を覆うほど、青紫色の吹き出が多数あるゾンビ顔をしていた。



 彼女の服装は、帝国軍で使用される黒い野戦帽を被り、野戦服に身を包んでいた。



 ギルシュ二等兵も、グレーホワイト色をした髪に、カイロ・ブルー色の瞳を持つ。


 顔は、骸骨のように痩せこけており、右側半分を覆う青い肉と、傷だらけで筋が露出している。



 頭には黒い略帽を被り、体には野戦服に身を包んでいた。



 新に、第二小隊に配属された、新兵二名は、上官である部隊長と隊員達にローマ式敬礼を取る。


 そして、ノルデンシュヴァイク帝国に忠誠を誓う。



 彼等は、戦死した隊員の変わりに、部隊に配属された補充兵である。



 また、帝国には捕虜や囚人達を拷問・洗脳して、帝国軍兵士に仕立て上げる部屋がある。


 彼等は、通常101号室と呼ばれる部屋だが、ここから送られて来た元レジスタンスの一員だ。



 それも、昨晩の戦闘で不幸にも、捕虜と成ってしまった者たちが辿った末路だ。



 二人とも、帝国に都合良く記憶と性格を改竄・変更されてしまっている。


 思考様式や政治思想、果ては宗教観に至るまで、ねじ曲げられた、憐れな彼等だが。



 最早、元の人物ではなく、帝国に使える、冷酷で残忍な一兵士に過ぎない。



 彼等二人も、かつての家族や親しい仲間達とともに戦っ記憶や、優しい人格等は全く無い。


 そして、上官が命じれば何の疑問も抱く事なく、友人や家族を銃で撃ち殺す。


 また、恋人や婚約者が存在するなら、ナイフで惨殺するで有ろう。



 死ねと命じれば、一切躊躇う事無く自らの喉を、ナイフで掻き斬るか。


 もしくは、すぐさま額に拳銃で風穴を開けるだろう。



 彼等のような帝国の毒牙に掛かった哀しき犠牲者達は、名前まで奪われてしまう。


 そして、帝国に、偽りの名前を与えられる。



 ある者は、帝国の為に忠をひたすらに尽くして、凄惨な血深泥《ちみどろ》の戦いに儚い命を落とす。


 またらある者は上官の命令に忠実に従う、愛玩人形として可愛がられる。



 等々と言う、過酷な運命を辿るのだ。



「部隊長のザミョール中尉だ、二人とも良く来てくれた…………昨晩の戦闘で隊に戦死者出てしまい、空きが出来てな? 君達新入りには早速彼等の変わりに私の元で働いて貰おう?」


