【暗黒騎士団VS反逆のレジスタンス】 吸血鬼アンデッド軍団と最後の人類は、たった一人でも戦う

レジスタンスは今日も戦う
デブにゃーちゃん
デブにゃーちゃん

第134話 帝国警察隊員の会話と回想

公開日時: 2024年7月10日(水) 21:44
更新日時: 2024年7月13日(土) 11:45
文字数:3,200


 ミネット・シモーネ・ミア・ベーリット達は、レギナを歓迎していた。



「ミネット、シモーネ、新しい仲間が増えて良かったでしょっ!」


「レギナは、弓が得意そうだし、音がしないぶん、敵より有利になれるわ」


「良かったに決まってるでしょっ! 弓が使えるなら、私と一緒にレギナも、暗殺キルを担当する?」


「ミネットも、後方から支援射撃を敵に当てるのは、かなり得意だしね~~」


「ふぅん? なら、私もミネットと同じく、後ろから皆を支援するわっ!」


 ミアとベーリット達は、二人にレギナが使う武器と能力を教える。



 それを聞いて、ミネットとシモーネ達は、自分らと同じく、後方支援をして貰おうかと考えた。


 レギナも、二人から期待されて、支援役を担当しようと思う。




「…………ベーリット、また一緒に遊…………いえ、戦えるのね?」


「レギナ、貴女も帝国の一員に成ったからね…………あの時はビックリしたわよ」


 レギナは微笑を浮かべつつ話し、ベーリットは同じく微笑みながら回想する。



 時は遡り、ナタン達が警察署に潜入していた時、レギナも任務を遂行しようとしていた。




「…………最終確認だが、署長室・武器庫・通信室には我々Aチームが行く」


「分かっている……任せておけ」


「ここからは、分かれ道だ…………我々は先に待機所を目指す」


 連合軍&レジスタンス部隊は、それぞれの爆弾を設置するため、別れ始めた。


 そして、ギデオン自身は潜入部隊を連れて、署長室に向かうべく、階段へと進む。



 ハキムは、Bチームを率いつつ同じく、長い廊下を進み、右の曲がり角へと行く。


 ウェストは、Cチームの面々とともに同じく廊下奥を目指す。



 こうして、レジスタンス達&連合軍コマンド部隊は、無事に警察署内へと潜入していた。



 しかし、ここで、彼等の前に障害が立ちはだかった。



「クソ…………敵の警備が多いな」


 右側の壁から駐車場を覗く、ハキムは額から冷や汗を滴しながら呟く。


 駐車場の中には、多数存在する車両を警備する署員が思っていたよりも人数が多かった。



「ハキム、上から先に仕掛けようぜ、駐車場はダメだ」


「分かった、三階から行くぞ」



 ウェストとハキム達は、敵の多い駐車場から計画を大きく変更することを余儀なくされた。


 こうして、二人は三階に行って、上から順に爆薬を仕掛ける事にした。



「俺、ナタン、メルヴェ、ハーミアン、ハルドル」


「ハキム、レギナ、ティエン、リュファス、サビナ」


 ウェストとハキム達は、二組にチームを分けて、一階と二階に向かう人選を行った。



「良いか? 予定通り、俺&ティエンの二人で機材の修理作業をする振りをしながらC4を仕掛ける」


 ハキムやティエン達が行う作戦は、消火栓や警報器の補修・点検と言った作業をしている振りだ。


 機材の点検中と言う体で、爆弾を設置すれば誰からも怪しまれずに済む。



「…………その間、リュファス、サビナ、レギナ達は巡回する振りをしながら誰か来ないか見張っててくれ」


 ハキムは、三人に見張りを頼んだが、これは署内を警備巡回する警察隊員が来たとする。


 その時に、補修中だと言い訳しながら異変に気がついた署員を騙す役目を、三人に頼んだわけだ。



 また、万が一にだが、自分たちの正体がバレた時、三人に援護して貰う必要がある。



 だから、彼は三人に背後を預けたのだ。



「分かっているわ、後ろは任せて」


「心配は要らないっ! ちゃんと、私たちが見張ってて上げるから」


「ああ、敵は上手く欺いて見せるさ」


 レギナは、少し緊張して堅い表情で話し、コンパウンド・ボウを両手で強く握る。


 サビナは、自信満々に返事して、リュファスも同じように飄々としている。




「頼んだぞ…………」


 そう呟きつつ、ハキムは建物の隅《すみ》にある消火栓を見つけた。



「ティエン、やるぞ」


「分かってるわ」


 ハキムとティエン達は、こうして消火栓を仕舞っている四角い鉄箱の蓋を開く。


