入口に立つ、警察隊員の間を通り抜ける、レオ・ミア・ミネット達。
外に出ると、空は昼頃だと言うのに、どんよりとした、夜空みたいな暗雲が垂れ籠めている。
しかも、それが微かに粉雪を降らせていた。
「任務完了、御苦労様でしたっ!! 彼方の指揮車両の中でフロスト中尉が御待ちしておりますっ!」
三人に近づいてきた、帝国警察隊員が、右手をビシッと斜めに掲げる。
そして、ローマ式敬礼をして、三人に指揮車両へ行くように伝える。
「了解したよ、今向かう」
レオは、帝国警察特殊部隊員に答えると、他の二人と共に向かう。
彼等の行く先には、黒い装甲指揮車両が停車している。
その後ろには、装甲車とパトカーが何台も並ぶ。
三人が、指揮車両の蓋を開いて中に入ると、彼等を率いる、フロスト中尉が椅子に座ってた。
よく見ると、彼はタブレットを弄って待ち構えていた。
彼は、黒い制帽を右斜めに傾けて被り、顔には四角いフレームの黒渕眼鏡を掛けている。
服装は、黒い制服を着おり、腕には青い腕章が付けられていた。
「遅かったね? レオ、ミア、ミネット、まあ良いやっ早く乗りな、警察署まで戻ったら君達が捕まえた捕虜を早速101号室まで運ばないとな」
「はいっ! フロスト中尉」
「りょ~~解っ!!」
指揮車両の中で、フロスト中尉が三人に対して、早く指揮車両に乗車するように促す。
レオ、ミア、ミネット達は、その命令に素直に従い指揮車両に乗った。
そして、フロスト中尉は、運転手に指揮車両を発進させるように命令を下す。
それから、彼は不意に、ゲシュタージと言う名を口から出した。
「君達、僕らが何て言われているか知っているかい? このハンザの中のドイツェルって地方に過去に存在した、ゲシュタポって秘密警察とシュタージと言う組織の名を組み合わせて、レジスタンスは僕達の事をゲシュタージって呼ぶんだってね?」
フロスト中尉は、帝国警察の通称と由来を語り、そして、101号室に関することを話す。
「他の部隊も捕虜を沢山捕らえたらしいから、今日の101号室は満杯だね?」
精神身体調整室、通称101号室は、帝国警察特殊部隊員を製造する洗脳改造手術室である。
101号室と呼ばれる理由、それは昔の映画に関する話だが。
反体制的な人物に対して、洗脳処理が行われる部屋が、101号室と呼ばれていた。
それに因んで、様々な映画やゲームで洗脳改造室が101号室と呼ばれた。
結果、レジスタンス側か、ゲシュタージ側かは分からないが。
みな何時しか、この恐怖政治を象徴する警察隊員製造室を自然と、そう呼ぶ様に成っていた。
「中尉…………そんな事よりも、新しい捕虜の二人は俺の部下に?」
「私も、ミネットと同様にシモーネを貰いますよっ!」
フロスト中尉に対して、急にレオとミア達は頼みごとをした。
二人は、子供のように、今回捕らえた捕虜を新しい部下として欲しいとねだる。
そんな二人の態度に、フロスト中尉は飽きれてしまう。
「はいはい…………キミ達は本当に昔から変わらないねぇ~~? まぁ、内の部隊に配属されるるんだし、どうせ君達の後輩に成るんだから好きにして良いけどさっ」
だが、フロスト中尉はあっさりと、レオとミア達の願いを聞き入れた。
こうして、新しい捕虜を、部下として使っても良いと許可が出た。
「有り難う御座いますっ! 中尉っ!!」
「有り難うっ!! フロスト中尉」
自らの願いな許可が下りた、レオとミア達は、喜んでフロスト中尉に感謝する。
そして、ミアの横に座る、ミネットに対して、フロスト中尉は声をかける。
「ミネット、新しい後輩は君のレジスタンス仲間で親友だったって話だね? 君も新しい後輩に色々と指導して上げてくれるかい?」
「はい、中尉私もシモーネを立派な帝国警察の一員に成るように指導致しますっ!」
優しい笑顔になる、ミネットに先輩として、後輩を指導するように、フロスト中尉は指示した。
彼に、親友であった、シモーネを指導出来るという嬉しさで満面の笑みで答える、ミネット。
粉雪が、ひらひらと舞い、雪よりも冷たく暗い印象を与える無機質なビル郡が建ち並ぶ。
黒・灰・青・などと言った、ビル群の間に通った道路脇には、所々に雪山が積み上げられていた。
それ等の隙間を通る、指揮車両を始めとした、警察車両は雪を跳ね除けながら走っていく。
やがて、車列はレジスタンスの襲撃も無く、無事に、オフィス街を抜けると警察署に着いた。
警察車両が署に到着すると、シャッターが開き、その中に警察車両は入って行く。
