帝国警察は、地下で連合側の残党部隊を完全排除するため、勇敢に戦っていた。
「一気に殲滅しますっ!」
「カディアッ! 仕方ない、俺も前に出るかっ!」
カディアは、跳躍兵リザードマンに改造されており、戦場を飛びはねまくっている訳だ。
この兵種は、爬虫類をモデルにしており、跳躍力と毒性が能力として、付与されている。
そんな彼女は、調子に乗って、敵の機銃陣地へと駆け出していき、キーランも後を追う。
「喰らえっ!!」
「うわ、目が…………ぐああっ!」
「うぐ、音がしなかった?」
カディアは、両目から弱毒性の悪臭がする血液を、水鉄砲みたいに、連合軍兵士へと噴射する。
次いで、凄まじい跳躍力を発揮する脚で敵の腹を思いっきり蹴り上げる。
そして、白人民兵を背後から、ウェルロッド消音拳銃を握るキーランが音もなく襲う。
「大変だっ! ヤバい、ヤバ過ぎるっ!」
「後ろから回り込んで来てるぞっ!」
「挟み撃ちにされるっ!」
「とにかく、敵を寄せ付けるなっ!」
「そうだ、やるしかないっ!」
白人民兵は、カールグスタフ短機関銃を撃ちまくり、黒人PMC要員はAKMを乱射する。
黒人レジスタンス員は、ナタンとメルヴェ達に、MG34汎用機関銃で、激しい機銃掃射を行う。
アラビ人兵士は、M4カービンで連射しまくり、連合軍兵士は、M16A4を単発連射する。
だが、いきなり地面から青い蝙蝠《コウモリ》が噴出し始めた。
「ぐわっ! なっ! なんだっ!!」
「ぎゃああああっ!!」
秘密通路から、大量な青蝙蝠が飛び出てきた事で、白人民兵は噛み殺されてしまう。
黒人レジスタンス員も、鋭い鈎爪により、全身を引っ掛かかれてしまい、踠き苦しみながら倒れる。
「ブシューー!! ブシュシュ~~!!」
「地下からだっ! 奴の体は曇ってて、よく見えんっ!! ぐはああっ!」
「なっ! 何かがっ! ぎゃああっ!」
濃霧に包まれた、何者かに気を取られている間に、何処からか毒液が噴射される。
これにより、アラビ人兵士や黒人PMC要員の両目が失明してしまった。
それに、小柄な何者かが、忍者みたいに素早く動いて、昭和新刀で止めを刺す。
「後ろから奇襲だっ! うわっ!」
「不味いっ!! ぎゃあっ!!」
散弾が、M60E4を撃っていた、連合軍兵士の背中を襲った。
窪みに隠れていた、インディオ系PMC要員は、二種類の拳銃に撃たれて死んでしまう。
「クソッ! 自爆してやるっ!」
「自分だけで死ねっ!」
「このっ! 近づけさせっ! うぐ?」
「殺らせないわっ!」
XM5小銃を撃っていた、アラビ人兵士は、土嚢に隠れると、爆弾を起爆させようとした。
しかし、ナタンは駆け出しつつ、レギオールナイフを素早く投擲する。
そこを狙って、中央アシュア系PMC要員は、高い場所にある横穴からACRを撃ってきた。
だが、メルヴェが右手に握る、サルマスシズK10で横っ飛びしながら射殺する。
「起爆装置の線は切っておこう」
「他は?」
「オラオラオラッ!!」
「射撃支援、終了」
レギオールナイフで、赤い線を切り離すナタンと、辺りを警戒するメルヴェ。
彼女は、援護射撃に回った、ジハードとファン達を見たが、ちょうど敵を全て殲滅し終えたようだ。
「ぐ、このっ! う…………」
「危ないっ!!」
一発の凶弾が、ナタンを狙って放たれたが、キーランが彼を退かす。
そして、自らの胸に弾丸が貫通しながらも、ウェルロッド消音で拳銃反撃して、連合軍兵士を倒す。
「M14か? 死んだ振りして、指揮官を狙うとは?」
「キーラン、助かったよ」
キーランによる射撃で、連合軍兵士は、ゴーグルのど真ん中に風穴が空いていた。
命を助けて貰った、ナタンは周囲の安全を確認すると、彼に礼を言った。
「礼を言う必要はない、俺は前に…………」
「いつまでも、気にするな? また昔みたいに、一緒になれたし、俺は気にしてない」
顔を背ける、キーランに対して、ナタンは軽い口調で、グジグジするなと言う。
「ナタン隊長、キーラン隊長、二人とも怪我されてますね? 私が治療しますっ!」
「隊長、付近に敵影は感じられません」
濃霧が晴れると、中から青いポンチョコートを着ている、ハルドルが現れた。
彼は、ホロサイト付き、モスバーグM500を両手に持っていた。
また、三角系型の東部を持つドラコニアンに変身している、ティエンも現れた。
彼女は、右手に十四年式拳銃を、左手にはTー14を握っていた。
「ああ、二人とも治療は必要だ、頼むよ? それと、敵は完全に制圧したか」
