「RPGーーーー!!」
「うわあああっ!?」
男女二名からなる、イズライル軍兵士たちは、ダフから飛び出ると同時に走る。
そして、地面に伏せながら叫んだ。
「うわっ! 爆発したぞっ!」
「直撃したじゃないのっ!」
ナタンとメルヴェ達は、早々に、ヤマハ・グリズリーを左側のビル陰に停めた。
そして、イズライル軍兵士たちを隠れながら見ている。
二人は、果敢にも地面に伏せながら、自動小銃で応戦している。
「援護しなければっ!」
「あっ! 援護が必要なのは貴方じゃないのっ!」
ナタンは、AK12を適当に撃ちながら、ビルの窓を叩き割って室内に走ってゆく。
その背後から姿が見えぬ敵に対して、メルヴェはFADを連射させる。
二人が前進すると同時に、人民解放軍の08式歩兵戦闘車が並走しながら、機関砲を撃ち続けた。
さらに、走りながら開かれた後部ハッチからは、人民解放軍兵士たちが飛び出てきた。
彼らは、左側にあるビルの柱に疾走していき、身を隠しつつ銃撃を開始する。
それから、右側のビル窓に銃弾を撃ち込んで割りながら中に入る。
「装甲車が二台、これならRPGがあっても安心でき」
「るワケないわっ! 敵の機甲部隊よっ!」
RPG弾が、彼方此方から飛来する中、ナタンは装甲車を前に出しながら戦えば有利だと考えた。
しかし、敵もそう甘くなく、軽戦車が遠くから向かってくるのを、メルヴェが視認した。
軽戦車は、遠方から砲撃を始め、一発の弾丸を放ってきた。
「キュラシェーアッ! あれは、キュラシェーアだっ!」
「下がれ、建物の奥に行くんだっ!」
人民解放軍兵士たちが、叫びながら建物内に避難する。
幸い、今の一撃は外れたが、すぐに次弾が放たれる。
「ぐわっ! 危なかったっ!」
「車両から離れろっ! RPGもあるんだぞっ!」
「次が来るっ! おそらく、あの軽戦車はロボット化されているっ!」
人民解放軍兵士たちは、近くの広告が貼られた、バス停に隠れていた。
キュラシェーアの砲撃が当たった事で、右側を走っていた08式歩兵戦闘車が破壊された。
それにより、爆散した破片が周囲に飛び散り、人民解放軍兵士たちを襲う。
「ぐあああーー!?」
「うわああっ!!」
SK105キュラシェーア軽戦車は、105ミリ低反動ライフル砲を備えている。
ライフル砲は、命中率が高い代わりに威力が低いのだが、今行った砲撃は正確だった。
ゆえに、08式歩兵戦闘車は用意に装甲を貫かれてしまい、直撃により爆発したのだ。
また、その周辺に展開していた、チィーナ軍兵士たちも、爆風に巻き込まれてしまう。
「前進だっ! PFを用意しろっ!」
解放軍兵士達が叫びながら銃を撃ち、ビルから飛び出していく中、08式歩兵戦闘車も走る。
そして、99式30ミリ機関砲による連続砲撃をキュラシェーアに加えた。
この攻撃で、何発も機関砲弾に装甲を貫かれた、敵装甲車両は爆発こそしなかった。
だが、機関部を破壊されたのか、動かなくなってしまった。
「様子が変だっ!」
「きっと、破壊したのか?」
解放軍兵士たちは、互いに援護射撃を繰り返しながら前進する。
そこに、後続部隊が現れた。
「イズライル部隊だっ!」
解放軍兵士が叫ぶと、高速でイズライル軍の自立型兵器アテムが、二台疾走しながら射撃を続ける。
アテムには、敵の位置が分かっているらしく、正確な連射で遠距離射撃を行っている。
「行けっ! お前ら、突撃だっ! 交差点まで、敵を押し返せっ!!」
チィーナ軍の隊長が運転するLYTー2021突撃車が、一台だけ飛び出してきた。
その後に、プラサン・ワイルダー軽装甲バギーが走ってくる。
また、牽引している、二連結アテムと同時に連続射撃を行う。
「制圧射撃開始っ!!」
「砲撃だっ! 食らえっ!」
「降車、戦闘開始だ」
「私も、援護しますよ」
LYTー2021突撃車からは、171式重機関銃により、1、27ミリ弾が放たれる。
それに加え、座席左側の武器マウントに取り付けられた、87式自动榴弹发射器が火を吹く。
続々と放たれる、重機関銃弾と榴弾は、敵が立てこもる建物を破壊していく。
そして、走る突撃車から二名の兵士が飛び降りた。
一人は背中に連結した、PFー97を背負い、03式自動歩槍を持った、若い男性兵士だ。
もう一人は、背中にJSー7、62ミリ狙撃歩槍を背負う、191式自動歩槍を抱える女性兵士だ。
