【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第192話 神刀隊

公開日時: 2024年7月11日(木) 22:40
更新日時: 2024年7月14日(日) 10:03
文字数:3,037


「急いで、離れるぞっ!」


「待って、右から何か来るわっ!」


「ぐわああああっ!!」


「ぎゃああーーーー!?」


 ナタンとメルヴェは、戦場となった道路から離脱するべく、ヤマハ・グリズリーを爆走させる。


 だが、左側にあるT字路からLYTー2021超軽型輪式傘兵突撃車が、一台だけ飛び出してきた。



 その後から、08式歩兵戦闘車が四台も並ぶ、チィーナ製、軍用車両は攻撃を開始した。


 砲塔から、99式30ミリ機関砲を大きな建物に向かって連続射撃する。



 これにより、機関砲弾の勢いに負けて、窓ガラスが割れ、コンクリート壁は崩れ落ちてゆく。


 もちろん、帝国兵の着ている防弾ベストや防弾装甲など意味はなく、簡単に貫通する。



 それで、帝国兵たちが落下してきた。



「よおっ! ブリュッセル宮殿に行きたいんだか、案内してくれるか?」


「味方か? 分かった、着いてきてくれっ!」


「チィーナ人民解放軍?」


 野戦帽を被る、チィーナ人民解放軍兵士が声をかけてきた。


 茶・緑・黒・薄ベージュ等からなる、デジタル迷彩の07式陸軍迷彩服を着た、兵士たち。



「この野郎ぉーーーー!!」


「発射ああああああっ!? 発射っ!!」


「貴方たち、落ち着きなさいよ…………」


 LYTー2021突撃車は、空挺部隊や特殊部隊用に開発された、四人乗りの軍用バギーである。



 その上部にある機銃マウントからフリッツ・ヘルメットを被った機関銃手が叫ぶ。


 と同時に、171式重機関銃から1、27ミリ弾を撃ちまくる。



 もう一人、走行するバギーの上から兵士が、PFー97サーモバリック弾ランチャーを発射する。


 また、彼は撃ち終わった筒を捨てると、次の弾頭を二個目から発射する。



 この対戦車用武器は、RPOシュメーリを、チィーナ人民共和国で、ライセンス生産した物だ。


 よって、サーモバリック弾による爆炎で帝国兵を吹き飛ばしてゆく。



 そんな二人を前に、後部座席に座る女性兵士が飽きれながら呟く。


 が、しかし彼女も静かに、JSー7、62ミリ狙撃歩槍を確りと、敵を狙い撃ちしていた。



「はぁ? 連中、後ろに回ったらしいが、すんごい威勢がいいな?」


「人民解放軍の特殊部隊だわっ! 連合軍コマンドの一部よっ!」


 ナタンとメルヴェ達が乗った、ヤマハ・グリズリーの後ろには、運転席だけとなったダフが走る。


 その後ろに、四人組が乗っている、LYTー2021突撃車が続く。



 また、最後尾には帝国兵たちを蹴散らした、08式歩兵戦闘車が、後をくっついて来ていた。



「曲がるぞ、この先に敵は居ないよな?」


「居ないわ……………と、言いたいけど?」


 ナタンとメルヴェ達は、大きな円形交差点を右側に曲がろうとする。


 しかし、一台の車が左側から一気に飛び出してきた。



 三菱トライトンだ。



「なっ! 敵…………ではない?」


「あの車体は、緑色よっ?」


 三菱トライトンは、いきなり急停車すると、エンジンを切った。


 荷台から二名の兵士が、9M14マリュートカ対戦車ミサイルを発射する。



 その後、遠くで破壊音がなった。



 ナタンとメルヴェ達は、驚きながら一部始終を見ていた。


 だが、すぐにヤマハ・グリズリーを走らせ始めた。



「あっちに、戦車がある」


「狙いはアレだったと」


 交差点を右側へと曲がる際に、左側を見た、ナタンとメルヴェ達は、破壊された兵器を視認した。


 それは、アリエテMk《マーク》2小型主力戦車が、正面から攻撃を受けて炎上している姿だ。



「はぁ…………まだまだ、帝国は戦車を隠しているらしいな?」


「こっちも、沢山あるといいんだけどね」


 ナタンとメルヴェ達は、帝国は幾つ戦車を保有しているんだろうかと考える。


 連合側は、機動戦闘車や偵察戦闘車と言われる、装甲車に砲塔を取り付けた兵器はある。