「済まないな」
「遠慮は、要りません」
ナタンとキーラン達が呟くと、ハルドルは青蝙蝠を彼らの体に張り付けていく。
そうして、連中を蕩けさせるとともに、体に同化させて、傷を回復させてしまった。
彼は、呪血兵シュトリガと言う、ヴァンパイアから派生した新たな兵種なのだ。
そのため、青蝙蝠などを使って、多彩な技を披露できる訳だ。
「ティエン、私の耳は向こうから風を感じるわ」
「私も全身で感じますね、敵が潜んでいるかも」
メルヴェとティエン達は、連合軍兵士の死体を退かして見た。
すると、そこには岩石に偽装された、出入口が隠されていた。
「隊長、突入しますか?」
「ああ、スモーク・グレネードを投げ入れたらなっ!」
変身を解いて、両頬が青緑色の鱗に被われた顔に戻った、ティエンは突入を提案する。
そして、ナタンは発煙弾を投げ入れると、蓋を閉めてしまった。
「では、自分が先に………………」
「その次は、俺だな?」
「最後は、私ね」
蓋を両手で開けた、ハルドルは、青蝙蝠と青鼠たちを地下道内に侵入させていく。
そして、ドンッと大きな音を立てながら、ジハードが突入する。
次に、ティエンが再び、ドラコニアン化して、内部に落下していく。
「中は、食糧庫のようです、私のピット器官には何も映りませんね? しかし、奥の方からは何か感じます」
ティエンの変身した、ドラコニアンは探知兵と呼ばれる兵種だ。
これは、カディアの変身する跳躍兵リザードマンほど、攻撃力や身体能力も高くはない。
しかし、代わりに全身が聴覚として使える他、目と鼻の間に、ピット器官がある。
この特別な部位は、自然界では蛇が持つサーマルゴーグルとして有名だ。
「カディア、イッセン、ブルーノ、ベッキー…………我々は、ここで待機するっ! 敵が再び来るかも知れない」
「じゃあ、俺たちは中に入ってくるからな? よろしく頼むぜ、キーラン」
「援護は、任せたわ」
キーラン達は、広い空間で待機する事にして、ナタンとメルヴェ達は、地下秘密庫へと入った。
「確かに居るわね? 匂いがするわっ!」
「ピット器官をは、映りませんでしたが、全身に敵の気配は感じられます」
「奥の方からか? なら、俺が突撃するっ!!」
「ファン、援護を頼むぞ」
「了解、再び射撃体勢を取ります」
メルヴェとティエン達が、奥の方にある棚から気配を察したらしい。
それで、ジハードが棚《たな》を押し倒そうとしたので、ナタンとファン達は銃を構える。
「今行くぜっ! オラッ!」
棚を倒すと、直ぐさま、カンカンッと拳銃弾を弾く音がする。
当然、それはジハードを狙った射撃だが、彼は気にもせず、ゆっくりと反撃を開始する。
こうして、彼はベクターSSー77汎用機関銃を途切れなく、猛連射させまくった。
その間、ナタンとメルヴェ達は、ひたすら床に伏せる。
「出てこいっ! 溝鼠《ドブネズミ》どもがっ!」
機銃掃討を止めた、ジハードの前には崩れた土嚢があった。
「出てきてやるわよっ!」
「ようやく出てきたかっ!」
「射撃開始だっ!」
バーナード・マーティンM1907を両手で撃ちまくる、ルイーズ。
ハルドルは、モスバーグM500から、何度も散弾を放つ。
ティエンは、十四年式拳銃とTー14を、交互に乱射した。
「ぐっ!」
「ルイーズ、まさか君だったとは…………」
隠れた、ルイーズを狙って、何発もの弾丸が土嚢に穴を開けて、土を撒き散らす。
その隙に、ナタンは密かに、ポケットから小型四連拳銃を取り出す。
これは、雀鉢《オサー》と言われる、ロシャ製の電気発火式拳銃であり、弾丸が直ぐさま射出される。
「ナタン? ゴホッ! ゴホッ! うぅ?」
ルイーズは、発射されたガス弾により、噴出された亜酸化窒素を吸い込んでしまう。
それにより、最初は咳き込んでいたが、すぐに意識を刈り取られてしまう。
「よし、まだ一人奥に居るわよ?」
「ああ、分かってる…………」
メルヴェが背後から声を掛けるが、ナタンは土嚢を蹴飛ばして崩す。
そして、奥に進んで行った。
「そこに隠れているのは分かっている、俺でも同じ事をするからな」
「このっ! よくも、お姉ちゃんをっ!」
ナタンが、乱雑に積み上げられた、土嚢に隠れている最後の一人に声をかける。
すると、そこから一気に、ルカが飛び出て、マニューリンMR73の銃口を向けてきた。
面白かったら、ブックマークとポイントを、お願いします。
あと、生活費に直結するので、頼みます。
(^∧^)
読み終わったら、ポイントを付けましょう!