ナタンとメルヴェ達は、薄暗い地下に転がる死体を蹴っ飛ばしていた。
「ジハード、たった一人で倒してしまうとはな」
「やり過ぎでしたかね?」
「いや、楽でいいわ、本当に楽で」
「しかし、凄い火力だった」
ナタンは、もの凄い砲撃と機銃掃射で、敵を殲滅させてしまった、ジハードに驚嘆する。
謙遜する彼に、メルヴェは冷や汗を滴しながら呟き、ファンも小さな声で話す。
「ここは、食堂らしいな、次は何が出てくるだろうか?」
「ぐっ!」
「行って見れば、分かるわっ!」
「があっ!」
ナタンは、ドアを開けると、レギオールナイフで連合軍兵士の胸を、一瞬で一突きする。
メルヴェイは、逆手に持った、小刀ヤタアンを強く握り、白人民兵の首を撥ね飛ばす。
「まだまだ、敵の残像戦力が残っているようだな」
「気を付けないと、不意討ちされちゃうわ」
ナタンとメルヴェ達は、アチコチに警戒しながら奥の通路を進んでいく。
赤いランプが所々に照らされた地下道は、ホラー映画に登場する不気味な舞台を思わせる。
そんな中、ファンとジハード達も後ろに気を付けながら歩いていく。
「次は、ここよ? 広々とした空間みたいね?」
「二人とも、援護しながら右に行ってくれ」
「分かりましたぜ、なら準備しますか」
「弾倉の交換は終わっています、だから何時でもいけます」
ナタンとメルヴェ達は、曲がり角の左側に、岩が剥き出しになっている広い空間を見つける。
二人に命令された、ジハードとファン達は、それぞれが持つ機関銃の残弾数をチェックする、
「突撃だっ!! 喰らえっ!」
「アンタ等も、死んでくれるかしらっ?」
「援護射撃を開始するっ!」
「移動しないと」
真っ直ぐ進む、ナタンは走りながら、手榴弾を二個投擲する。
メルヴェは、右手にサルマスシズK1全部を、左手には小刀ヤタアンを握りながら特攻する。
その間に、ジハードは左側に走りながら滅茶苦茶に、ベクターSSー77を猛乱射しまくる。
三人が攻撃している間に、ファンは64式軽機関銃を抱えて全力疾走する。
「位置がバレているぞっ! ぐわっ!」
「敵が近づいてきているっ!!」
「押し留めろ、彼らを避難させるまでは持たせるんだ」
「ここが、正念場だぞっ!」
連合軍兵士は、M60E4の二脚を岩に載せて、機銃掃討していたが、手榴弾が爆発した事で怯む。
インディオ系PMC要員は、L7汎用機関銃を窪みに隠れながら乱射してくる。
XM5小銃を、両手で確りと構える、アラビ人兵士は、土嚢から単発連射する。
中央アシュア系PMC要員は、高い場所にある横穴からACRを撃ってきた。
他にも、多数の残党部隊兵が、アチコチから四人を狙って、十字砲火を浴びせてくる。
「奴らを殺せっ! うおおおおっ!」
「これ以上は、進ませないっ!」
「連中を蹴散らしてやるっ! ぐおっ!」
「そうだ、蹴散らしてやるっ!!」
M4カービンを乱射しまくる連合軍兵士と、AK74を連射する黒人レジスタンス員。
XM250汎用機関銃を、連射していた、南アシュア系レジスタンス員を何者かが襲う。
それは、味方である白人PMC要員が、突如背後から、SIG、MCXを乱射し始めたのだ。
「貴様っ! 裏切り者かっ!」
「何にせよ、殺し? うわっ!」
「いや、最初から帝国側だっ!」
白人レジスタンス員は、背後に振り向いてMP5短機関銃を撃ちまくる。
黒人民兵は、SVTトカレフを撃とうとしたが、脱ぎ捨てられた、PMCの服装に視界を遮られる。
「喰らえっ!!」
「ぐあっ!」
「ぎゃあっ!!」
裏切り者の正体は、キーランであり、彼は黒人民兵に飛びかかった。
次いで、奴の頸動脈を噛み千切ると、今度は白人レジスタンス員に、ペンナイフを投擲する。
その切っ先は、右目を深々と突き刺してしまい、脳まで達したらしく簡単に殺害する。
「奴は、ヴァンパイアだっ! 変装していたんだっ!」