「よっしゃ、狙いは外さないっ!」
「援護しますよ、早く退避してっ!」
左側の座席から飛び降りた兵士は、雪積もる地面に伏せると、すぐにPFー97を置く。
そして、二連結された長筒を外して、一発発射した。
その間、191式自動歩槍を乱射しながら、左側にあるビル内へと、女性兵士は飛び込む。
「よし、すぐに離れんとっ! どわっ!」
「曲《チュー》、無事かっ!」
二発目を射たないで、チィーナ軍兵士は左側にあるビル内へと、走りだしたが。
そこに、遠くからRPG弾が飛んできて、路上に着弾する。
土煙と、コンクリート片が舞い上がったことにより、若い兵士は死んだ。
と、思って、女性兵士は彼の名前を呼ぶ。
「愛利《アイリー》、生きてるぜっ!」
「よかった…………さあ、二発目をっ!」
「お二人さん、俺たちも援護するぞっ?」
「敵兵は遠くね、全く見えないわ?」
しかし、なんと若い兵士は生きていて、PFー97を担ぎながら走ってくる。
彼が室内に入ると、女性兵士は黒い銃身のJSー7、62ミリ狙撃銃を構えながら遠くを狙う。
その背後から、ナタンとメルヴェ達も、二人に近づいた。
「うわっ! レジスタンスか?」
「脅かさないでよ…………」
後ろから声を掛けられた、彼等は、びっくりしながら後ろに振り向く。
若い男性兵士は、フリッツ・ヘルメットに、緑色のゴーグルを掛けている。
腹には、深緑色の防弾ベストと弾帯を身に着けていた。
女性狙撃兵は、カーキ色に塗装された、モジュラー統合通信ヘルメットに、同色のマスクを着ける。
腹には、カーキ色に塗装された、防弾ベストを着ているが、弾帯は腰のベルトから下げていた。
また、背中にはカーキ色の大きなリュックと、191式自動歩槍を背負う。
「そうだよ、味方だ……俺はナタン、こっちはメルヴェ?」
「曲《チュー》・暁蓉《シャロン》二等兵だ、こっちはアイリー」
「馬《マー》・愛利《アイリー》です、と、それよりも…………」
「先に敵を撃たないとっ! ……て、ワケね?」
ナタンは、路上で行われている戦闘様子を確認しながら名前を教える。
それに、チュー二等兵は答えながら、PFー97を発射するべく準備する。
アイリーも、細く切れ長の黒瞳を、スコープに合わせて、遠くどこかに隠れる敵を探す。
メルヴェも、二人から少し離れた場所からFADで援護射撃を行った。
「ぐあっ! がぁっ!?」
「うわあーー!!」
「敵は姿が見えないが、味方が結構やられているようだな」
「いや、殆どはアイリーの幻影だっ! 心配はしなくていいっ!」
「それより、敵は中々発見できませんねぇ? いったい何処に潜んで居るのやら?」
「とにかく、私たちは前進するわ、援護をお願いねっ!!」
路上には、ナタンが言うように連合側コマンド部隊として、戦っている人民解放軍兵士が倒れる。
それを気にせず、チューはPFー97を発射する。
筒から飛び出し、飛翔していった弾頭は、交差点の左側にあるビルへと当たって爆発する。
その下で、膝だちしながらJSー7、62ミリ狙撃銃で、遠方にあるビル窓をアイリーは狙う。
一発だけ放たれた弾丸は、スコープ内に捉えた、オーガーに向かっていく。
ソイツが構えていた、パンツァーファウスト3の弾頭に、弾丸が見事命中して炎が吹き出た。
メルヴェは、二人の攻撃が終わったと同時に路上へと、FADを撃ちながら飛び出した。
「ナタン、こっちよ? ん、はっ? 爆発した」
「敵は何を使ったんだっ!!」
タタタタと射撃音を立てながら、FADを乱射しつつ走る、メルヴェ。
彼女は、すぐに再度ビル内に突入するが、その後を追って来た、ナタンは道路に気を配った。
二人は、高速で走行しながらO字型に回り、機関砲を激しく連射していた、アテム部隊を見るが。
とつぜん、一台のアテムが砲撃を受けてないにも関わらず大爆発した。
さらに、後続の二台目も突如爆破され、砲塔が宙を舞い、車両が転がってくる。
「なな、なんだ今の?」
「魔法…………かしら?」
ナタンとメルヴェ達は、急に吹き飛ばされた二台のロボット戦車アテムを不思議がる。
いったい、どんな手法で敵は攻撃してきたのか、それが二人には理解できなかった。
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