 その理由は、戦車よりも小柄であり、偽装や密輸が簡単だったからだ。



 これら兵器は、部品単位、または大型トレーラーのコンテナに丸ごと車体を隠されて運ばれていた。


 その結果、帝国支配地域に突如、機甲師団が出現したワケだ。



 しかし、本物の戦車より攻撃力と防御力は劣るため、連合側が有利に戦えるかは分からなかった。



「あのテクニカルに、着いていこう」


「目標は同じようだからね」


 交差点を過ぎた、三菱トライトンを追いかけ、ナタンとメルヴェ達は道路を進んでゆく。



 左横を見ると、道路中央に自動車が何台も停まっている駐車場があった。


 また、そこから後ろには、複数の道路と細長い駐車場があって複雑な地形となっていた。



 そうして、二人はビル群に囲まれた路上の一番端にある、トワゾン・ドール通りを進軍する。



「ここは、封鎖されているわ」


「鉄板と鉄条網だ」


 三菱トライトンに続く、ナタンとメルヴェ達は、右側にあるドラピエ通りへ目を配る。


 そこには、鉄条網が螺旋状に巻かれており、その向こうには緑色の鉄板が置かれていた。



 また、街路樹は葉が落ち、枯れ木となっている。



 そんな道に沿って、内側に向かう短く緩やかなカーブを、二人のヤマハ・グリズリーは過ぎた。



「向こうには、味方の機甲部隊が展開しているぞ」


「しかも、バスやトラックを遮蔽物に使っているわ」


 ナタンとメルヴェ達は、機甲部隊と言っても二台だけだが、戦車などを見つけた。


 AMXー13軽戦車と、ERC90偵察用装甲車だ。



 その後ろには、道を遮るようにして、ボルボ、トラックが横に並んでいた。


 また、トラックのコンテナ上や手間には、たくさん土嚢が積まれていた。



 また、土嚢には白兵戦を挑まれぬように鉄条網が設置されている。


 また、各所にM2キャリバー、MG3、PKなどの重機関銃や汎用機関銃が配備されている。


 もちろん、そこに陣取る強者は、多数の様々な人種からなる連合軍兵士たちだ。



「こっちは…………」


「装甲車があるわ」


 右横にある、シュヴァリエ通りには、ベージュ色のラーテル歩兵戦闘車が鎮座していた。



 その後ろ姿を、ナタンとメルヴェ達は見た。



「さて、味方の検問所だが?」


「どうしようかしら?」


 ナタンとメルヴェ達は、両側を衣料品店のビルに囲まれた、場所に布陣する味方部隊に近づく。


 そして、三菱トライトンは、緑色に塗装された、ERC90偵察用装甲車の右脇を通過する。



 二人も後を追いながら、そこを過ぎてゆく。



「おい、そこの車両部隊…………この先にあるキャナダ大使館が攻撃を受けているらしい」


「つまり、行けって事だなっ!! よっしゃっ!!」


「俺たちも、大至急で向かうぞっ!?」


「ああ、分かった、着いていくよ」


「味方の救援ねっ! あーー? 後ろの味方さんっ! これから真っ直ぐ、キャナダ大使館に行くわよっ!!」


 ボルボ、トラック上にある銀色コンテナの土嚢、から、隊長らしき人物が声をかけてきた。


 三菱トライトンの荷台に乗った、赤ベレー帽の筋骨隆々な黒人コマンドは、元気よく答える。



 野戦帽を被る日焼けした、マッチョな白人コマンド兵も、ナタンに声をかけてきた。


 それを聞いて、メルヴェは後続の味方車両たちに行き先を伝えた。



「おっ! どっかで攻撃を受けているらしいぞっ!」


「また、PFをぶっぱなせるぜっ!」


「俺の機関銃も唸るぜぇっ!!」


「うるさいわよ、あんたらは…………」


 ナタンとメルヴェ達の後ろを走るダフより、向こう側から声が聞こえた。



 それは、先ほど車両を運転していた隊長らしき人物と特技兵たちの声だった。


 また、機関銃手と女性狙撃兵たちの声も聞こえた。



「チィーナ軍の連中も、ヤル気は満々なようだな?」


「彼らも精鋭部隊よ、他の部隊と動揺に勇猛果敢なワケだわ」


 ナタンとメルヴェ達は、そう話ながら街路樹の側を、ヤマハ・グリズリーで走っていった。

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