「あの火炎放射を放つ、マサイ族は厄介な奴だな?」
「死ねっ!」
ウルシカ中尉は、FN、F2000Sを構えながら、湾がりを狙う。
しかし、背後から64式銃剣を持った砂漠迷彩のワータイガーが現れると、一気に突撃してきた。
「取ったっ!!」
「きゃっ!」
「邪魔だぁっ!」
飛びかかるように踏み込んだ、ワータイガーの斬撃に対して、ミアは急な奇襲で叫ぶ。
一方、ウルシカは太い鞘から長剣、ポンペイ・グラディウスを素早く引き抜いた。
「ぐあ、ぁぁお? あ…………」
胴を斬られた、ワータイガーは腹部に深い損傷を与えられた事で、後ろに倒れた。
「ぎゃっ!? 今のは? アイツか…………」
「あの…………大丈夫ですか?」
背中に鋭い岩石が当たった、ウルシカは背後に振り向いて、遠くに位置する敵を睨んだ。
「にししっ!」
「フフッ!」
笑顔のエスメラルは、目付きだけを鋭くして、ウルシカを見ている。
「あの女、気に入った、ちょっと行って、ぶった斬ってくるっ!」
「あ、ちょっ!!」
そう言うと同時、ウルシカは土嚢を飛び越えて走って行ってしまった。
ミアは、それを唖然としながら見ているしか出来なかった。
「こっちに来たか、喰らえっ!!」
ワンガリは、機銃掃射による十字砲火を掻い潜りながら、一人のみで駆けてくるウルシカを睨んだ。
そして、投槍エンペレの穂先から凄まじい火炎放射を放ってきた。
「お前は、標的じゃないっ! 邪魔なんだよっ!」
「うっ! 俺の火炎攻撃を交わすとはっ!」
ウルシカは、スライディングしながら火炎放射を回避しつつ先へと進む。
彼女は、まるでパルクール選手のように素早く立ち上がると、再び駆け出した。
「ワンガリ、あの女にゃあ~~? 私の石の方が効くよっ!」
「いや、気をつけろ? 奴は各が違うっ!」
「気をつけろ? アンタ達もねっ!」
エスメラルは投石紐を、ぶんぶんと鳴らしながら回転させ、ワンガリは気を抜かずに敵を警戒する。
そんな二人に、フェリシテは四連ライトの光を当てて、次いで機銃掃射を浴びせた。
「ぐふっ! ごああ?」
「やばっ!」
突然の奇襲攻撃に、ワンガリは反応が遅れてしまい、腹部に何発も弾丸を喰らってしまう。
一方、エスメラルは土嚢の陰に素早く隠れて、銃撃を止むまで待つ。
「まだまだ弾は、有るんだよっ!」
「うるせぇっ! くたばりやがれっ!」
フェリシテの機銃掃射は止まず、弾丸は途切れることなく、腹部にある葉袋から出し続けられる。
土嚢が破れ、砂柱が飛び散る中、エスメラルは果敢にも投石して反撃してきた。
「おらああっ!」
「あっ! しまっ!?」
エスメラルが投げた石は、フェリシテが抱えるRPD汎用機関銃の銃口を剃らした。
「今だああああっ!!」
「ぐああああ…………あ、あ、ぁぁ…………」
その隙を見逃さず、ワンガリは左手から火炎放射を扇状に放った。
フェリシテは、急に飛び出た火炎魔法を避けきれず火達磨となって地面に転がる。
「やったか? だが、そろそろ頃合いかも知れない」
「だね、うわっ! まだ、厄介なのが来るよっ!」
ワンガリとエスメラル達は、一人突撃を続ける、ウルシカを目にする。
グリーン・シュヴァリエによる、80式汎用機関銃の射撃を交わしながら迫る姿は不気味に思える。
「おっと、お相手なら私がしますよっ!」
「邪魔するなら斬るだけだが?」
ジュジースは敵に立ちはだかるとともに、細剣エスパダ・ロペラを突き出す。
それを、ウルシカは鞘から引き抜いた、長剣ポンペイ・グラディウスで弾き返す。
「貴女を切り裂いて上げますよ」
「ククッ! やって見せろっ!」
屠殺用短剣プニアルで、脇腹を捌こうと、ジュジースが一手を放つ。
しかし、ウルシカは回避せず、敢えて斬撃を受けながら前に踏み込んだ。
そして、長剣ポンペイ・グラディウスで首を狙うも、細剣エスパダ・ロペラの刃に阻まれる。
「ぐ、うぅぅ? 中々やりますね? でもっ!」