 第二小隊の部隊長ザミョールは、二人に対して、そう告げる。


 すると、直立不動で立ち続ける、新兵の内、先ずは、ガリーナ二等兵に声を掛ける。



「ガリーナ二等兵、少し質問は言いかな?」


「はっ何なりと御命令をお申し付け下さい…………」


 ザミョール中尉が、そう問うと質問された、ガリーナ二等兵は素直に答える。



「君は昨晩の事を覚えているか? コルト45拳銃やダイナマイトの事等をな?」


「いえ? 申し訳有りませんが、私は何も覚えておりません…………」


 昨晩の戦闘で、第二小隊を率いていた、ザミョール中尉だが。


 彼は、昨晩の事を覚えていないか、ガリーナ二等兵に質問した。



 洗脳を施された上に、記憶を改竄された、彼女は勿論、昨晩の事やコルト45の事など。


 もちろん、それらの出来ごとを覚えている筈は無かった。



「そうか? ではギルシュ二等兵、君も昨晩の戦闘で負傷して居た所を救出された記憶は有るか?」


「自分も…………何も知りません? その様な事があったと言う事は始めて聞きました」


 ザミョール中尉から、そう質問された新兵の二人だったが。


 彼等は、ひょっとして自分達は、元はノルデンシュヴァイク帝国民では無かった。



 そして、洗脳された元一般人か、もしくは、レジスタンス側だったのかと思う。



「中尉? ひょっとして我々二人は昨晩の戦闘で捕虜と成ったレジスタンスの一員なのでしょうか…………」


「我々は栄光有るノルデンシュヴァイク帝国国家の臣民では無く、元はこの星の住人なのですか?」


 ガリーナ二等兵とギルシュ二等兵たちは、顔色を変える事なく、そう言うった。



「そうだとしても、今の君達に何か関係が有るのか、ん? 無いだろう?」


「はいっ! その通りです我等は最早帝国の忠実な一臣民で有り、死を恐れぬ勇敢な兵士で有りますっ!」


「我等は愚かなこの星の住人の中から偉大な帝国の臣民に選ばれたのですね! ジークハイルっ!! 我等ファシストに勝利をっ!」


 平然と態度を変える事無く、そう言い放つ、ザミョール中尉の言葉を聞いた。



 ガリーナ二等兵とギルシュ二等兵は、その言葉に納得したようだ。


 それから、二人して、満足したかのような表情をして答える。



「そうか? では早速だが、新たな任務を告げる…………」


 ザミョール中尉は、新兵二人に対して、次なる作戦命令を下す。


 それは、新たに発見された、レジスタンスの拠点を潰すという任務であった。



「知っての通り連中の拠点は二次大戦中に掘られた地下塹壕や地下下水道、地下墓地《カタコンベ》等の地下に構えられている、そこに奇襲を仕掛ける、質問は無いな? では出動だ行くぞっ!」


 ザミョール忠尉は、そう命令を下し、部下達と共に、レジスタンスの拠点を目指す。


 こうして、また一つレジスタンス側の拠点が潰される事に成った。



 生き残ってしまった者らは、ガリーナ二等兵&ギルシュ二等兵たちのように成る。


 つまり、二人同様に帝国と言う、主に忠実な猟犬へと変えられてしまうだろう。



 それが、誰かはまだ分からなかった。



 一方その頃、帝国に対する抵抗運動組織である、レジスタンスが隠れているアジトでは。



「あ~~牛乳を分けて欲しいんだけど? 物資の中に何か無いかな…………」


「ナタン? それなら奥の冷蔵庫に有るから好きな奴を持ってきな…………それに他にも必要な物があったら言って頂戴探すのを手伝って上げるから?」


 ナタンは、食料倉庫まで歩いていき、前の椅子に座る人物に話しかけた。


 それは、机上で書類を整理している、アシュア系の長い黒髪を腰まで伸ばした、女性だ。


 彼女は、主計科員であり、ナタンは牛乳を頼む。



 すると、女性物資管理員は快く、彼に食料倉庫へと入る許可を与える。



「有り難うルア、でも今は牛乳パックを貰ったら邪魔に成らないように直ぐに戻るから」


「そう…………じゃあ私はここで事務仕事を続けるわ? 後メルヴェに、これを渡しといてね」


 礼を述べた、ナタンに対して、ルアと呼ばれた女性だが。


 彼女は、机の引き出しから小さなチョコスナックを取り出すと、これを、メルヴェにと渡して来た。



「ああっ彼女は甘い物に弱いからな…………済まないな、こんな物まで貰っちゃってっ! と長話している暇は無いな? 悪いけどもう行くよ」


「良いのよ? 私と彼女は中が良いしさ…………じゃ…………また後でね~~」


 早く帰ろうと歩き出した、ナタンはそう告げて、ルアの元から立ち去って行く。


 そんな、ナタンの後ろ姿に向けて、ルアは言うと、また一人で黙々と事務仕事に戻る。



「うっ? んあーーあ~~? …………朝かあ? あれっ? ナタンは何処に…………」


『コンコンッ!』


 二度寝から寝覚めた、メルヴェはベッドの上で体を起こした。


 それから、カーキ色の服を着ると、室内にナタンが居ない事を知る。



 そして、丁度鉄扉を叩く音が聞こえて来た。



「誰? 誰なの?」


「僕だ、メルヴェ安心して」


 メルヴェが、心配そうに鉄扉の前に立って居るで有ろう、人物に言うと。

 外からは、ナタンが安心してと言って、鉄扉を開いて中に入って来る。



「メルヴェ? 牛乳を貰って来たよ、一緒に飲もう…………」


「そう…………ね? 貴方と一緒に飲みましょうか?」


 ナタンは、小さな丸いテーブルの上に、白いマグカップを二つだけ置いた。


 それから、中に牛乳を溢れないようにと、静かで慎重に注ぐ。



 彼は、片方の白いマグカップを、メルヴェに手渡した。


 彼女は、それを受け取ると、牛乳の爽やかな甘苦い味を味わいながら飲む。



 ナタンも、マグカップを口に近付けて、ゆっくりと牛乳を飲み干す。


 マグカップを口から話した、メルヴェは、彼に話しかけて来た。



「ナタン…………口を開いて…………」


「メルヴェ? 何でだい…………!?」


 メルヴェは、そう言うと、ナタンの言葉を無視して、いきなりマグカップの牛乳を飲み干す。


 ~~のかと思いきや、メルヴェは彼の頭を両手で押さえると、いきなり唇を重ね合わせた。



「敵襲だぁーーーー!?」


「撃てっ? 撃てっ! 撃てっ!?」


 二人の幸福な時間は、長く続かず、帝国警察部隊による襲撃に邪魔された。

 面白かったら、ブックマークとポイントを、お願いします。


 あと、生活費に直結するので、頼みます。


 (^∧^)

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート