【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第194話 リュクサンブール通りの戦闘

公開日時: 2024年7月11日(木) 22:42
更新日時: 2024年7月14日(日) 10:04
文字数:3,418


「RPGーーーー!!」


「うわあああっ!?」

 

 男女二名からなる、イズライル軍兵士たちは、ダフから飛び出ると同時に走る。



 そして、地面に伏せながら叫んだ。



「うわっ! 爆発したぞっ!」


「直撃したじゃないのっ!」


 ナタンとメルヴェ達は、早々に、ヤマハ・グリズリーを左側のビル陰に停めた。


 そして、イズライル軍兵士たちを隠れながら見ている。



 二人は、果敢にも地面に伏せながら、自動小銃で応戦している。



「援護しなければっ!」


「あっ! 援護が必要なのは貴方じゃないのっ!」


 ナタンは、AK12を適当に撃ちながら、ビルの窓を叩き割って室内に走ってゆく。


 その背後から姿が見えぬ敵に対して、メルヴェはFADを連射させる。



 二人が前進すると同時に、人民解放軍の08式歩兵戦闘車が並走しながら、機関砲を撃ち続けた。


 さらに、走りながら開かれた後部ハッチからは、人民解放軍兵士たちが飛び出てきた。



 彼らは、左側にあるビルの柱に疾走していき、身を隠しつつ銃撃を開始する。


 それから、右側のビル窓に銃弾を撃ち込んで割りながら中に入る。



「装甲車が二台、これならRPGがあっても安心でき」


「るワケないわっ! 敵の機甲部隊よっ!」


 RPG弾が、彼方此方から飛来する中、ナタンは装甲車を前に出しながら戦えば有利だと考えた。


 しかし、敵もそう甘くなく、軽戦車が遠くから向かってくるのを、メルヴェが視認した。



 軽戦車は、遠方から砲撃を始め、一発の弾丸を放ってきた。



「キュラシェーアッ! あれは、キュラシェーアだっ!」


「下がれ、建物の奥に行くんだっ!」


 人民解放軍兵士たちが、叫びながら建物内に避難する。


 幸い、今の一撃は外れたが、すぐに次弾が放たれる。



「ぐわっ! 危なかったっ!」


「車両から離れろっ! RPGもあるんだぞっ!」


「次が来るっ! おそらく、あの軽戦車はロボット化されているっ!」


 人民解放軍兵士たちは、近くの広告が貼られた、バス停に隠れていた。



 キュラシェーアの砲撃が当たった事で、右側を走っていた08式歩兵戦闘車が破壊された。


 それにより、爆散した破片が周囲に飛び散り、人民解放軍兵士たちを襲う。



「ぐあああーー!?」


「うわああっ!!」


 SK105キュラシェーア軽戦車は、105ミリ低反動ライフル砲を備えている。


 ライフル砲は、命中率が高い代わりに威力が低いのだが、今行った砲撃は正確だった。


 ゆえに、08式歩兵戦闘車は用意に装甲を貫かれてしまい、直撃により爆発したのだ。



 また、その周辺に展開していた、チィーナ軍兵士たちも、爆風に巻き込まれてしまう。



「前進だっ! PFを用意しろっ!」


 解放軍兵士達が叫びながら銃を撃ち、ビルから飛び出していく中、08式歩兵戦闘車も走る。


 そして、99式30ミリ機関砲による連続砲撃をキュラシェーアに加えた。



 この攻撃で、何発も機関砲弾に装甲を貫かれた、敵装甲車両は爆発こそしなかった。


 だが、機関部を破壊されたのか、動かなくなってしまった。



「様子が変だっ!」


「きっと、破壊したのか?」


 解放軍兵士たちは、互いに援護射撃を繰り返しながら前進する。



 そこに、後続部隊が現れた。



「イズライル部隊だっ!」


 解放軍兵士が叫ぶと、高速でイズライル軍の自立型兵器アテムが、二台疾走しながら射撃を続ける。


 アテムには、敵の位置が分かっているらしく、正確な連射で遠距離射撃を行っている。



「行けっ! お前ら、突撃だっ! 交差点まで、敵を押し返せっ!!」


 チィーナ軍の隊長が運転するLYTー2021突撃車が、一台だけ飛び出してきた。



 その後に、プラサン・ワイルダー軽装甲バギーが走ってくる。


 また、牽引している、二連結アテムと同時に連続射撃を行う。



「制圧射撃開始っ!!」


「砲撃だっ! 食らえっ!」


「降車、戦闘開始だ」


「私も、援護しますよ」


 LYTー2021突撃車からは、171式重機関銃により、1、27ミリ弾が放たれる。


 それに加え、座席左側の武器マウントに取り付けられた、87式自动榴弹发射器が火を吹く。



 続々と放たれる、重機関銃弾と榴弾は、敵が立てこもる建物を破壊していく。



 そして、走る突撃車から二名の兵士が飛び降りた。