「あっ! 何処に行く気だっ! ゲフッ! ゲフッ!」
「ブシュアアアア~~~~~~!?」
「ビュゥゥーーーーーー!!」
思いっきり床を蹴った、ジュジースはバックステップを繰り返しながら逃げた。
いきなり逃走した彼女を追撃せんとする、ウルシカは青い毒ガスに移動を阻まれた。
また、彼女は強烈な水圧が自身の近くに噴射されている音を聞いた。
「うおっ! 味方の援護か、逆に仇になって取り逃がしちまったじゃないかっ!」
「大丈夫ですかっ?」
「お怪我は有りませんか」
ウルシカ中尉は煙が晴れる前に、ドラム缶の裏に移動すると、そこに味方が近づいてきた。
それは、もちろん科学攻撃を行った、ベーリットとレギナ達である。
「怪我はない、それよりも一騎討ちの邪魔をするなよ…………萎えるじゃないか?」
「は、はぁぁ? 済みません」
「申し訳ないです」
詰まらなさそうな表情のウルシカに謝罪する、ベーリットとレギナ達。
二人とも、下士官とは言え、機嫌を損ねれば首を跳ねられるかも知れないと思った。
「それより、敵は徐々に後退し始めたな? アレは罠を仕掛けているだろう? ん、味方が追い詰めている? おいっ! そこの二人、深追いは止せっ!!」
ウルシカ中尉が叫んだ先には、灰色と黒色のワーウルフ達が四つ足で跳び跳ねていた。
「グルルゥゥゥゥッ!!」
「ガルルルルーーー!?」
「うわあっ!」
完全に暴走している二人組は、ラリアットでギガントを倒しつつ、再び四つ足で走っていく。
「キャンッ!!」
「ギャウッ!?」
二人とも、敵が仕掛けたトラバサミに挟まってしまい、身動きが取れなくなった。
「不味い、動けなくなったっ!」
「クソがっ! このまま死んでたまるかぁーーーー!?」
カルミーネは焦りながらも、タンフォリオT95を敵に向かって発砲しまくる。
ファルクも、M60を周りを囲む、ギガントやグリーン・シュヴァリエ達に乱射しまくった。
「おいっ! アイツら、動けないようだぞっ!」
「今がチャンスだっ!」
当然、連中は機銃掃射で、二人を蜂の巣にせんと弾丸を発射しまくる。
「ぐわあっ!? もう、ダメだ…………神様、天国じゃあ、美人の天使にっ! ぐふっ!」
「こんな時まで、何を言って…………ゲボォッ!」
カルミーネとファルク達は、十字砲火を受けて重傷を受けた。
そして、二人とも力なく床に倒れてしまった。
「んっ! 援軍が、また来たぞっ!?」
「味方のロボット戦車隊だっ!」
自衛隊員が叫ぶと、チィーナ軍兵士は、味方部隊の姿を確認する。
ミルレム・ロボティクス社製、テミス・コンバット・UGVが、何台も地下道の入口から出てきた。
また、それよりも多い数のデリバリー・ロボット車両が登場する。
「コイツ等が登場したと言うことは、後退だなっ!」
「よしっ! 逃げるぞっ!」
自衛隊員は、床に置いてあった、マンホール型の空中炸裂地雷を次々と宙に投げる。
すると、チィーナ軍兵士は風刃魔法を使い、遠くまで突風により、それを運んだ。
「ぐわっ!! ぐぶぅっ!!」
「ぎゃあっ! があーー!?」
「ぐわあっ!!」
「どわっ! ぎ、ぐ、うあっ!」
風刃魔法が運んだ、空中炸裂地雷は、警察隊員たちを殺傷する。
「ジュジース、ワンガリ、エスメラルッ! 後退する時間だっ!」
そう言いながら、ヨルギオスは右手で雷撃魔法を放ちながら移動してくる。
「ああ、どうやら、そのようだな? ではっ!」
「私ゃあ~~? こうやってっ!」
ワンガリは、円柱型・手榴弾を投げると、エスメラルも、投石紐を回転させながら投射する。
二人の投げた、手榴弾は爆発するタイプではなく、催涙弾だった。
そして、缶から、プシューーと勢いよく、タイヤから空気が抜けるような音がする。
それとともに、黄色いガスが噴出してきた。
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