やがて、全ての警察車両が入ると、装甲車から警察隊員たちが、捕虜を乗せた担架を運び出す。
「丁寧に運び出せっ! 新しい仲間に成るんだからな?」
「了解…………」
「了解」
フロスト中尉に命令された警察隊員たちは、車輪が付いた代車の上に、担架を乗せて固定する。
こうして、彼等は捕虜である三人を101号室まで運んで行く。
その後、フロスト中尉たちは地下室へと続く、通り道である、緩やかな青色斜面を下りていく。
彼等は明るく照らされた、白色の通路を、ゆっくりと通ってゆく。
101号室と書かれた自動ドアの前まで、捕虜を乗せた担架は運ばれた。
それから、ドアが開くと、中に担架は入れられていく。
昏睡状態である拘束された、捕虜の拘束は解かれた。
三人は、先ず体を、CTスキャナーの台上に乗せられた。
「ドクター、フェスターシュニーは何処に行ったのかな…………」
「ここよっ! フロスト中尉、私はここ」
フロスト中尉が呟くと、101号室内にある大きな機械裏から、件の人物らしき影が出てくる。
それは、眼の下に隅が出来た、白く輝く髪を後ろで束ね、ハーフアップにした女性だ。
服装は、黒い制帽を被り、軍服の上から白い白衣を羽織る。
口には、煙草をくわえており、顔は非常に面倒くさそうな表情をしていた。
「フェスターシュニー、捕虜を洗脳して欲しいんだけどお願いします」
「へいへい、今度の捕虜は三人とっ!」
フロスト中尉に捕虜の洗脳を頼まれた、フェスターシュニー博士。
彼女は、捕虜三人をCTスキャナーで体の状態を調べ終えると、早速だが洗脳作業に移行する。
コンソールパネルを操作した彼女は、先ずCTスキャナーを動かす。
また、台上で仰向けで、寝そべる捕虜たちの四肢を再び拘束した。
捕虜たちには、アイマスク状のヘッドギアが装着される。
捕虜と成った、三人に悪夢を見せて、地獄の拷問と苦痛を与える。
「くっ!! つぅ~~!!!!」
「ぐうぅぅ…………!!」
「きゃあああああーーーーっ!!!!」
魘されたり、泣き叫んだりする、ヴラウリオ・イェスパー・シモーネ達。
そんな彼等の悲痛な叫び声を、フェスターシュニー博士は無視する。
また、フロスト中尉たちに、作業が終わった後の事を告げる。
「後で隣の部屋に運んで置いておくから後で引き取りに来てよ?」
「了解しました博士、皆行こうか?」
フェスターシュニー博士の言葉に、フロスト中尉は返事する。
そして、彼は部下達を引き連れながら、101号室を退室する。
「さあーー皆、新しい仲間達が出来上がるまで第三小隊部室で待機だっ!」
「あのぉ? フロスト中尉…………」
フロスト中尉、不意に背後から声が掛けられので振り向いた。
すると、そこには、ミネットが何かを言いたそうな態度をしていた。
「ミネット? どうかしたのかい? まさか元レジスタンス仲間の洗脳作業が終わるまで隣の部屋で待ち続けたいのかな」
「そうです中尉っ! 私はシモーネが同じ帝国の兵士と成るまで側に居て見守りたいんですっ!」
優しい笑みを浮かべながら、フロスト中尉は質問をしてきた。
ミネットは、素直に、シモーネの側に居たいと答えた。
「分かった、良いよ…………正し大人しくしている事だよ、分かったかい?」
フロストの言葉に対して、希望に満ちた笑みで、コクンと頷く、ミネット。
「ミネット? それは良いんだけど、先ずは着替えなければレジスタンスが潜入してきたのだと、他の部隊の隊員達に誤解されるよ?」
「あ………………そうですね? 私ったら、更衣室で着替えて来ますっ!!」
フロスト中尉は、ミネットの服装が、レジスタンスに変装したままだと指摘した。
すると、彼女は慌てて、更衣室まで走って行った。
「ミア、彼女が他の部隊の隊員達に誤解され無いように後を追ってくれ、それと着替終わったら、僕がさっき行った通りに捕虜安置所に行っても良いと伝えて欲しいんだけど宜しく頼むね?」
「はい、フロスト中尉、彼女は任せて下さいっ!!」
フロスト中尉の指示に従い、ミアは先に走って、更衣室に向かった、ミネットを追いかけて行った。
そして、残されたフロストとレオ達は、第三小隊部室まで歩いて向かう。
「じゃ、僕等も行こう」
「そうですね中尉…………」
フロストとレオ達は、こうして101号室から離れて、第三小隊部室まで、白い廊下を歩く。
こうして、新たな仲間達が、目を覚ます頃合いまで、部室で待機する事に決めた。
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