 一人は背中に連結した、PFー97を背負い、03式自動歩槍を持った、若い男性兵士だ。


 もう一人は、背中にJSー7、62ミリ狙撃歩槍を背負う、191式自動歩槍を抱える女性兵士だ。



「よっしゃ、狙いは外さないっ!」


「援護しますよ、早く退避してっ!」


 左側の座席から飛び降りた兵士は、雪積もる地面に伏せると、すぐにPFー97を置く。


 そして、二連結された長筒を外して、一発発射した。



 その間、191式自動歩槍を乱射しながら、左側にあるビル内へと、女性兵士は飛び込む。



「よし、すぐに離れんとっ! どわっ!」


「曲《チュー》、無事かっ!」


 二発目を射たないで、チィーナ軍兵士は左側にあるビル内へと、走りだしたが。


 そこに、遠くからRPG弾が飛んできて、路上に着弾する。



 土煙と、コンクリート片が舞い上がったことにより、若い兵士は死んだ。



 と、思って、女性兵士は彼の名前を呼ぶ。



「愛利《アイリー》、生きてるぜっ!」


「よかった…………さあ、二発目をっ!」


「お二人さん、俺たちも援護するぞっ?」


「敵兵は遠くね、全く見えないわ?」


 しかし、なんと若い兵士は生きていて、PFー97を担ぎながら走ってくる。


 彼が室内に入ると、女性兵士は黒い銃身のJSー7、62ミリ狙撃銃を構えながら遠くを狙う。



 その背後から、ナタンとメルヴェ達も、二人に近づいた。



「うわっ! レジスタンスか?」

 

「脅かさないでよ…………」


 後ろから声を掛けられた、彼等は、びっくりしながら後ろに振り向く。



 若い男性兵士は、フリッツ・ヘルメットに、緑色のゴーグルを掛けている。


 腹には、深緑色の防弾ベストと弾帯を身に着けていた。



 女性狙撃兵は、カーキ色に塗装された、モジュラー統合通信ヘルメットに、同色のマスクを着ける。


 腹には、カーキ色に塗装された、防弾ベストを着ているが、弾帯は腰のベルトから下げていた。



 また、背中にはカーキ色の大きなリュックと、191式自動歩槍を背負う。



「そうだよ、味方だ……俺はナタン、こっちはメルヴェ?」


「曲《チュー》・暁蓉《シャロン》二等兵だ、こっちはアイリー」


「馬《マー》・愛利《アイリー》です、と、それよりも…………」


「先に敵を撃たないとっ! ……て、ワケね?」


 ナタンは、路上で行われている戦闘様子を確認しながら名前を教える。


 それに、チュー二等兵は答えながら、PFー97を発射するべく準備する。



 アイリーも、細く切れ長の黒瞳を、スコープに合わせて、遠くどこかに隠れる敵を探す。


 メルヴェも、二人から少し離れた場所からFADで援護射撃を行った。



「ぐあっ! がぁっ!?」


「うわあーー!!」


「敵は姿が見えないが、味方が結構やられているようだな」


「いや、殆どはアイリーの幻影だっ! 心配はしなくていいっ!」


「それより、敵は中々発見できませんねぇ? いったい何処に潜んで居るのやら?」


「とにかく、私たちは前進するわ、援護をお願いねっ!!」


 路上には、ナタンが言うように連合側コマンド部隊として、戦っている人民解放軍兵士が倒れる。


 それを気にせず、チューはPFー97を発射する。



 筒から飛び出し、飛翔していった弾頭は、交差点の左側にあるビルへと当たって爆発する。



 その下で、膝だちしながらJSー7、62ミリ狙撃銃で、遠方にあるビル窓をアイリーは狙う。



 一発だけ放たれた弾丸は、スコープ内に捉えた、オーガーに向かっていく。


 ソイツが構えていた、パンツァーファウスト3の弾頭に、弾丸が見事命中して炎が吹き出た。



 メルヴェは、二人の攻撃が終わったと同時に路上へと、FADを撃ちながら飛び出した。



「ナタン、こっちよ? ん、はっ? 爆発した」


「敵は何を使ったんだっ!!」


 タタタタと射撃音を立てながら、FADを乱射しつつ走る、メルヴェ。


 彼女は、すぐに再度ビル内に突入するが、その後を追って来た、ナタンは道路に気を配った。



 二人は、高速で走行しながらO字型に回り、機関砲を激しく連射していた、アテム部隊を見るが。



 とつぜん、一台のアテムが砲撃を受けてないにも関わらず大爆発した。


 さらに、後続の二台目も突如爆破され、砲塔が宙を舞い、車両が転がってくる。



「なな、なんだ今の?」


「魔法…………かしら?」


 ナタンとメルヴェ達は、急に吹き飛ばされた二台のロボット戦車アテムを不思議がる。


 いったい、どんな手法で敵は攻撃してきたのか、それが二人には理解できなかった。

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