「弾が無い、だが白兵戦はやれるっ!!」
弾切れとなっても、未だに戦意を喪失しない、オーガー。
奴に、ソロモン一等兵とギルシュ二等兵達は、連携して飛び掛かった。
そして、二人の両腕で力強く地面に押さえ付けた。
「ジョナスッ!! あ…………なっ? なっ!?」
「これでも喰らえ、えーーーーいっ!」
オーガーを心配した、黄緑色ベレー帽の白人女性コマンドであったが。
その隙を逃さなかった、カピトリーナ二等兵が握る大楯に、身体を弾かれた。
「このおっ!!」
「殺られてたまるかっ!」
岩を避け、真っ直ぐに突進してきた、カピトリーナ二等兵。
彼女に、ベレッタM92Fを発砲しようとする、黄緑色ベレー帽の白人女性コマンドであったが。
「やめとけ」
ワーウルフに変身した、ザミョール中尉から、右腕を蹴られる、白人女性コマンド。
次いでに、足で地面に押さえつけられてしまい、彼女は抵抗できないようにされる。
「チェックメイトだ、お前には色々と吐いて貰った後、部下になって貰う」
「はっ! どうかしらね?」
ザミョール中尉は冷たい視線を向けて、白人女性コマンドを見下す。
彼に対して、生意気な言葉を吐いた、彼女は辺りを見渡す。
ソロモン一等兵とギルシュ二等兵に、両腕を押さえられて、地面に倒された、オーガー。
ジナイダ軍曹とガリーナ二等兵達に、足で押さえ付けられている、緑色のシュヴァルツ・リッター。
このコマンドー隊員たちへと、彼女は目を向ける。
「ザミョール中尉、私は何だか喉が渇いたわ、その娘の真っ赤な血液が欲しいのだけど」
「後にしろ、先ずは催眠スプレーと、手錠が必要だからな?」
ジナイダ軍曹とザミョール中尉たちによる会話を聞いていた、黄緑色ベレー帽の女性コマンドだが。
「どうやら、私達の負けね」
「そうだ、大人しくしろ」
漸く降参する事にしたらしく、下を向き、目を瞑った、黄緑色ベレー帽の白人女性コマンド。
ザミョール中尉は、彼女に対しても気を抜かず、睨みつける。
彼は、ピストレット・ヤリギンの銃口を向けたまま、彼女が怪しい動きを取らないかと警戒するが。
「中尉、催眠スプレーです」
「ああ、ご苦労っ!」
そこに、キルサン二等兵が催眠スプレーを持ってやって来ると、ついに彼女が行動を起こした。
「全員死ね…………」
ニヤリと笑って、ボソリと呟いた白人女性コマンドから離れる、ザミョール中尉。
彼は、キルサン二等兵を引っ張ると、急ぎカピトリーナ二等兵の大楯裏に身を引っ込めた。
「きゃああああっ!!」
直後、熱風の混ざった爆風が、カピトリーナ二等兵が構える大楯を襲う。
そうして、凄まじい揺れが、広い洞窟内に響き渡り、土埃が舞い上がる。
「ケホッ! ケホッ! 最後に自爆したか? 見事な最後だったな」
土埃で、視界が悪い上、喉に土煙が入り込み、痛みを感じる、ザミョール中尉。
彼は、潔く自爆した、白人女性コマンドの無惨な遺体を見下ろす。
「中尉、無事でしょうかっ?」
「有り難う御座います、中尉」
土埃で周りが見えない、カピトリーナ二等兵と、中尉に助けられた礼を言う、キルサン二等兵。
「ザミョール中尉、オーガーの奴は奥歯に仕込んだ毒で自害しました」
「こちらのシュヴァルツ・リッターも同様に自ら命を絶った様です」
暫くして、土埃が晴れると、ギルシュ二等兵とジナイダ軍曹たちが戦果の報告をする。
「捕虜は無し…………か? 二人も減ったし、預かった奴も一人、こりゃ始末書じゃ済まないかもな…………」
ザミョール中尉は、一人呟き、それから奥の洞穴を目指して、ゆっくりと歩き始めた。
「02《ノイファー》任務完了だ…………」
彼は、とある国で使用されている警察無線の電話番号を口から出した。
また、それと同じ、己の部隊番号と任務完了を静かに告げた。