「まだ、敵の匂いがするっ!」
連合軍兵士は、背後から奇襲を仕掛けてきた、キーランにAKMを向ける。
さらに、ワータイガーが、ドラムマガジン付きAK74を乱射しまった。
「不味いな、何発か喰らってしまった」
「私は無事よ、しかし? 二人は?」
ナタンは、青い血液を体中から流しつつ、岩場に潜んでいる。
すると、サッと素早く、メルヴェが飛び込んできた。
彼女は、ジハードとファン達を心配しながら左側に向かって行った、二人の様子を伺う。
「オラオラ、死にやがれ、死にやがれ」
「不味い、身動き取れん」
ジハードは、榴弾や機銃掃討により、火力で敵を圧倒している。
だが、ファンは逆に機銃弾から身を隠すため、近くにある窪みに忍び込む。
「取り敢えず、二人は無事なようだ?」
「ナタン、貴方は?」
機銃弾が頭上を飛び越える中、ナタンは怪我をしているので、メルヴェに心配されてしまう。
「心配ない、これくらいで死なない」
そう言うと、ナタンは敵に対して、MASー1935を二丁拳銃で乱射する。
「敵が反撃してきたぞっ!」
「気にするな、まだまだ、こちらが優勢だっ!」
「人数も多いっ!」
「RPGだっ! これで、ぐわっ!?」
ナタンとメルヴェ達を狙い、白人民兵はRDP軽機関銃を乱射しまくる。
黒人レジスタンス員は、スターリング短機関銃を連射して、キーランを岩場に押し留める。
アラビ人兵士は、ベネリM4から散弾を連続で放ち、ジハードとファン達を釘付けにする。
そして、アシュア系民兵は、RPGー7を発射しようとするが、左側から撃たれてしまう。
「グルルッ!! ガウガウッ!?」
「ギャウ、グオーーーー! ガウガウガウッ!!」
ベッキーが青灰色のワーウルフと化して、SIG、540を撃ちながら特攻してくる。
今の彼女は、青と黒に塗装された、ラバースーツに、弾帯付き灰色軽量プレートを着用していた。
また、灰色ワーウルフと化した、イッセンもAKカスタムを乱射しながら駆け出してくる。
「不味い、魔法で防ぐっ! ぐはっ!」
「また、別な敵かっ!!」
火炎魔法で、炎のカーテンを作った、マジシャンは別な敵に撃ち殺されてしまう。
それに慌てて、ドリアードは後ろに振りかえる。
「援軍登場だっ!」
「ここからなら」
連合軍側・残党部隊は、高い位置にある複数の横穴から、警察隊員に奇襲を受けてしまう。
黒いフリッツ・ヘルメットを被るブルーノは、ダットサイト付きFNCを連射する。
彼は、黒い野戦服に防弾ベストを着用して、ベルトに弾帯を四つ下げていた。
カディアは、AKMカスタム乱射しながら、時折高いジャンプを繰り返す。
「掴んだぞっ! これでっ!」
「うわあぁぁっ!!」
「させるワケには行かないわっ!」
ドリアードにより、足首を掴まれた、ブルーノは横穴から引き摺り下ろされる。
だが、跳躍兵リザードマンである、カディアは奴に飛びかかる。
FASTヘルメットを脱ぎ捨てた、彼女はマスクを取った。
そこには、チリリとした黒髪ロングヘアと端整な人形のような顔があった。
大きな黒目と整えられた眉は美しかったが、両頬には青や黒の鱗が生えている。
しかも、たちまち彼女の顔は、トカゲ頭になり、体は青緑色に変化し、腰からは尻尾を出す。
変化した、トカゲ顔は三角系に少し近い玉子型であり、牙も鋭い歯が、ギザギザに生えていた。
「ぐああああっ!?」
「毒素を喰らえ…………」
カディアに左腕を噛まれた、ドリアードは凄まじい痛みと苦しみに悶えた。
そうして、口から泡や吐瀉物を吐いて死んでしまった。
「でかしたぞっ! カディア」
「隊長、このまま殲滅しましょう」
キーランから褒められた、カディアは勢いに乗って、再びジャンプを繰り返した。
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