 その中に、C4を仕掛けた二人は次に爆弾を設置する場所を探すべく歩きだす。



「次は、あっちの通風口の中だな」


「アレを外すには、工具と時間が必要ね」


 建物の構造上、ここにC4爆弾を仕掛ける他に設置する場所ないと、ハキムは思う。


 通風口は、コンクリート壁の床に近い部分にあるが、四隅をネジで止められている。



 これを、外すにはティエンの言うとおり、時間とドライバーが、どうしても必要になる。



「…………さっき言った通り、見張りは大丈夫だから」


 そう、レギナは言いながらも二人に背を向け、出来るだけ平静を装い、緊張している様子を隠す。


 

「あ? おい、何をやっているんだ?」


「こんな場所で、ガチャガチャとっ?」


 廊下の隅で警戒していた、レギナ達だったが、やはり警察隊員たちに気づかれた。


 彼女の前方から、二名で署内を巡回する警察署員たちが、怪しみながら歩いてきた。



「えっ? と、どうやら通風口が詰まっているらしくてね?」


「はあ? 詰まっているだと?」


「そんな風な感じは、全くしないが?」


 適当なレギナの言い訳も、警察署員たちには通じず、ますます怪しまれてしまう。


 彼等は、腰に下げたホルスターを抜こうと、身を屈め始めた。



「あ~~ちょい待ち、作業員の邪魔はしないでってば?」


「司令部からの命令で、通風口や様々な機材を点検しているんだから」


「はあ? 何のために」


「何だと、そんな話は聞いてないが…………」


 しかし、そこに、サビナが助け舟を出し、焦るレギナを上手くカバーしようとする。


 また、リュファスも同じく上からの指示が出たから来ていると嘘を吐く。



「アンタら、もしかして、何も聞いてないのかしら?」


「通風口に問題があったら、どうするんだ……例えば? レジスタンスが爆弾を仕掛けていたら?」


「何もって、だから上から命令は出てないと、さっきコイツも言っただろ」


「爆弾が…………いや、まさか? そんなはずは?」


 サビナとリュファス達は、作業の理由を上手く作って、警察署員を騙そうとする。



 警察署員のうち、一人は命令がないと、さらに怪しみつつ五人を睨む。


 もう一人は、爆弾と聞いて、一瞬だけ驚いた表情を見せた。



「最近、レジスタンス…………つまりテロリストの連中には連合軍コマンドー部隊が加わっているって話しでしょ?」


「連中は、近々ハンザ本土に向けて大規模な反抗作戦に出るって噂だよな」


 サビナは、レジスタンス&連合軍によるテロが頻発していると、ここ最近の情勢を話し出す。


 リュファスも、噂程度だが、帝国軍・帝国警察の人員による間で広がる、ある話をする。



 それは、連合軍による大攻勢だ。



「…………そう、だから上からの達しで、私達はテロリストが爆弾を仕掛けてないか? いざ、大規模な戦闘機が始まったら様々な装置が正常に作動するか?」


 そうして、レギナは自分達を、敵による反抗作戦に備えて派遣された、保守整備員だと答える。



「その点検に回っているワケよっ!」


「そ、そうか、成る程な」


「怪しいと思っていたが、そう言う理由なら分か…………」


 レギナは、上手く誤魔化したーーと思ったのも、一瞬だった。


 突如、遠くから拳銃による発砲音が鳴り響き、二人の警察署員たちも慌て始める。



「な、なんだっ! いったい何がっ!」


「やはり、貴様らはっ!?」


「違っ! 私達は…………」


「バカな事を言わないでっ!! 敵の襲撃よっ!!」


「あっちだ、すぐに応援に向かわないとっ!」


 いきなり、轟いた銃声に驚きつつ、二人の警察署員たちは正面に立つ、レギナ達が敵だと気づく。


 ーーと、思われたが、サビナとリュファス達の機転により、何とか上手く誤魔化すことに成功する。



 そして、さらにドォーーンと、大きな爆発音が署内に鳴り響いた。



「クッ! そうか、分かった」


「着いてこい、向こうの方だっ!」


「ええ、行きましょうっ!!」


 複数の銃声や爆発音に、警察署員たちが敵を迎え撃たんと走り出す。


 それに、合わせて、レギナを含むレジスタンス達も走って行く。



 しかし、本心では任務が失敗したと彼等は思い、この場から直ぐに離れなければと考えていた。

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