「ガリーナ、ギルシュ、ソロモンは前衛に…………ジナイダ、キルサン、カピトリーナは後衛だ」
ザミョール中尉は、次なる命令を部下たちに下して、前方を注視する。
彼は、連合軍コマンド達が必死に守ろうとした、奥へ続く洞穴を調査しようと考えた。
それから、突入を試みて、微かな湿気を感じる風の吹く、洞穴へと歩く。
内部には蟻の巣状に、彼方此方《あちらこちら》に弾薬が置かれ、銃火器が山積みにされていた。
「物凄い数だな、戦争の下準備にしては充分過ぎるな…………」
ピストレット・ヤリギンを、ザミョール中尉は両手で構える。
そして、何時でも、敵が飛び出てきても良いように、彼は気を抜かない。
そんな彼の目に映り込む物は、レジスタンスと連合軍が用意した物資だ。
山積みされた、緑色のプラスチックケース、深緑色に塗装された、弾薬ボックス類
何着もある防弾ベストに、無数のAKM自動小銃と、いくつも並べられた、バナナ型弾倉。
「隊長、RPGー9、無反動砲、対空機関砲、重機関銃…………これは」
「M60が七丁、攻撃ドローン、グレネードマシンガン、迫撃砲」
前方に、PPShを構える、ギルシュ二等兵は、敵が用意していた武器の量に圧倒される。
後ろで、GShー18拳銃と大楯を構える、カピトリーナ二等兵も敵が集めた兵器に驚く。
また、二人は連合軍コマンドーの生き残りが、奇襲攻撃を仕掛けて来ないか。
もしくは、罠が設定されてて無いかと、脇穴を慎重に覗いていく。
地面のシート上に並べられた銃器や、それ等を閉まった箱。
それから、積み上げられた、砲弾や銃弾を容れた弾薬類に医療キット。
これ等の兵器が、所狭しと置かれた光景に、全員唖然となる。
「戦争が始まるのかもね…………連合軍は、アフリカから攻めて来るか? 大規模なテロでも起こす積もりだったのかしら?」
顔を傾けて、AK74Uの照準を覗きつつ、横穴を確かめる、ジナイダ軍曹。
彼女は、眼前に広がる兵器の山を見ても驚かず、冷静に語るが。
「そうかもな、そろそろ連中も戦争したくて、ウズウズしてるんだろう? あんっ?」
「…………!? …………」
そう語りながら、洞穴を抜け出そうになった、ザミョール中尉だったが。
彼は、とつぜん遠くから微かに聞こえてきた、不審な声に耳を傾けた。
「まっ! 待てよ、俺達は味方だ」
「変装中の帝国警察隊員だよっ!」
『…………彼奴等は確か? …………』
警察署内で、聞き覚えの有る声に、あれは確か、フロスト中尉の部下だな。
そう思った、ザミョール中尉は、声の主が喋る方へと、一人で進んでいく。
「ジナイダ、指揮を頼む…………俺は少し用事が入った」
「了解しました、中尉」
部隊の指揮を、ジナイダ軍曹に任せた、ザミョール中尉。
彼は、一人洞穴の外に広がる、大きなトンネルみたいな空間を目指して、歩いて行った。
その後、ザミョール中尉は、帝国軍部隊と合流していた。
「…………と言うのが、我々の第2小隊の経緯だ」
ザミョール中尉は、合流した二人の帝国軍部隊員に事の子細を語る。
また、レジスタンス側のアジトに送り込まれた、レオとカルミーネ達も、話を聞く。
「それで、二人の上官はどちらに?」
「我々の指揮官は、地上で指揮を取っています」
「あと、連絡はもうしてあるよっ!」
ザミョール中尉よりも前を歩く、下士官グールとピエロ少女たちは、質問に答える。
洞窟から防空壕へと続く、入口まできた彼等の正面にある、赤錆た鋼鉄製ドアは開かれていた。
その向こうには、明るく照らされた、逆U字型に広がるトンネルがあった。
ここは、壁は赤錆がかった、オレンジ色の煉瓦で覆われている。
また、コンクリート製の灰色天井は、白い電球が真ん中に、ぶら下げられていた。
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